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2018年09月30日 イイね!

訪問記 いすゞ117クーペ生誕50周年記念イベント

訪問記 いすゞ117クーペ生誕50周年記念イベント117クーペは1968年の発売開始から今年で50年となります。
今回、いすゞ自動車OB会と117クーペオーナーズクラブが共催で「いすゞ117クーペ生誕50周年イベント」を開催するとのことで、愛車で会場となった大磯ロングビーチに行ってまいりました。
事前の情報ではオーナーズクラブへの申込みで91台の117クーペが集まるとのこと。
私のクルマを入れると92台になりますが、当日の目標はもちろん117台です。



117クーペの歴史を簡単に振り返りながら、集まったクルマを紹介したいと思います。
1916年創業のいすゞ自動車は、1953年に英国自動車メーカーであるルーツ社と提携し、ヒルマンミンクスを部品の全てを輸入して組み立てる完全ノックダウンにより生産することにより乗用車の生産ノウハウを吸収し、その後に国内生産化します。
1961年に上級モデルのベレルを自社開発して発表します。



1963年6月にはベレルの小型版にあたるベレットを発表し、11月より販売を開始します。
1964年4月には、レース技術をフィードバックして走行性能を追求した本格的なグランドツーリングカーであるベレット1600GTを発表して人気を博します。
これにより、昭和40年代には、トヨタ自動車、日産自動車に次ぐ第三の自動車メーカーの地位を築きます。



そして、トヨタ自動車、日産自動車に対抗するため、開発コード117でベレットの上級モデルとなる117サルーンの開発を目指しますが、そのクーペ版となる117スポルトとともにデザインを当時いすゞ自動車と関係のあったイタリアのカロッツェリア、ギア社に依頼します。
117サルーンはのちにフローリアンとして誕生することになりますが、この117スポルトのデザインを担当したのが、ベルトーネ社から移籍したばかりのジョルジェット・ジウジアーロです。
1966年3月10日から20日に開催されたジュネーブ・モーターショーのカロッツェリア・ギアのブースにおいて、プロトタイプ「ギア/いすゞ 117 スポルト(GHIA ISUZU 117 SPORT)」が出展されます。
この年、ランボルギーニ・ミウラやアルファロメオ1600スパイダーも初出展でしたが、117スポルトは大きな反響で話題となります。
そのデザインは高く評価され「コンクール・デレガンス」を獲得し、続いてイタリアで開催された国際自動車デザイン・ビエンナーレで名誉大賞を受賞します。



その後、いすゞ自動車は、117スポルトの生産化の検討を始めますが、当時の生産技術でこのクルマの複雑な面構成を再現することは困難であり、イタリアのカロッツェリア職人ジョルジョ・サルジョットを招聘し、板金・ボディ整形の技術指導を受けることにします。
その結果、金型プレスでおおよその形にプレスしたボディパネルを職人がひとつひとつパネルのトリミングや穴あけなどの工程の大部分を手作業で成形加工することにより生産を行うことになります。



117スポルトのジュネーブ・モーターショーへの出展から2年9ヵ月を経て、いすゞ自動車は1968年12月1日に漸く117クーペとしての販売を開始します。
しかしながら、手作業による生産がネックとなり、当初は月産30台前後に止まり、極めて高価なクルマであったと言われています。
この手作業により生産された初期型の車両は「ハンドメイドモデル」と称されています。



ハンドメイドモデルは、クロームメッキを施した一体成型のバンパーを採用し、バンパー上にフラッシャーランプが配されます。
フロントグリルの中央には、ジョルジェット・ジウジアーロが東洋を象徴するものとして唐獅子をモチーフにデザインしたエンブレムが奢られています。



インストゥルメント・パネルは、美しい木目模様の天然木の台湾楠で作られています。
このパネルは、天然木を一枚一枚スライスした後に加工されたものなので、そのクルマだけの唯一無二の模様となります。
また、パネルに埋め込まれた時計を含めた7連装の計器がドライバーに向くようスポーティに設計されていています。



リアコンビネーションランプは小型のイタリア車風のものが採用され、とても上品な印象に仕上がっています。



エンジンは、いすゞ自動車初の量産型DOHCとなる直列4気筒1,584ccのG161W型。
ソレックス・ツインキャブにより最高出力は120ps/6,400rpm、最大トルクは14.4kgm/5,000rpmを発揮し、最高速度は190km/hを誇っています。
117クーペは、当時のいすゞ自動車の技術の粋を集結し、イタリア車のエレガントさ、ドイツ車の動力性能、フランス車の乗り心地とイギリス車の運動性能を併せ持つクルマを目指して作られたようです。



