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ラガーあきのブログ一覧

2020年10月29日 イイね!

カーライフを振り返る_後編

カーライフを振り返る_後編前編から少し時間が空いてしまいました。
Rolls-Royce Wraithに続いて注目したクルマの話です。



次に注目したのが、McLarenのSuperシリーズ。
走行性能は、Ferrari、Lamborghini、Porscheなどのトップモデルに引けを取らない高性能スポーツカーです。
その中で、650Sの登場により先代モデルになったMP4-12C Spiderが候補に挙がりました。



650Sの試乗では、今まで運転したクルマでは体感できない圧倒的な性能に驚かされます。
坂道を駆け上がる際にスロットルを意識的に踏み込むと、背後から押される力が強烈で、まるでBMW M6で慣れた自分の体が遊離して置いていかれるかのようです。
街中では危なくて気軽にフルスロットルなんてできません。



私にとって、最大の悩みどころはそのプロポーション。
FRのスポーツカーに見慣れているので、運転席が前後の中央に位置してボンネットが短く、リアが長く見えるバランスが好きになれません。



高いオプションが色々と入っていたのですが、この車両みたいにドアミラーカバーとサイドエアインテークがカーボン織りで黒くなっていたらもっと格好良いかな、と。



スペシャルカー選びのベンチマークとなっていたのは、Vanquishの2015年モデルです。
TouchtronicⅢの8速ATが搭載され、シフトチェンジで切れのあるエキゾーストを聞かせてくれるように改善されています。
もちろん、トランスミッションにかかる維持費のことを抜きにすれば、V12 Vanquishと同様により高性能なVanquish Sをラインナップし、7速SMGのSportshiftⅢを搭載してくれれば理想的なクルマが出来上がるはずという勝手な構想はありました。
しかし、今になって冷静に考えてみると、予算をどう工面するのかということが唯一にして最大の悩みだったのかもしれません。



そういう意味では、このデモカーとの出逢いが新たな期待を生みました。
Marina Blueと呼ばれる外装色は、ジーンズのような濃い藍色で目に心地良く映ります。



Apple Tree Greenは別格としても、光の濃淡でエッジが引き立つSkyfall Silver、鉛を削り出したときに出るずっしりと重みのある光沢を放つTungsten Silver、あるいはラメが細かくて真珠のようにキラキラ輝くMorning Frostなど、シルバーやホワイトメタリック系でもVanquishの魅力を十分に引き立てますが、できれば有彩色という私の希望に合致します。



内装は柔らかい薄めの茶系色で纏まられ、前席はオプションのベンチレートとアワーグラスキルティングと呼ばれるステッチが選ばれているので申し分ありません。
One-77スタイルのステアリングやブラックピアノのフェイシアも余裕があれば入れたいと思うオプションが選ばれています。



ホイールは、2015年モデルの発表に合わせて新たにデザインされた10スポークのもので、価格設定の一番高いサテンブラック&ダイヤモンドターンドを履かせています。



フロントグリルやテールパイプはオプションのブラックなので、ルーフやドアミラーカバーもカーボン織りを選択すればもっとエクスクルーシブな印象なのかもしれませんが、Ultimate GTとしてスポーツ感を敢えて強調せず、ラグジュアリーに纏めるという点で納得感もありました。
次のデモカーを発注すれば手離すことになると聞いたので、そのチャンスを待つことにしました。



そんな中、V12 Vantage Sをベースにしたスペシャルモデルを販売すると話を伺ったこともありました。
車両価格は Vanquishと同等か少し高くなるということで気乗りせずに流してしまいましたが、登場したVantage GT12は世界限定100台の希少な存在です。
V12エンジンの最高出力が595BHPに高められ、このスペックはのちに発表されるVanquish ZagatoやVanquish Sへ引き継がれます。



メーカーも本気でなければ、こんなに大きなリアウィングは付けないでしょう。



リアディフューザーもレーシングカー顔負けな迫力があります。
しかしながら、これほど高額な限定車をサーキットで走らせる勇気はありませんし、私には扱えきれないという不安が先に立ってしまいます。
特別感は十二分です。
というより、街中で走るには目立ち過ぎるかもしれません。



