
Lexusの評価には賛否両論あると思いますが、やはり常に気になるブランド。
欧州車に対抗しうる日本が誇る最右翼のブランドですし、心の奥底では頑張って欲しいという思いがあります。
LFAが発売されたときは和製スーパーカーが出たと喜んだものです。
さすがは世界一の自動車メーカーが作ったクルマだけあって欧州車に引けを取らない走行性能を備えています。
残念なのは500台限定で生産を辞めてしまったこと。
これで欧州車を凌ぐブランドと呼んでしまって良いのか。
良質の積み重ねが伝統となって初めてブランドと認知すべきではないのかと。
もちろん、今でもLFAには興味津々です。
生産終了からすでに2年近く経っていますが、走行距離が少なく程度の良いものが3,000万円を軽く超える価格で取引されています。
そもそも、限定生産は車両価値を維持することも狙っていたのか。
いずれにせよ、気軽に買えるクルマではありませんね。
もう少し現実的なところに目を向けると、高性能スポーツカーであるRC Fが視界に入ってきます。
”F”は高性能のスポーツモデルの称号です。
最近までIS Fがその受け皿になっていましたが、2ドアクーペRCの登場と入替わるようにラインナップから消えています。
M3とM4、あるいはM5とM6のようにセダンのIS FとクーペのRC Fをラインナップする手もあったとは思いますが…
実は、今回の試乗にあたり飛び石で試乗車のフロントガラスにヒビが入ったということで予約が1週間延期されました。そこで、事前準備の時間があり、インターネットで情報を拾っていたので、おおまかなものを記しておきます。
トランスミッションはパドルシフト付きの8速SPDS(スポーツ・ダイレクト・シフト)のAT車です。
走行モードはECONOMY、NORMAL、SPORT、SPORT +の4つ準備されています。
エンジンは2UR-GSE型のV8 4,968ccでスペックは次のとおり。
最大出力:477ps/7,100rpm
最大トルク:54.0kgm/4,800-5,600rpm
欧州仕様の場合の走行性能は次のとおりです。
0-100km/h:4.5秒
最高速:270km/h(リミッター作動)
ちなみにIS Fも同じ型式のエンジンでしたが、スペックはかなり上がっています。
最大出力:423ps/6,600rpm
最大トルク:51.5kgm/5,200rpm
0-100km/h:4.9秒
ボディーサイズからするとBMWの対抗馬は4シリーズでしょうか。
RCF 全長4,705×全幅1,850×全高1,390mm ホイールベース2,730mm
M4 全長4,685×全幅1,870×全高1,385mm ホイールベース2,810mm
車両価格も簡単にまとめてみました。
RC300h 565万円(ベース) 629万円(バージョンL) 627万円(Fスポーツ)
RC350 596万円(ベース) 660万円(バージョンL) 678万円(Fスポーツ)
RC F 953万円(ベース) 1,030万円(カーボンエクステリアパッケージ)
428iクーペ 621万円(Luxury)
435iクーペ 759万円(Luxury)
M4クーペ 1,126万円(DCT)
飛び石の件も影響したのか、高速試乗は叶わず街乗り限定です。
しかも、暗くなってから知らない住宅街を走るので、道路の状況も分からずほとんど踏めません。
したがって、走行性能を垣間見ることは全くできなかったといっても過言ではありません。
だから、試乗記はこれにて終了と言いたいところですが、折角なので気が付いた範囲で印象を書いておきます。
試乗車はラヴァオレンジクリスタルシャインというメタリックオレンジです。
購入するならこの色だと思っています。
お店に着いたのが日没後で電気のもとでしか見ていませんが、光の加減で黄色の強い金色のような色に見える部分も出てきます。
錦鯉が太陽の光にあたって金色に見えるときのように。
ちなみに、この色は標準価格の範囲内だそうです。
追加料金がかかるのは、ヒートブルーコントラストレイヤリングというメタリックブルーとラディアントレッドコントラストレイヤリングというメタリックレッドの2色だけ。
カーボンエクステリアパッケージにしてカーボンルーフにする手はありますが、標準のままサンルーフ付きが良いと思います。チルトのほかにサンルーフ1枚分スライドさせられるので、クーペモデルとしては良くできているのではないでしょうか。
