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ラガーあきのブログ一覧

2019年01月04日 イイね!

謹賀新年 2000GT VS 117 Coupe

謹賀新年 2000GT VS 117 Coupeあけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申しあげます。

年末年始は9連休でのんびりと過ごしましたが、このイベントは今年を振り返ったときに最も心に残る出来事となるかもしれません。
この日が訪れるのを5年ほど心待ちにしていたと言っても過言でありません。

オーナーさんと知り合ったのは5年半ほど前。
私がE63M6に乗りながら117 Coupeを維持しているということを知ると、自宅に良いものがあるので見に来てくださいとご招待いただきました。
何も知らないまま3か月後にお宅に伺うと、車庫からシルバーのトヨタ2000GTが出てきました。
軽く走らせましょうと助手席に乗せていただきましたが、少し走ったところで運転してみますかと。
2000GTとの対面すら想定外で、クルマに乗せてもらって満足感で一杯。
心の準備はできておらず、夏場でクルマのコンディションが難しい状況にあったことから、涼しくなったらツーリングしましょうと辞退しました。



その後、トラブルが出て4年半ほど整備へでていたそうです。
久しぶりに復帰を果たしたものの新たな整備が必要となり、次の入庫が迫るなか、年末にお声がけいただきました。
オーナーさんと話して首都高を走らせることに決定。
ルートはお任せいただけるとのことで、辰巳PAを目指すことにしました。



助手席に乗ったときの印象は117 Coupeよりもロードノイズがお尻から伝わるなあというもの。
今回はそれを感じませんでした。
タイヤをスポーツタイプのダンロップから柔らかいミシュランに変えたということと、117 Coupeの足回りを当時と変えてしまったことも影響しているかもしれません。
シートのホールド感はしっかりとあり、スポンジのようにふかふかした117 Coupeとは雲泥の差です。



大きな曲面のガラスのおかげで、前方視界は良好です。
ただし、フェンダーミラーが手前側で目線を正面から意識的に向けないと視界に情報が入ってきません。
その点、117 Coupeのフェンダーミラーは目線を大きく動かさなくても視界に入ってくるので秀逸な設計だと思います。
フロントフェンダーの峰とボンネットのダクトを見ながら運転できるのが羨ましい。



エンジンは、ヤマハと共同開発した1,988ccの直列6気筒DOHC。
スペックは、最高出力150ps/6, 600rpm、最大トルク18.0kg・m/5,000rpmと日産のGT-RやZ432に搭載されているS20型エンジンに見劣りしない高性能なものです。
矢田部のトライアルにおいて、巡航速度で200km/hを超える世界的な記録を残したことは有名ですね。
GT-RやZ432はエンジンルームの縦方向にギリギリ収まっている感じですが、このクルマはフロントミッドに近い印象を受けます。



直列6気筒といえば最も滑らかに回転するエンジンの代表格ですが、アイドリングを1,000rpm程度に設定するとかなりの振動があり、街中を安心して走るには1,500rpmは欲しいです。
117 Coupeに搭載された直列4気筒DOHCのいすゞ社製エンジンは、メーカー推奨から200rpmほど落として700rpm位で設定してもこれほど振動しません。
キャブレターの調整で落ち着かせられる面もあるのでしょうが、使い勝手の良さはいすゞに分があるように思います。



2000GTのエキゾーストはかなり勇ましく、上質なGTを狙った117 Coupeとの思想の違いを感じます。
エンジン音もエキゾーストと一緒に後方から響いてくる感じで、リアエンジンだったかなあと。
エンジン音が小刻みで、1フレーズが長く感じるのは気筒数の違いでしょうか。



2000GTは低回転域でもスロットル操作に反応してエンジン出力が上がってくれるので、シフトダウンやキックダウンは不要。
このあたりは117 Coupeより遥かに運転しやすいです。
ちなみに、シフトノブはPレンジからDレンジまでの間はノブを上方に引いて動かします。



最大のネックは、オーナーさんが心配していたブレーキ。
後輪がドラムの117 Coupeと異なり、2000GTは当時の国産車としては希少な4輪ディスクブレーキを採用しています。
効きが悪いといっても要領は同じだろうと高を括っていましたが、その見込みはすぐに崩れ去りました。
117 Coupeはストロークが長く、ペダルを3分の2ほど踏み込むまで制動力はほとんど得られません。
かといって、減速が遅れた分を取り戻そうと焦って強くペダルを踏めば、最悪はタイヤがロックして車体ごと路面を滑ってアンコントローラブルになりかねません。
真っ黒くなった消しゴムで力加減を調整しながら文字を消すようなイメージです。
一方、2000GTは3分の1くらいペダルを踏めばブレーキは効き始めます。
ただ、それほど強い制動力ではないのでもう少しとペダルを踏み増しても、効きはあまり強くなりません。
硬くなった消しゴムを使っている感じ、少し力を入れても消え具合が変わらないイメージでしょうか。
最近のクルマでいえば、冷えたカーボンブレーキだと効きがイマイチな感じに似ています。
合流と分岐でカオスの動きをする首都高では十分な車間が必要で、普段の3倍ほど空けたくなります。
それでも車間があると余裕で止まれると誤解するのでブレーキが遅れ、その後にこのままで大丈夫かなあと恐怖の時間を過ごすことになります。



ダッシュボードからセンターコンソールにかけてパネルはウッド。
ウッドステアリングと相俟って、とても良い雰囲気です。
サイドブレーキのステッキも高級感があり、当時238万円という国産車の中でも群を抜く高値で販売されたのも納得できるレベルに仕上げられています。
以前のブログでもご紹介したとおり、117クーペが172万円、ハコスカGT-Rが150万円、マツダコスモスポーツが148万円です。
ステアリングがテレスコピックなことにも驚きました。
重ステなのにステアリングは細目に作られています。



リアに向かっての造形はとても美しいです。
ミニカーで良いのでこの角度から眺めていたくなります。
ドア形状から左足を踏み入れてから乗り込んでいましたが、どういう手順で乗るのがスマートなのでしょう。