117クーペの車両価格は172万円。
トヨタ2000GTが238万円とさらに高い価格で販売されていますが、日産スカイラインGT-R(PGC10、通称ハコスカ)の価格が150万円、マツダコスモスポーツの価格が148万円です。
当時の高級車であるクラウン・スーパーデラックスが112万円です。
大卒初任給が約3万円とのことなので、単純計算で現在価格に置き換えると6〜7倍程度になるでしょうか。
現行GT-Rのベーシックグレードがほぼ1,000万円なので、計算上は近いイメージです。
この美しいスタイルと相まって、手が届きにくいこのクルマは憧れの存在となり、手ごろな価格で手に入る117クーペの誕生が待ち望まれることになります。



1970年11月には、日本初の電子制御インジェクションを採用したモデルであるECが発売されます。
電子制御による繊細な燃料コントロールにより燃焼効率を向上させ、エンジンの最高出力は130ps/6,400rpm、最大トルクは15.0kgm/5,000rpmとなり、最高速度は200km/hと117クーペの中では最高の性能を誇ります。



ECの車両価格は187万円とさらに高額に設定されますが、従来のモデルは5万円下げられ167万円となり、同時に新たに下位モデルとして、ベレット1800GTと同じ1,817ccのツインキャブレターSOHCエンジンを搭載した117クーペ1800が147万円で販売が開始されます。
さらに、1971年10月にベレット1800GTNと同じ1,817ccのシングルキャブレターSOHCエンジンを搭載した117クーペ1800Nが136万円で販売が開始されます。



廉価モデルの追加により販売台数は着実に伸びて、1972年6月には131台に達します。
それでも、初期型の生産台数は2,458台と117クーペの中でも希少性が高く、うちEC車は140台程度と極めてレアな存在です。



1971年にGMと提携して資金提供と技術供与を受けたことにより、機械によるプレス成型の目途が立ち、量産化に対応した生産を開始するため内外装の再設計が行われます。
オートメーション工程の範囲拡大により月間1,000台体制での生産が可能となり、1973年3月よりエクステリアデザインやインテリアの素材、エンジンなど様々な箇所に変更が施されたモデルの販売が開始されます。
これ以降、1977年12月にマイナーチェンジするまでに生産されたクルマが中期型にあたり、「丸目量産モデル」と称されています。



エンジンは、無鉛ガソリン対応の1,817ccのG180型に統一され、グレードは電子制御インジェクションDOHCのXE、SUツインキャブレターDOHCのXG、SUツインキャブレターSOHCのXC、シングルキャブレターSOHCのXTが設定されます。
XEグレードのエンジンは、最高出力が140ps/6,400rpm、最大トルクが17.0kgm/5,000rpmという117クーペ史上で最強の性能を発揮するものが搭載されています。



丸目量産モデルも当初は一体成型のバンパーで生産されていましたが、コストダウンを図るため、両サイドをリベット止めで3ピースに分割されたものに変更されます。



フラッシャーランプはスモールランプとセパレートバルブのコンビネーションタイプとなり、取付位置はバンパー下に変更されています。



インストゥルメント・パネルは、台湾楠からブラジリアン・ローズウッドに材質を変更して上級グレードのXEに引き継がれますが、その他のグレードではプレス模様の入った金属製となります。
また、センターコンソールのデザインが変更され、樹脂で一体成型化するとともに仕上げのレザー貼りが省略され、コストダウンが図られます。



さらに、サーベルラインと呼ばれるピラーモールにハンドメイドモデルと共通のヘアライン仕上げが施されていましたが、1972年頃のモデルから省略されています。



リアコンビネーションランプはアメリカ車風の大型・横長タイプに変更され、トランクのキーホール位置も変更されています。



リアクォーターパネルには、117coupeというロゴが入ったリフレクターを新たに装備しています。



1975年10月には、昭和50年排出ガス規制に適合させるために触媒やEGRが追加され、電子制御DOHCのXEのエンジンは圧縮比を9.7から9.0に引き下げられたことにより、最高出力が130ps/6,400rpm、最大トルクが16.5kgm/5,000rpmに出力がダウンして存続しますが、SUツインキャブレターDOHCのXGは規制をクリアすることが困難だったことからカタログ落ちしてしまいます。
また、SUツインキャブレターSOHCのXCも電子制御インジェクションに変更され、ツインキャブレター搭載モデルは消滅します。