Aston Martinにはメーカーオプションとしてフロントのリフトアップ機能が用意されていないので、フロントリップを擦らないか気になります。



フロントをより大きく下げて、いまにも飛びかかりそうな攻撃的な姿勢に見えて格好良い675LT。
CoupeとSpiderで世界限定500台ずつ生産されましたが、光栄にも低走行のCoupeを認定中古でとお話し頂きました。
日本では数少ない右ハンドル設定です。
ハンコを押せば確定という土俵際で考えようとかなり前向きに検討しましたが、自然吸気V12エンジンとオープンカーへの夢が頭をよぎり、見送りました。
このクルマを買っていたら、今も大きなローンを抱えながら楽しいカーライフを送っていたかもしれません。



2016年5月にAston MartinからVanquish Zagatoが発表されます。
しかし、最初に披露されたCoupeバージョンを画像で見たとき、そのデザインに違和感を覚えました。



デザインのあちこちに黄金比を取り入れ均整を取りながら、流れるような美しい造形に仕上げられているVanquishに手を加えて、大きな口、異形なサイドガラス、先の尖ったお尻にして斬新さを採り入れたところでオリジナルに馴染まないし、釣り合いがとれていないのではないか。



しかも、その車両価格は、世界限定99台とはいえ、通常モデルの3倍近い価格に設定されています。
過去のZagatoモデルはいずれも希少で高値で取引されているとはいえ、このデザインで人気を博すのだろうかと疑問に思いました。



しかし、世界のセレブはおぼろげな情報で購入を決めていたらしく、プレス発表されたときに購入枠は残っていなかったようです。
展示車両を見る機会に恵まれたので、折角だと思ってお店に伺いました。



ところがというより予想に反して、実車は写真や動画で見るのとは全く異なり、実に格好良く仕上がっているではないですか。
心のなかで、イタリアの老舗カロッツェリアに白旗を上げました。
外装色のLava Redに金色のアクセントも見事に馴染んでいて、車両そのものにセレブ感が漂っています。



その後、99台限定でVolanteが販売され、同じく99台限定のShooting Brakeや28台限定のSpeedster なども製造されていますが、いずれもプレス発表前に完売したようです。
Vanquish Zagatoは、Aston Martinの中でも憧れのモデルになりましたが、これこそ永遠に高嶺の花として心に刻まれるクルマとなるのでしょう。



Zagatoシリーズの発売から半年ほどのち、Vanquishを改良したSバージョンとしてVanquish Sが発表されました。
エンジンの最高出力は、568BHPからZagatoモデルと同じ595BHPに引き上げられています。
トランスミッションはTouchtronicⅢの8速ATと変わりませんが、0-100km/h加速も0.3秒早くなりZagato Coupeと同じ3.5秒。
最も気になるエンジン音は、オフィシャルビデオを確認した印象では、スロットルを踏み込むと、さらに金属的で乾いた音が際立つように変わっています。



個人的には、美しいVanquishの造形には、シンプルな2本出しのテールパイプが似合うと思いますが、クワッドエキゾースト・テールパイプと呼ばれる4本出しになったことが奏功したのか、エキゾーストも明らかに半音は上がって抜けが良くなった感じがします。
私の勝手な解釈でいえば、これでAston Martinから引導は渡されたと思いました。



その後、ライバルメーカーから魅力的なモデルが発表されます。
McLarenのSportsシリーズから発表された600LT。
675LTを見たときに通常モデルとは異なる格好良さにすっかりと魅入ってしまったので、ロングテールといわれると期待してしまいます。



この攻撃的なリアに600LT Spiderへと靡く気持ちが生まれます。
固定式のリアウィングにゴツいリアディフューザーを追加して通常のSportsシリーズとは全く異なるプロポーションになります。



スロットルを煽ると、リアデッキに取り付けられたエキゾーストパイプから炎が出て、リアウィングは高熱の排気ガスで加熱されるので、走行直後は直に触れないよう注意を要するみたい。



実はこのモデルの発表を聞いたとき、MP4-12Cがデビューした8年前と同じ600PSという抑え気味のスペックが気になりました。
Sportsシリーズとしては最も高く設定されたとはいえ、先行発売したSuperシリーズからみれば同じエンジンながら最も抑えられた出力です。
訴求するなら625PSにしても良かったのではないか、と。



