2014年07月07日
講習会当日の朝
いそいそと出かける支度をしていた。
「ヘルメット、グローブ入れたよね」
「長袖、長ズボン着てるよね」
僕はぶつぶつと言いながら、必要なものを揃えていた。
「あんた、サーキット行くんでしょ」
「そんなに緊張してて大丈夫なの?」
ゼロワンが心配して声をかけてきた。
「大丈夫だよ」
僕はちょっと怒り気味にそう答えた。
内心、サーキットはちょっと怖いところだと思っていた。
レースの映像を見てもコーナーとかでものすごく近づいてるし
ときには接触してるし、コースからはみ出してえらいことなってるし
ゼロワンを絶対傷つけたくなかった。
でも、運転は上手くなりたかった。
師匠から運転が上手くなりたければ、スピードの出たゼロワンを知ることだね
と言われて、スピードの出せるサーキットに行くことに決めたのだ。
「よし、行こうか」
自宅から1時間ほどサーキットに向けて出発した。
もうすぐサーキットのゲートというところで珍しいクルマにあった。
「あれなんて言うクルマ?かっこいいね!」
ゼロワンが興奮気味に聞いてきた。
「えっと、メルセデス・ベンツかな」
フロントにでっかくエンブレムがくっついていた。
白いボディに大きなアルミホイール、いかにも速そうな2ドアクーペだった。
信号待ちしていた僕達の前を静かに通り過ぎていった。
後部には、SL63AMGと書いてあった。
僕達も同じ方向に曲がりサーキットを目指した。
サーキットのゲートで今日参加する講習会を告げると
優しそうなお姉さんが僕達の名前を名簿で確認して通してくれた。
「会場は南コースになります。お気をつけていってらっしゃいませ」
何とも心地よい声であった。
ちょっとデレっとしていると
「デレッとしない、さっさとクルマ出して」
ゼロワンが不機嫌そうに僕に言った。
「そう急かさないで、今出すから」
僕はそう言い、サーキット内にゼロワンを進めた。
このサーキットは広大なエリアに幾つものコースを備え
色々なニーズに答えることが出来る場所だった。
その中で南コースは広い駐車所の様な場所に線でコースが絵描がれ
少々コースを外してもクルマにダメージが無い初心者向けの場所であった。
「ココは30キロで移動だからな」
ゼロワンに言い聞かせながらゆっくりとゼロワンを進めていると
ひときわ大きな排気音のクルマが後ろから近づいてきた。
ゼロワンも大きい排気音だがそれよりも更に大きかった。
バックミラーで確認すると真っ赤なクルマだった。
フロントタイヤがフェンダーからはみ出さんばかりに存在感を出していた。
南コースに着くと、もう20台位のクルマが集まっていた。
3列に整列していたのでゼロワンもその最後尾に駐車した。
隣に先ほど赤いクルマが駐車した。
つづく
Posted at 2014/07/07 21:22:15 | |
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妄想 | 日記
2014年07月07日
皆さんお久しぶりです。
今週末、一時帰国します。
例のごとく、松本に有る我がゼロワンに乗るためです。
台風が気になりますが、日曜日には通りすぎてくれると信じています。
朝 9時半ごろにクルマ屋さん出向き、数時間駄弁った後
美ヶ原までドライブしようと画策しています。
誰かに会えると嬉しいですね。
前回は、全くの無計画だったので、誰にも会えませんでした。
近くでMTGやってるって教えていただいたのに
道間違えてたどり着けるず、美ヶ原の美術館に付きました。
まぁ、新潟のバイク乗りの方や古いフェアレディ乗りの方とお話しました。
今回も特に計画はなく、行ったら居たくらいが丁度いいように思います。
では、
会社には仕事で帰国することになっているので皆さん内緒にしておいてください。
Posted at 2014/07/07 21:07:09 | |
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zero1 | 日記
2014年07月06日
数日後、一本の電話が掛かってきた。
師匠からだった。
「来週末、講習会が近くのサーキットであるって」
「行ってみない?」
師匠が妙に明るく問いかけてきた。
