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ラガーあきのブログ一覧

2021年07月10日 イイね!

Aston Martin Vanquish Sの乗り味(低中速編)

Aston Martin Vanquish Sの乗り味(低中速編)昨年11月から乗り始めて7か月。
その間に運転したのは僅かに350km。
しかも、車両は製造から3年が経過しているとはいえ、総走行距離は僅か550kmであり、メーカーが狙っているセッティングまで小慣れていない可能性も否定できません。



このような段階で一括りに乗り味と評するには時期尚早と言えるかもしれません。
そう考えると相応しいタイトル探しから始めなければならないことになりますが、ここでは街乗りとは明らかに違う、首都高や外環などを走ったときに感じた印象を取り上げてみたいと思います。



メーカーが公表するVanquish Sの最高速は、201mph(=323km/h) 。
トランスミッションが6速から8速に切り替わった2015年以降のモデルと同じです。
そのうち、日本の高速道路で試せるのは、120km/hまでの世界です。
体感した領域を高速域と呼ぶのは憚られ、走行性能から考えると中速域にも及びません。
そこで、サブタイトルとして低中速編と称することにします。



まず、一般道から高速道路への侵入路でパドルシフトを引いてギアを2〜3速まで落とし、アクセルペダルを床まで踏み込み、エンジンの回転数を上げます。



このとき、アストンマーティン独特のエキゾーストノートに最高出力が603PSまで引き上げられたAM27エンジン特有の中音域のエンジン音が混じります。



高性能スポーツカーと比較すると驚くような加速力はありませんが、Vanquish Sのオフィシャルビデオに収録されている、このときに発せられるノイズに何とも言えない魅力があり、Vanquishの購入を思いとどまらせていた最後の防波堤が決壊した気がします。



さて、十分な速度域まで加速したところで昂る気持ちを落ち着かせ、アクセルペダルを戻してトランスミッションをオートマモードに入れると、それまでステアリングやブレーキペダルなどから伝わってきた舗装路を走ることで生じる細かな振動が消え、滑らかで雑味のない乗り心地に変化していることに気づきます。



また、街中では、路面の凹凸を拾うとビーンという伝達スピードの速い、いかにも硬度の高い金属を伝わってきたような振動が体に入ってきます。
ところが、高速道路になると、コトンと衝撃が柔らかくなり、車体が凹凸をスルリと乗り越えたかのような感じに変化します。
車速が上がったのだから、ゴンとさらに強い衝撃になるのかとおもいきや、意外なほどしなやかな印象です。



少し誇張した例えをするならば、プラスチック製のタイヤの付いた台車の上に直に座ってガタガタとアスファルトの上を走っていたのに、いつの間にか、タイヤをゴム製に交換したうえでサスペンションを組み込み、クッション付きの台座を取り付け、その上に座らされて綺麗な舗装道路を滑るように走っていることに気がついたとでもいうような変化でしょうか。



そして、周りの速度に合わせて流すように走っている限り、自然吸気の6ℓV12エンジンを搭載したクルマに乗っていることを忘れてしまうほど穏やかです。



しかも、車速感応式のパワーステアリングには研ぎ澄まされたような鋭さはなく、繊細な操作は不要です。
というのも、ステアリングを切ると滑らかにステアリングシャフトが回転する感触のみで巻き戻るような慣性も働かず、フロントタイヤがどちらを向いているのか伝わってきません。
何だか手元が心許なく不安になります。



とはいえ、小刻みにステアリングを切ったとしても過剰に反応することもありませんし、経験則でステアリングを切っていけば、車体はほぼ予想どおりのラインを描くので、神経質にならず、大らかな気持ちでステアリングを握っていれば良いというのが正解といえると思います。
個人的な好みでいえば、切り始めからじわりとした重みがあって舵角がイメージできるようにしたいところ。



私なりの解釈としては、アストンマーティンがUltimate GTに位置付けるからには、ステアリングフィールを出しすぎることによりドライバーに細かな情報を伝達して疲れさせないような設計を意図しているのかな、と。
また、高速域に入るとステアリングがドッシリと安定するのかもしれませんが、今のところ、経験した速度域ではそのような実感はありません。