ところが、セールスマンいわく、性能的には675LTに近いレベルにあり、コーナリングは720Sに引けを取らない、とのこと。
スペックでは分からないものです。
LTの称号を名乗るに相応しいマシーンといえます。



シートは、オプションでUltimateシリーズの最新モデルMclaren Sennaと同じカーボンファイバー製のものを装着することもできます。
いずれのクルマも乗りこなせる水準を遥かに超越した世界にあることは分かっているのですが、Mclarenから思い切って第一線の走行性能を持つ最新のスポーツカーはどうでしょう、と問われた気がしました。



Aston MartinからVanquishの後継フラグシップとして登場したDBS Superleggera。
迫力ある大きなボディにVanquishにはない威厳のような威圧感を感じます。
外観から分かる通り、DB9とは異なる全く新しい設計のもとで作られた後継車のDB11と共通のプラットフォームのDBS Superleggeraは、憧れのDBS V12やVanquishとは世代の異なる新しいクルマといえます。



DB11の顔立ちはDB9を現代風にアレンジしたと言われれば納得できるのですが、DB11に似た顔立ちのDBS Superleggeraの巨大なフロントグリルは流石にやり過ぎてしまったな、というのが第一印象でした。
Zagatoでは実車を見て自分の感性の完敗を感じましたが、今度こそAston Martinは・・・



エンジンは、伝統の5,935ccのV型12気筒NAと別れを告げ、新しい5.2ℓV型12気筒ツインターボが搭載されています。
そのスペックは、最大出力725PS/6,500rpm、最大トルク91.8kg•m/1,800-5,000rpmという強力なパワーであり、その冷却に必要という説明がなされています。
そういう意味では、機能に見合ったデザインだと言えるのかも知れません。



ボリューム感のあるリアは、DB9の面影が復活しました。
しかし、美しさより迫力が前面に出ている点で印象は異なります。
只者ならぬ雰囲気は、リアウィングやVanquish Sで解禁したクワッドエキゾースト・テールパイプを採用しているあたりに見られるでしょうか。



迫力満点の雰囲気も慣れると、Aston Martinの持つ美しいバランスを保ちながら、格好良く仕上げられているように見えてきます。
次作「007」の予告編を見ると、ボンドカーではなさそうですが、DBS Supeleggeraが登場しています。
V12 Vanquish、DBS V12とフラグシップモデルが『Die Another Day』から3作に渡りボンドカーに採用されましたが、前作『Spectre』ではDB10というVantageベースに開発された映画専用の車両がボンドカーとなり、第二世代Vanquishが「007」に登場することはありませんでした。
ダニエル・クレイグもAston Martin100周年記念モデル「Centenary Edition」の007番のVanquish Coupeにプライベートで乗っていたのですが・・・

さて、次回に続きます。
Posted at 2020/10/30 20:54:07 | コメント(2) | トラックバック(0) | 徒然草 | クルマ
2020年10月16日 イイね!

オフ会 西伊豆ツーリング

オフ会 西伊豆ツーリングこのメンバーでのツーリングは4年ぶりになります。
コース選定は前回と同様、シゲルビッチさんに全てお任せ。
事前に下見までして頂いています。
それなのに、私は遅刻してシゲルビッチさんと0239さんをお待たせさせてしまいました。
刻々と迫りくる集合時間に逸る気持ちが裏目となり3度もUターン。
集合場所の大観山パーキングは集合時間までは晴れて富士山も見えていたようですが、私が到着する頃には真っ白く霧がかかって辺りが見えなくなってしまいました。
ということで、一枚目の集合写真は箱根を下山してからとなります。



前回は、オープン前から行列ができる真鶴の「みなと食堂」でランチしました。
不思議なのはこのメンバーに共通点が見当たらないこと。
シゲルビッチさんと0239さんは、アルピナとポルシェのオーナーを経験していますが、私はMモデルのみ。
年齢差は上と下で34歳もあり、中も上下と離れています。
仕事の業種に関連もなく、共通項は大括りでクルマ好きというだけです。
当日の服装も、真っ白な半袖Tシャツの0239さん、アロハシャツのシゲルビッチさん、ピンクの長袖シャツの私。
みんカラの繋がりは面白いです。



