
量産型エコカーを広めた立役者であり先駆者、プリウス。
ハイブリッドシステムによる燃費の向上に加え、燃費を向上させるために空力まで追求されたスゴイ車です。
聞いたところによると。全グレード共通で床下のフラット化がされているんだとか。
来年の8月には新型が出るとの情報もありますね。
さて、そんなプリウスには様々な広告の売り文句がありました。
ハイブリッド機構やら回生ブレーキやらが主に取りざたされていたように思います。
その中でも私の目を引いたのがこれです。
『30プリウスのCD値は0.25』
※タイトル画像は20プリウスです
ここでふと疑問に思ったことがあります。
CD値って何?
え?空力のことなの?
そういえば『空力』って一言で言っているけど、どんなものなの?
早速調べてみることにしました。
そこでわかったことがあります。
『この情報は事実と少し異なっているのでは?』ということです。
最初に空力とは何かを考えてみましょう。
おそらく空気の流れ全般のことを指すのでしょうか?
では、空力が優れているとはどういうことなのでしょう?
空気の流れがどれだけスムーズに流れていくか、を表す指標でしょうか?
もしそれが指標であるならば、何らかの方法でこの値を求めることができるのでは?
そう思って探してみると、情報がわんさか出てきます。
今回はその中から重要だと思われる部分を抜き出してみました。
興味のある方は一度調べてみてはいかがでしょうか。
(空気力学、流体力学は全くの専門外なので、間違いがありましたらご指摘ください)
空力の指標を求めるにあたって用語がいくつか出てきましたので、まずは用語の説明からいきましょう。
抗力:ある物体(車)とその周りを流れる空気に速度差(プラス・マイナス問わず)がある場合、その物体の進行方向に対して“水平方向”に作用する力。
自転車を漕いでいる時の向かい風と考えればいい?(静摩擦による抵抗は除きます)
CD値:抗力
係数とも。
ある物体(車)が流体(風)から受ける力の大きさを表した値。
この値が大きいほど風の抵抗が大きい。
そしてこの値は、物体(車)の形状に依存している面があると思います。
これはあくまで係数です。(←ここが今回のカギです)
前面投影面積:物体を真正面から見た時の面積。
どうやらこの『真正面』というのは、図面を書く際に用いる「第三角法(三面図)」のように、
・正面(物体の最も代表的な面。車の場合はフロント?)
・側面(車を横から見た場合)
・平面(上空から見た場合or底から見た場合)
といった面から見ることで、測定したい面の面積を求めることができるようです。
物体が前進すると風は物体の後ろへ向かって進むので、今回はフロントの真正面から見た前面投影面積で考えてみましょう。
CDA値:CD値と前面投影面積を掛けた値。
以上のことを踏まえて、そろそろ本題に入りましょうか。
どうやら空力の良し悪しを判断するには『抗力』を求めるのが手っ取り早そうです。
では『抗力』の値はどのように数式で求めることができるのでしょうか?
数式では、
と表されるようです。(数式はWikipediaより引用しています)
これだとわけがわかりませんね。
ならば文字で表してみましょう。
抗力=1/2×空気の密度×車と風の速度差の2乗×前面投影面積×CD値
…はい、ややこしいですね。
なら、空気の密度と速度差の条件は同じとして考えてみるとどうでしょう?
つまり無視するということです。
抗力=前面投影面積×CD値=CDA値
これならわかりやすいですね。
このことから、CD値(抗力係数)は空力性能を求める上で単なる一要素にしかすぎないと考えることができるのではないでしょうか。
それにも関わらず、抗力を求める上での一要素にしかすぎないCD値のみをクローズアップするのはどうかな?と思います。
CD値だけ取り上げるよりもCDA値を取り上げることで、より一層消費者にとって正確な情報を提供することができるのでは?と感じた今日この頃です。
※以上の文章は特定の広告に対する個人の意見です。
~おまけ~
じゃあプリウスのCDA値ってナンボよ?と思う方もいらっしゃるでしょう。
(以下のリンクは英語です)
http://en.wikipedia.org/wiki/Automobile_drag_coefficient
ここの5番“Drag area”にプリウスだけではなく、色んな車のCDA値が載っていますよ。
ぜひ確かめてみてください。
現行プリウスは初代から比べて全幅が50mm、2代目から比べても20mm大きくなっているようです。(1,695mm→1,725mm→1,745mm)
ボディサイズが大きくなるということは、前面投影面積が大きくなるということになりますね。
つまり、空力的に不利な要素をはらんでいるということです。
それでも20プリウスより現行型のCDA値のほうが低い、つまり(静止状態の)空力がよいというのは驚くべきことだと思います。
プリウスのCDA値もさることながら、初代インサイトのCDA値もすごいことになっていますね。
どうしてもここの1位の車を見ると、どこかのイギリス人が某番組で横転させていた車を連想してしまいますねぇ……