また、トランスミッションをオートマチックモードに設定していれば、スロットルペダルの加減だけで8速もあるギアの中から適切なものを素早く選択して、ストレスなくスムーズに駆け抜けられます。
パドルシフトの操作が必要なのは、V12のエンジン音やエキゾーストノートを楽しみたいとか、瞬時に強い加速が欲しいというような特別な状況にあるときだけです。



サーキットや峠で果敢に走りたいのであれば別ですが、日常の走り方としては8速もある中から最適なギアを探りながら走るということは、ドライバーが手動でナンセンスな気がします。



となると、ダッシュ周りの美しいデザインや室内に漂う独特の革の匂いを楽むこと以外、このクルマから運転中に特別な何かを感じるわけではありません。
ある意味、普通の乗用車と何ら変わりなく、走っていても刺激を受けることもなくとても退屈です。



アストンマーティンは、フェラーリと対比されることがあります。
特に、フロントミッドシップでV12エンジンを搭載したV12 Vanquishをフラグシップモデルに据えて登場させると、同じレイアウトを持つ同世代の575マラネロと比較されるようになります。



そして、その系譜にある599フィオーラ、F12 ベルリネッタ、812 スーパーファストに対して、アストンマーティンはDBS V12、Vanquish、DBS Superleggeraで対抗しているようにもみえます。
しかし、実際に運転してみると、Vanquish SはVanquishに改良を加えて走行性能を大幅に引き上げ、ライバルを圧倒するように設計されたスポーツカーであるようには思えません。



むしろ、優雅に走らせるグランドツアラーの要素が多分に含まれているようにも思えます
モータージャーナリストがアストンマーティン評としてよく口にする、フェラーリやランボルギーニを乗り尽くした方にお勧めですというのはこのことなのかな、と。



その点、私が他のスポーツカーに靡かなかったのは、2012年にVanquishが新型モデルとして発表されたときに感じたデザインの美しさは今も褪せることはなく、所有することで誰に遠慮することなくいつまでもちかくで眺めていられるという満足感を与えてくれるからなのかもしれません。



そして、運転の楽しさは、E63 M6で十分に味わえると割り切っており、逆にいえば、それがE63 M6を手放せない大きな理由の一つに繋がっています。



今や絶滅危惧種に指定されかねない自然吸気エンジンを搭載したクルマではありますが、V10とV12に加えて、発売当時は高性能の代名詞であったDOHCエンジンを搭載した117Coupeの3台が楽しめる夢のような時間がずっと続いて欲しいと思っています。
Posted at 2021/07/10 15:05:38 | コメント(6) | トラックバック(0) | Vanquish S | クルマ
2021年01月16日 イイね!

Aston Martin Vanquish Sに初乗り

Aston Martin Vanquish Sに初乗り待ち焦がれた納車の日、初めてVanquish Sを運転しました。
クルマの操作関係は、何度か試乗させてもらったVanquishと同じなので、走らせるだけなら何とか分かります。
とはいえ、現地の自動車販売店が出庫前に磨きを掛けてくれたおかげでボディに光沢があり、プロテクションフィルムの施工に向けた車両引渡しを翌日に控えていたので、塗装面に傷を付けるわけにはいきません。
そうなると、選択肢としては一般道を静かに走るしかありません。
つまり、初乗りは10kmほど慎重に街中を運転したときの印象となります。



まず、アウタードアハンドルを引いてクルマに乗り込み、ドライバーズシートに腰を下ろすと、アストンマーティン独特のレザーの香りが鼻をくすぐります。
走行距離は119milesと購入時より9miles増え、車両は製造から3年経過している中古車ではありますが、新車に近い状態なのではないでしょうか。



この香りを嗅ぐと、試乗していた頃のVanquishに対する複雑な気持ちを思い出します。
同時に、夢が実現したのだという何とも言えない高揚感に包まれます。
シートはピンとした張りがあり、柔らかく包み込むでもなく、あるいはガッチリとホールドされるでもなく、座面に跳ね返されている感じがします。