今回は西伊豆に向かって一般道をひた走ります。
後ろを走る0239さんの黒いボクスターをルームミラーで確認しながら、先頭のシゲルビッチさんのB3BiTurboを追いかけます。
3台が常に連なることを心掛けて走っていたので、街中でも一体感があります。
駿河湾に抜けて海沿いを走る沼津土肥線の県道17号線を南下していくと、ところどころ細く、アップダウンしながら曲がりくねっています。
見晴らしの良い天望スポットにも立ち寄り、暫しの休憩。



ランチはシゲルビッチさんが前から気になっていたという戸田にある「魚重食堂」へ。
刺身天ぷら定食はすべてを満たしてくれます。
シゲルビッチさんはご飯大盛りと・・・
私は普通盛りです。
0239さんは限定のとんかつ定食。
お店の方に出来上がるのに少し時間がかかりますが良いですか、との問いかけに対して大丈夫ですと即答していました。
優しい好青年、芯はしっかり通っています!



土肥まで南下したところで折り返します。
3台の並びが固定していたので、B3BiTurboのお尻を追いかけた1日となりました。
これが最高の1枚です!
ボクスターのベストショットがなく申し訳ありません。



自分のクルマに乗って運転している時間が長いので、話せることはそれほど多くありません。
それでも、クルマから出るときはマスク着用を徹底していたお二方に心遣いを感じました。
そう、帰りは東名に一番先に上がって一足早く駆け抜けてしまいました。
ツーリング前にクルマを綺麗に磨いておきたかったのですが、前日までの雨で計画が立ちませんでした。
洗車で汚れを落としてイベント終了です。



人との接触を避けるべく、社会のオンライン化が進みつつある中、やはりリアルの世界は楽しいと実感しました。
何より海と富士山を見ながら、仲間とツーリングするのはリフレッシュになります。
次は遅刻しないようにいたします。
機会を見つけて、またお声がけしたいと思います。
Posted at 2020/10/16 20:46:25 | コメント(3) | トラックバック(0) | オフ会 | 日記
2020年10月02日 イイね!

カーライフを振り返る_前編

カーライフを振り返る_前編現在、いすゞ117CoupeとBMW M6 Coupeの2台を所有しており、充実したカーライフを送っています。
自分の経済力に鑑みれば、恵まれた環境といえますが、人間の欲とは恐ろしいもの。
もう十分といえるはずなのに、もう少し贅沢したいという思いもあります。



自動車免許を取得したときに親から譲り受けた117Coupeをずっと維持してきましたが、9年ほど前、この1台で過ごすのは実用性からみて厳しいとの境地に至り、新たなクルマを探すことにしました。
もちろん、子供の頃から慣れ親しんできた117Coupeを手離す覚悟だったので、入替えても惜しくないクルマにしなければならないと意気込みました。



条件は、デザインが良くて、十分な走行性能もあるけれど、トランクにゴルフバックが2本入ること。
オープンカーに乗りたい気持ちもありましたが、トランクの一部がルーフの収納スペースとして使われると十分な容量を確保できなくなり、条件に合致するクルマが見つからない可能性もあるので、サンルーフ付きならベストだと考えました。



候補を色々と考えているうちに、沢山の思い出が詰まった117Coupeに代わるクルマを探すのは不可能だと悟り、レストアしてセカンドカーにしようと方針転換します。
一方、増車となれば維持費もかさむので、メインカーはほどほどの価格で10年は楽しく乗れるクルマという目安を置くことにしました。



これにより、一番の憧れであったAston Martin DBS V12が選択肢から外れました。
DBS V12は、グランドツアラーの中核車両として美しさを追求したDB9をベースに、よりスポーツ走行が楽しめるよう性能アップが図られたフラグシップモデルです。
DBS V12とDB9の見た目はかなり似ていますが、DBS V12専用に設計されているパーツが多く、外装でいえばフロントスポイラーやボンネットのエアアウトレットにその違いを見て取ることができます。
最高出力は、先代のフラグシップモデルにあたるV12 Vanquish Sから10BHP抑えられて510BHPとなっていますが、180kgもの軽量化が図られたこともあり、0-100km/h加速は0.5秒短縮して4.3秒です。



