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2014年05月02日 イイね!

新しい技術・・・その2 ATミッション・・・の2

前のエントリーでは思わずATのあれこれを書き始めたら止まらなくなって
しまって失礼しました。

さて、いよいよこのATについて、乗ってどうなのよってところに入ります。


前にも書いたとおり黎明期のATは旦那仕様という扱いで
スポーツドライバーを自認する者たちが間違っても選択するものではありませんでした。

ATにはそれなりの利点があり、そこを選択する者がもう少し居てもいいはずなのに
あえて背を向ける真理はなんなのでしょうか?


おそらくはこの言葉に集約されるのかもしれません。

スターリン・モス曰く
『オトコは車の運転とSEXが下手だと思われることだけは我慢がならない生き物なんだ』

少なくとも私らの世代に男性はこの心理が多少なりと理解できる方が大半では
ないでしょうか。

車の運転だろうと房事だろうと上手いも下手も所詮は主観の問題であり
自己満足か、せいぜい同乗者、あるいはパートナーが由とするならばそれでいい、という
類のものであるのが真理のはずです。

なのに、それでも上手い!と思われたい。

そうなんでしょうね、きっと。

但しこれは最近の世代では通用しない世界観だと思いますけどね。

今では運転免許を取らない男性も、少なくとも取りたいと思わない男性が少なからず
存在することがそして女性との親密な接触を望まない男がいるらしい、という話も昨今
聞くにつけ私の世代では理解不能ですが、ともあれ昔の価値観ではそうだったんです。

ですから男性たるもの当たり前のように3つのペダル、ひとつのステアリングとひとつの
シフトレバーを四肢で自由自在に操り車を思い通りに、しかも速く操作することが
なによりも、いや、そう女性から見てもらえることが何よりも大事だったのでしょう。

少なくとも私はそうでした。

だから当然のようにマニュアルシフトで通してきました。

S110はMT。 そのあとのSD1はなにをとち狂ったかATでしたが
そのあとはS13 FD3SとMTを選択。 今よりも多少は世の中の景気もよく
2台目、3台目がありましたのでそちらはATを選択して普段の楽チンはAT.
ここ一番のスポーツドライビングはMT、とやっていました。


昔は様々な雑誌などで頻繁にMTとAT、どちらが速いか、なんて企画をやっていました。

たいていの企画では発進加速もサーキットタイムアタックもMTのほうが多少速かった
ハズです。  
でも、こうした企画モノのドライバーは総じてサーキットレーサーなどで一般ドライバー
とは圧倒的にスキルが違いました。
やったことがある方は分かるでしょうが、たとえば発進加速。
MT車で本当に車のトルクに見合った調度いいホイルスピンを伴ったレーシングスタート
を一発で決めることの難しさ。
エンストするのはもってのほか。
トルクが負けて前につんのめるように一旦飛び出してすぐにエンジン回転が落ちて、
なんてのもみっともない。
エンジントルクに物言わせすぎてホイルスピン過大で前に進まないのも迫力はともかく
スタートダッシュとしてはまったくダメ。
酷い例ならば半クラッチを使いすぎて一発でクラッチをお釈迦にしてしまうという愚行も
それほど珍しいものではなかったと思います。

スーパーカー時代のほんの少しあと、
生臭坊主の織田無道が自身のカウンタックを引っさげてTVに登場してゼロヨンスタート
を披露する企画で、ぶ~~~ん、という高回転を保ったままのエンジン音の割りに
緩慢にしか加速しないカウンタック、TVでは伝わらないが現場に漂う焦げ臭いかほり。
イッパツでクラッチを焼きつかせてシオシオのパーというのも実際にあった話。

それくらい絶妙のスタートダッシュは難しい。

それに引き換えATならば多少の違いこそあれ、基本はアクセル前回でスタート切れば
あとは機械任せでそこそこのタイムは出る。

たとえば当時SS1/4マイル(ゼロヨン)16秒フラット(MT)くらいのそこそこ当時のスポーティカー
があったとして、それがATならばおそらくは16秒後半、悪くしても17秒は超えないと思う。
で、これにユーザーが乗って試したらどうなるか。
MTで車性能の1秒落ち、17秒をだせればそのドライバーはなかなかの手錬。
シロートくちプロレスレベルならば多少の自慢をしてもバチはあたらないでしょう。
能書きはうるさいけど、実際にはあまり経験のない(あ、車の運転の話だからね)おにいちゃん
ならば18秒超えたってなんの不思議もない。

でもATならばこのおにいちゃんが試しても18秒はきっと超えない。

だから『どちらが速い?』と問うならば
車の性能としては確かにMTのほうが少し速かったけど、ドライバー込みならば
MTが速いケースはかえって稀、大半はATに軍配があがったのではないかな。
もちろん直線番長の加速勝負だけでなくワインディングでも忙しいステアリング操作
に加えてトルクバンドを外さないようにMTを、願わくばヒールアンドトーなんぞを使って
巧みに操る、なんてのは、気分はともかくとしてなかなか本当の速さに結びつく
のはそんなに多くなかったのではないかな。

人間はタコや火星人ではないから手が2本に脚が2本しかない。
その合計4本でステアリング、シフトレバー、アクセル、ブレーキにクラッチと
ペダルが3本。 どう考え立って数が合わない。

だからヒールアンデトーだの片手ステアだの必殺技を当たり前に使わないと
うまくいかない。
華麗な必殺技をマスターしているドライバーならいいが、そんなドライバーが
どれだけいるのだろうか、とすると車のMAX性能はともかくとして人間込みで
みれば必ずしもMTに軍配があがるとはいいづらいのではないだろうか。