こんな印象だったかなあと違和感を抱きつつも、目を正面に向けると狭いと思っていた運転席からの視界が思いのほか開けています。
もともと、アストンマーティンはフロントガラス越しの前方視界の上下幅が狭く、どんなドライビングポジションを取ろうとも縦方向が確保しにくいという印象をもっていました。
しかし、来たるこの日のためにM6の座席を一番低くして正面に目線が向くような姿勢で運転してきた成果なのか、視界は気にせず走れそうです。



エモーショナル・コントロール・ユニットと呼ばれるスマートイグニッションキーをセンターコンソールのスロットルに差し込むと、イグニッションオンになります。



計器パネルや操作パネルにライトが灯り、ポップアップナビが立ち上がるのと併せてダッシュボードの左右からはBang & Olufsenの円形のツイータースピーカーが立ち上がります。



エンジン始動は、ブレーキペダルを踏みながらスロットルに差し込んだイグニッションキーを長めに押し込みます。



始動時のキュキュキュバラァラララというエキゾーストは、猛獣の叫びというより、近くに落雷があったときのような迫力です。



アストンマーティンの現行モデルは、エンジンスタートボタンを押す方式に戻したので、この操作でエンジンを始動するのは一世代前のアストンマーティンだけになります。
サファイアガラスからクリスタルガラスに変わったとはいえ、このイグニッションキーはズッシリとした重量がありますし、落としたり傷つけないようにとか考えると、扱いにくいという声もあったのでしょうか。



サーボトロニックのステアリングは軽くて回しやすいといえば聞こえは良いですが、タイヤの向きが手のひらに伝わってきません。
さらに、街中の交差点を曲がって直進を始めるとき、ステアリングを戻す必要があるので忙しいです。
しかも、舵角が掴めないので、勢いで戻す感じ。



ところが、改めて運転してみると、ステアリングを戻すときの握りかえで平たい部分と円形部分の境目の角が手のひらに当たります。
レザーも薄いわけではないと思いますが、ゴツゴツした硬めの手触り感はあたかもプラスチックみたい。
このステアリングが アストンマーティンのピュアスポーツに分類されるVantageのオプションとして設定されていない意味が分かったような気がしました。



ミッションはZF社のATなので、ブレーキペダルから足を離せばクリープで動き出します。
走り出してすぐに頭に過った乗り味といえば、タイヤに空気を入れ過ぎた自転車で走ったときみたい。
試乗車で掴んでいたはずの乗り味は、地面の凹凸に対してショックで和らげてくれるけど、最後に芯のような硬さを感じるという、アルデンテのスパゲッティのようなイメージです。
Vanquish Sの足回りは、ダンパーやスプリングの設定をしなやかな乗り味を維持しながら走行性能を向上させたと発表されていますが、今まで抱いていた印象とは全くの別物です。



正面の視界は感覚的にクリアしましたが、左右の窓が小さくてやや見にくいです。
死角が多くて交差点や車線変更は気を遣います。
ナーバスになりすぎなのか・・・



スロットルの反応も気難しさを感じます。
オートマモードではシフトチェンジを感じさせずに8速をスムーズに繋ぐので、街中ではペダルの加減だけなります。
しかし、低速の走り出しから少しペダルを踏み込むと、突然、力強くグイッと前進する瞬間が訪れます。
エンジン回転数、車速、ギアの微妙な関係なのか・・・
試乗していたときは興奮気味でチャンスがあれば遠慮なくスロットルを踏み込んでいたので、繊細なタッチを要求する場面の振舞いを見逃してきたのかもしれません。



カーボンセラミックのブレーキも立ち上がりから良く効きます。
こちらも聞こえは良いですが、ペダルにワンタッチしただけで強い制動力が立ち上がり、自分がギクシャクしてしまいます。
流すような低速からのブレーキは難しい。
これも試乗時には感じなかった記憶にない部分です。