ロングノーズ・ショートデッキのクルマが3台並んでいます。
2000GTが50年前に製造されたクルマだとは思えないほど、美しいデザインをしています。



サイドからみると見事なプロポーションです。
連続する曲面で柔らかい印象を与えるデザインに仕上げられていながら、スポーツカーであることをしっかりと伝えてくれます。
0系の新幹線が同じような要素をもっているのではないでしょうか。



ジョルジェット・ジウジアーロといえば、ウェッジシェイプの作品が数多くあります。
その中で117 Coupeは流麗にデザインされた例外的な作品であると思っていました。
ところが、この2000GTと並べてしまうと、その認識は必ずしも正しいとはいえないのではないかと思い直すに至りました。

比較の対象として適当かどうかは別にして、2000GTというクルマに触れることによって117 Coupeをより知るための材料を沢山得たのではないかという気がしています。
2000GTのハンドルを握る機会を与えていただいたオーナーさんには、この場を借りて感謝の意を表したいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
Posted at 2019/01/06 21:01:05 | コメント(8) | トラックバック(0) | 117クーペ | クルマ
2018年09月30日 イイね!

訪問記 いすゞ117クーペ生誕50周年記念イベント

訪問記 いすゞ117クーペ生誕50周年記念イベント117クーペは1968年の発売開始から今年で50年となります。
今回、いすゞ自動車OB会と117クーペオーナーズクラブが共催で「いすゞ117クーペ生誕50周年イベント」を開催するとのことで、愛車で会場となった大磯ロングビーチに行ってまいりました。
事前の情報ではオーナーズクラブへの申込みで91台の117クーペが集まるとのこと。
私のクルマを入れると92台になりますが、当日の目標はもちろん117台です。



117クーペの歴史を簡単に振り返りながら、集まったクルマを紹介したいと思います。
1916年創業のいすゞ自動車は、1953年に英国自動車メーカーであるルーツ社と提携し、ヒルマンミンクスを部品の全てを輸入して組み立てる完全ノックダウンにより生産することにより乗用車の生産ノウハウを吸収し、その後に国内生産化します。
1961年に上級モデルのベレルを自社開発して発表します。



1963年6月にはベレルの小型版にあたるベレットを発表し、11月より販売を開始します。
1964年4月には、レース技術をフィードバックして走行性能を追求した本格的なグランドツーリングカーであるベレット1600GTを発表して人気を博します。
これにより、昭和40年代には、トヨタ自動車、日産自動車に次ぐ第三の自動車メーカーの地位を築きます。



そして、トヨタ自動車、日産自動車に対抗するため、開発コード117でベレットの上級モデルとなる117サルーンの開発を目指しますが、そのクーペ版となる117スポルトとともにデザインを当時いすゞ自動車と関係のあったイタリアのカロッツェリア、ギア社に依頼します。
117サルーンはのちにフローリアンとして誕生することになりますが、この117スポルトのデザインを担当したのが、ベルトーネ社から移籍したばかりのジョルジェット・ジウジアーロです。
1966年3月10日から20日に開催されたジュネーブ・モーターショーのカロッツェリア・ギアのブースにおいて、プロトタイプ「ギア/いすゞ 117 スポルト(GHIA ISUZU 117 SPORT)」が出展されます。
この年、ランボルギーニ・ミウラやアルファロメオ1600スパイダーも初出展でしたが、117スポルトは大きな反響で話題となります。
そのデザインは高く評価され「コンクール・デレガンス」を獲得し、続いてイタリアで開催された国際自動車デザイン・ビエンナーレで名誉大賞を受賞します。



その後、いすゞ自動車は、117スポルトの生産化の検討を始めますが、当時の生産技術でこのクルマの複雑な面構成を再現することは困難であり、イタリアのカロッツェリア職人ジョルジョ・サルジョットを招聘し、板金・ボディ整形の技術指導を受けることにします。
その結果、金型プレスでおおよその形にプレスしたボディパネルを職人がひとつひとつパネルのトリミングや穴あけなどの工程の大部分を手作業で成形加工することにより生産を行うことになります。



117スポルトのジュネーブ・モーターショーへの出展から2年9ヵ月を経て、いすゞ自動車は1968年12月1日に漸く117クーペとしての販売を開始します。
しかしながら、手作業による生産がネックとなり、当初は月産30台前後に止まり、極めて高価なクルマであったと言われています。
この手作業により生産された初期型の車両は「ハンドメイドモデル」と称されています。



ハンドメイドモデルは、クロームメッキを施した一体成型のバンパーを採用し、バンパー上にフラッシャーランプが配されます。
フロントグリルの中央には、ジョルジェット・ジウジアーロが東洋を象徴するものとして唐獅子をモチーフにデザインしたエンブレムが奢られています。



インストゥルメント・パネルは、美しい木目模様の天然木の台湾楠で作られています。
このパネルは、天然木を一枚一枚スライスした後に加工されたものなので、そのクルマだけの唯一無二の模様となります。
また、パネルに埋め込まれた時計を含めた7連装の計器がドライバーに向くようスポーティに設計されていています。



リアコンビネーションランプは小型のイタリア車風のものが採用され、とても上品な印象に仕上がっています。



エンジンは、いすゞ自動車初の量産型DOHCとなる直列4気筒1,584ccのG161W型。
ソレックス・ツインキャブにより最高出力は120ps/6,400rpm、最大トルクは14.4kgm/5,000rpmを発揮し、最高速度は190km/hを誇っています。
117クーペは、当時のいすゞ自動車の技術の粋を集結し、イタリア車のエレガントさ、ドイツ車の動力性能、フランス車の乗り心地とイギリス車の運動性能を併せ持つクルマを目指して作られたようです。



117クーペの車両価格は172万円。
トヨタ2000GTが238万円とさらに高い価格で販売されていますが、日産スカイラインGT-R(PGC10、通称ハコスカ)の価格が150万円、マツダコスモスポーツの価格が148万円です。
当時の高級車であるクラウン・スーパーデラックスが112万円です。
大卒初任給が約3万円とのことなので、単純計算で現在価格に置き換えると6〜7倍程度になるでしょうか。
現行GT-Rのベーシックグレードがほぼ1,000万円なので、計算上は近いイメージです。
この美しいスタイルと相まって、手が届きにくいこのクルマは憧れの存在となり、手ごろな価格で手に入る117クーペの誕生が待ち望まれることになります。