もっとも当時のATはこうした数字に出る速さのほかに、高揚感、達成感、爽快感
といった主にフィーリングの部分ではたしかにまだまだほめられたものでなかったのも
また事実ではあったのだけどね。

アクセルの踏込みに排気音はグンと増すのだけど実際の車速はワンテンポ遅れて
ついてくる、とかワインディングではアクセルオフでのエンジンブレーキが期待できない
とかあったけど、私が実感した違和感というか、ヤな感じは結局のところ運転者の
意図が車にきちんと伝わらない、ということに尽きた気がしますね。
(ここ大事なところだから覚えておいてね、別のエントリーでCVTや電スロを書く
 時にとっても大事なフレーズとしてまた出てくるからね。)

例えば一定速で流しているところからグィとアクセルを踏込む。
この時の私の意図は『加速』です。
で、車の動きはまず、アクセルのキック一発で回転がグっと上がるような雰囲気を
漂わせエンジン音が高まりノーズが少し持ち上がる。 でもそのまま車速が伸びるか
と期待した次の瞬間にガッというショックとともにキックダウンが働きダウンシフトが
起きる。 ここで昔の3ATの場合はステップ比がものすごく大きいのでヘタすれば
期待よりももっと下のギヤ相当のギヤ比に変わって、その結果、エンジン回転が
ぎゅぃぃ~~ん、と上がって加速を始める。
結果として加速はするのだけど、私が加速したかったタイミング、私が期待していた
加速の加減は実はすこしずつズレた形で実現する。
この少しズレた感じが最大の違和感だった。

で、一応なんとか加速は果たしてスピードも乗ってくる。
目の前にはそのまま抜けるわけには絶対に行かないカーブが迫る。
ギリギリまで加速状態を維持して、次の瞬間アクセルを離し減速!!

なんとATくんはこの瞬間にキックダウンからの加速で維持していた1段下のギヤから
巡航ギヤのトップギヤにシフトアップするんだよ!!

私の意図は継続していた加速をその一瞬で断固として止め、アクセルを抜いた
瞬間にグッくるエンジンブレーキを期待している。
そしてそのエンジンブレーキの効きにニンマリしながらアクセルから浮かせた右足を
ブレーキペダルに移し更に強力な制動をかける。

あぁ、それなのにATくんはその加速から減速へ転換するその大事な一瞬に
シフトアップしてくれるんだ!
なに、考えているんだよ! だ。
アクセル抜いているからシフトアップしても加速は実際にはしないのだけど
こちらは減速を期待しているからそのギャップからこの上位ギヤでの空走の
一瞬が加速に感じられえらいこと慌てる。

ATに慣れるにしたがい、私は左足ブレーキを多用するようになったのだけど
こうした場面で左右の踏み替えのようにしてアクセル抜いて、左でブレーキ
踏んで、というタイミングだとブレーキを踏んでいるのに尚、シフトアップすることが
あってその違和感はMAX。

こういうちょっとした違和感が、特にスポーツドライビングのさなかにガンガン顔を
だして盛り上がった気分を台無しにしてくれる。

その意味では確かにその当時のATはスポーツドライビングを好むドライバーに
は敬遠されても仕方がなかったかもしれない。

ただ、加速がMTに比べて悪い、というのは濡れ衣だと思っているけどね。

まず、その当時、ATは総じて3速。
それに対してMTはスポーティな車なら既に5速が常識。
ギヤ形式がなんだろうとエンジン回転からタイヤ回転への変換の比率は
変わらないのだから自動変速、ということを別にすれば当時のAT,MTの
競争は3速車と5速車の競争というのが機構から見た真実。
その圧倒的なハンデを『『トルクコンバーター』という魔法の継手の生み出す
トルク増幅で補って、そこそこ遜色ない加速にしてくれているわけだからね。

ATの3速のギヤ比はMTの1-3-5速を持ってきたら下が低すぎて実質は
発進の瞬間専用ギヤ+2速になってしまうので 2-3-4速程度のギヤ比を
振っていたはず。
当時のATの最上位ギヤはODレシオではなく直結ギヤに設定されていたので
高速巡航で非常に苦しくなる、それを補うためにファイナルギヤ(デフの最終減速ギヤ)
の設定をMTに対してグンと高くしてオーバーオールレシオで5速と同等になるように
していたよね。 するとただでさえ発進ギヤのギヤ比は高めになるのにさらに
AT1速のギヤ比そのものをMT2速程度に設定するのだから実際のMT車の
発進加速はギヤ比視点から眺めたら2.5速発進、極端な場合は3速発進程度
ということが言える訳。 それだけ考えたらSS1/4でMTの1秒落ちなんて出るはずがない。
それが出るのはひとえにトルコンのトルク増幅作用のおかげ。

トルクの増幅作用は1次側(インペラー)と2次側(ライナー)の速度差が最大に
なった時に最大値と取るのでストール回転を高く設定すればするほど発進時の
トルクは楽になる。 その変わりストール回転分の回転速度差まではトルコンが
スリップ可能ということを意味するのでキビキビ感にかけるズルズルとしたフィーリング
になるのは当たり前。

だから排気量やトルクに余裕のない車のATならばそこそこの発進をしてくれる
セッティングになっているとすれば逆に加減速の右足の動きに対しての車の反応は
ダルになってしまうのは構造上致し方がなかったんだよね。

その上、燃費が悪いって言われたって滑らせて1次側と2次側に発生する速度差を
トルク増幅につかっているのだから効率を良くする(伝達ロスをなくす→滑らさない)
ならトルクは増幅しない。
だから伝達ロスを減らし燃費を上げるためのロックアップクラッチを装備して
出来るだけ低速から、出来るだけ低回転から使っていくならばストール回転を
出来るだけ下げて、それでもストールトルク比がそこそこ出るようなトルコンを
開発して、その上でエンジン自体のアイドリング付近からの過渡特性のいい
エンジンをつくらなくちゃならない。
ミッション自体を多段化してステップ比を小さくして上がるのも有効だよね。

