こんな夢を見たのです。
どこかの真夜中の高速道路。
気持ち良く120km/h位で走っていると(※注・新東名高速は区間により上限速度が120km/hですので、何もおかしな夢ではありません)、ルームミラーに写るハイビーム。
ミラーを常に見ているので、早期に相手の存在に気づき、それまで居た追い越し車線から早めに走行車線に退避。
右から抜いてゆく、いわゆる世間のイメージでいう高級外車と呼ばれるメーカーのSUV。
抜かれたとは言え、さほど速いとは思わなかったが、流れをリードするという速度を大幅には上回っているように見えた。
その後姿を見るともなく見ていると、他の車はまばらにも拘わらず、ちょっとギリギリまで前の車に迫ってみたり、下品にスラロームして前方の車を抜いてゆく。
「ちょっとそういう走り方…好きじゃないなあ。」
何となくつぶやきつつ、同時に昔の自分の素行をなるべく思い出さないようにしながら、無意識に、右足に力が入ってゆきます。
しかし、悲しいかなこちらは国産車。
追ってゆけるのは、”あるところ”まで。
相手がこちらの存在に気づいていたのかどうかはわかりませんが、少なくとも、”あるライン”からはどんどんと相手だけが前へ進んでゆく結果に。
レブカウンターには、まだ3,000回転位の余地を残しているのだけどなぁ…。
などと、ため息が出ます。
――というような夢を。
というわけで、各地のオートバックスなどのカー用品店で行われている、
SUBARUチューン専門店「PROVA(プローバ)」さんのフェアに行ってまいりまして。
PROVAさんの商品であるSSECU(スーパースポーツECU)」への書き換えを依頼してきたのです。
昔はOBDⅡポートに差し込んで、直接チューニングデータを書き込める「アクセスポート」という商品が、SUBARU車向けにあったのですが、現在は廃番。
ほかに、HKSのフラッシュエディターとか、スピードリミッターカットだけが可能なSLDだとかといった商品もありますが…。
SH5フォレスターは、非対応!
(いや厳密にいえば、非対応というよりは、施工履歴が無く対応可否不明、なだけかも知れませんが)
どうしたものか、と思いましたが、まあ結論的にはECU書き換えしかないよね、と。
ランエボ6の時に、横浜の某ランエボチューンで有名なショップに現車合わせをやってもらった事がありました。
その時に、ECUチューンの凄さは体感済み。
幸い自分は、凄さの体感のみで済み、デメリットや何かの破損、破壊、不調等は感じないまま車を降りる事が出来ましたので、ECUチューンには良い印象が大部分です。
とは言え、昔から、「一つ間違えるとエンジンぶっ壊れるから、下手な商品(メーカー、ショップ)に手を出すな」という話は、腐るほど聞いています。当たり前の話ですが。
さて、どこにしたものか…と探して色々迷った結果、スバルチューンに実績のあるPROVAさんを選択。
某市のスーパーオートバックスでのキャンペーンフェア会場に行ってみたわけですが、そこでの展開パターンは4つ。
①うちのフォレスターのECUが、その場書き換え可なものであれば、その場30分ほどで吊るしデータをインストールして終わり(エンジン内部やタービン交換レベルでなければ、多少マフラーが変わってようが剝き出しエアクリだろうが、大丈夫らしい)。
②その場では無理だが純正データが吸い出せるならば、その場はそこで解散し、後日データ完成後にECUを外して送る。でインストールしてもらって返送。
③ ②で吸い出したデータを解析した結果、何らかの理由でデータ作成が無理であれば、まあ作成キャンセル。
④そもそもデータが吸い出せないパターンだと、その場で施工不能が確定。
え、そもそも出来るかどうかわからなかったの?て?
