注:いつもの能書きです
引き取りと帰省その他で1500kmほど走りましたので軽く所見や今後の課題などを自分用にまとめてみようと思います。念のため付け加えると現在の私の所有する個体の話なので、新車時の感想ではありません。いろいろと手が入り、長年維持された個体の感想ですのであしからず。
(280CEクーペのスペック)
全長:4,640mm
全幅:1,786mm
全高:1,395mm
ホイールベース:2,710mm
車重:1,680kg
排気量:2800cc(177PS/130kw)
エンジン:直列6気筒
駆動方式:FR
(走ってみた感想)
・出だしはたるく、正直60km/hまでは遅いという印象です。重厚すぎるのも考え物と思わされますが、80km/h付近からが本調子です。力強く伸びあがるようにスピードが乗り始め、ドカンと加速がつくのではなく、重量物が次第に速度を増していくような迫力があります。
・100km/hを超える速度帯ではパワーが重量を圧倒し、速度感は重厚そのものとなるのですが、それを支えるのがやはりこの車体ではないでしょうか。速度が増すほど車体の良さが感じられます。多くの人が言うように、この車は常にまっすぐ走ろうとしますね。まったくと言っていいほどふらつくところがなく、雨天時の高速道路でもまっすぐ走る意思を失いません。
・カーブでも車体全体でロールしていくような印象を受けました。過去所有したバイクやバルケッタのような軽量スポーツがトラクションとタイヤで曲がる、それこそカーブに切り込んでいくような刺激があったのと比べると正反対です。サスもいい仕事してると思うんですが、なにより車体の存在感がバツグンです。これはFRの前後車重比率のバランスもあるのかも。高いレベルで全体がまとまっているからか、車体がドライバーと一体になって走る感覚が凄くあります。そのため速度域によって受ける印象が対照的ですね。初めは重く、重厚なだけのクルマですが、走り出すとまるで勢いよく転がっていく鉄の玉のように思えます。メーカー公称「車体は100年、エンジンは60年もつ」というのは伊達ではないと感じました。そういえばクーペのほうがセダンより剛性がアップしているのも重要なポイントですね。
・そしてハンドリング。これは歴代オーナーのセッティングかもしれませんが、私の個体は遊びが少なく意外にも直観的に動きます。市街地や低速時ではパワステがあっても重いだけのハンドリングが、スピードが乗ってくると意表を突くような機敏さを見せ、しかも安定性と合わさって本来のスポーツ性が顔をのぞかせてきます。
・サスペンションは上下によく効くのですが、シートの柔らかさのためか、乗り心地自体は「ふんわり」という言葉がぴったりだと思えます。
・ブレーキはジワリとよく効くタイプでスポーツ性の向上に一役買っているようでした。
・ただし現代のクルマに比べれば「遅い」のは覆しようのない事実です。私は最高でも120km/hくらいしか出していませんが、坂道や減速後の再加速ではもたつくことが多いですね。加速感とは無縁のクルマです。かといって飛ばすクルマでもありませんし、それを求めているわけでもありませんけどね。
・燃費は7~10km/Lの間を行ったり来たりです。
(外装・内装・使い勝手など)
・エクステリアデザインに関してメッキモールや段違いに組み合わされた特徴的なテールライトが目立ちますが、どちらかというとおとなしいデザインなので周囲に埋没しがちです。誰もが振り返る車ではないですね。反対によく見ると古くて珍しいクルマだったという意外性が好きです。私は古いというよりも時代性を感じますが、うちの親父なんかには古いだけなんて言われました(^^)。むしろどんな場所にでも溶け込めるのは良いデザインの証明だと思うんですが、まぁ分かる人だけ分かって欲しいっていう気持ちになります。
・塗装は本当に良いですね。今のところ屋外駐車ですが、水垢や汚れはそこまでつかない、ついてもすぐ洗い流せます。バルケッタなんてたった1週間で取れにくい水垢がついてましたからねぇ・・・80年代のメルセデスに負ける90年代のフィアットの塗装っていったい何なの?