1970年11月には、日本初の電子制御インジェクションを採用したモデルであるECが発売されます。
電子制御による繊細な燃料コントロールにより燃焼効率を向上させ、エンジンの最高出力は130ps/6,400rpm、最大トルクは15.0kgm/5,000rpmとなり、最高速度は200km/hと117クーペの中では最高の性能を誇ります。



ECの車両価格は187万円とさらに高額に設定されますが、従来のモデルは5万円下げられ167万円となり、同時に新たに下位モデルとして、ベレット1800GTと同じ1,817ccのツインキャブレターSOHCエンジンを搭載した117クーペ1800が147万円で販売が開始されます。
さらに、1971年10月にベレット1800GTNと同じ1,817ccのシングルキャブレターSOHCエンジンを搭載した117クーペ1800Nが136万円で販売が開始されます。



廉価モデルの追加により販売台数は着実に伸びて、1972年6月には131台に達します。
それでも、初期型の生産台数は2,458台と117クーペの中でも希少性が高く、うちEC車は140台程度と極めてレアな存在です。



1971年にGMと提携して資金提供と技術供与を受けたことにより、機械によるプレス成型の目途が立ち、量産化に対応した生産を開始するため内外装の再設計が行われます。
オートメーション工程の範囲拡大により月間1,000台体制での生産が可能となり、1973年3月よりエクステリアデザインやインテリアの素材、エンジンなど様々な箇所に変更が施されたモデルの販売が開始されます。
これ以降、1977年12月にマイナーチェンジするまでに生産されたクルマが中期型にあたり、「丸目量産モデル」と称されています。



エンジンは、無鉛ガソリン対応の1,817ccのG180型に統一され、グレードは電子制御インジェクションDOHCのXE、SUツインキャブレターDOHCのXG、SUツインキャブレターSOHCのXC、シングルキャブレターSOHCのXTが設定されます。
XEグレードのエンジンは、最高出力が140ps/6,400rpm、最大トルクが17.0kgm/5,000rpmという117クーペ史上で最強の性能を発揮するものが搭載されています。



丸目量産モデルも当初は一体成型のバンパーで生産されていましたが、コストダウンを図るため、両サイドをリベット止めで3ピースに分割されたものに変更されます。



フラッシャーランプはスモールランプとセパレートバルブのコンビネーションタイプとなり、取付位置はバンパー下に変更されています。



インストゥルメント・パネルは、台湾楠からブラジリアン・ローズウッドに材質を変更して上級グレードのXEに引き継がれますが、その他のグレードではプレス模様の入った金属製となります。
また、センターコンソールのデザインが変更され、樹脂で一体成型化するとともに仕上げのレザー貼りが省略され、コストダウンが図られます。



さらに、サーベルラインと呼ばれるピラーモールにハンドメイドモデルと共通のヘアライン仕上げが施されていましたが、1972年頃のモデルから省略されています。



リアコンビネーションランプはアメリカ車風の大型・横長タイプに変更され、トランクのキーホール位置も変更されています。



リアクォーターパネルには、117coupeというロゴが入ったリフレクターを新たに装備しています。



1975年10月には、昭和50年排出ガス規制に適合させるために触媒やEGRが追加され、電子制御DOHCのXEのエンジンは圧縮比を9.7から9.0に引き下げられたことにより、最高出力が130ps/6,400rpm、最大トルクが16.5kgm/5,000rpmに出力がダウンして存続しますが、SUツインキャブレターDOHCのXGは規制をクリアすることが困難だったことからカタログ落ちしてしまいます。
また、SUツインキャブレターSOHCのXCも電子制御インジェクションに変更され、ツインキャブレター搭載モデルは消滅します。



ハンドメイドモデルから生産台数を大幅に増やし、丸目量産モデルは48,339台が販売されます。1975年には117クーペ史上最高の年間13,278台の販売を記録し、月間でも昭和50年10月に1,692台を記録しています。
これは、昭和51年排ガス規制によるパワーダウンを懸念して、駆け込みで在庫モデルの購入をしたことが要因にあったようです。



1970年代半ば以降の乗用車の性能向上には目覚しいものがあり、「成熟」と「充実」という2つのコンセプトを狙いとした2度目の大きなマイナーチェンジが1977年12月に行われます。
丸目量産モデルからボディラインに変更はありませんでしたが、フロント廻りのデザインを中心にリファインされ、ヘッドライトの形状が丸形四灯から角形四灯となったことで現代的な雰囲気に変わっています。
これ以降に生産されたクルマが後期型にあたり、「角目モデル」と称されています。



このマイナーチェンジにより更なるコストダウンが進められ、バンパーは頂部のみクロームメッキが施されたプロテクテッド・ラバーバンパーとなりますが、分割構造から発売当初の一体成型に戻して、コンビネーションランプがバンパー内に埋め込まれた一体構造となります。



また、フロントバンパーの下端には小型のチンスポイラーが装着されています。



インストゥルメント・パネルは、操作性の観点から伝統的な意匠であった円形の7連装パネルを見直し、現代的な雰囲気に変わっています。
内装もコストダウンの観点から樹脂系素材が多用され後部座席の灰皿も廃止されますが、パワーステアリングの採用、サスペンションの改良、動力性能の向上といった走行性能面での改良を行ったことで、操縦性や乗り心地の向上が図られます。



1978年11月には、自動車排出ガス規制による出力低下を補う目的でエンジンの排気量を1,949ccに拡大させたG200型を搭載し、昭和53年排ガス規制に適合したモデルの販売が開始されます。
これにより、電子制御インジェクションDOHCの最高出力135ps/6,200rpm、最大トルク17.0kgm/5,000rpm、電子制御インジェクションSOHCが最高出力120ps/5,800rpm、最大トルク16.5kgm/4,000rpm、シングルキャブレターSOHCが最高出力115ps/5,600rpm、最大トルク16kgm/3,800rpmとなり、それぞれ同じ仕様のG180型よりも優れた数値となります。
このモデルには、トランクリッドに2つのスターが並んだ「☆☆」のエンブレムが取り付けられています。
2つの星は2000ccの"2"を表していますが、2ℓ級のエンジンとしては排気量が少し足りなかったこともあり、「スターシリーズ」と呼ばれています。