そうしたことがすべてできるようになった今のATは本当にすごい。

ATがスポーティじゃない、なんて間違っても言えない。
ATがダイレクト感にかけるなんて、どこ見て言ってんのってくらいのもの。
今ではちょっと気の利いたAT車なら最低5速。 ちょっとお高いモデルなら6速。
上見ればドイツ車の8速まである。
だからストール回転なんて1500RPM前後じゃないかな、今の高性能AT車は。
もっと低いかもしれない。 昔の(3AT時代)の加速を売りにした車なんてストール
回転が3000RPMだからね。

だからその次代のAT車のロケットスタートはフットブレーキを左で目一杯踏んで
アクセルを右足で床まで踏んでストール回転に届く直前でブレーキ話して、なんて
操作でダッシュしたもんだ。

それが今では1500以下、もしかしたら1200~1300RPMかな、でストールする
んじゃアイドリングから幾らも回転が上がらない。
だから昔の儀式みたいなダッシュの方法と取らずにただ、静止状態からいきなり
ベタ踏みするだけで最速ダッシュができる。
ギヤも多段化されているのでトルコンの増幅作用に頼らなくてよくなっているので
走り出したら、それこ1000RPMをちょっと超えたらもうドンドン、クラッチがロックアップ
していく。
キックダウンだって多段化されてステップ比が小さくなっているから
昔のようにペダルを置くまで踏み込んだら一呼吸あってからドカン、とギヤが1段下がって
いきなりぎゃぁぁぁあんと加速するような品のないことしないで、
ちょっとベダルの踏込みを深くするとその踏込み量と踏込み速度をきちんと感知して
ギヤ比がいくらも違わない一つ下のギヤへ、それで足りなそうならすぐさまもひとつ
下へ、とシフトして加速する。 キックダウンに要する踏込みがもっと繊細だから
シフトが落ちたからといってアクセル全開にはならないので別にどっかぁぁぁん、と
加速するわけじゃない。
まさに加速したいだけ、期待しただけの加速をすいっとっ実現してくれる。


別のところで書く電スロとの協調制御でシフトもコントロールしているのが今の常
だからさっき書いたような加速後の減速に切り替わるところでもアクセルのオンオフの
程度や頻度でスポーツドライビング中と判断しいきなり無粋なシフトアップをせずに
ステイギヤで減速に備える。  ATの制御によってはここでブレーキの踏込みを
センシングして必要と判断すればシフトダウンまでしてしまうATもある。

ここまでくればレーシングドライバーのスキルがあればまた別の話として
一般のちょっと早く走りたいという程度のドライバーならばたぶんAT任せのほうが
『タイム』は早いんじゃないかな、と思う。 たぶんそうでしょう。

と、なればあとMTを選ぶモシベーションは『自分でやった感』だけかな、と思うよね。

もちろんそれこそが自分のほしいもの、といってMTを選択するのも
もちろんアリだし私もそうしたい気分がすることもある。

それでもここまで制御系が進歩してATがドライバーの意図をきちんと捉えるように
なると制御のセッテイングを替えるだけで気分や、周囲の環境にすぐに適合できる
可能性という点ではATが何歩も先を言っているのは確かに思うよね。



ここで、ひとつ余計な話。
前のエントリー書いた時に忘れていたトリビア級のヘンテコMTがあった。
マツダの2代目ルーチェのRE13B搭載のMT車。
MTなのにフリュードカップリングがついてる。 トルコンではないからトルク増幅作用
はないけど低速トルクのないREが発進速度域でギクシャクするのを吸収するためと
聞いていたけど。
車軸とエンジンの間に流体があるので駐車時に固定するためにMT車なのにPポジション
があったのがちょっと妙な感じ。

このトルクグライド、乗ったことがないので疑問がアリアリ。

構造のスケッチなどがネットで検索しても見つからないのでそもそもこのフリュードカップリングが
乾式クラッチの上流にあったのか下流にあったのかがわからない。
見つけた記述ではギヤを入れたままブレーキ踏んで減速して、最終的に停止してもエンスト
しなかった、とあるのしエンジンからの振動やらを緩和したくて採用したのだからクラッチの
上流にFC(フリュードカップリング)があったのだろうと想像するんだけどどうかな?
つまりFCの2次側(ライナー)のすぐ裏側がフライホイールに相当する構造になってて
そこに乾式クラッチフェーシングが圧着することになる。 トルク増幅はないのだからエンジンの
アイドリング回転を低くしておけばもしかしたら発進は停止状態からクラッチ踏まないまま
ムリヤリ1速にシフトしてしまって、それができてエンストもしなかったらそのままアクセルを
徐々に開けていくだけで発進できたのではないかな。

このあたりは乗ったことのある人に是非聞いてみたい。



次の、その3は電子制御(燃料噴射とスロットル)ね。






Posted at 2014/05/02 22:50:12 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日記
2014年04月27日 イイね!

