前編ではエクステリアとインテリアを比較した。
後編では街乗りの試乗インプレッションを書いていく。もちろん素人の意見なので感じ方は人それぞれだということをご了承下さい。
[エンジン]

シビックタイプR
K20C横置き直列4気筒シングルスクロールターボ
最高出力320PS/6500rpm
最大トルク400N・m/2500〜4500rpm

(画像は以前のもの)
WRX STI
EJ20水平対向4気筒ツインスクロールターボ
最高出力308PS/6400rpm
最大トルク422N・m/4400rpm
このスペックから分かるように、最高出力はシビック タイプRの方が高い。しかも、最大トルクは2500回転から発生させ、4500回転まで最大トルクを維持する最近のダウンサイジングターボのような特性だ。なのでとても扱いやすくなっている。
ただ、320馬力をあまり感じない。それが街乗りの乗りやすさに繋がるのだが、+Rにしても正直、「こんなものか」と思ってしまった。このシビック タイプRの楽しめる速度域は街乗りではなく、サーキットなど速度域の高いところにあるということだろう。

WRX STIの方が低速域でも「速いな」という印象が強く、シビック タイプRより馬力があるように思えた。WRX STIの伝統とも言えるEJ20ターボは、熟成を重ねに重ね、老舗赤福のぜんざいのような上質な小豆に仕上げてきている。特に、低回転のトルクの太さはVABの前期型からさらに太くなっている気がした。シビック タイプRのような感覚でアクセルを操作すると明らかに踏みすぎていた。
ターボチャージャーの味付けも、NAのような扱いやすさのシビック タイプRに対してWRX STIは試乗コースの関係で4000回転が限度だったがそれでも十分なパンチがあった。両者ともサーキットのようなところでレブリミットまで引っ張ってみたい。
[シフトフィール]

シビック タイプRは、というよりホンダのマニュアルはとてもシフトの入りが柔らかく、ショートストロークなのでスコスコ入る。S660までとは言わないが、そのくらい小気味いいシフトフィールと言った感じ。
対して、WRX STIは玄人向けというか乗り手を選ぶ印象。かっちりとした手応えは好きだけど、慣れるのに時間がかかりそう。

シビックタイプRのレブマッチシステムも試そうとしたが、街乗りの赤信号での減速くらいだとあまり分からなかった。なので自分でアクセル煽ってシフトダウンする癖が付いているのでそれで間に合った。サーキットやワインディングでスポーツ走行をするともしかしたら楽なのかもしれない。でも自分でヒールアンドトウをする楽しさみたいなものが好きな人は切ることも出来るそうだ。
[足回り]

シビック タイプRはザックスの電子制御アダプティブダンパーが奢られている。コンフォート、スポーツ、+Rのモードを試したが、段々脚が引き締まってくるのが分かった。コンフォート、スポーツでは乗り心地がよく、クラウンアスリートよりよく感じたほど。20インチの大径ホイールを履いていると感じさせないところが驚いた。
しかし、+RにするとアダプティブダンパーシステムによりWRX STIよりもガッチリとした脚の味付けになる。それも、ワインディングやサーキットなどの高速コーナーで真価が試される予感しかなかった。
ハンドリングについては、店の回りを4回左折しただけなので試せず。
[サウンド]

スポーツカーの要素として、音はかなり重要だ。どちらもいい音がするが、シビックはマフラーの排気サウンド、WRX STIはエンジンのメカニカルサウンドがメインに耳に響く。
シビック タイプRはセンター3本だしという珍しい配置で、かなり重低音がよく聞こえてくる。ノーマルのシビック1.5CVTでも好印象なサウンドだったが、音量と質がさらによく感じた。
ロードスターの重低音とはまた違ったしっとりとした音色だった。
[総評]

全体的印象としては、シビックタイプRはとても乗りやすく、乗り心地もよく、まさにクリームのたい焼きのような万人受けしそうなモデルだと感じた。クルーズコントロールやブレーキホールド機能などの機能面も充実しておりWRX STIに勝っている。
対して、WRX STIは20年以上の一貫したパワートレインの熟成を重ねに重ね、クラッチの繋げやアクセルコントロールも慣れるまでに時間がかかりそうだけど、自分のものにするという楽しさがあるというか、飽きずに所有出来そうな感じがした。
車体の剛性感もWRXの方が高いなという感覚はひとつひとつの動作がかっちりとしているからなのかな。
FFとAWDの違いはあれど、同じ2.0ターボエンジンの6MTという組み合わせの国産ホットスポーツカー。少し街乗りで味見をした結果、やはり僕は粒あんのたい焼きを選ぶかな。それも老舗の上品な甘さのあんこをたっぷり詰めた極上のたい焼きであった。

ただ何度も言うように、新型シビックタイプRのポテンシャルの高さは少し乗っただけで分かった。試乗して1週間経ったがまた乗りたくて仕方がない。
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2018/01/25 11:53:50