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2014年08月08日

コーナリング物理の考察08-2動摩擦係数の速度依存性

コーナリング物理の考察08-2動摩擦係数の速度依存性
さて、今日は一番難解な話をします。
いろいろ調べてみたんですが、難解すぎるので、一応根拠とか調べたんだよということが伝わって、最終的にだからどうなのという結論だけ受け入れてもらえれば、次の話に進むことができます。

摩擦力について物理の資料をネットで探すと、まず静止摩擦と動摩擦は違うという話になります。ここまでタイヤのグリップについて考えて来たのは、静止摩擦のことだと思ってください。そしてここまでの話でグリップ限界として考えてきたのは、「静止摩擦」のことではなく「最大静止摩擦」のことだったことになります。
動摩擦というのは、自動車の挙動でいえばフルロックブレーキしてるだの、ドリフトしてるだの、どアンダー出してるだの、そういう時の運動で考えていくのが自然だと思います。が、実際はちょっと違いますし、ここがすごく大事なところになります。
まずシンプルなところ、転がりながらグリップしているタイヤは、常にほんの少しだけスリップしながらグリップしている、と考えることになります。そういうもんだ、と思っておいてください。
次に、もっと大事なところ。スリップアングル、という単語でピンと来てもらうと理解が簡単になるんですが。操舵輪はつねに実際の進行方向よりも少しだけ深い方向に角度を持ちながら、横方向のグリップを発生させるように機能しています。ほんの少しだけ横にスリップしながら、旋回用のグリップを発生させているんです。
ですから、走行している自動車のグリップ変化は、動摩擦で考える必要があります。

そこで、動摩擦のことをネットで調べると、ほぼ必ずこのように書いてあると思います。
「動摩擦は速度に依存せず一定である。」
あれ?と思いませんか。経験上、スピードを出している時ほどスリップしやすいような。どういうことだ?と思って調べてみると、細かくこんなことが記載されています。
「実際は速度によって変化する」と。しかも記事によって「変化量は小さいので一定と考えるのが都合がいい」と説明されていたり、「実際には速度によって変化するほうが一般的」と説明されていたり。どっちやねん、ということに。
そこで、検索キーワードにちょっと凝った単語を使ってみます。
「動摩擦係数速度依存性」
これで検索すると、ホームページよりもPDFファイルがいろいろヒットし始めます。研究資料みたいなやつらですね。最初に触れた通り、今回の話はすごく難解なことになっていて、軽くネットで関連ワードを拾ったぐらいだとむしろ嘘くさく思えて来るでしょう。
嘘くさくなる理由のほうを、触れておきます。実は摩擦がどういうメカニズムで発生しているのか、まだよくわかっていないんだそうです。摩擦力を計算する式にしても、経験上その通りになってるから利用されている、という状況らしく。動摩擦の係数が速度によって変化する仕組みというのもはっきりと解析されてるわけじゃなく、速度域ごとに摩擦係数を測定した結果をグラフ化した資料は少し見つけることができましたが、法則性はないみたいです。大雑把には速度が低いよりも速度が高いほうが摩擦係数は小さくなる傾向はありますが、速度を高くしていくとある時から逆に摩擦係数が増大する例もありました。
こういう、規則性の確認が難しい現象だもんだから、何を言っても嘘くさくなったり、こうだと結論した現象の逆の事例が登場したりと、まあどうにもこうにも。
そこへ来て、自動車の場合はもっと厄介で、ブレーキシステムの動摩擦係数の変化と、タイヤと路面の摩擦係数の変化が、別々に起こります。そこに荷重変化と運動エネルギーの変化と摩擦面から逃げる熱エネルギーのことを考え始めると、もうなにがなんやらわからんくなります。キャンバーやトゥーやロールセンターや車体挙動の慣性や路面凹凸まで意識すると、ここらでさじを投げたくなります。
一番知りたかった転がり摩擦のほうは、さらにネットで拾えた資料が少なかったです。

で。
以前聞いたことのある話+かなり前からネットで拾い集めてきた情報+経験則込みで。
「車速は低くなればなるほど摩擦は強くなり、車速が高くなればなるほど摩擦は弱くなる」
と、考えることにします。
もう一歩踏み込むと、車速が高いと車体が持つ運動エネルギーも大きくなるので、同じ最大摩擦のタイヤで横Gを受け止めようとしても、グリップを失いやすくなります。車速が高い時には横Gの小さい旋回操作をしなければいけないので、運転操作としては結果的にグリップが弱いのと同じことになります。
車載動画を見ていても、そういう現象が見てとれます。コーナーのクリップ付近で、ブレーキをゆるめながらハンドルは大きく切り込む、とかやってますよね。ブレーキをリリースしているということは、前の荷重を抜いていることになります。それが曲げるブレーキなのかというと、どうもちょっと違って、クリップにつくだいぶ前からそこそこハンドルは切ってある状態だったりもします。フリクションサークルの考え方だと、このとき縦方向のGを真横に使っている、という説明になるんですが。どちらかというと、車速が落ちたからグリップが最大になったので、ハンドルを切りこむことができた、というように見えます。そう考えて操作してたとしても、結果は同じになるということです。
ですから、08-1で考えた大きさが変化するフリクションサークルの考え方でやるとしたら、車速が落ちるにつれてフリクションサークルが大きくなるような図解が実際の操作イメージに近くなります。フリクションサークルそのものが大きくなっていくんですから、そのまま切り込んで行ってもグリップが抜けることもありません。ただ、その切り込むタイミングが早すぎると、グリップが抜けてどアンダーが出ます。

車速が落ちるとグリップが増す。
このことを起点に、フリクションバンドを説明していこうと思います。


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Posted at 2014/08/08 20:30:05

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