何といっても、先つぼみのフロントが車両感覚を妨げて、先端までの距離感が掴めません。
ステアリングを握る手のひらからフロントタイヤの位置がイメージできないからでしょうか。



こういう印象ばかりでは、イマイチだったと読めるかもしれません。
ただ、Vanquishに試乗したときから、ハンドリングも含めてダイレクト感はSMGのE63 M6に軍配が上がることは分かっていたこと。
期待が裏切られたという失望があるわけではありません。



Sバージョンになっても従来のVanquishと変わらなかったという意味で、想定どおりだったといえます。



造形の美しさに心を奪われ、眺めているだけでも幸せになれると思えるこのクルマを運転しているということで十分。



やはり、いつかは手にしたいと思い続けたことは間違いではなかったという確認ができたというのがインプレッションです。



いずれ、アストンマーティンで最後となるであろう自然吸気V12エンジンを少し体感できる高速道路を走らせたときの印象を書きたいと思います。
Posted at 2021/01/16 20:49:54 | コメント(7) | トラックバック(0) | Vanquish S | クルマ
2020年12月12日 イイね!

プロテクションフィルムを施工

プロテクションフィルムを施工極低走行のVanquish Sを購入して、プロテクションフィルムに関心を寄せました。
BMW M6は飛び石でかなりの傷モノにして、後悔していることも影響しています。
Youtubeを見ていると、アメリカでは超高級車にフルプロテクションで塗装面を保護するというのはよくあるらしく、10年保証というショップも存在するようです。



日本国内でフルラッピングすると値が張るお店で100万円位はするらしいと認識していたので、透明なフィルムを貼るだけだったらもう少し安くて70~80万円位、リーズナブルなお店だったら30~40万円位でいけるかも、などと勝手な予想をしていました。
オールペンでも30万円位で仕上げてもらえたりしますし、フルプロテクションが手頃にできるなら即決しよう、と。



プロテクションフィルムは国内外メーカーの主要なもので4つほどあります。
比較動画の解説を見ながら、透明度や光沢感の違い、そして何といってもフィルム上の傷が熱によって修復するという付加価値に注目してXPEL Ultimate Plusにすることに決めました。
最近は、車のデータから形状に合わせて予めカットしたフィルムを使用し、塗装面にできるだけカッターの刃を当ないように作業するという方法が主流になっているようです。



そうなると、クラフトマンの腕の見せ所になるのは、パネルの周囲部分をどう処理してフィルムを貼り込んでいくのか、ある意味で想像力との戦いになります。
流石にクラフトマンの哲学まで見定めて頼むわけにはいかないので、インターネットで検索して、自宅から近くて土地勘のある地域からショップを探すことにしました。



最初に興味を惹いたのは、整備が充実しており、高級スポーツカーの実績も豊富な自宅からそう遠くないお店です。
回答も迅速で丁寧だしサービスも悪くありませんが、料金は何と私の高め予想の倍以上。
クルマを納車するまでに相当なお金を使っているので、軽々しく頼むことができません。
決断を保留し、対象を都内のショップに広げて4店ほど照会をかけてみました。
残念ながら、いずれも予算をオーバー。
フロント部分中心のセットなら40万円程度で仕上がるので、フルプロテクションは止めようかと心が揺らぎます。



そこで、県外のお店だけれども気になっていたP‐Factoryに最後の望みをかけることにしました。
作業場が明るくて綺麗でしっかりしているし、良さそうだな、と。
見積は、今までで最もリーズナブル。
フルプロテクションであれば車両搬送もサービスして頂けるとのことで、P‐Factoryに作業をお願いすることに決めました。



クルマを預けた翌日に、早速に照会が入りました。
塗装面に塗装のブツや小さい傷があるが作業を続けますか、と。
高級自動車メーカーのAston Martinの職人が丹精込めて作業した塗装で最終審査も合格した品質なのに、日本のクラフトマンは見逃してくれません。
やはり、こういう細やかさに関して日本人は長けていると思います。
プロの意見を聞きながら、作業方法を擦り合わせて進めてもらうことにします。