(脱線しました。)
まず、ドライバーズシートに座り込みます。
座ったときに座面は背もたれに向かって下がっていて傾いていました。
これではアクセルが踏みにくいだろうと座面を地面と平行にシートを調整しましたが、ひざ裏側が下げられず、お尻側を上げざるを得ません。
これで、座面が上がってしまい目線が高くなってしまいました。
それでも、センターコンソールの位置が高く、シフトノブも短いのでスポーツカーに座っている雰囲気は十分にあります。
さて、ブレーキを踏みながらメーターパネル左上のスタートボタンを押すと、低めの排気音とともにエンジンが始動します。
やはり、5ℓ V8エンジンだけあって迫力のある低音です。
とはいっても過剰な演出はありませんので、かえって好感がもてます。
RCFはAT車なので、ブレーキペダルから足を外せばクリープで動き出してくれます。
NORMALモードで走り始めましたが、アクセルを軽く踏み込む分には車内はとても静かです。
乗ったことはありませんが、RC350と変わらないのかもと思うくらいです。
舗装が平らではなくて路面が盛り上がっているようなところを乗り越えると普通の日本車でないことを教えてくれます。
硬いとは思いません。
これなら足回りがしっかりしていて走れるぞという硬さです。
それでも、住宅街をNORMALモードでATで乗っているとアクセルを意識的に踏んでもギアがスムーズにアップをしてしまい、高性能スポーツカーらしい反応が見られません。
そこで、SPORTモードに切り替えます。
すると、ギアチェンジせずに粘るようになるので、アクセルへの反応も良くなり排気音も少し響き始めます。
このモードでRCFに乗らないのであれば買う意味が乏しい気がします。
パドルを使ってギアを積極的に変えていくマニュアルモードも試してみました。
坂道があったので2速に落としてアクセルを踏み込んでみましたが、加速に合わせて太いエキゾーストも大きくなり、音程が少し上がって迫力を感じます。
それでもフル加速ではないので、本当のところはまだベールに隠されたままです。
正直なところ、もっと踏み込める試乗をしたかったなあというのが印象が強いです。
M4クーペに試乗したときはインパクトがありましたが、RCFに強い印象が残りませんでした。
このままだと、どちらが良いと聞かれれば…きちんと答えられませんね。
さて、試乗した感想は以上ですが、見た目は好みを前面に出して記していきます。
もちろん、辛口な評価は価値観による部分ですので、ご一読いただける方は予めご容赦ください。
フロントグリルはもっと小さくて良い気がします。
大きすぎてフロント周りのデザインの連続性が破壊されています。
もう少しフロントライトを大きいほうがハンサムになるのに。
真横から見たシルエットもBMW4シリーズに三菱GTOのリアをはめ込んだみたいでサイドのデザインもピンときません。
センターコンソールのパネルラインはなだらかな斜面で良いのですが、操作パネルの面が階段になっていて格好良いとは思いません。
操作パネルのボタンも四角く上下2段に綺麗に並んでいて高級感を感じません。
こだわって付けたであろうアナログの時計も特別な感じはしません。
内装は、似たような価格帯のマセラティギブリの雰囲気になれば最高です。
(高望みしすぎかなあ。)
とはいえ、ダッシュボードのメーターパネル上部やセンターコンソール側面をオレンジにしてオシャレにまとめて頑張っている部分もあります。
流行りのカーボンパネルも少しですが、使って頑張っています。
最も残念だったのがトランク。
日本車だからキャディーバックが綺麗に入ると思いきや、手前に1本入れると2本目以降に困ります。
このあたりの話は担当いただいた営業の方に伝えておきました。
とにかく、このRCFというクルマは自然吸気の5ℓ V8エンジンを搭載しているということで大いに評価したいと思っています。
欧州ではダウンサイジングが主流になっていますが、大型の自然吸気エンジンをしっかりと残してほしいと思います。
何でも欧州車をまねる必要はありません。
日本国内で高めた独自の技術で環境問題もクリアしてほしいですね。
このRCFにはFモデルを継承してレクサスのブランド構築に一役を担ってほしいです。
長くなりましたが、ここまで目を通していただいた方にはお付き合いいただき感謝いたします。