新しい技術・・・その2 ATミッション

ATミッションについて書いてみます。

私が免許をとった時代には勿論すでにAT車は世にありました。
輸入車は当然ですが、国産車でもいわゆる高級車と中心に徐々に
拡がりつつある、という時代でした。

GMの2速ATパワーグライドを真似たトヨグライドをなんと
高級車には程遠いパブリカに搭載して、AT普及の本気度を
見せたりしていた。
このトヨグライド搭載のバブリカは親戚が所有しており
当時、多少の小金をためて輸入車たるVWビートルを買った
ばかりのうちの親父がそのオートマチックミッションを
しきりに気にしていたのを覚えています。
当時はだれもAT、あるいは『オートマ』とは言わずに
『ノークラ』と呼んでいました。
当然、ノークラッチペダルのことです。

この頃には本家のGMはパワーグライドからただのフリュードカップリング
(流体継手)をトルク増幅機構を備えたトルクコンバーターに替え、
さらにキックダウンも装備したターボハイドラマチックに移行していました。
免許を取る直前の1977年にバートレイノルズ主演の
『Smoky and the Bandit』(邦題トランザム7000)で黒のトランザムが
スタートからアクセルを床まで踏込み猛烈なホイルスピンで白煙上げながら
ダッシュしたりアクセルターンしたりするのを見ながら繊細さとは真逆の
魅力を大トルクの車とATとの組合せに見いだして涎を垂らしていいたのを
思い出します。


オートマチック(クラッチレス)の主流は遊星ギヤを使って主に油圧の
アクチュエータで変速操作を行い、エンジン側からの入力にはトルクコンバーター
を利用するタイプ。

80年台には平行軸ギヤ式のものをホンダがホンダマチックとして搭載して
いたが初期のホンダマチックはオートマチックといえるかどうか、私は
少し怪しいと思っている。
トルクコンバーターによる動力伝達なのでノークラッチペダルなのは確か
だがLレンジで発進し、ひとつ上の☆(スター)レンジに『手動変速』する
構造になっている。 Lと☆の2つの変速比を持っていて、それを『手動変速』
させ、2つの変速比しか持たない不利はトルコンのストールトルク比を
大きくとることでカバーするという、ある種合理的な発想のトランスミッション
だった。 これは私も友人の親が買った初代アコードでずいぶんと
乗り倒したが横着をして☆レンジでも発進はでき、それをもってホンダは
『無段変速』と今のCVTのようなキャッチフレーズを謳っていたけれど所詮は
MTの4速相当程度のギヤ比をトルコンのストールトルクでカバーしている
だけだったので便利で楽ちんではあっても欲しいとは思わなかったです。
でも、ホンダは当時AT比率は他メーカーに比べて格段に高かったのでCM
を含めたイメージ戦略がうまかったのでしょう。
自動変速機構を持たない2速のトルコン付きミッションなら実はコストも
安いしね。

この頃、面白かったのはMT車でも5速が増えては来ましたがまだ普及車
は4MTが多かった時代に副変速機でオーバードライブ比をカバーして
実質5速とする車がありました。
シフトレバーは4速のHパターンなのですが4速の時だけダッシュボード
にあるプルスイッチを引くと副変速機が高速側に切り替わって実質5速目の
ギヤ比が使える車があった記憶があります。
副変速機を全段で使えれば4*2で8速になりますが操作を含めてあまり
意味もないし、この車では4速時のみトランスファーのHが使えたはずです。
副変速機を積むほど高価だったとも思えないのでもしかしたら同軸上に配置
した2種類のドリブンギヤを軸方向のスライドさせる程度の機構だったのかも
しれません。 すいません、記憶が曖昧で。

この形式は形を替えて初代ミラージュがスーパーシフトと称してトランスファー
付きの4速で合計8速を謳っていましたが結局、このミラージュで全日本ラリー
に出場していた山内伸也選手が2本のシフトレバーを同時操作する必殺技を
編み出した程度でその後は見なくなりました。

その後はCVTが登場してきます。
日本初登場はたしかスバルのジャスティ。
オランダのヴァンドールネからスチールベルトを買ってきて、動力伝達は
トルコンではなく電磁クラッチ。 
私は乗ったことがないのですが、あちこちで当時を知る人に聞くと
(スバルのDの年配メカニックなどは結構この頃の話を知っている方がいます。)
変速機自体の問題よりもやはり電磁クラッチの制御が一番大変で、主にここに
不満、不評のほとんどが集まったようです。 電磁石で鉄粉を固めて動力伝達
をする、というのが今でも私にはビックリです。

前後した時期だったかとおもうがいすずがNAVI-5という独特のミッションを
開発してリリースしました。
基本的なミッションとクラッチはマニュアルと同じもの。 それを電子制御の
油圧アクチュエータでクラッチの断続と変速操作を行うもの。
MT車風のシフトパターンで各ギヤ固定と1~3速、あるいは1~5速の自動変速
を選択していました。
考え方で言うと、自動変速機、ではなく変速機を自動ロボットが操作する、
というコンセプトで開発したようなシステムでした。
一度だけ、いすゞに就職した友人が買ったアスカで乗りましたが思ったほどの
違和感はなく、空いた道路を気ままに走るにはなかなかいい感じでした。
ただ、マニュアル操作した際の実際の変速までのタイムラグや半クラッチ領域
の感触など慣れや、NAVI-5用の運転をマスターする必要がありそうな印象も
ありました。 いすゞの乗用車撤退の流れもあり2世代で乗用車からは消えましたが
バス、トラックに特化してNAVI-6に進化してさらに現在でもその進化形が
使われているはずです。

時代的にはこのころまで、オーソドックスなATミッションは普及型3速、
高級車/高価格車は4速というのが基本でしたが、このあたりから多段化の
流れが出てきました。 今では5速は当たり前。
6速/7速というのも多く、今のところの最多段は確か8速のZF製だったか
と思います。 スペース的にも9速が限界と聞いたことがありますが
最初に限界値に到達するのはどこのメーカーになるのでしょうか?