代表の井上さんは業界での関りが長く、指導員的な立場で仕事をしているときもあったとのこと。
現在のショップは4名で運営しており、フルプロテクションともなると4名総出で作業するそうです。
みんなで力を合わせて一つの仕事をしている感じが良いです。
私もこういう一体感のある職場で働きたいなあ、と。



フルプロテクションの作業期間は1週間ちょっと。
進捗に合わせて作業画像を送ってもらいました。
もちろん、SNSで使用することの許可も頂いています。



井上代表は体も大きく怖い方に見えなくもありませんが、当たりの柔らかい方です。
とはいえ、話していると、この仕事は他の人には負けないという自負を感じます。
お客さまの声によく耳を傾けてくれます。



フルプロテクションといってもガラスは入っていません。
フロントガラスは飛び石も受けやすいので、一緒にお願いすることにしました。
ちなみに、ガラス用のフィルムはボディ用とは違うとのこと。
ボディ用は糊がたくさん付いているのでガラスに貼ると歪んで見えてしまうようです。



東京・神奈川でプロテクションフィルムを考えられている方は、候補に入れると良いと思います。
とりあえず、私と同じようにインターネットから照会すると特典が受けられるはずです。
施工証明書も発行していただき、1年間の保証が付きます。



プロテクションフィルムを貼ると艶感が増すというのも面白いところ。
とはいえ、素人が眺めるだけならフィルムが貼ってあるのか判別できません。
折り返し部分などの複雑な造形でのフィルムの貼り方で気が付く程度。



作業してから1か月経過したところでフィルムの状況を見てもらうことになります。
今回は往復で車両を搬送していただきましたが、次はショップに伺うつもりです。
そして、様子を見ながら、良ければM6のフロントに貼ることも検討しようと思っています。
傷だらけなので作業方法は要相談になるのと、それまで資金力が保てばという条件付きではありますが・・・
Posted at 2020/12/12 22:20:18 | コメント(6) | トラックバック(0) | Vanquish S | 日記
2020年12月07日 イイね!

Chiltern Greenという外装色

Chiltern Greenという外装色2016年11月に第二世代のVanquishを進化させたVanquish Sが発表されてから僅か1年。
そのファイルエディションとして、Vanquish S Ultimateが世界限定175台で発売されるというニュースがインターネットで流れます。
同時に次期モデルはターボエンジンと噂され、これがアストンマーティンのフラグシップとして自然吸気V型12気筒エンジンを搭載した最後のモデルになるであろう、と。
モデルサイクルを考えると、V12 DBSの後継モデルとして発表されてから5年が経過しており、生産終了も当然です。



しかしながら、国内でVanquish Sのデモカーが披露されてからまだ数か月しか経過しておらず、私にとっては驚きでした。
それに、初代Vanquish Sのように3年程度は製造されるのではという期待もあったわけですが、その淡い期待は儚くも消えてしまいました。
これからどう向き合っていこうか、と。



色々な希望と制約があるなか、エンジンスペックの違いもあり、本国から右ハンドルを並行輸入するシナリオをメインに置くことに決めます。
クルマを選定するにあたり最も重視したのは外装色。
Vanquish S Coupeのプロモーションビデオでも使われた新色のMing Blueは目を惹きました。
ただ、インテルラゴス・ブルーのM6とメタリック・ブルーで被ることもあり、英国車に乗るならやはりグリーンと私の好きな色を第一候補として探すことにしました。
この辺りまでの流れを、前回のプログに記しています。