1979年12月には、ジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたカスタム・モデル「giugiaro」が新たに加わります。
同時に、新たにディーゼル・エンジンを搭載したモデルも追加されます。



1975年に年間販売台数が1万台を突破した117クーペは、1979年までコンスタントに1万台以上が販売され、角目モデルは35,395台が販売されます。
しかし、1960年代半ばに基本設計された117クーペをリファインしても、新たな先進技術で対抗してくるライバルに追随することに限界が生じ、新たなモデルを設定しても販売を伸ばすことができなくなります。



結局、117クーペと同じジョルジェット・ジウジアーロが設計したプロトタイプカー「アッソ・ディ・フィオーリオ」を元にしたピアッツアに後を継ぐ形で1981年に13年の歴史に幕を下ろすことになります。
いすゞ自動車は、ジョルジェット・ジウジアーロにニューモデルのデザインを何度か依頼を打診しましたが、本人が了承しなかったと言われています。
一説には、ジョルジェット・ジウジアーロ自身がこのデザインを気に入っており、自己の若き日の傑作に対する思い入れの深さを表しているのではないかと。



117クーペの生産台数は86,192台に過ぎません。
1968年の発売開始から10年間1台も廃車が出なかったという業界記録を持ち、大切にされてきたクルマではありますが、今でも残っているのは2,000台位のようです。
この日に集まった117クーペは、初期型35台、中期型25台、後期型45の計110台。
その中の1台を今後も大切に乗っていきたいと思います。
Posted at 2018/09/30 23:26:15 | コメント(9) | トラックバック(0) | 訪問記 | クルマ
2018年08月24日 イイね!

訪問記 大黒PA・辰巳PA (117Coupe)

訪問記 大黒PA・辰巳PA (117Coupe)日曜日に大黒PAまで117クーペを走らせてきました。
7月中旬に日本が猛暑に襲われたときは今年の8月はどうなることかと思いましたが、北の高気圧が張り出し先週後半から暑さはひと段落。
前日は湿度も下がって心地良いゴルフを楽しんだので、次の日は明るい時間にバッテリーが弱っている117クーペをしっかりと走らせて充電しようかと。
もう一つの目的は、1か月ほど前に購入したフルサイズ一眼レフの試し撮り。
タイトル画像が初めてシャッターを下ろした記念すべき1枚目です。



この日は定例の旧車会があり、9時過ぎに大黒PAに到着するとすでに人もクルマもいっぱいです。
とりあえず、一番端の空きスペースを見つけて愛車の写真撮影を始めます。
昔からお気に入りのBBS RSホイール。
中期型の117クーペに履かせるには、ホイールは2インチアップさせ、タイヤの扁平率は70から50へ変更しなければなりません。
本当はタイヤ幅も広げたいところですが、ハウス内に接触する可能性があるので、外径が少し小さくなることを覚悟で185のまま。
純正仕様だとフロントのタイヤとフェンダーの隙間が気になるので、ローダウンさせています。



やはりリアからの写真は外せません。
トランクリッドが少し浮いているのは、20年ほど前に懇意にしていた修理工場が純正品は手に入らないが他社メーカーでほぼピッタリということでボロボロのものから交換してくれたことが影響しているように思います。
相応の年数を経て、ゴムもさすがに変形してきたのでしょう。
先日、オークションで純正のトランクシールを手に入れたので、折をみて交換しようと思っています。



大黒PAに向かって水温計を気にしながらのんびりと走行していると、左側から大きな爆音とともに駆け抜けていったマクラーレン。
駐車スペースに止まっていたので、一番に駆け寄ります。
大きなウィングは本来のテールパイプに取り付けられています。



これだけ社外の外装パーツを纏ったマクラーレンを見るのは初めてです。
MP4-12Cなのだろうとフロントに回り込んだら、顔付きは何と650S。
かなり多くの人たちの気を惹いていました。



実車を見るのは3度目の8Cコンペティツィオーネ。
イタリア車ならではのグラマラスなデザインです。
10年以上も前に発売されたのに、案外にボディサイズは大きく感じました。



フェラーリが今では製造を中止してしまった自然吸気V8エンジンが搭載されています。
アクセルを踏んだら良い音がするのは間違いないでしょう。



小学校の頃の憧れのスポーツカーといえば、ミウラ、カウンタック、512BB。
それ後も格好良いスポーツカーは色々と出ていますが、憧れの強さでいえばこれらのクルマに並ぶ存在なのはF40でしょうか。
デザインはいま見ても秀逸です。



雑誌でリアウィングを初めてみたとき、その大きさに衝撃を覚えた記憶があります。
サーキット走行を意識した本格的なスポーツカーだからでしょうか。
走行距離は僅か2,000kmではありますが、中古車販売店で4億円のプライスタグが付けられて販売されています。



アヴェンタドールは楔形でありながらぎゅっと詰まったデザイン。
カウンタックを思わせるバランスだと思います。
初期モデルと比べて正面のエアインテーク部分のデザインに動きがあり、全体に上手く馴染んでいると感じます。



立派なリアウィングがあるのが、スーパーヴェローチェの特徴でしょうか。
黒いエンジンフードがランボルギーニーらしくて良いですが、運転席から後方視界はゼロに近いでしょう。
ということは、後方駐車するときはカウンタックリバースしかなさそうです。



世界一美しいクーペといわれた初代6シリーズ。
角張ったデザインが流行っていた時代なので、流麗なクルマより格好良く見えていました。
117クーペにBBS RSホイールを履かせたいと思ったのはこのクルマの影響があります。