「来週末ですか?」
「特に予定ないですけど、講習会って行ったことないし」
「大丈夫ですか」
僕は、行ってみたい様な、そうでないような複雑な気持ちだった。
「講習会って言ってもちょっとクルマに興味のある初心者ばかりだから」
「広い場所で一台づつ走るみたいだからそんなに危なくないよ」
師匠は講習会の情報を少し教えてくれた。
「ゼロワンでも大丈夫ですか」
僕はゼロワンが講習会に参加できるクルマなのか心配だった。
なんせ、屋根はないし、ドアもない、車高低いし、
結構うるさいのだ。
排気音もそうだが、事あるごとに話しかけてくるし普通じゃないと思っていた。
「大丈夫、大丈夫、いろんなクルマ来るし」
「タイヤ4つ付いているから大丈夫、それにメンテナンスはバッチしだし」
「何より車検、通ってるから」
師匠は自信たっぷりにこう答えた。
「講習会に参加するのに必要なものありますか」
僕は講習会に参加する方向に気持ちが傾いていた。
参加するのであれば準備が必要と思った。
「そうだね、ヘルメットとグローブ、長袖、長ズボンくらいかな」
「あと参加費ね、29800円」
師匠が準備しておくものを教えてくれた。
その中に参加費と言うフレーズがあり
なんだか聞きなれない金額が含まれていた。
ここで気づいていればよかったのだが
この講習会が大変なものだと・・・
だがしかし、流されるままに講習会に参加することとなった。
つづく
Posted at 2014/07/06 19:02:12 | |
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妄想 | 日記
2014年06月15日
「運転技術の向上ってどんなことをするんですか?」
僕はもうひとつの質問をしてみた。
「そうだな、一応クルマの操作は出来るようになってるし」
「クルマの性格も掴んできたかな」
「次はもう少し速い車速でのクルマの性格を体験出来るといいね」
師匠が次へのステップとして提案をしてくれたが
速い車速でのクルマの性格とは何だろ
「スピードによってクルマの性格が変わるんですか」
僕は師匠にさらなる質問をしてみた。
「遅いスピードではどんなクルマでも、そんなに大差無いけどね」
「速ければ本当の性格が見えてくるよ」
「特にコーナリング性能やブレーキの性能がね」
師匠はどんなことが見えるかを教えてくれたが、
ゼロワンがどんな性格かは教えてくれなかった。
自分で体験して確かめるしかない様だった。
「ところでそんな体験出来る所なんて無いんじゃ、峠道?」
僕は対向車はいないにしても一般道で体験するには
この前の件でも有るように万一間違ったら事故は免れないのではと思った。
「馬鹿じゃないの、一般道でそんなスピード出していいと思ってるの」
「まずは安全が一番よ」
ゼロワンが怒っていた。
こんなに怒ったのは初めてでは無いだろうか
「一般道はまずいね、サーキットとかが安全だね」
「最近は練習会や講習会なんてものもあるからね、」
「それを利用したほうがいいね」
師匠が体験できる場所を具体的に教えてくれた。
練習会?講習会?何だか最近聽いたことのある言葉だった。
ふと思い出した。
先日のポルシェのおじさんがそんなことを言っていた。
僕はゼロワンのグローブボックスの中から一枚の名刺を取り出し師匠に渡した。
「先日、ポルシェ乗りのおじさんから頂きました。」
「プロの方だそうで師匠、知ってますか?」
僕は師匠に名刺の方を知っているか聞いてみた。
「知ってるよ、どうしたのこの名刺?」
師匠がこの名刺の出処を訪ねてきた。
「えぇっとですね。」
「この間、ゼロワンが言うこと聞かなくなった時に前を走っていた」
「ポルシェの方から頂きました。」
「その時少しお話しました。」
僕はその時の事を話した。
「そうなんだ、そこの雑誌に載てるよ」
師匠は、長椅子の上においてあった雑誌を指さした。
レーシングスーツを着て、スポーツカーの前で写っているおじさんが
雑誌の表紙に載っていた。
「最近は雑誌の仕事や講習会の講師をやってるね」
「そうだ、講習会行ってみたら」
「結構わかりやすく教えてくれるよ」
「講習会、聞いとくよ分かったら教えるね」
師匠は嬉しそうに話していた。
直接聞けるような仲なのだろうか?