ハンドメイドモデルから生産台数を大幅に増やし、丸目量産モデルは48,339台が販売されます。1975年には117クーペ史上最高の年間13,278台の販売を記録し、月間でも昭和50年10月に1,692台を記録しています。
これは、昭和51年排ガス規制によるパワーダウンを懸念して、駆け込みで在庫モデルの購入をしたことが要因にあったようです。



1970年代半ば以降の乗用車の性能向上には目覚しいものがあり、「成熟」と「充実」という2つのコンセプトを狙いとした2度目の大きなマイナーチェンジが1977年12月に行われます。
丸目量産モデルからボディラインに変更はありませんでしたが、フロント廻りのデザインを中心にリファインされ、ヘッドライトの形状が丸形四灯から角形四灯となったことで現代的な雰囲気に変わっています。
これ以降に生産されたクルマが後期型にあたり、「角目モデル」と称されています。



このマイナーチェンジにより更なるコストダウンが進められ、バンパーは頂部のみクロームメッキが施されたプロテクテッド・ラバーバンパーとなりますが、分割構造から発売当初の一体成型に戻して、コンビネーションランプがバンパー内に埋め込まれた一体構造となります。



また、フロントバンパーの下端には小型のチンスポイラーが装着されています。



インストゥルメント・パネルは、操作性の観点から伝統的な意匠であった円形の7連装パネルを見直し、現代的な雰囲気に変わっています。
内装もコストダウンの観点から樹脂系素材が多用され後部座席の灰皿も廃止されますが、パワーステアリングの採用、サスペンションの改良、動力性能の向上といった走行性能面での改良を行ったことで、操縦性や乗り心地の向上が図られます。



1978年11月には、自動車排出ガス規制による出力低下を補う目的でエンジンの排気量を1,949ccに拡大させたG200型を搭載し、昭和53年排ガス規制に適合したモデルの販売が開始されます。
これにより、電子制御インジェクションDOHCの最高出力135ps/6,200rpm、最大トルク17.0kgm/5,000rpm、電子制御インジェクションSOHCが最高出力120ps/5,800rpm、最大トルク16.5kgm/4,000rpm、シングルキャブレターSOHCが最高出力115ps/5,600rpm、最大トルク16kgm/3,800rpmとなり、それぞれ同じ仕様のG180型よりも優れた数値となります。
このモデルには、トランクリッドに2つのスターが並んだ「☆☆」のエンブレムが取り付けられています。
2つの星は2000ccの"2"を表していますが、2ℓ級のエンジンとしては排気量が少し足りなかったこともあり、「スターシリーズ」と呼ばれています。



1979年12月には、ジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたカスタム・モデル「giugiaro」が新たに加わります。
同時に、新たにディーゼル・エンジンを搭載したモデルも追加されます。



1975年に年間販売台数が1万台を突破した117クーペは、1979年までコンスタントに1万台以上が販売され、角目モデルは35,395台が販売されます。
しかし、1960年代半ばに基本設計された117クーペをリファインしても、新たな先進技術で対抗してくるライバルに追随することに限界が生じ、新たなモデルを設定しても販売を伸ばすことができなくなります。



結局、117クーペと同じジョルジェット・ジウジアーロが設計したプロトタイプカー「アッソ・ディ・フィオーリオ」を元にしたピアッツアに後を継ぐ形で1981年に13年の歴史に幕を下ろすことになります。
いすゞ自動車は、ジョルジェット・ジウジアーロにニューモデルのデザインを何度か依頼を打診しましたが、本人が了承しなかったと言われています。
一説には、ジョルジェット・ジウジアーロ自身がこのデザインを気に入っており、自己の若き日の傑作に対する思い入れの深さを表しているのではないかと。



117クーペの生産台数は86,192台に過ぎません。
1968年の発売開始から10年間1台も廃車が出なかったという業界記録を持ち、大切にされてきたクルマではありますが、今でも残っているのは2,000台位のようです。
この日に集まった117クーペは、初期型35台、中期型25台、後期型45の計110台。
その中の1台を今後も大切に乗っていきたいと思います。
Posted at 2018/09/30 23:26:15 | コメント(9) | トラックバック(0) | 訪問記 | クルマ

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