父親が117クーペから乗り換えないかなと期待したことが何度かあります。
そうなったら、今ごろ6シリーズに乗って大黒PAに来ていたかもしれません。



世界限定99台のB3GT3。
そのうち30台が日本の正規輸入の割当になっていたようですが、2つ隣のスペースに同色のB3GT3がもう一台止まっていました。



この世代のB3の標準モデルは4本出しに仕上げていますが、GT3は太めの2本出し。
リアウィングと相まって迫力があります。



お約束の定位置に止まっているコスモスポーツ。
ロングノーズ・ショートデッキのクラシックなスポーツカーでありながら、デザインは独自性豊かです。



リアは唯一無二でしょうか。
赤く点灯するブレーキランプはジェットエンジンのアフターバーナーをイメージしてデザインされているようです。



初代カローラのコンディションは最高です。
ホイールは12インチでタイヤ外形もとても小さいです。
首都高速を何Km/hで走れるのか気になります。



車内のコンディションも最高です。
レースのシートカバーが、自分が知っている時代の大衆車のイメージより明らかに贅沢なクルマであることを物語っているように思えます。



国産スポーツカーの代表というより逆輸入のような形で流行した240Z。
イメージカラーはやっぱりマルーンのボディにガンメタのオーバーフェンダーの組み合わせでしょう。
このクルマのホイールが15インチなので、117クーペの15インチがいかに背伸びしているのか良く分かります。
停止状態のワイパーが垂直なのは、開発に携わった技術者たちの空力へのこだわりなのでしょう。



久しぶりなのでC110スカイラインかと勘違いしてしまいましたが、2代目ローレルです。
こういう2ドアハードトップが姿を消してしまったこともあり、改めて見ると格好良いですね。
ボディサイズに比べてホイールやタイヤが小さく、血気盛んなお兄さん方の間で流行っていた時代を思い起こさせます。



リアタイヤは八の字になっているようです。
この角度からみるとごっつい感じなのに、バンパーの中にコンビネーションランプを埋め込んで小さくスッキリとまとめています。
何かアンバランスなのにセンスを感じるという不思議なデザインに思います。



ガンメタのR32 GT-Rをみると、一瞬にして時間が巻き戻される気がします。
海外のスポーツカーに性能で引けを取らない国産車があるというのが誇らしげに思えたものです。



国産メーカー初となるミッドシップスポーツカーとしてMR-2は注目されたと記憶しています。
角張ったデザインの硬派なイメージの初代とは異なり、曲線基調の2代目は流麗でオシャレなイメージな印象があります。



ディーノは名前の由来どおり愛らしいデザインです。
当時としては製作すること自体が難しそうな曲面主体のボディ形状が、70年代になってブームを迎えたスーパーカーとの違いを感じさせます。



イタルデザイン・ジウジアーロが設計したデルタ。
こんなに格好良い箱型デザインができるものなのかと感心してしまいます。
中古車市場の価格もここ数年でかなり上がっているようです。



さらに本格的な方もいらっしゃいます。
バックミラー越しにこのクルマが見えたらすぐに道を譲るでしょう。



かなり希少な存在のシムカ1200。
初めてみたときに何かが気になり調べてみると、デザインはジョルジェット・ジウジアーロ。
117クーペが発表された4年前の1962年に同じジュネーブ・モーターショーに出展されています。



この角度からみたリアのデザインはそっくりです。
117クーペに原型が引き継がれています。



後方からみると117クーペというよりベレットに少し似ている気がします。
4灯ライトだからでしょうか。
金属製な色合いに見えるブルーメタリックが、このクルマの雰囲気を盛り立てています。



117クーペの特徴は、リアガラスからトランクへ同じ傾斜でつながっていることです。
中期型は、初期型のハンドメイドに取り付けられていた小さなテールライトと異なり、大型化したコンビネーションランプで気品を失わせてしましたが、この角度からは絵になります。

他にも色々と取り上げたいクルマがあるのですが、長くなってしまったのでここで終わりとします。
一眼レフはすべてオートで撮影しましたが、今まで使っていたミラーレスに比べて綺麗な色彩に写ることと明暗がはっきり出ることが分かりました。
近いうちに、また大黒PAを訪れて気になるクルマを紹介したいと思います。

最後まで長文にお付き合いいただきありがとうございました。
Posted at 2018/08/24 23:01:31 | コメント(4) | トラックバック(0) | 訪問記 | 日記
2018年06月04日 イイね!

訪問記 BMW GROUP TOKYO BAY 後編

訪問記 BMW GROUP TOKYO BAY 後編4か月ほどにPCのハードディスクが壊れてしまいましたが、昨日ほぼ復旧して戻ってきました。
おかげで、お蔵入りしていたブログをアップすることができます。
長くなりますが、以下は760Liに試乗した後の話になります。

折角なのでM760Liのほかに乗ってみたいクルマはありませんか、と聞かれてオーダーしたのがM2 Coupe、M4 Coupe、M140iの3台。
M760Liに乗った後だと物足りなく感じますよ、と受付に冷やかされましたが、Mモデルの魅力は知っているつもりなので大丈夫ですと。
M2 Coupeが圧倒的な一番人気だったようですが、今なら空いているので行きましょうと。



BMWの中で一番小さな2ドアクーペでスポーツ走行が楽しめるとなれば、人気があるのは当然なのかもしれません。
しかも、Mモデルの購入を考えると、M4 Coupeの新車価格は1,200万円台に到達しており、800万円台のM2 Coupeは背伸びすれば何とか手に届く現実味のあるクルマだと感じる方も多いと思います。
最高出力:370ps/6,500rpm
最大トルク:47.4kgm/1,400~5,560rpm
0-100km/h加速:4.3秒
最高速:270km/h (Mドライバーズパッケージ装着車)
オプションの設定もかなり限られており、見積りしたら大台到達というようなこともなさそうです。