・内装は単色で塗りつぶさず要所要所にウッドやメッキパーツを配し、スイッチ類を中央に集めたているところに感心しました。助手席の人でも使うことのある窓やハザードの操作スイッチは座席の間にあるのですが、ドライバーが使うものはドライバー側へ集めています。そのおかげでドアの内側がすっきりしていて、流れるようなラインが見渡せます。エアコンの吹き出し口も当時のよくある四角いものではなく、ジェットエンジンの噴射孔のような丸いところがスポーティでしゃれていると思います。ただ、私はごちゃごちゃしたコンソールが苦手なので、すっきりしたW123はかなりひいき目で見てはいますね。バルケッタもそういう意味ではシンプルでいかにも安物っぽかったけど、あの洒落たインテリアは誰にも真似できない良いものだといまでも思います。
・ドアの内張りも同系統色でも質感を変えていたり、内側の取っ手が左右で違っていたりと、今まで乗ったクルマと手間のかけ方が流石に違うのを実感しました。ドアの厚さは金庫みたいな感触で、密閉性も高く閉めるのも一苦労です。2列座席のクーペでピラーのない広いサイドウィンドも贅沢ですね。
・静粛性はそれなりです。外部の音は入ってこないのですがエンジン音がよく響きます。音質は複葉機のプロペラがゆっくり回っているような優しげな音で、100km/hぐらいまでは心地よさすら感じます。さすがにそれ以上になるとうるさくなってくるものの、隣や後席の人との会話に不自由するほどではないですね。後席の広さも好評でした。(クーペにしてはですが)
・計器類はシンプルでわかりやすいと思います。特に計器の周りに余計なものを取り付けていないので走りに没頭できますね。油圧・水温・回転数は常に注意しているのでここはありがたいと思いました。
・同タイプのセダン/ワゴンよりショートデッキ、低い車高なのでスポーティーとwikiに書かれていますが、現行の日本車セダンと比較すると十分後ろ(後輪からのデッキ長)は長いと思います。おかげでトランクが広いのでこれは便利ですが駐車するとき怖いですね。でも現行Eクラスより小さいのに、何故か大きく見えるんですよ。全体的に薄く作られているので平べったく見えるからかもしれません。
・帰省旅行に使った感想では、荷物はトランクにかなり入りました。旅行用スーツケースは中型でも3つは入りそうです。ただし座席周辺の収納は全くないので割り切りが必要です。まぁ私は車内にものをたくさん持ち込むのが嫌いなので構わないのですが、今の基準で言うと不便は不便ですかね。前が2シーターのオープンだったこともあり、実用性はそこまで低いとは思えませんでした。
全体的に見てさすがに古さも感じるのですが、30年以上前のクルマにも関わらず信頼できる部分、感心できる長所も多く非常に好感が持てました。合理的というか妥協がないというべきか、クルマ造りのうえでやるべきことをしっかりとやっているクルマですよね。とても実直なものの作り方だと思います。
以前の私はメルセデス・ベンツに対し威圧的な金持ち趣味の嫌なクルマという印象が強かったのですが、結局それは乗り手と見る側の問題であって、クルマ自体の本質とは無縁なところでの評価でしかなかったと思います。今の私のメルセデスの評価は「実直な物作りの中で生まれた究極の道具」という、まさに巷の評判そのままの評価になりました。
間違いなく、長く乗れば乗るほど良さがわかってくるクルマだと思います。
(今後の課題)
・インダッシュナビとバックカメラはさっさと導入したいですね。
・もう少し走ったらオイルを交換するつもりですが、その時にエンジン内部の清掃もしようかなと思います。これは主治医に相談して決めるつもりです。
・都内のW123専門店でオルタネイターの強化品を扱っていたのですが、HID化等が進んだら必要になるかも。今のところ電装関係は安定しています。
・再三話が出ていますが、主治医のところでコンプレッサーのロータリー化を提案されているので、費用のねん出が可能になったら相談しようと思います。前直してもらったので、こちらも今のところは大丈夫ですね。
・フェンダーモールはつけたいんですが、自宅での作業はリフトアップしないとかなり面倒&危ないのでパーツを自分で調達したら主治医に頼むかなぁ。
・防水作業はおいおいやっていく予定です。ドレンが生きてるから定期的なチェックでカバーできそうですけど、うーん・・・どうなるかな?
まぁとりあえず調子が良いのでまだまだ長く乗れそうです。
楽しいクルマに出会えてマジ幸せです。良い縁ができました。
(^▽°)v