「あんた何やってんの、もっとアクセル踏みなさいよ」
「次、2速にして」
ゼロワンが叫んできた。
「あ、もう200m、ほらブレーキ踏んでー」
3速に入る前に200mに到達してしまった。
ゼロワンがブレーキと叫んでいたのであわててブレーキを踏んだ
通常よりはいっぱい踏んでるつもりだった。
しかし、50m先のパイロンを少し越えてとまった。
「あんた、ブレーキも踏めてないじゃない。」
「100kmも出てないのに止まれないなんてヘタレね」
ゼロワンにだめだしされてしまった。
しかし、この距離とスピードが絶妙だった。
いつも通りだとクリアできなかったのだ。
いつもは気持ちよく走れている気だったが、
もっと気持ちいことを見つけた気がした。
それは、決してゼロワンに罵倒されることを好んでいるのではなく
運転の奥深さを少し知ったからである。
「プロ、今のはどうでしたか?」
僕は先ほどのブレーキングの感想を聞きにプロの下へ行った。
「ゼロワンか、この前のキミだね」
「クルマの仕上がりはいいね」
プロは僕のことを覚えていてくれた。
「運転はもっとメリハリを付けるといいよ」
「アクセルもブレーキも、もっと踏みましょう、ココは安全で広いから」
「次はタイヤがロックするまでブレーキを踏んでみて何か感じると思うから」
プロは先ほどの走りをよく見ていた。
全力で加速していないことを外から見てわかっていたのだ。
それにしてもタイヤをロックしたら
どっかにとんで行っちゃうのではないだろうかと不安になった。
そう考えているうちに2回目がやってきた。
「あんた、メリハリ付けて運転しなさい」
「あたしのスペックは見た目以上なんだから安心して」
ゼロワンが根拠のないことを言い出した。
もちろん僕を安心させようとの気遣いからの言動だと思った。
「では、次の方スタートお願いします。」
今度はアクセルを思いっきり踏んで加速した。
1速からクラッチ踏んで2速にシフトアップ、
クラッチ繋いでアクセルを踏み込む
なんだかとても気持ちよく加速していく。
2速から3速これも気持ちいい
200mまでに何とか100km/hまで加速した。
「ちゃんと加速すれば出るじゃない」
「私も気持ちよかったし」
ゼロワンが先ほどの操作を気持ちいいと感じていた。
今までシフト操作がぎこちなかったのはちゃんと加速してなかったこともあるし、
シフト操作の時間とエンジンの回転数の落ち方が絶妙にリンクしていたのだ。
次はブレーキだ。
こちらも思いっきり踏んでみた。
つづく
「皆さん、おはようございます。私が講師を務めます。」
「よろしくお願いします」
先日会った、プロドライバーの方が挨拶をしていた。
レーシングスーツにレーシングシューズを履き
手にはヘルメットとグローブを持っていた。
「今日はドライビングスキルの向上を目的に安全に」
「この広場を使って講習を行います」
「安全に走行していただくため、いくつかの守っていただきたい事項があります」
プロは今回の講習会を安全に進めるための注意点を説明していた。
「今日のカリキュラムは、3パターンあります。」
「一つ目は、ブレーキングです。」
「ブレーキングはクルマを運転する上で最も大事なスキルとも言えるでしょう」
「いかにクルマを早くスムーズに止めるかは、いろんな場合に必要になります」
「二つ目は、旋回しながらのブレーキングです」
「これは一つ目のブレーキングと違い、ハンドル操作との連携が必要になります」
「この連携に依っては自身のクルマの動きが変わることを」
「体感していただければよいでしょう」
「三つ目は、コースを使った減速・旋回・加速をスムーズに行います」
「車速の低い状態から徐々に慣れスピードが上がるにつれて」
「操作が難しくなることを体感していただきます」
「コース練習では私が皆さんのクルマに乗りお手本を見せますので」
「操作の仕方やクルマの動きを間近で見ていただきます」
「また、練習中は外から皆さんのクルマの動きをチェックしていますので」
「感想アドバイスをいたします」
「こちらを通る際は声を掛けてください」
「それでは、ブレーキングからはじめたいと思います」
「今3列に並んでいただいてるので、その列ごとに分かれて」
「スタート地点に移動願います」
「スタートの合図はスタッフから行いますのでお守りください」
「ブレーキングの手順ですが、スタート地点から200m先のパイロンまで」
「フル加速していただきます。」
「今日は高性能な車種が多いので100km/hまで加速してください」
「その後、50m先のパイロンまでにブレーキを踏んで停止してください」
「ABSのついている車種はABSの効く状態を体感してください」
「ABSの解除できる方は自分の感覚との違いが体感できます」
「ABSのない方はなるべくロックさせないギリギリの」
「絶妙なブレーキングをお願いします」
「ではブレーキングの練習を始めましょう」
プロの方の講習会の説明が終わった。
みんな真剣に聞いていた。
僕もなんだかためになる講習会になることを予感していた。
今まで、思いっきりアクセル踏んだりブレーキ踏んだりをしていなかったので
今日は思いっきり自由にゼロワンを走らせられる期待と
思い通りに操作できる自信に満ち溢れていた。
ブレーキングの練習が始まった。
周りでは、軽やかな加速音とブレーキの音が響いていた
「キ、キィー」
ブレーキを盛大にロックしているクルマも何台かあった。
「では。次の方、スタートお願いします」
僕の番がやってきた。
僕はギアを1速に入れ、クラッチを繋ぎ、アクセルを踏んで加速した。
ちょっと大きめの排気音とともにゼロワンが加速し始めた。
つづく
日産 NISSAN GT-R カテゴリ:その他(カテゴリ未設定) 2018/01/31 20:44:33 |
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