2020年のゴールデンウィークが明ける頃、突如としてChiltern GreenのVanquish S Coupeが110milesという低走行で売り出されます。
実は、私の中では伏線があって、その少し前にVanquish S Ultimate EditionのCoupeとVolanteの2台が、売りに出されました。
最終モデルの世界限定175台、しかも2台とも200miles以下と低走行の好物件でした。
一度はオープンカーへとの夢と相まってVolanteに惹かれましたが、ネックなのは、外装色がXenon Greyであったこと、好みのオプションがいくつか付けられていなかったこと、そして高めに設定された車両価格です。
価格は、DBS Superleggeraの中古車価格につられるように、少しづつ下がり始めたものの、流石に予算オーバーかなと見送りの心境でした。
そのうち、Coupe、Volanteの順でSOLDとなり、低走行の中古車が市場から消えてしまいます。
そんな矢先、グリーン系のVanquish Sが低走行で出てきたとあっては、流石に心が沸き立ちます。



さて、このChiltern Greenとはどんな色でどんな謂れなのか、インターネットで色々と調べました。
結局、解説どころかヒントすら見当たらず、分からず仕舞いでしたが、こんな講釈をしてみました。



Aston Martinの由来は、バッキンガムシャー州のAston Clintonという村で1914年に行われたヒルクライムレースでLionel Martin大尉が優勝したことに始まります。
今では、このAston Clintonは、アストンマーティンにとっての聖地とも言える場所であり、ロンドン北西の郊外にオックスフォードシャー、バッキンガムシャー、ベッドフォードシャー、ハートフォードシャーと4つの州に広がるChiltern Hillsという丘陵地帯にあります。
そう、Chiltern Greenはこの丘陵に因んだ名前なのではないか、と。



Chiltern Greenは、DB7の時代にはラインナップされており、ペイントされた車両が中古車市場で確認できます。
2001年に登場した初代VanquishでもChiltern Greenの個体は確認でき、先日、国内でも中古車が売り出されていました。
このV8 Vantage Sには、最初のオーナーさんのこだわりでPrevious AMLシリーズからChiltern Greenを選んで塗装されているようです。



2012年に発表された二代目Vanquishのカタログにありません。
グリーン系にあるのは、全41色のうちContemporaryに設定されたAppletree Green、Viridian GreenそしてHardly Greenの3色のみです。
Vanquish Sでは、アストンマーティンのビスポークを担当するQ部門が手掛けるQ Specialと特注色扱いになっています。
そして、実車を見るまで確信が持てなかったのは、このQ SpecialのChiltern Greenは、目の前にあるV8 Vantage Sと同色なのかということ。



関係者の話を総合すると、同じChiltern Greenでも違う色になるようです。
Q Specialは、Q部門が特別に調合するので、オリジナルと同じではないということのようです。
このあたりは、アストンマーティンフリークの方にお話し伺ってみたい、と思っています。
現在、同時代に存在したBuckinghamshire GreenがQ Specialとして復活しています。
こちらは、アストンマーティン本社が現在のゲイドンに移転する前のニューポートパグネルがBuckinghamshire州にあり、名門ゴルフクラブであるBuckinghamshire Golf Clubの芝の色をイメージしたのではないか、との評釈がありました。
確かに写真で見る限り、V8 Vantage V550に塗装されているBuckinghamshire Greenとは全く異なり、かなり鮮やかなグリーンメタリックに変化しています。



ちなみに、ラインナップの多いシルバー系には、映画「007」から生まれたものもあります。
『Die Another Day』でボンドカーを務めたV12 VanquishをイメージしたTangsten Silverは因んだ名前が付されておりませんが、その後、V12 DBSをボンドカーとして採用した『Casino Royale』からはCasino Royale、『Quantum of Solace』からはQuantum Silver、そしてDB5がボンドカーに復帰した『Skyfall』からはSkyfall Silver、さらには映画用として専用に開発されたDB10をボンドカーに据えた前作『Spectre』からはSpectre Silverという具合です。



さて、次作『No Time To Die』の予告編では、007の任を解かれたダニエル・クレイグ扮するジェームズボンドは、DB5とV8 Vantageで登場するシーンが確認できますし、新しい女性ダブルオーがDBS Superleggeraに乗り込んでいるカットも挿入されております。
Aston Martinの活躍も楽しみですが、新色は登場するのでしょうか。

話が逸れて長くなってきました。
私は今回このクルマのオリジナルペイントを保護するため、プロテクションフィルムを全面に貼ることにしました。
その件はいずれ紹介したいと思います。
Posted at 2020/12/07 22:14:26 | コメント(6) | トラックバック(0) | Vanquish S | 日記
2020年11月23日 イイね!