そうなんです。
これはPROVAさんのメカさんに現場で聞いた話ですが、SUBARU車ってのは、同じ車でも、MT・AT・NA・ターボといった違いでのデータ違いはもちろんのこと、「ECU ID」というものが非常に細分化されて設定されているそうで。
例えばSH5アプライドC型のグレードXTの5MTであれば全て一緒かと思いきや。
その中でも、ある個体群のIDはXXXXXXXX、別の個体群はXXXYYYZZZ。
しかもその規則性が読めないらしく、アプライド別でもなければ、明確な時期別でも無い。かといって1台1台すべてが違うわけではなく、同一IDの個体もある、と。
それでそのIDが違うECUのデータを書き込んでしまうと(そもそも書き込めないのかもしれませんが)エンジンが掛からなくなるわけで。
かと言って、既存の施工履歴のあるECUを持ち込んで書き換えてもらったとして、それを車に繋いでも、今度はイモビライザーのセキュリティ関係でエンジンはやっぱり掛からない、と。
なので、今までPROVAさんが施工した個体の中で、たまたま同IDかつ同グレードの同MT形式のECU書き換えをした事が無い時点で、絶対に②以降になってしまうわけなのです。
で、そうなるともちろん、「もし万が一」あるID以降、ECUの中身が激変していたり、そもそもデータ吸出しが出来ないようになっていれば、書き換え不可、または従来のデータが参考にならないのでワンオフ級の作業になってしまう…と。
ということで、必ずしも施工できるとは限らない状況での、施工依頼だったのです。
これは、事前に電話で確認済みの事実でした。
PROVAさんのSSECU適合表にも、アプライドC型のXTは適合可否が載っていなかったので、施工履歴自体が無かったんですね。
果たして、行ってみて
OBDⅡにPC繋いでもらって
メカさん「んー…OBDⅡ経由でECUと通信は出来てるんで、データの吸出しは出来ましたが、やっぱID違うのでこの場での施工は無理ですねえ。」
ワイ「さよかー…まあしゃあなしやね。持って帰ってもろて、作れるかやってみてください。出来たら連絡貰えれば、ECU外して送りますわ」
メカさん「承知しました。持って帰って1週間から10日くらい見てもらえます?」
ワイ「頼んますわ。ちなみにお支払いはどうすれば?」
メカさん「別に出来上がってからの振り込みでも良いんですけど、そっちだと定価(107,800円)の請求になっちゃうんですよね。今日フェアやってるので、ここでオートバックスさんに払っていくと98,000円での会計で行けますけど、どうします?」
ワイ「そらもう今日払いますわw」
そして待つこときっちり10日後の夜18時半。
電話が鳴りましたので、翌日朝イチに純正ECUを助手席足下のカーペットをめくって外して速攻で送り。
翌々日には、帰ってきたので、さらに翌朝に装着(本当は戻ってきた日の夜つけたかったのだけど、残業&超豪雨で…)
控えめに、しかし確実な存在感を醸し出す「PROVA」ステッカーを貼られたECUを車に戻し。
取説通り、最後にバッテリーをつないで、キーを回して燃料ポンプの動作音やらの確認認しつつ、1~2秒キーをひねり続けでエンジンをかける。
変な警告灯が点いていない事も確認し、しばらくアイドリングで初期学習。
大体、電動ファンが2回作動するくらいで学習は完了とのこと。
ただ、回ってんだかどーだか分からなかったので、狂っちゃった時計の再設定などをしながら10~15分くらいアイドル。
最初は1,500prmくらいに張り付いていたアイドル回転が800rpm位に落ち着いて安定したのを確認し、エンジンを切りました。
そしたら改めて、試走に。
ちなみに、コンセプトと設定数値はこんな感じとのこと。
とは言っても、リミッターカット(というか上限値変更)の効果は、公道では試せませんので、サーキットか広大な私有地か、それとも夢の中でしか確認できません。
そこ以外のところと言うと、シャシダイ回してパワーチェックをしたわけでもないので、全てフィーリングの話になってしまいます。
なので、プラシーボも含めてのインプレになりますが…。