CVTもいつの間にかかなりの普及率になっています。
ジャスティ以降、ほぼ姿を見なくなったCVTが再び市場に現れたのは
15年くらい前でしたか、プリメーラだったように記憶していましたが
違ってたでしょうか? もともとの無段変速に加えてプリセットされた
6ステップのプーリー比をマニュアル操作できるようにしたM6という
名前で市場に出てきた記憶があります。
これは一度、VWがゴルフ4でGTXグレードを日本に投入する前の市場調査
で10台以上の輸入/国産入り混ぜての試乗で乗ったことがあります。
今でいうラバーバンド制御が通常のATに比べるとやはり多少目立つものの
それほど大きな違和感のない印象でしたが、肝心のM6機構をつかっても
さしてスポーティに走れないという、それなら洗練された無段変速を
ねらったほうがいいじゃん、という印象をもった記憶があります。


それから年月がたちいつの間にか小排気量/小トルクの車の自動変速は
かなりの比率でCVTになっていました。
どうやらCVTは部品点数や多段化に伴うコストアップを避けられることが
原因なのでしょうか。
基本的な伝達効率が、特に極低速と高速時に高くないことや、
レシオカバレッジと称するカバーできる変速比のレンジがあまり広くいない
といった欠点をカバーするために副変速機を追加してレシオカバレッジを
広げ、ついでにキックダウンまで可能にしたり、あるいはスチールベルトを
チェーンに変えてプーリーが小径になった場合でもキンクしないように
工夫したりして改良を重ねています。

私は自分の車はBRGでチェーンドライブにした大容量CVTに乗っていて
職場ではたまに現行ノートの副変速機付きCVTに乗ることもありますので
そこでの印象の違いなどもあとで書きます。


マニュアルミッションも今では自動変速機構を備えたものが増えています。
シングルクラッチでアクチュエータで変速とクラッチ断続を制御する昔から
あるタイプの他にクラッチを2つ備えギヤセットを奇数段用と偶数段用の
2列持ち、それギヤを交互にドライブシャフトと綱ぎかえて変速するタイプ
があり、現在はダブルクラッチ式が変速ラグ0秒のシフトを実現しています。
初期の初期は日産がチェリーで搭載したことのあるスポーツマチック、
同時期にポルシェが924で搭載したスポルトマチック。 要するに通常の
変速機とクラッチを油圧なりのアクチュエータで操作し、その制御に
コンピュータを使うというもの。 
フェラーリがモンディアル8でヴァレオマチックという名で搭載し、
そこから熟成を経てF1マチックとして355からデビューしてからは知る人も
多いでしょう。 マセラティのカンビオコルサもランボルギーニのE-ギヤも
みんなこの構造。 BMWが始めたSMGもそうでした。
それが、ルマン用にポルシェがツインクラッチの変速機のPDKを出してから
ツインクラッチを持つ2軸式のトランスミッションの変速に断続のない
構造が注目され、開発が進みいつのまにかシングルクラッチの2ペダルMTを
凌駕してしまいました。

VWのDSGがアウディのSトロニックにも使われ、F1マチックも458からデュアルクラッチ
に変わり、日本でもR35GTRのDCT、エボXのSST、など採用例が増えている。
意外なところではそのメカニズムの黎明期直前くらいにはF1のロータスの
テクニカルパートナーだった小松製作所がデュアルクラッチ式の変速ラグ”0”の
8速フルオートマ(遊星ギヤ式ではなく、当時はこうした表記だった)で
試作し実戦投入直前まで言っているし、その当時の技術解説でも理論上変速の
タイムラグが0にできることが最大のメリットとしていた。



なんて書き続けたらいつの間にかいい加減長いものになってしまって
肝心の、使ってどうなの、ってことが書けなくなりました。


一旦仕切りなおして ATその2として次のエントリーにします。
Posted at 2014/04/27 13:44:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2014年04月27日 イイね!

新しい技術・・・その1 パワステ

パワーステアリングです。

今では当たり前の装備です。
若いドライバーの方は逆にその存在そのものを知らないかも、
というか気にしたこともないかもしれません。

ステアリングの機構はそれはそれでアッカーマン式ステアリング理論
やらラックアンドピニオンにほぼ収斂してしまい駆逐されてしまった感の
あるリサーキュレーティングボール機構のほうが味がある、とかの
話もないではありませんが、話がややこしくなるのでとりあえずは
パワーアシストの在る/無しに絞ってみましょう。


私が免許を取って車の運転を始めた1970年代の終わりは
すくなくとも国産車の大半はパワーアシストのないステアリングが主流でした。
当時の国産フルサイズはMS80のクラウンやC230のセドリックあたりでしたが
このクラスでさえ下級グレードではパワステはオプション扱いでした。

そのすぐしたのアッパーミドルクラスのGC210スカイラインあたりでは
基本的にオプション扱い。

ですから当時のステアリングは重かった。

そんな重ステの時代でも若者はステアリングホィールを交換して
自己主張をしていました。
標準のステアリングがφ400は楽にありそうな時代にφ350とか
場合によってはφ320なんて小径のものに交換するのですから
タイヤがきちんと回転している速度域ならばまだしも、路地裏やら
車庫入れはそれは辛い作業でした。

70扁平のラジアルタイヤはよほどのスキ者しか入手しなかった
時代のカミソリタイヤ(あまりの細さにそう呼ばれていました。)の
4.50やら5.00のクロスプライタイヤは、一部の高級車では82扁平の
ラジアルでさえ重かったんです。

そんな時代に高級車のオプションで登場したパワステ、さぞや
喜ばれてあっという間に普及したか、というと少なくとも若手や車好きの
間ではそんなことはありませんでした。