何だか話がどんどん進んでしまったが、
まぁ、自分でやってたらいつまでも進まないので
この話に乗ることにした。
師匠は、ゼロワンのタイヤの空気圧調整し、エンジンオイルをチェックした。
「ゼロワンのセッティングは変えないんですか?」
僕はゼロワンの調整に付いて尋ねた。
「まずはこの状態で車速の高い時の性格を体験してから変更するよ」
「本当の性格を知ってからの方が間違いが無いと思うんだ」
師匠は今のゼロワンをもっと知ってほしいと思っている様だった。
僕もゼロワンの隠れた性格をもっと知りたいと思うようになっていた。
ゼロワンに乗り込み師匠の工場を後にした。
つづく
Posted at 2014/06/15 13:41:35 | |
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妄想 | 日記
2014年06月15日
師匠がゼロワンに近づきいろいろと見ていた。
タイヤやサスぺンションの取付、ブレーキ面、走行距離など
最後にタイヤの空気圧とホイールナットの増し締め行った。
「アライメントは問題ないね、ブレーキも4輪均等に効いてるし」
「タイヤの減りも問題なけど、フロントの方が多いかな」
「空気圧がフロントが低いね、この辺が原因かな」
師匠がゼロワンの状態を説明してくれた。
「推測だけど、コーナーに対して多少オーバースピードで侵入して」
「ハンドルを切ったけど」
「今までの様にゼロワンの向きが変わらなかったのかな」
師匠がその時の状況を補足を加えながら整理してくれた。
「そうです、ちょっと速いスピードで曲がろうとしたんですけど、」
「ハンドルいくら回しても向きが変わらなくて、」
「ゼロワンも途中から黙っちゃうし」
僕もその時の状況を思い出しながら伝えた。
「なるほどね、今回のことはね」
「フロントタイヤの空気圧が下がってて前後のバランスが悪くなっていたから」
「フロントタイヤが負けてアンダーステアになったんだね」
「そもそもオーバースピードがいけないんだけどね」
「それからもっとゼロワンの言うことを冷静に聞こうね」
「闇雲にハンドル回してもクルマは曲がらないからね」
師匠が今回の問題点を説明してくれた。
「前を走っていたポルシェは同じようなスピードで曲がって行ったけど」
「これはクルマの差ですか。」
僕は率直に聞いてみた
「そうだね、」
「今のゼロワンは君の腕前に合わせてあるからね」
「以前のまま、今回と同じことしたら」
「スピンして反対車線のカードレールに行ってたね」
師匠は真剣な表情で語った。
「実を言うと曲り難いクルマにしてあるんだよ」
「クルマに慣れてないしそんなにスピードも出さない様だったから」
「その方が安全だし、急激な変化が無いから怖くも無いしね」
師匠はゼロワンに施してあったセッティングの事実を語った。
「しかし、慣れて来てスピードレンジも上がってきたから」
「少しセッティングを変えてもいいかな」
「でも、キミの技術もそれに合わせて上げていかないと行けないね」
師匠がゼロワンのセッティング変更を考えていた。
と同時に僕に運転技術の向上を要求してきた。
「セッティング変えるんですか?変えると以前の様にじゃじゃ馬に・・・」
僕はゼロワンを見ながら以前のゼロワンの事を思い出していた。
ゼロワンはこっちを見て首をかしげていた。
「セッティングって言っても色々あるからね」
「乗り手の性格や技量、好みによって調整できるからね、このゼロワンは」
師匠が僕の不安を和らげる様に説明してくれた。
つづく
Posted at 2014/06/15 13:04:40 | |
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