実用面で考えれば、収納方法を工夫したとしてもトランクにゴルフバック1本が限界ですし、中古車ですら高嶺の花で実現は不可能だろうと薄々分かっていたのですが、117Coupeに代わりうる一生モノとの密かな思いが潰えることになりました。
映画「007」でダニエル・クレイグが扮するジェームズ・ボンドが操るボンドカーに『Casino Royale』、『Quantum of Solace』と2作続けて選ばれたクルマを運転できたらというのは夢で終わりました。



メインカーの条件として、信頼性があって日常で使いやすいという要素は重要なので、ドイツのプレミアムブランドから選ぶことに決めます。
さらに検討を重ねて対象を絞り込み、親しみのあるBMWグループの中から、第一候補にアルピナ、第二候補にMモデルとしました。



アルピナは流通量が少なく、辛抱強く探し続けたものの、私にとって最強の組み合わせであった外装がアルピナグリーンに内装がサンドベージュという個体は見つかりません。



そのうち、第二世代のiDriveであるCICが搭載されたインテルラゴスブルーのBMW M6がとても気になるようになりました。
内装は黒とベージュのツートン、フェイシアにウォールナットという設定も自分の好みに合致します。
売りであるカーボンパネルのルーフのおかげで、サンルーフを諦めざるを得ないのが何とももどかしい。
しかし、そんな悩みも実車を下見した際、初めて聞いたエンジンのスタート音の迫力に圧倒され、全てが吹き切れました。



クルマに興味がない方からすれば、BMW M6と聞いてもドイツのプレミアムブランドのクルマということでしかなく、6 Seriesは上位のモデルに位置付けられていると認識していればそれなりにご存知の方です。
それでも、M6と聞いたところで、どんなクルマなのかまでの知識はないと思います。



二代目M6の魅力といえば、何といってもV10エンジンとSMGとの組み合わせにあるといえます。
とはいえ、クラッチ保護のためシフトチェンジを遅めに設定してオートマモードで街中を走ると、舟漕ぎボートみたいなシフトアップが繰り返されてスムーズに走れません。
しかも、日常域でのスロットルに対するエンジンの反応は鈍く、周囲の流れに乗るのが精一杯という感じ。
ストップ&ゴーでは力が発揮できず、都心部の一般道であればピックアップの良いファミリーカーのほうが運転しやすいと思います。



少しでも快適にとなれば、パドルシフトとスロットルを上手く制御しながらマニュアルモードで走らせる必要があります。
それでも、シングルクラッチの無骨な繋ぎで、シフトアップするならエンジンをもっと回して欲しいと訴えかけてきます。
そして、エンジン回転数が3,000rpmを超えてくるとパワーが湧き出し、V10特有の波長を持った音が室内に充満し始めます。
穏やかに運動するつもりが、クルマに乗せられて気持ちが昂ります。
その結果、都心部の一般道を走り続けると、3.5km/ℓと6ℓ級のV12エンジンを凌ぐ燃費を記録することになります。



また、高級スポーツカーに近い性能を備えているとはいえ、目で追いかけるのは欧米人が中心で、日本人から注目されることはほとんどありません。
逆にいうと、BMW M6というクルマを気兼ねなく日常で使うことができるということになります。
自分だけが知っているという歓びがあるといっても過言ではありません。



さらに、BMW M6に乗るようになって、117Coupeの良さもより認識できるようになりました。
どちらもグランドツアラーで、後席は狭いものの前席はゆったりとしたドライブができるよう、快適な空間が広がっています。
長距離を優雅に駆け抜けるためのクルマであると同時に、スロットルを意識的に踏み込むと爽快な走りが楽しめます。 