曰く、パワステは路面からの反応がリニアではない、というものでした。
路面を捕らえるタイヤとステアリングホィールの間にギヤ機構だけでなく
油圧(当時電動パワステはない)モータが介在することでフリクションやら
緩衝効果やらがあってステアリングホィールから路面への入力も
路面からの反力もその反応がワンテンポ遅れる、とかダイレクト感に乏しい
とか言われていました。

本当にそうだったのかどうかは正直よく分かりません。
少なくともパワステ装備の車になんか乗る機会のなかった私には
分かりませんでした。
自動車雑誌を飾る評論家のそれらしいインプレッションで
「パワステはダイレクト感に欠け・・・・・」
なんて書いてあればそれを受け売りし、分かったような台詞を言って
いたことくらいしか覚えがありません。

だから、通は、あるいはスポーツドライバーを標榜するならば絶対に
パワステを選んじゃいけない、というような今考えれば失笑ものの考えが
私にも、周囲の車好きにもありました。

だから友人から借りたKC230の棺桶ローレル(そうあだ名されていました)
に185/70-14のラジアルを履いてMOMOキャバリーノのφ350をつけた
バリバリの車を車庫入れする際に助手席の友人と2人掛かりでステアリング
操作した、なんていうバカげた思いでもあったりします。

やせ我慢しながらパワステ嫌いの通を気取っていましたが
当時バイトで入っていたGSの洗車機にお客様の車を入れる際に、たまたま
出くわすパワステ装備の高級車に乗るたびに本心ではハンドルの軽さに
羨望のまなざしを向けていました。

そんなことをしていた方も多くいるのではないでしょうか?

私自身、初めての車でS110を選ぶときにオプション設定されていた
パワステを選ばずに購入しました。



パワステはダイレクト感がない。
これは本当だったのでしょうか? 当時のパワステ装備車できちんと走りこんだ
ことのない私には分かりません。
そうであったのかもしれません。

でも、それでは重ステがそれほどシャープでスポーツドライビングに向いて
いたのでしょうか?

それは少なくともやせ我慢レベルの言い訳だったと思っています。

まず、何よりもその操作性の重さから、機構がどうだろうとワインディングでは
『手アンダー』でまくりです。
どれほど機構が優れていてもよほどマッチョな二の腕で操作しないかぎり、
ここ、というタイミングで必要なだけの操作ができません。
その重さに邪魔されて明らかにキリはじめに遅れが出ます。

アクセルを閉じてヨーのついた前輪が回転内側に巻き込もうとするのを
押さえ込むにも力が要ります。
アクセルを大きく開けてトルク反力で直進状態に戻ろうとする前輪を押さえ込む
にも腕力が要ります。
腕力が足りなければ当然、正確な操作はできません。

さらにそんな操作の重さを少しでも低減するためにその機構がどれであれ
ステアリングギア比をパワステ装備車よりも全般的に遅くして、さらには
低速大舵角時の操作性を少しでも上げるためにバリアブルレシオを採用して
舵角が一定量を超えるとギア比そのものが変化して更に遅く(軽く操作できるように)
していたものです。
これでシャープなステアリング操作なんて出来たのでしょうか?

出来る訳がないと今では思っています。


個人的にはS110のあとはSD1ローバーに乗り換えましたのでそれは
当然の如くパワステ装備でしたが、いちどパワステポンプの不調で
パワステが利かない状態で整備工場まで数キロ運転したことがありましたが
とてもまともに日常運転できるような重さではありませんでした。

車体も当時に比べれば今の自動車は大きく重くなっています。

4100*1600以下のサイズに定員5名、タイヤはどれほど太くても185、
多くは155や165なんて時代ならばともかく、S30の初代Zが2400CC
の輸出仕様でさえ1tギリギリなんていう軽さの時代ならばともかく
今の普通車なら1700mm超えの全幅あたりまえ、1.5tの重量あたりまえ、
タイヤにいたっては軽でさえ175.185。 普通車なら205以下を探すのが
難しいような時代にパワステがなかったらまともな操作がまったく
考えられないでしょう。

いまでは
『パワステは操作性にダイレクト感がなく・・・』
なんて言ったら笑われればまだしも、意味を分かってさえもらえないと
思います。

そのパワステそれ自体が従来の油圧によるアシストから
電動モーターによるアシストが主流になりました。
クランクシャフト回転からベルトで駆動するパワステ用のオイルポンプの
パワーロスを嫌い、さらにはそのベルトの取り回しからクランクシャフトの
方向とステアリングギアの方向や配置で設置に制約のある油圧ではなく
φ2 程度の電線さえ通せればどこにでも設置できるモーターのほうが
バッテリー容量さえ十分ならば使い勝手がずっといいのでこれも必然でしょう。

でもこの電動モーターによるアシストも当初はアシストの立ち上がりが
ワンテンポおくれ、しかもアシスト量がリニアに立ち上がらない初期の電動
パワステはいろいろ言われました。
これはこれでその批判は正しかったとおもいますが、角加速度の早い転舵にも
送れず、逆にそこをモニターすることでアシスト量を変化させて高速での転舵
なのか路地裏や駐車での転舵なのかを判断し最適なアシストを実現しています。

と、いうよりも今ではこのスタリングの操作でパワーアシストをことさら意識する
ことすらない程度までそのアシストは洗礼され、それが当たり前になった、
ということなのだと思います。



スポーツドライバーはマニュアルステアリングを選ぶ。
今では思い出すと少し恥ずかしくなります。

Posted at 2014/04/27 01:32:54 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2014年04月26日 イイね!