クルマに乗り込もうと近づくと、まだ残像が残っているM760Liとのボディサイズの違いに驚きます。
全長がかなり短くボディがコンパクトになったのがはっきりと認識できます。
内装は2シリーズの質素な造りを踏襲しているといえます。
Mステッチの入ったステアリングとシフトノブが目に入らなければ、特別なクルマであることに気がつかないでしょう。
目を惹くのは、インテリア・トリムとしてカーボンが使われていることでしょうか。
ただ、艶のあるグロス仕上げではなく、メッシュ地のオープンボア仕上げです。
写真ではそれほど気にならないかもしれませんが、実物を見ると違いは明らかです。
樹脂製のダッシュボードが少しカサカサして硬質な素材に見えるのも気になります。
もう少ししっとりとした質感に見えると印象も変わるのではないでしょうか。



メーターパネルも2シリーズと共通なのか、シンプルな作りです。
良く見ると、タコメーターにあるMロゴと300km/hのフルスケールメーターがMモデルであることを主張しています。
目線の高さを合わせるためにシートの高さを調整しようとすると、フロント側が支点になって座面を傾けるように上下するので、スポーツカーらしく下げようとすると腰に負荷がくる姿勢になってしまいます。
シートの調節機能としてはM4 Coupeでも同じで、フロント側も含めて調整できたM760Liが至れり尽くせりのクルマであることを再認識させられました。
エンジンスタートさせると、M760Liなど吹き飛ばすような威圧的なエキゾーストを轟かせます。
これからMモデルを運転することの心の準備を問うための号令とも受け取れますが、エキゾースト・システムで音を増幅させているのであれば、音量はもう少し小さくても良いかなあと。



DCTなのでクリープはありません。
とりあえず、様子見しようとオートマモードで走り出すと、実にスムーズに変速して7速DCTであることも忘れてしまいそうです。
ステアリングからは、M760Liのようなボディの大きさを感じず、身体が軽くて俊敏に動けるような感覚が伝わってきます。
もしかして、Mモデルの楽しさを最も堪能できるのはこのM2 Coupeなのかもしれないとの予感がしました。
交差点の左折ではステアリング操作に対して、機敏な動きで鼻先がクイクイと入っていきます。
M760Liのような独特のアシストもないので、違和感もなくステアリング操作が楽しくなります。
シートのサイドサポートで体をしっかりと支えてくれるので、もうひと踏みしたくなります。
加速性能でいえば、E63M6の507馬力モードで引き出せる0-100km/h加速の4.6秒を軽く上回っています。
パドルシフトでシフトダウンしてスロットペダルを意識的に踏み込むと、大きなエキゾーストと轟かせながら加速します。



ただ、強面のエキゾーストな割には加速感は穏やかな感じで、レッドゾーン間際まで引っ張ってシフトアップすることに冷静さが保てます。
E63M6はデフォルトの400馬力モードでも回転数の上昇に従ってスロットルペダルを踏む右足に伝わる力感が増し、タコメーターの針がレッドゾーンに向かって吸い込まれていくようで、引っ張るとシフトアップのタイミングを取るのが簡単ではありません。
カタログ値と実感が合わないのはターボエンジンと自然吸気エンジンの出力特性に起因するのでしょうか。
逆に考えると、M2 Coupeのエンジンは、出足からの加速が良く、最後まで使い切りやすくてスペックの持て余し感の少ないバランスのとれた性能なのかもしれません。
敢えていうと、コストの観点からなのか、M社が手掛ける専用エンジンを搭載できなかったデメリットがこうした印象に繋がっているのかもしれません。
気になるのはブレーキの初動が効きすぎること。
いつもの調子でブレーキペダルを踏み込むと、ギクッとした動きがいきなり出てしまいます。
慣れもあるでしょうが、ブレーキペダルの踏み出し加減に気を付けながら走らせることになります。
M2 CoupeはLCIモデルへの切換えとGTSやCSなどのハイパフォーマンスモデルの登場という噂がありますが、どんな発表があるか楽しみに待ちたいと思います。

(注)1か月ほど前に、M3やM4で使っているエンジンユニットを搭載するコンペティションモデルを販売すると発表がありました。



こうなると、兄貴分のM4 Coupeも久しぶりに乗ってみたくなります。
最高出力:431ps/5,500~7,300rpm
最大トルク:56.1kgm/1,850~5,500rpm
0-100km/h加速:4.1秒
最高速:280km/h (Mドライバーズパッケージ装着車)
ホイールはオプションのスタースポーク・スタイリング、ブレーキもカーボン・セラミックでゴールドのキャリパーが奢られています。
ドアを開けて乗り込む際にカーボン製のルーフが目に入り、Mモデルだけが持っている特別感を感じます。



M2 Coupeに比べて内装の質感が向上しています。
革シートにグロス仕上げのカーボン・トリムが雰囲気を引き立てているのでしょうか。
ある意味、M4 CoupeはGTカーとしての要素が強く、M2 Coupeはスポーツカーとしての要素が強いと評価することができるのかもしれません。



エキゾーストもM2 Coupeより音量が抑えられ、むしろ底力を感じる音質に仕上げられているように感じます。
加速性能は0-100km/hで0.2秒差ですが、M4 Coupeにはスロットルペダルを踏んだ直後の出足からパワー感があり、体に緊張感が漲ります。
こういった感覚の違いが正しい認識なのか興味があるところですが、もう少し乗り比べしないと自分でも良く分かりません。
ブレーキはM2 Coupeのときとは異なり、初動から過度に効くことはなく、タッチに気を使うということもありません。
逆に、カーボン・セラミックだから何かという違いも感じません。
癖もなく普通で扱いやすいなあと。
ブログが長くなるので、M4 Coupeの印象については以前のブログに譲ります。



外見からは凄みを感じないM140i。
写真を撮り忘れてしまいましたが、Mスポのフロントスポイラーがボディと上手く調和していて穏やかなルックスに見えます。
このクルマがM2 Coupeに勝るとも劣らないスペックであることが疑わしくなるほどです。
最高出力:340ps/5,500
最大トルク:51.0kgm/1,520~4,500rpm
0-100km/h加速:4.6秒
最高速:249km/h
それでも、価格は600万円前半とM2 Coupeより200万円ほどお買い得な設定になっています。



ボディにストライプを入れて、ダブル・スポークの格好良いホイールを履かせたらMモデルも顔負けのルックスです。
カーボンのミラーカバーやルーフ・スポイラーもブラックも使っています。