このように、BMW M6にはマイナス要素がありますが、私の満足度は極めて高く、次のクルマがイメージできないというジレンマがあります。



もう一つの誤算は、BMW M6の満足度は高いとはいえ普段使いするので、刺激が薄らいでしまうという点です。
もし、メインカーを別に用意してサブカーとして購入していたら、もっと満足感に浸れるのではと思う瞬間があります。
そう、この心の隙に、偶にはスペシャルなクルマを運転したいという思いが芽生えるのです。



この気持ちは第二世代のVanquishの登場により強くなります。
Aston Martinが2013年に創立100周年を迎えるにあたり、Vanquishを「これからの100年の形を象徴した車」と評してDBS V12の後継フラグシップモデルとして発表します。
そして、このクルマを後方から見たときに、ある種の衝撃を覚えました。



サイドを筋肉質な造形で絞り込み、ボディと一体化したリアスポイラーとヒップアップにより、リアに向かって流れるような美しいスタイルに仕立てられています。
このように感じるのは、チーフデザイナーであるMarek Reichmanが、DB9やVantageのリアデザインをOne-77に取り入れて進化させ、Vanquishでさらにスタイリッシュに仕上げたことにより、1つの完成形に到達したからではないかと想像しています。



というのも、Vanquishのリアやサイドのデザインは、One-77からインスピレーションを得たと紹介されていますが、DB9やVantageからOne-77に受け継がれていた愛らしい面影が消えているからです。
Vanquishは軽量化のためAston Martinの量産モデルとして初めて全てのボディパネルにカーボンが採用しており、これによりパネル形状の自由度が格段に向上して、従来のモデルとは異なるデザインが実現可能であるというメリットを生かした点も見逃せません。



2012年の発表から8年が経ちましたが、私にとって、これ以上に均整のとれたクルマは存在しません。
もちろん、購入を断念したDBS V12より新しいモデルのVanquishを手に入れるハードルは高く、新車をオーダーできる経済的な余裕などありません。



そんな中、走行距離は僅か780kmという極上のVanquishと出逢うことになります。
外装色はApple Tree Greenといいます。
この色は、Vanquishのイメージアップのために用意したスペシャルカラーなのか、デモカーとして何台か製造されているようで、本国で撮影されたYouTube動画でも度々見かけていました。



動画で見ると、綺麗なメタリックの黄緑色でかなり目を惹くはずなので、日本に入ってくることはないかな、と。
だから、極上の状態で手に入れられるチャンスが巡ってくるとは予想もしていません。
もう、押っ取り刀でお店に駆け込みました。



実車は予想を遥かに超越する美しさで、目の前にすると溜息すら出てしまいます。
観ているだけで満足感に包まれ、欲しいとか運転したいなどという邪念が湧かない不思議な感覚を味わいました。
傷ものにならないよう、走らせないで飾り物として保管しておくのが良いのではないか、と。



残念なのは、英国車なのに私にとって抵抗感のある左ハンドルという設定です。
また、Vanquishに搭載されているZFと共同開発したTouchtronicⅡの6速ATはシフトチェンジが早くないのか、シフトアップしたとき張りのないエキゾーストが響くというのも引っかかっていました。もし、7速SMGのBMW M6に乗っていなかったら、気にも留めなかったかもしれません。
この点に関し、2015年モデルからシフトスピードを向上させた8速ATであるTouchtronicⅢを搭載するとの発表を認識しており、オフィシャルビデオでも高くて官能的なエキゾーストを轟かせているのを確認していました。
暫く悩みましたが、一世一代の高価なクルマを購入するのに目は瞑れないと見送りを決断しました。



同じスペックのエンジンが搭載されたV12 Vantage Sにも目を向けました。
車両価格は、Vanquishに比べて1,000万円ほどお手頃に設定されています。
Aston Martinのピュアスポーツを担うクルマとして登場したVantageの愛称はベイビーアストン。
その顔はちょっと可愛らしい印象です。



しかし、ボンネットに空いた大きなエアダクトの下には565BHPを発するV12エンジンが搭載されているから伊達ではありません。
0-100km/h加速は、6速ATのVanquishより0.2秒速い3.9秒です。



トランスミッションは、SportshiftⅢという7速SMGが搭載されており、AT車のVanquishとは違ってシフトチェンジによるエキゾーストが締まっていて小気味好いです。
車重もVanquishより70kgほど軽量で、2速、3速での加速は低回転域からレブリミットまで長くて力強い。
V12サウンドの高まりとともに、程良い緊張感に包まれ、極上の瞬間を味わえます。