新しい技術・・・その0(ゼロ)

車にまつわる新しい技術を考えるとちょっと面白いことに気づきます。

新しい技術が開発され、実車に搭載されると必ず、『以前の技術』の
ほうがいい、という意見が出てきます。

どちらかというと『硬派』なドライバーが以前の技術の良さを、
そして新しい技術の出現によって失われた(ように感じる)もの
を懐かしみ、という論調がしばらく広がります。

その多くは一部の自動車雑誌の紙面や、チューニングカーと呼ばれる
市場で展開され、多くの一般ドライバーのあずかり知らないところで
議論されることが多いようです。

そうして時間が経ち、それでも少しずつ、あるいは一気にその新しい
技術が市場に広がり、市場を席巻し、いつしか普遍性をもっていく。

そこには多くの偏見や誤解、そしていくつかの真実があるように思います。

BRGに乗り始めてここしばらくCVTと電スロのことをずっと考えるように
なりました。

本当は3週間くらいまえにそのことを書きたかったのですがどうにも
自分のなかでも論旨が発散しとても一つの記事まとめられそうもなく
忙しさを言い訳にしていました。

仕事のひとつの課題が昨日終了したのでこのGW中(半分くらいは仕事にでますが)
ヒマに任せて書きなぐってみようかと思います。


これからいくつかのエントリーで書いていくことは出来るだけ事実を並べようと
思いますがそれでもただの素人が知りえた情報や、少し勉強することで得た
情報とたいした腕もなく、ただ長い年月、車を運転してきただけのおっさんの
感覚を元に、主観で書いていきますので、
それは違う、とかそんなことはないだろ、とか、あるいはゼンゼンそうは思わないぜ、
ということもあるかもしれません。

ご意見であるならばぜひお寄せいただき、私の誤解であるならば正してみたいと
思いますが、それでも基本的に、ああ、そんな考えもあるんだな、程度にお読み
いただければと思います。




アウディ、というメーカーがあります。
日本ではVWのほうが早い時期に市民権を得ましたがドイツで戦前からの4つの
メーカー(アウディ、DKW,ホルヒ、・・・あとなんだっけ、ヴァンダラーだっけ)が
合同してアウトユニオンを結成し、それを元に戦後どんどん大きくなり今では
日本市場でもメルセデス、BMWとならんで記号性を持つ人気欧州車です。

いまでこそなかなかファッショナブルなラインナップやおしゃれなお金持ちに
人気のあるブランドになりましたが、もともとは見てくれにあまり華のない、
知る人は知るけど、玄人は好むけど、といった幾分地味な存在でした。
それでも、その当時からこのメーカーの社是は一環しています。

『技術による先進』です。
これはいままで一度もぶれたことがない。
目先の人気にあまりとらわれずにあくまでも技術的な進歩性をその
大きな特徴していラインナップをつくってきました。

遥か昔にはNSU Ro80 (ローエイティと読みます) でちょっとしゃれた
ボディにヴァンケルロータリーを積んで他のメーカーが二の足を踏むような
技術を進めていた時期もありましたが(その後、アウディがロータリーを
あきらめた後も独自に開発を進めたマツダがとうとうそのラインナップから
ロータリーを落としたのはもとロータリー乗りとしては残念ですが)
世間の認知を集めたのは『クアトロ』からでしょう。

もともとFFをラインナップの軸にしていたアウディですがそのレイアウトは
直列エンジンをフロントアクスルの前にオーバーハングして搭載していました。
スペース効率はもともとあまりよくありません。
でもこのレイアウトをそのままに、エンジンをあろうことか直列5気筒というあまり
例のないレイアウトにしてセンターデフをつけて4WDにして、『4:クアトロ』を名前に
そのまま付けて発売しました。

当時のアウディ100のボディをベースに大柄なクーペボディをしつらえて
なんとWRCに乗り込みます。
ターボを付けて市販版で200HPのエンジンに常時駆動の4WDは名手ハンヌ・ミッコラ
のドライブでWRCをあっという間に席捲してしまいます。

それまでのWRCは市販車ベースの時代にランチアストラトスが終止符を打ち
(あくまでホモロゲ上は市販車べーすですけど)専用設計の成り立ちを持ち
レーシングチューンのエンジンと小柄でZ軸廻りのモーメントを眼一杯小さくした
車の独壇場でした (ランチア037とかね。)
それを、見るからに大きく重たいアウディがターボの力を借りた無茶なトルクを
4WDで路面を蹂躙することで軽量RWDのレーシングカーもどきの先を走ります。
ここでWRCは確実に時代が変わってしまいました。

嘆いた人も沢山にました。
私もその一人でした。
アリタリアカラーをまとったストラトスは地上に舞い降りた宇宙船のようでした。
その後を引き継いだ037Rallyはサーキットレーサー顔負けのかっこよさでした。
でもそれらの車はとうとう、あの無骨で大きくて、重くてずんぐりしたクアトロに
決して敵うことはなくなりました。

それまでのストラトスや037を好きで居続けることは出来ます。
感情やセンチメントで『好き』といい続けることは出来ます。
でも、結果がすべてのレース(ラリー)の世界では通用しません。
おかげであのランチアさえもS4なんていうどう見ても醜悪にしか見えない4WD
ターボの車を投入するようになってしまいました。

今のアウディは少し違うかもしれませんが、当時のアウディには
技術に支えられた高性能によって前に進む。 そしてその結果として市場を
切り開いていくという思いはとてつもなく強かったのでしょう。
そこには『昔は良かった』などというメンタリティの入り込む余地はなかったのだと
思います。


そしてWRCの世界だけでなく市販車の世界でも必要があれば、ですが
4WDもターボも特殊なものではなくなっているのが現代です。


ターボはその爆発的なトルクで一時期、多くのメーカーが市販車に投入しました。
それでも、たとえばそのターボラグ、という独自の出力特性をさして、
どうしても好きでない、 やはりNAの大排気量(大トルク)だ、いやいや、NA
高回転型の天を突くようなフィーリングだ、とターボを否定するような意見も多く
ありました。 それらの意見が間違いだったわけでは在りません。
でも、それらの意見が擁護するNAの大トルクも実は排気量に対しての効率は
眼を覆うようなものだったり、高回転も実はその多くは本当に高回転までまわすと
クランクシャフトが曲がってしまったり振動が実用を大きく超えて発生するような
ものが大半だったり、ということはあまり語られません。