ブレーキ・システムも18インチ用のものに入れ替えると、オプションの総額は税込130万円を超えます。
ここまでドレスアップできるパーツが純正品で取り揃えられているのは楽しみがあって良いですね。
このクルマは118i M Sportがベースですが、ライバルはA45 AMGやAudi S1と真顔で答えられる迫力があります。
もし、M140iで同じ仕様を目指したら、乗出しで800万円近くなってしまいます。



以前に代車として借りた118iが予想を遥かに超える性能を見せてくれたことが頭の中に刻み込まれているので、M140iの底力にはとても興味がありました。
118iは、1.6ℓのツインパワー・ターボとはいえ、120iのディチューンエンジンであり期待薄だったのですが、街中・高速ともピックアップが良くて想像以上の走りができます。
その遥か上位のモデルなので、期待せずにはいられません。
最大トルクでみるとM2 Coupeを凌駕しており、100-200km/h加速ではM2 Coupeに対して同型のエンジンを搭載したM240iに軍配が上がるという情報があるほどです。
下剋上のような期待感を抱いてエンジンをスタートさせましたが、M140iはATなのでブレーキから足を外せばクリープして走り出しますし、乗り心地に角がなくM2 Coupeよりかなりマイルドに仕上げられています。
もっと積極的に走らせようと駆り立てられる仕掛けが施されているわけでもなく、スペックを意識せずに日常の流れに乗って穏やかな気持ちで運転し続けられます。
そこで、直線区間でシフトダウンして思い切りスロットペダルを踏み込むと潜在力を発揮してしっかりと加速してくれます。
ただ、M2 Coupeほどの力感はありません。
0-100km/h加速でいえば507馬力モードのE63M6と同じ4.6秒ですが、スムーズなシフトアップで加速に荒々しさがないことが影響しているからなのか、E63M6の400馬力モードで感じる迫力にも及びません。
色々と期待を膨らませ過ぎたことでかえってインパクトに欠けるように感じるのでしょうか。
考えてみると、M140iの設定は、Mモデルのように僅かなスロット操作に対して低回転域からでも迫力あるエキゾーストでドライバーを奮い立たせるようなことはせず、中速域以上で真価を発揮させるようになっていたのかなあと。
何だか不完全燃焼のまま試乗は終了してしまいました。



さて、ここで自分のリクエストは終了しましたが、ナビゲーターはBMWでもなければBMW Miniからでもと追い討ちをかけてきます。
そして、Mモデルなどのハイスペックのモデルに興味がある方にMiniでお勧めがありますとこのクルマを紹介されました。
ご存知の方も多いかもしれませんが、John Cooper Works 。
モータースポーツで伝説的なJohn CooperにちなんだモデルはBMW Miniとして最上位に位置します。
5Doorの試乗車も用意されていましたが、ボディの小さい3Doorを指名しました。
外装のグリーンにレッドをコントラストに使った配色、フロントのエアロ、赤のキャリーパに専用アルミホイールとしっかりと魅せてくれます。



ドアを開けると内装や操作パネルに抜かりがありません。
機能性を優先したデザインのBMWと異なり、遊び心の詰まったトグルスイッチ、大きな円形の計器パネルを組み合わせて設計したダッシュパネルは見ているだけで楽しくなります。
正直なところ、モーターショーなどで展示されていても内装まで観察していませんでしたが、改めて注目してみると魅力に溢れています。
エンジンは、2ℓツインパワー・ターボの縦置き型ハイパフォーマンス版が搭載されており、BMW Miniとしては最上位の性能を発揮します。
最高出力:231ps/5,200〜6,000rpm
最大トルク:32.6kgm/1,250〜4,800rpm
0-100km/h加速:6.4秒(6速AT)、6.6秒(MT)
最高速:246km/h



シートに座ると太もも部分に盛り上がりがあって、サイドサポートもしっかりしているので、座った瞬間に運転姿勢が出来上がってすぐにでも走らせたくなります。
イグニッションは、パネル下段中央にある赤いトグルスイッチを下に押すとオンになります。
やや低音のエキゾーストを響かせエンジンが始動します。
適度な音量と音質で、威圧的なMモデルのものより高揚感があって好印象です。
6速ATのトランスミッションは、アクセルワークを強くしたら段付き感が少しあるかもしれないと予想しましたが、最近の8速ATと遜色ない感じです。
FF車特有のクセでも感知できれば良いのですが、街中を少しアップテンポに走る程度であればステアリング操作に違和感もなく、コーナリングも安心して楽しめます。
Mモデルのように自分とクルマを追い込んでいくような走らせ方より、軽快に走らせることに向いているでしょうか。



これならデートカーやファミリーカーとして楽しいドライブができそうです。
試乗した3ドアタイプはAT車で435万円。
乗った印象からすると高くはありませんが、グリーンのボディカラーにボンネットストライプを入れて、オプションのホイールに履き替えると、乗り出しで500万円を超えてしまうかもしれません。
ファミリーカーとして考えるのであれば、乗り降りやトランクの大きさを考えて5ドアの選択も有力ですが、車両価格が90万円高いので、乗り出しで600万円近辺となります。
性能は別にしてM140iよりは手頃ですが、リーズナブルというには少し高いでしょうか。
ただ、今回試乗した中で印象が一番良かったのはこのクルマです。
オールマイティなようでキチンと特長を持っているという点で、幅広く活躍してくれる1台だと思います。

PC不調のため長らく日の目を見なかったブログがアップでき、ちょっとした達成感に浸っているところです。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
Posted at 2018/06/04 22:28:37 | コメント(6) | トラックバック(0) | 訪問記 | 日記
2018年02月04日 イイね!

