
先日参加した
BMW WHY"M"MEETINGでBMW M4の解説をしていただいたモータージャーナリスト 五味康隆氏がi3にも必ず試乗しておいてくださいとコメントされていたのがずっと頭に残っていました。
どこで試乗しようかと調べてみましたが、ライセンスの関係でBMWディーラーの中でもi3が扱えるところと扱えないところがあるようです。
それ以上の詮索はやめてi3の試乗車があるBMWディーラーに出向くことにします。
最初にマセラティに寄って担当の方に挨拶してから向かうことにしました。
ところが、新店舗に異動されており、前店舗からは早々に撤収します。
そのとき、お店の外に止まっていたグランツーリズモが引っかかりました。
あの場所に止まっているクルマは試乗車の可能性が高いからなあと思ったからです。
後で担当の方とお話したら、MCシフト(セミAT)で初めて試乗車に卸したクルマだそうです。
このクルマは私の試乗を待っていたのかも…
これ以上は長くなるので省略です。
(だったら書く必要ないですよね。)
さて、次に向かったBMWディーラーでi3の試乗を申し入れます。
どうやらi3の担当というのがあるようです。
上手く話を付けてもらって試乗開始となります。
座席に座ると目線が高くて見切りがとても良いです。
ダッシュボードを上から眺めることになるので、フロントガラスまでの距離が遠いのが一瞬気になりましたが、走り始めてしまえば忘れてしまうほどのものです。
ブレーキペダルを踏みながらスタートボタンというのはガソリン車と同じ。
ギアはステアリングの右手少し上にダイヤルシフトがあって、上からD、P、N、Rの順です。
Pに設定されているダイアルを上方に回転させてDに入れて始動です。
0㎞/hであることを知らせる速度計は表示されますが、電源が入ったことを知らせるだけの静かなスタートです。
このクルマもAT車のようなクリープはしません。
アクセルに軽く力をいれるとスーっと音もせず走り始めます。
話に聞いているアクセルを緩めるとブレーキが効くという瞬間はどこでやってくるのだろうかと楽しみながら店舗を後にします。
取締りにあわない程度に踏んで良いですよとありがたいお言葉をいただき、早速、アクセルを踏み込みます。
するとアクセルの踏込みに合わせてグイグイと息継ぎもなく加速します。
とにかく踏んだ瞬間に加速を始めるので凄く速い印象です。
ここで簡単にスペックを記しておきます。
最大出力:170ps/5,200rpm
最大トルク:25.5kgm/100-4,800rpm
0-100km/h:7.2秒
最高速:150km/h
ガソリン車と比較すると、例えば、320d(F30):7.4秒、320i(F30):7.3秒より早いです。
ただし、私が感じた加速感はもっと強力なもの。
大げさにいえば、M6(E63)より強いです。
考察は後にするとして、それくらい強力な加速なので街中で不満はありません。
とにかく出足が良くて、20~40km/hからの加速でもアクセルに力を込めればすぐに周囲のクルマを引き離せます。
ちょっとした坂道でもアクセルを踏めばグイグイと加速します。
もちろん、街乗りだけでは峠のような急な坂道まで同じ勢いでいけるかどうかは分かりませんが…
また、全長も4,010mmと短いことが奏功しているのか、ハンドルを切ればキビキビと動きます。
慣れなかったのはブレーキ。
停止まで距離があるとアクセルから離せば速度が落ちていくのでブレーキペダルに足を運ぶ必要はありませんが、停止線が近づくと反射的にブレーキペダルに足を伸ばしてしまいます。
このままペダルに力を入れると、2mほど手前で停止。
最後の最後だけというのが難しい。
ちなみに、アクセルペダルから足を外すとブレーキランプが点灯するそうです。
正直なところ、i3の運転は楽しかったです。
所詮は電気自動車だからと高を括ると痛い目に合います。
タイヤは19インチホイールに扁平率は60です。
だから良く見ると案外とスポーティにも見えたりします。
とはいえ、腰高なので足回りは柔らかいのではと予想しましたが、段差を超えると意に反して硬めです。
ボンネットの中にお買い物袋が1個入るくらいのスペースとリアシート後方にトランクスペースがあります。
残念ながら、トランクにゴルフバックを横向きに乗せるのは厳しそう。
リアシートを倒さないと入らないでしょう。
2バックとなると半分に分割されたリアシートを両方とも倒さないとダメだと思います。
収納量は軽自動車とコンパクトカーの中間くらいの印象です。
乗車定員は4名。
後部座席は足が長い方でなければ前席には当たりませんが、広いとはいえません。
3シリーズよりは狭いとのこと。
せめてサンルーフでもあれば後部座席でも開放感があって良いと思いますと営業の方にぶつけたら、サンルーフは取り付けられるがカーボンルーフではなくなりますとのこと。
でも、走行性能を競うクルマではないですからね。
i3には2モデルあります。
試乗したのは完全なEVであり、100%充電で走行距離は130km。
もう少し走行距離が必要な場合、発電用の2気筒エンジンを搭載したレンジ・エクステンダー仕様にして300km。
車両価格はそれぞれ499万円と546万円です。
ただし、補助金がそれぞれ40万円、75万円あるので、実質は459万円と471万円となりその差は12万円。
残るは2気筒エンジンがある分の維持費をどう計算するかです。
価格差はあってないようなものなので、このクルマをどう使うかで決めれば良いと思います。
ちなみに走行用のリチウムイオンバッテリーは8個搭載されていて、交換すると1個26万円ほどだそうですが、8年間はディーラーの保証が受けられます。
完全充電ができなくなれば、不具合を調査して交換してくれるそうです。
それでは、最後に先送りした加速の種明かしの話です。
これは感覚論でしかありませんが、ガソリン車であれば少なからず加速は下に凸の2次曲線的になると思います。
もちろん、クルマの性能やその速度域により異なるでしょうが、日常域で体感する加速とはそういうものだと思います。
ところが、この電気自動車の加速はかなり直線的です。
アクセルを踏んだだけ加速する、もう少し大げさに表現することが許されるとすれば上に凸の加速です。
だから、出だしが良くてググっと背中を押される感じがします。
この感覚が正しいと思ったのは強い加速を感じたのに予想以上に速度が出ていないということ。
もし、M6でこの感覚を楽しんだら100km/hを軽く超えてしまうはず。
だから、0-100km/hが7.2秒というタイムなのだと思います。
それから、YouTubeでM3(E92)とi3の加速性能を比較しているものを見つけました。
http://www.youtube.com/watch?v=PO5z32L32aY
ちなみに、M3(E92)が4.8秒です(4.6秒~5.0秒まで諸説あります)ので、スタートで凌駕するi3は相当なものです。どうやら64km/h程度までは先行するようです。
五味康隆氏が伝えたかったのはこの加減速の感じなのかなあ、なんて思いながらブログを終了します。
長い試乗記にお付き合いいただきありがとうございました。