憧れのAston Martin Vanquish Sのオーナーに

憧れのAston Martin Vanquish Sのオーナーに英国からQ SpecialのChiltern Greenで塗装されたVanquish S Coupeを個人で並行輸入しました。
走行距離は僅か110milesという極上車。
展示車やデモカーに匹敵する多くのオプションが選ばれています。
販売店からとある経営者が所有するコレクションの1台であったと聞いています。



並行輸入にこだわった理由の1つにスペックがあります。
Vanquish Sは、Vanquishをリファインしたモデルとして2016年11月に発表されています。
吸排気から見直しを行い、エンジンの最高出力はVanquishの568BHP/6,650rpmから595BHP/7,000rpmに向上しています。
ただし、このスペックは英国を含む欧州地域に限定されており、日本を含むそれ以外の地域は580BHP/7,000rpmに抑えられています。



Vanquish Sに搭載されている自然吸気V型12気筒エンジンは、フォード社デュラテックに搭載されたV6エンジンをベースにコスワース社と開発し、DB7 Vantageから採用している伝統の5,935cc。
当初の最高出力は420BHP。
アストンマーティンは、このエンジンの最後の改良にあたりリッター当たり100BHPを超えるものを目指したのではないか、と。
ご存知のとおり、現行モデルのDB11やDBS SupeleggeraのV12には、5.2ℓのツインターボが採用されています。
Vanquish Sが発表される半年ほど前に限定販売されたZagatoモデルに搭載されているエンジンと同じスペックであり、595BHPのAM27が最終型ということになります。
そうなると、その最高出力を発揮するエンジンが搭載されたVanquish Sに乗りたい。



もう一つのこだわりは外装色。
英国車に乗るのであれば、大好きなグリーン系が良いかな、と。
希望としては、ため息が出るほど美しいApple Tree Greenです。
ただ、トランスミッションをZF社の6速TouchtronicⅡから8速TouchtronicⅢに入れ替え、性能アップを図った2015年モデル以降では英国の自動車検索サイトでも見たことはありません。



また、Vanquish Sの発表から僅か1年後に175台限定のUltimate Editionを公表し、Vanquish Sの生産は終了しています。
Ultimate Editionの外装色は、メーカー指定のUltimate Black、Xenon GreyまたはWhite Goldの3色です。
つまり、通常のVanquish Sは発注枠が1年に限られているので、生産台数は少なく、グリーン系で探すとなると選り取り見取りというわけにはいきません。



長らく購入するか悩んだといえば、このAlloro GreenのCoupeです。
走行距離は192milesと超低走行の認定中古車だったので、車両としては最高の条件です。
ただし、売出し当初は新車並みの価格に設定されており、手が出せる状況ではありませんでした。



私が購入したクルマと違い、フロントスプリッターからサイドシル、リアディフーザーに向かってシルバーのペイントで装飾されるフルグラフィックスパックが入っています。



これは Vanquish Sになって設定されたオプションです。
GTカーらしくはありませんが、アクセントとして入れるほうが格好良いと私は思います。
このクルマも外装はフルオプションといっても良いくらいで、オプションリストに残るものといえば、ドアハンドルのカーボンくらいでしょうか。



外装色がより鮮やかなAston Martin Racing Greenであれば悩みは深まっていたでしょう。
シルバーが強めのAlloro Greenは色味に渋さが強まります。
色合いは光の加減で変化するでしょうし、英国車だからこと似合う落ち着いたカラーといえば高く評価できるのでしょうが、彩度がもう一歩と感じてしまうのが悩みどころでした。



同じ角度からの写真で色味を比較してみます。
上がAlloro Green、下がChiltern Greenです。
同系色でその違いは僅かではありますが、彩度はChiltern Greenのほうが感じます。



