
新型のアテンザスポーツ2500ccFF5ATに20分ほど市街地を試乗してきました。今日の午前中に届いた走行距離27kmのぴかぴか車両です。アルミホイールのデザインから判断すると25Zのグレードで色はカッパーレッドマイカ。気がついた装備品はメーカーオプションのカーナビ、プッシュ式スタート、標準なのか部分的に革張りになっている運転席パワーシート。
まずは外見です。ぱっと見た瞬間、「格好いいじゃん!」と思わず独り言を言ってしまうぐらい、バランスの良い練りに練られたデザインです。この外見だけで、購入予備軍には注目されるでしょう。車にあまり興味がない人でも、格好良いと思うような気がします。何はともあれこの一番大切な入り口は大成功だと思います。具体的にどうデザインを感じるかは個々人の感性にゆだねるところが大きいのですが、それでも二枚目は二枚目、美人は美人と多くの評価が一致するように、この車にも当てはまる気がします。私が気に入ったのは全体のフォルム。外寸は拡大しているはずなのに、十分な塊感がありながら、コンパクトに見せているプロポーションです。ワゴンも展示してあったのですが、スポーツのデザインは抜きん出ています。セダンと比べて重量が50kg近く重い構造がネックかもしれませんが、ワゴンにも匹敵するユーティリティと飛びぬけたデザイン性能でアテンザの中で最も売れると予想します。
さて、ドアを開けます。ここで開閉の音を試乗のときはしつこいくらいチェックします。「ボム!」とMSアテンザと比較すると遥かに高級感のある音色を出します。新型のインプレッサ、フォレスターでもすごく良くなっていて感動したのですが、アテンザもそれ以上により精度が増して密閉度の高い音を出します。窓開けている状態でも安物の音にならないのは、旧型?MSアテンザオーナーとしては羨ましい点です。ドアを閉めるとウェルカムライプというのでしょうか。オーディオ、インフォメーションディスプレイ、メーターと何もしないのに順次点灯していくのは、なかなかにくい演出です。夜はより効果があると思います。
乗り込んでポジションを設定します。テレスコ、チルトの稼動範囲が十二分にあるので、ベストポジションが取れます。シートは電動でこれも細かい設定ができるので、良い装備です。この後走行するのですが、シート、いいですよ。旧アテンザより特に座面の程よい反発が気持ち良いです。背面の感じは身近い試乗では残念ながら不明ですので、100kmぐらい走行してみたいですね。サイドサポートは街中や高速道路での運転では十分かと思いますが、山道を元気に走行しようとするともうちょっと硬いほうが良いかなあ。シートを一番下まで下げて頭上空間にはこぶしひとつと指1本が入りますので、運転席の空間は座高の高い私のような人でも十分でしょう。リヤシートは姿勢よく座ると、頭上に指が1~2本でした。
エンジンを始動します。ハンドル左脇にあるボタンを一瞬タッチするだけでOKなんですね、今時の車は。旧人類の私としては、便利で楽かもしれないという思いがある一方、車というマシーンが電子レンジのような白物家電化に急速に移行しつつあることを強く感じ、寂しい思いも正直しています。ATもそうですが、「楽に」「軽く」「誰でも扱える」という方向で技術が進歩していることは認めるのですが、そうではない馬と対話しながら乗馬するように、マシーンと「対話」しながら運転する方向性もあらゆる意味で大切にしなければいけないのではないとも思います。まだ日本車の中でもマツダというメーカーは、ハンドリングにこだわり、この「対話」ノウハウがあるので、貴重な存在です。
お店から幹線道路にゆっくり進めます。左右前後の視界が広く、周りの状況が判断しやすいです。MSアテンザのボンネットが意外に視界に目立つので余計そう思うのかもしれません。後ほどバックで駐車もしてみましたが、トランク上の羽が良い目印となり、MSアテンザよりだいぶ楽にバックできます。
ギヤをDドライブのままゆっくり走ります。エンジンは静かですねえ。自動変速もショックもなく気づかないぐらいで、いい仕事をしています。まさに黒子に徹しています。何よりも良いなあと感じたのは、サスペンションのしっかり感、ダンパーの気持ちよさです。これはめちゃくちゃ良いですね。ビルシュテインでもないのに立派です。決して硬すぎるわけでなく、ふわふわしすぎるわけでもなく、快適なソフトさの中にしっかりとダンピングを効かせた、まるで良質のドイツ車(私が所有したり、試乗した車種は極めて少ないのでイメージです)のような味です。MSアテンザM'zTuneのサスより、街乗りレベルでは良いのではないかと、悔しいけど、ちょっと思ってしまいました。日本車ではスカイラインセダンのサスペンションをより上質にした感じに近いかなあ。もちろん、サスペンションだけでなく車重、車体剛性やハンドル特性、シートなど複雑に絡んで乗り味を出しているのですが。とにかく、試乗されるときはこの低速での乗り味にも注目してみてください。
試乗車はダンロップのタイヤを装着していましたが、60km/hぐらいまでしかわかりませんが、タイヤノイズは気にならないぐらい静かで、エンジン音も4000~5000回転まで踏んでも静かでした。これは結構元気な音を聞かせるチューニングしてあるターボ車に乗っているから余計に静かに感じるのかもしれません。エンジンのトルクはターボほどの力強さは当然ないのですが、2500ccあるおかげで、十二分だと思います。動き始めから軽量化した車重とこのトルクのおかげで、車体が軽く感じ、ストレスがありません。
スポーツモードも試してみます。ハンドルにいろいろなレバーやらボタンがたくさんあって、視覚的に煩雑な印象を受けますが、慣れれば使いやすいかもしれません。変速スピードはDSGと比べるとやはりATですので、ダイレクト感は落ちるのですが、それほど悪くない印象です。が、私的には、MTが選択できるのにあえてATを選択することはありえません。MTの試乗車、どこかにないかなあ。
ブレーキの利き方は、MSアテンザのように初期からガツンというのではなく、踏み込む量に応じてリニアに効き方が高まる設定のようです。私はがツンに慣れてガツンが好きなのですが、このほうが、Toe and Healはやりやすいでしょうね。レガシーやインプレッサの設定と似た感じではないでしょうか。
高速試乗と山道試乗をしたいところですが、クローズコースで走行してきたディーラーの営業マンの話によると、真価を発揮するのはやはり高速走行のようです。また、あらゆる速度域でサスペンションが上質の働きをするようです。
このシャシーに必要なチューニングをして直噴ターボ4WDすると、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・欲しくなってしまいます。マツダさんにはあまり長く隠さないで、早めに販売してほしいものです。じゃないと、GTR、じゃなくて 他のメーカーに浮気しちゃうかも。
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インプレション | クルマ
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2008/01/30 16:57:05