足回りはVanquishより明らかにタイトに設定されており、路面の凹凸が室内に強く伝わります。
運転するならそれも楽しさの一つといえますが、助手席に人を乗せるのであれば理解がある方でないと厳しいと思います。
実は、このVantageにはゴルフバックがトランクに2本入ります。
リアハッチに沿うように左右に1本ずつ。
後方視界は遮られるでしょうが、ゴルフ場に向かう足として使われる方もいらっしゃるそうです。



そんな中、突如として私の目の前に現れたのがSamalanca Blue Metallicで塗装されたWraith。
光の加減で色目が大きく変化するこのメタリックブルーがWraithの高級感をさらに引き立たせ、新たな世界観を知ることとなります。
Rolls-Royceがクーペを作るとこうなると世に問うたクルマですが、優雅さが漂う均整の取れたリアの造形は他に類がありません。



内装は贅沢な装飾品の集合体になっていて、車両価格は5,000万円と言われても納得するでしょう。
それが今まで夢見たスポーツカーと新車価格がほぼ同じで3,000万円台。



このデモカーには、マイスターがルーフライニングにファイバーを1本1本縫い込んで作ったスターライト・ヘッドライニングが装備されています。
スペシャルな1台にこういうクーペもありなのかと大きな刺激を受けました。



エンジンは6.6ℓV12ツインターボなので、大きなボディながら0-100km/h加速は4.6秒と愛車のM6と同等です。
スロットルを床まで踏み込みと、少しラグは伴いますが、力強い加速を楽しめます。
そして、ブレーキも良く聞きます。



街中では路面の上を滑っているかのような「マジックカーペットライド」は、高速道路に乗ると刺激的な乗り味になります。
うねりのある路面をハイペースで駆け抜けると、車体がゆっくりと揺れるうえにステアリングが軽くて手に舵感が伝わらないので、接地感が薄く、お腹の下あたりがフワフワします。
車窓の流れが速ければ、座席から振り落とされるのでは、と何とも心許なくなります。
例えていうなら、電車内で手すりなどに捕まらずに立っているとき、スピードが上がってくると下半身が軽くなって足裏に力が入らないのに似た感覚と表現するのが一番伝わるでしょうか。



ところが、カーブ手前で速度を落とさずにステアリングを切ると、車体が外側に傾き始めますが、そこでピタリと止まります。
それではと、スロットルを意図的に踏み増して加速させても、更なるロールはなく足回りがしっかりと支え、思いどおりのラインを駆け抜けてくれます。
ナビ情報で舵角を予測して足廻りを制御しているという話もありますが、ここぞというときにしっかりと支えてくれるので、慣れれば最高のセッティングなのかもしれません。
ちなみに、GHOSTでスラロームにチャレンジさせてもらったことがあるのですが、ふらつくこともなく、ステアリング操作に足が反応して頭がしっかりと入って面白いように決まります。



もちろん、エフォートレスを信条に設計されているだけのことはあって、ステアリング径は大きく握りが細いうえに、日本車のパワーステアリングみたいに軽いので、スポーツカーみたいな走りを楽しむには違和感があります。
走行性能の高さに驚かされると同時に、正統な乗り方とも思えず、Wraithに申し訳なくなってしまいます。



一度はオーナーを夢見ましたが、現実的に考えると乗っていく場所が思いつきません。
ファントムより一回りは小さいとはいえ、庶民の生活ではどこに行くにしても、駐車スペースを確保するのに苦労するはずです。
やはり、私の生活環境で選べるクルマではないのかな、と。
Rolls-Royceは、恰幅の良い裕福な紳士が優雅に乗るからこそ、オーナーとクルマの品位が相乗効果で引き出せマッチングするというのが結論です。

長くなりましたので、次号へ続きます。
Posted at 2020/10/02 22:24:07 | コメント(4) | トラックバック(0) | 徒然草 | クルマ

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ビルの合間から見える東京タワーに向かって頑張れ〜、と応援したくなる不思議な気持ち。
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