訪問記 BMW GROUP TOKYO BAY 前編

訪問記 BMW GROUP TOKYO BAY 前編BMWオーナーなら一度はこの地を訪れなければならないと思い、特別な1台の試乗を予約して行ってきました。
当日は週初めに南岸低気圧によってもたらされた大雪の一部がまだ残っており、路面の状態にやや不安を感じながらM6のステアリングを握りましたが、そんな心配をよそにクルマは爽快に駆け抜けてくれます。



現地に到着すると、目の前に広がる光景にここはBMWの聖地ではないかと思いました。
広大な敷地にBMWとBMW Miniがたくさん並んでいます。
試乗車もそうそうたる顔ぶれです。



受付で手続きを済ませると、予約したM760Li xDriveが用意されます。
車両価格はBMWの中では破格ともいえる2,520万円。
標準仕様に違いはありますが、750Liより700万円以上も高額な価格が付けられています。
やはり、V型12気筒エンジンが車両価格に大きく影響しているのでしょうか。



M Performanceだけあって、7シリーズとしてはかなり威圧的な顔立ちに仕上がっています。
スペックもラグジュアリークラスのセダンとしては第一線級です。
最高出力:610ps/5,500rpm
最大トルク:81.6kgm/1,550~5,000rpm
0-100km/h加速:3.7秒
最高速:305km/h (M Driver's Package装着車)
もはや、直線勝負となるとE63M6では道を譲らざるを得ません。



キドニーグリルは電動で開閉するエア・ベントを備えているとのこと。
エンジンやブレーキの冷却のためにエンジン・ルームに外気を取り入れる必要がないとき、エア・ベントを閉じて空気抵抗を減らします。



逆に、エンジンやブレーキの冷却が必要なとき、エア・ベントを開けて空気を取り込み冷却に活用されます。
写真では分かりにくいですが、マットブラックに仕上げられた外装はかなり汚れが目立っています。
ちょっと残念な表情をしたのを読み取ったのか、マットブラックのクリーニングは素人が綺麗に仕上げるのは難しいとの説明をナビゲーターから受けます。
定期的に業者に頼んでいるそうです。
折角のラグジュアリー・セダンなので、オーナーとしてはいつも綺麗にして乗りたいところですが、マイカーとして選ぶならそれなりの覚悟が必要のようです。



リアシートは至れり尽くせり。
ロングボディなので足元のスペースは十分にありますが、助手席を前に倒せば足はゆっくりと延ばせます。
シートにはマッサージ機能も付いていましたが、エアバックのみで揉み玉は付いていないので、凝りがほぐれるというほどではない感じ。
何と運転席にも付いています。
フロントシート用とは別にリアシート用にもサンルーフが付いています。
窓ガラスにはカーテンも掛けられます。
白黒のバイカラーにコントラストステッチで纏められた室内は、スタイリッシュなデザインが奏功しているせいか、華美というより質実な印象です。



メーターパネルは液晶画面で表示はとても見やすいです。
メーターの外枠は液晶表示ではなく、フレームの型を実際に取り付けて立体感を出しているのが面白いアイデアだと思います。



コントロールディスプレイは指の動きだけでコマンド操作が可能なジェスチャー・コントロールが備わっています。
ディスプレイの前で指をクルクルと回すと音量の操作が可能です。
タッチパネルの先にある技術が使われています。



エンジンスタートしたときのエキゾーストに注目しましたが、威圧さは感じません。
V12エンジンであることを誇張せず、脚色のない自然なエキゾーストから底力を感じさせることを意図したのかもしれません。
このクルマには、Mスポーツ・エキゾースト・システムを搭載させておらず、昔からの伝統的な手法で官能的なサウンドにチューニングしているようです。



シートは適度な張りがあり、座り心地は快適。
V12エンジンであることを意識することなく、クルマをゆっくりとスタートさせる気になります。
Dレンジに入れてブレーキペダルから足を離してもクリープしません。
スロットルペダルを少し踏み込むと、クルマが瞬時に応答して前進し始めます。
10km/h前後の低速域でもスロットルペダルに対する反応が良く、Alpina B5 Superchargeのことを思い出しました。
敷地から路上に出て走り出すと、ふわっとした実に心地良い快適な乗り味であることが分かります。
試乗は1周1km強の区画を2周するのですが、コンフォートモードとスポーツモードの2種類で乗り比べしてみました。
Sport modeにするとComfort modeよりも明らかに足回りが締まりますが、それでも硬くなって跳ねるような動きはありません。
少しアップテンポで走るのであれば、Comfort modeは心許なく感じますが、好みや慣れもあると思います。



意図的にスロットルペダルを踏み込むと、滑らかに加速が始まり、あっという間に制限速度に到達してしまいます。
同時に室内にはラグジュアリー・カーらしからぬ勇ましいエキゾーストが轟きます。
このあたりは、760LiではなくM760Li であることの証なのかもしれません。
好みでいえば、同じエンジンでもエキゾーストを制御して底力を感じさせるRolls-Royce Ghostには高い品位を感じます。
ただし、スロットルペダルの踏み込みに対して、ターボラグを感じず、立ち上がりからスムーズに加速を始める点はM760Liに分があると思います。



気になったのは、歩行者を優先するため交差点付近で低速での走行を余儀なくされたときのステアリングの切れ。
これだけ大きなボディのクルマで緩いステアリング操作をすればラインが膨らむはずです。
ところが、xDriveというインテリジェント4輪駆動システムのなせる業なのか、思った以上にクルマが内側に入ってきます。
交差点を曲がって3車線道路の真ん中狙いのつもりでもこの状況なら少し外側にはみ出るだろうと切り増して調整すると、当初ラインよりもむしろ内側に食い込んできてしまいます。
少ない動きで曲がれるのはメリットではありますが、この操舵性には慣れが必要です。



このクルマを少し乗れば良さはすぐに分かりますが、BMWのフラグシップとはいえ2,500万円超という価格を理解するのは容易いことではない気がします。
法人名義で購入するならいざ知らず、個人資産で購入するならBentley Continental Flying Spurとか、もう少し頑張ってGhostというほうが分かりやすい。
M760Liを運転できたことは大きな収穫でしたが、かなり限られた条件下での試乗だったので、特長を掴んで整理するにはあまりにも情報が不足している気がします。

また長くなってしまったので、残りは後編にします。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
Posted at 2018/02/04 12:16:15 | コメント(6) | トラックバック(0) | 訪問記 | クルマ

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