旧暦１月１３日

今日は稲沢市は国府宮の裸祭りの日
江戸時代前から続く伝統ある祭りだ

厄を背負う”神男”に触ると厄払いできるという言い伝えに、一人の新男めがけて数千人のはだか男が群がる奇祭中の奇祭

前厄から一昨年までの５年間、毎年参加していた小生である。

厄年を迎えるにあたり、厄払いに出てみたいと、とある酒宴の場の勢いで稲沢の○○会議所の先輩にお話したところ”是非来い！”とのお言葉を頂き、毎年先輩の町内から参加させて頂いていたのである。

さて、酒の勢いで言ってしまったものの、少々後悔
と言うのも、先輩達から裸祭りの実情を聞けば、この祭りが半端なもんじゃなく、
「アバラの一本は覚悟しておけ」
「雪が降ったら地獄の寒さだぞ」
「うず（裸男の群集の中のこと）の中じゃ呼吸できないぞ」
とのこと　

あちゃーっ　と思った

第一、なにせこの時期の寒空の下へサラシ一丁になって出て行くなんてしたこともないわけで、それ以上の試練があるわけだ。

けどここで怯んでは男がすたるってもんだ
ここは得意のやせ我慢で
「そんくらい覚悟して行きますよ！！」と小生
かくして、奇祭への道が開かれた次第

さて当日
昼時を先輩宅で軽く酒宴　体が温まってきたところでサラシ一丁になり、２月の寒空へ出陣
とんでもなく寒いと思いきや、案外そうでもない。酒の力と気合が入るせいか縮み上がりはしないものである。服を着ていようが裸だろうが寒い事には変わりはないと思った。（麻痺してくるんだろうかなぁ）

まず先輩の町内から、国府宮の境内まで紅白の笹を担いで行き奉納。
それから待つこと小１時間、神男の登場で奇祭”なおい神事”の始まりで境内は裸男たちのもみ合いが始まる。

一人の神男に触って厄を落とそうと何千という裸男達が群がるわけで、正気の沙汰ではない。

渦の中へでは、群集の流れに揺さぶられまくり、足はすくわれ、処かまわず回りから水が飛んできて全身びしょぬれ、渦の外にでたくても出られない、息がまともに出来ない時もあるし、アバラがきしむ。
それでも神男めがけて前進あるのみだ。

初めの年は、わけのわからないうちに終わり、２年目は神男まであと１ｍのところまで近づいたが、手前で転倒者がでて遠ざけられ、３年目にして念願かなって神男に触ることができた。

やがて祭りが終わり、境内のあらかじめ決めておいた待合せ場所からずぶ濡れのまま先輩のお宅まで歩いてもどる、日は暮れているから寒いなんてもんじゃない。男同士体を寄せ合って震えながら１．５キロの道のりを歩く。
実はこの間が一番辛い時で、毎度のことながら毎回もう来年はやりたくないと思ういながらひたすら歩くのだ。

しかし先輩宅へ着いてお風呂を頂戴すると妙な充実感が湧いてきて、風呂上りの乾杯では「来年もお世話になりま～す」となるのである。

男だけしか参加できないこのお祭り、
年に一度「男冥利に尽きる」という言葉をひしひしと噛み締められる一日なのだ。

一昨年から諸事情あって、一旦お休みとなっているが、また機会あらばと目論み、今日あと２時間後から繰り広げられる”なおい神事”に思いを馳せる旧暦１月１３日である。