以下は、その後実家への帰省などもしていたため、下道・高速その他を500km以上走ってのトータルの感想です。
変化としては
①アイドリング音が静かになった。
②シフトダウン時にアクセルをあおった際の、回転のキレが向上した。
③信号発進からの発進が、より滑らかと言うか、力強くなった。
④2速低回転などからの全開加速が、以前より少しシートに押し付けられる感が増えた。
⑤スピードの“伸び”が向上し、こちらが思っている以上に前に前に出るようになった。
こういった感じでしょうか。
①は何故なのか分かりませんが、音量自体と言うより、音が「密に」なった感じで。
今までガサツな音だったのがキレイな音になったというか、表現としては大げさですが、例えていうなら直4の音から直6に近づいたというか。
実はdb数としては変わってないのかもしれませんが、人間の耳には「音質として小さく聞こえるように」なったのかもしれません。
②ヒール&トゥの時に、今までグンッとアクセルを踏んで回転が上がってそこでクラッチを繋いでも、こちらの望んでいる回転まで上がりきらないままギアが繋がるタイミングが来てしまうことが多く、より早めにアクセルを踏まないといけませんでした。
それが、ランエボの頃から体がなじんでいるタイミングで「アクセルあおり&シフトダウン→クラッチ繋ぐ!」でイイ感じの回転にまで上がってくれるようになりました。
ランエボの時も、レーシング時のレブレスポンスが鋭くになった記憶があるので、そういった面もあるような気がします。
③まあこれは読んで字のごとく。
別に鬼トルクになった!…とかは感じませんが。
前にコトスポーツの強化ブローオフに換えて、極低速域の向上を感じたのと同じベクトルです。
PROVAさん自身も「NA領域の底上げ」と仰っていたので、そういう部分なのかと。
まあその領域が仮に100馬力上がっても乗りにくいだけなので、激変はしないのが当然なんでしょうけどね、出来るのだとしても。
④は正直、鼻水が出るような激変はしていません。
最大ブーストも、純正から意図的にブーストアップしたわけでは無い程度のようですし「NA領域からの全体的な向上を行った結果、上でもブースト自体はちょっと上がっちゃうのでパワーは上がるけれどね」というのも、PROVAのメカさんの言。
なので、ランエボの時のような「踏んだ瞬間変な声の笑いが自然と出てしまうような変化」まではありませんでした。
ただそれでも、パワー感の向上は垣間見えたので、よしとしましょう。
⑤施工前と同じ感覚で走っていると、自分が思っているより+10km/hくらい速度が乗っている。なので、わずかにアクセルを戻すようになった。
これも、ランエボの時にも感じた感覚で、それまでより車が勝手に前に前に出ようとする、という。
自分の運転の仕方を少し修正するだけで消える現象ではあるのだけれど、これこそが全体的なパワーアップの証左なのかもしれません。
正直、これを書いている時点ではもう体が慣れてしまって、分からなくなってしまった(体側で対応してしまった)部分ではあります。
まあなんにせよ、一番の目的であるスピードリミッターカットが達成されている(ハズ)のが何より重要ですから。
その意味では、施工した時点でこちらの勝利と言えるでしょう(笑)
悪くはなってませんしね、少なくとも。
そんなこんなの、ECU書き換えでした。
またリミッターカットを検証する夢を見たら、夢語りでもしましょうかね…。
しかし…パワーと言うのは、麻薬ですね…。
ランエボ6の時、たかが340馬力&46kg-m程度(※シャシダイ実測)の物でしたが、それを1,360kgの車重に乗せた車両を一度体感してしまっていると…今回仮にパワーが上がっていたとしても、ノーマルの数値を考えると良くてせいぜい240馬力、34kg-m程度でしょう。
全然これでも、かったるく感じてしまいますね…。
しかし、あの時は現車合わせECU、燃料ポンプ&ハーネス交換、吸排気メタキャタまで変えてブーコンで制御。
あの麻薬を味わいたいなら、最低でもその程度は整えないととダメなんでしょうねえ…。
ま、この車は、そういう車じゃないってことで!