
皆んな大好き、炭素化計画。
#職人のクルマに、「脱炭素」という言葉はありません。
フロントバンパー用のカーボン製のカナード(ウィングレット)です。
こちらは、2011年に発売された「
Audi R8 GT」用の部品です。
Audi R8 GTは、世界限定333台で発売され、その内の5台が日本に導入されました。(価格:2,740万円)
画像ではよく分かりませんが、「カーボン・カナード」の素地は、「カーボン・サイドブレード」と同じ、“艶あり”です。
図中、40がカナード本体(Carbon Winglet)で、フロントバンパーの裏側から41のクリップ(Retaining Clip)で固定するようです。(クリップは、片側で5ヶ所)
一方、こちらは、2014年に発売された「
Audi R8 LMX」です。
その名のとおり、栄光のLe Mansでの「Audi R18 e-tron quattro」の大活躍に合わせたもので、世界限定99台て発売され、その内の6台が日本に導入されました。(価格:2,905万円)
Audi R8 LMXに奢られているカーボンの素地は、すべて“艶消し”になっていますので、こちらの「カーボン・カナード」も、“艶消し”です。
職人のAudi R8は、2014年モデルで、ミッションがR-Tronic(シングルクラッチ)からS-Tronic(ダブルクラッチ)に切り替わったモデル(いわゆる後期型)で、年式としてはAudi R8 LMX用が適合します。
しかしながら、「カーボン・サイドブレード」が“艶あり”であるため、統一性を持たせるべく、Audi R8 GT用の“艶あり”にすることにしました。
ちなみに、Audi R8 LMXでは、カナード本体の固定方法が強化されていて、フロントバンパーの裏側から36のブラケット(Bracket)で挟んで、37のクリップ(Locking Clip)で固定するようです。(クリップは、片側で4ヶ所)
能書きが長くなりましたが、本題に入ります。
開封し、中身を確認します。
ご存知のとおり、AudiもVolksWagenグループの一員のため、VWの箱に入っています。
「カーボン・カナード」の内部は、中空になっていて、側面に検印シールが貼られていました。
シールを剥がして、記載内容を確認します。
きちんと、品名、品番、シリアル番号が記載されていました。
この手のカーボンカナードは、某オークションでも、数万円レベルの、安っすぃ~パチモンが数多く売られています。
2,000万円のクルマですから、ここで数万円をケチるようなセコいことはせず、真正のAudi純正パーツを奢ることにしました。
#ちゅーこく製のザンネンな粗悪品を取り付けて、嬉しいですか?
Audi純正の「カーボン・カナード」です。
カーボンの織り目も、継ぎ目なく美しく出ていて、しかも、その継ぎ目の角度も、しっかり左右シンメトリーになっています
#ちゅーこく製のバッタモンとは、レベルが違います。
前述のとおり、Audi R8 GT用は、固定用に片側で5ヶ所のツメが出ています。
このツメを、切断します。
フロントバンパー側を加工してもよいのですが、売却時に元に戻せなくなってしまうため、カーボンカナード側を加工することにします。
Proxxonのミニルーター(No.28400)に、ハイスカッター(No.26727)を取り付け、ツメを切断します。
ハイスカッターでツメを切断し、軸付き砥石で整形したところです。
前述のとおり、カナードの内部は中空になっていることから、パテで埋めることにします。
通常の補修用パテを使ってもよいのですが、せっかくのカーボン素材ですから、軽量性を失わないよう、特殊なパテを使うことにしました。
99工房の「
超軽量パテ」です。
素材の中にマイクロバルーンが配合されており、通常のものより単位体積当たりの重さが軽くなっています。
ちなみに、パテの成形完了後、カナードの重量を量ったところ、片側でわずか60gでした。
超軽量パテで埋めた後、「
バンパー用うすづけパテ」で表面を整えます。
最終的には見えなくなるところですので、表面の平滑性はあまり深追いせず、カーボンの外周部の面が出たところで、サンディングを止めておきます。
つづいては、こちら。
BMW M3 Coupe(E92 LCI)に取り付けた「
カーボン・フロント・リップスポイラー」や、Porsche 911 Carrera S(Type 997 Phase 2)に取り付けた「
フロント・リップスポイラー」と同様、3Mの「
車両用両面テープ」(PCA-10R)を使います。
曲率がきついところがあるため、10mm幅の両面テープを5mm幅の短冊状に切り出し、カナードの外周に合わせて貼り込んでいきます。
その際、外周のエッジからは、約0.5mmほど、内側に貼るようにします。
カナードの両端点は、同じく3Mの「超強力両面シート」を切り出し、貼り込みます。
厚さは、同じ0.8mm厚のものを使用しました。
いったん、アプリケーションシートの紙の方に、鉛筆で形状を写し取り、外周から約0.5mmほど内部になるよう、切り出しました。
「カーボン・カナード」の準備ができたところで、いよいよフロントバンパーに取り付けます。
カナードを貼り込む前に、フロントバンパー表面を脱脂しておきます。
画像は、かなり以前にTOYOTAのディーラーさんからいただいた、業務用の脱脂剤、「プリップゾル」(デュポン社製)です。
左右シンメトリーに取り付けられるよう、少し工夫します。
「Audi R8 GT」や「Audi R8 LMX」の画像を基に、取り付け位置を割り出します。
カナードを少しずつずらしながら、カナードの曲面とフロントバンパーの表面とがぴったり合う位置を探ります。
カナード内側の端点は、コーナーセンサ(超音波センサ)の外周から30mmの位置、カナード外側の端点は、フロントバンパー上端のエッジから182mmの位置でした。
取り付け調整した後、逆側でも同じ位置に取り付けられるよう、型紙を取っておきます。
カナードを取り付けたところです。
このような感じになります。
例の場所にて。
Audi R8 GTやLMXのように、フロントバンパーの裏から固定していないため、接着強度が気になるところですが、まぁ、法定速度で走っている分には、問題ないでしょう。
詳しくは、
こちら。