それから、私のクルマも結局は同じ内装色なのですが、Obsidian Blackの単色であったこと。
Vanquishに使用されているレザーは良いものなので、質感が見た目に分かりやすい黒も悪くはないのですが、好みでいえば茶系であって欲しいところです。
逆にいえば、内装色が黒なら外装色がもう少し艶やかでも良いのかな、と。



もう一点が、シート、ルーフ、ドアの内張りなどに施されるフィログラフと名付けられたキルティングが選ばれていなかった点。
Vanquish Sになってデザインが維新されたこのキルティングがあると、オシャレな感じがでます。
こちらは、私のクルマには選ばれています。



このクルマは在庫期間が長くて値引きが少しずつ進行しましたが、もう一声あるなら商談に望もうと考えたところでHPから消えてしまいました。
この車両とは不思議な巡り合わせで、私が販売店にChiltern GreenのVanquish Sの購入意思を伝えて間もなく、その販売店から200milesの中古車として売出されました。



並行輸入といっても、専門業者に輸入代行を頼めば、国内でクルマを購入するのとあまり変わらないように思います。
欲しいクルマの条件を提示して、車両探しから納車まで全てをお任せできるフルサービスもあります。



もちろん、並行輸入するときの注意点もあります。
最大の問題は、実車をどう確認するのかということでしょうか。
海外といえども実車を下見するという姿勢で望めば悩みは解消しますが、今の環境下で欧州へ行くのはほぼ不可能です。
国内でも遠隔地の場合は同じなのかもしれませんが、写真や動画などの画像で決断することが前提となります。 



その点、私の狙ったChiltern Greenという外装色は微妙な色目を把握するのに苦労しました。偶然にも都内で売り出されたV8 Vantage Sが同じChiltern Greenだったので、お店に実車を見に行きました。
ウェブサイトに掲載されているVanquish Sの写真と比べるとかなり落ち着いた色彩かな、と。その後、英国の販売店に色々と照会しましたが、肉眼でみるとどう映るのか、最後まで確信に至りませんでした。



注意点は他にもあります。
購入を決めたら車両代金に相当するお金を準備する必要があります。
手付は払うとしても、現車が日本に到着したところで引き換えられるのであれば安心なのですが、販売店がクルマを手放すのに車両代金の全額を支払うのが条件になるはずです。
私は販売店に直接コンタクトして売買交渉をしたので、ネット上の情報だけで大金を払っても大丈夫なのか、その販売店や輸出を代行する業者が信頼できるのか、という難題を抱えることになりました。



輸入業者を通さなければ、販売店や輸出業者に自分で海外送金することになるため、マネロンに該当しないことを証明するために銀行が求める様々な書類を提出して審査をクリアしなければなりません。
また、支払いが外貨建てになるので、換金するまで為替変動のリスクがあって、数十万円くらいは支払総額が増える覚悟が必要です。



もちろん、並行輸入車を整備してくれるショップも考えておかなければなりません。
このように、心配事は考えだしたら収束しなくなるので、取引相手が信頼に値すると目星が立った段階で、私は決行することにしました。
このクルマが最後にして最高の条件を満たすVanquish Sだと信じて。



販売店に購入意思を伝えてから5か月半。
納車も見えてきたのでブログにアップすることにしました。



まだ、実車は積載車に乗っているところをちらっと見ていませんが、私の眼にはこの写真が一番近い色に写りました。
いずれにせよ、手元に届いたらこのクルマを話題にブログを書きたいと思います。
Posted at 2020/11/23 21:06:25 | コメント(14) | トラックバック(0) | Vanquish S | 日記

プロフィール

「@プリマヴェーラさん、こんにちは。
ビルの合間から見える東京タワーに向かって頑張れ〜、と応援したくなる不思議な気持ち。
今日は良いことあるといいですね。」
何シテル?   12/16 13:04
自分が子供の頃に父親が購入したいすゞ117Coupeに乗っています。 この車なら悪くないし譲って貰えるならと免許の取得とともに軽い気持ちで乗り始めたのが私のカ...
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