その後、エンジン開発自体が『燃焼』そのものをとてつもなく深く研究し
NAの比出力も格段に向上し、高回転の技術も当時とは比べ物にならない
レベルに達し、そしてターボもその制御技術の進歩を大きなテコとして
『ターボラグってなんですか?」というものに進歩している。




新しい技術はいつもいくつかのネガを(残念ながら)内包しつつ市場に登場します。
十分以上の研究開発を続けることは営利企業としてはあまり意味のないことだからです。
当然、従来の技術とは別の使用感があります。 別の性能があります。
それらを否定的に捕らえられることもすくなくありません。
でも、開発者はそれらの否定的意見さえも糧として技術を開発しいつのまにか
登場した当時に否定的に捕らえられていた事実さえだれも気づかないようなものにまで
熟成し進歩させます。


そうしたあれやこれやの車にまつわる新技術(これまで登場した)ものを
自分の体験を通して書いて見ようと思います。


次のエントリーが その1で、パワーステアリングについて書いて見ます。
Posted at 2014/04/26 16:21:44 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2014年04月19日 イイね!

6th.レガシィ

今年のNYショーで6代目レガシィのアウトバックが登場します。

先ごろのシカゴショーでセダンがお披露目になりましたから
今回で出揃ったことになります。



個人的な感想ですが、安心しました。
レガシィはレガシィのまま進化してくれたように感じたからです。
確かにセダンは前のエントリーで書いたとおりカムリによく似ています。
でも、見慣れるにしたがって顔ツキはちょっとレヴォーグ風味ですが
もう少し角張ったというか、無骨というかレガシィの雰囲気を感じました。



そしてなによりもアウトバックのデザインとそのサイズ。
全長は現行BRと同じ4790くらいでしょうか、そして全幅は1840。
アウトバックはフェンダーが少し膨らんだフォルムですから実質は1800。


 
現行よりも更に広くなった全幅などをして更に大きくなって日本には・・・・
という論調がでるのかな、と思うのだけど、私としてはこれでよかったと
思っている。 このサイズは確かに大きいけど、別に使いづらいほど
大きいとは思えない。



きちんとグランドツアラーとして使おうと考えたらこのサイズは必要、
かどうかは微妙だけど個人的にはちょうどいいと思う。

ちょっとどうなのかな、と思うのは内装デザイン。
メーターナセルのデザインなんてまるっきりアメ車になってます。



こうなると無いものねだりだけどこのアウトバックをベースにTWを是非
開発して国内販売してもらえないものだろうか。
STIの限定モデルとしてでも構わない。
サスジオメトリーをロード用にきっちりと再設計して、ボディはウエストライン
から下をリデザインしてルーフレール外して・・・。

エンジンは取り合えず実現しやすいのはFA20T。 現行のBRGと同じエンジン。
多少STI版ということで手をいれれば240Kw、430N・m程度はいけるかな。
ただCVTの入力限度が400N・mと聞いているのでそのあたりがどうかな。
昔の私ならば5ATにすれば、というところだけど今の私ならばZFの8ATでも
積めればそれがいいとは思うけどそうでなければ今のCVTの耐入力を少し
あげてもらったほうがいい。

現行のEZ36にターボ乗せれば取り合えず出力はそれなりになるだろうけど
6発にターボ乗せたりあれこれすればどんどんフロントが重くなるし、
道考えてもそのあたりの安手のショップのやっつけ仕事の匂いがしてくるから
どうせ、夢物語ならばいっそうのことまだこの世にない
FA25ターボ、のほうが夢見がいいでしょう。
FA20と同様にスクェアならば92.6mmボアで直噴にて圧縮を10.5程度。

私はごく最近のダウンサイジングターボの最新欧州車に乗ったことがないので
BRGのDITが低速からトルクが太いと感じるけど本当の最新トレンドだと
1500RPM、場合によっては1200RPM程度で既に最大トルクを発揮するらしい
ので270~280Kw/6000RPMで480N・m/1500RPM~ あたりが出ていたら
最高だね。

曙あたりの8POTのモノブロックのキャリパーでも奢って・・・・



あぁ、だめだ妄想が止まらない。


いずれにしても国内はインプ一本、海外のレガシィはこれまでのレガシィ
とは別モノになってしまうのかな、と一抹の不安を持っていましたがこれなら
ちょっと安心。

あと2年くらいで上に書いたようなTWがTSでデビューしたら、その最後期モデル
あたりで乗り換えたいっす。



今回は妄想を書き連ねてみました。
Posted at 2014/04/19 22:53:49 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「[整備] #BRZ 純正ホイールのニゲ https://minkara.carview.co.jp/userid/2153994/car/3396603/8035580/note.aspx
何シテル?   12/07 09:18
前回投稿から数年経ちました。その間にBRGからZD8に乗り換えました。最後のガソリン車かと思いながら、出来るだけ長く乗りたいと思ってます。
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2014/04/06 22:42:09

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スバル BRZ スバル BRZ
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スズキ ハスラー スズキ ハスラー
12年間乗り続けたパジェロミニの入替えです。 基本、奥さんの買い物と近場だけ。 漫画チッ ...
メルセデス・ベンツ SLK メルセデス・ベンツ SLK
昨年の夏からうちの車庫に収まりました。 なかなか使い道のない放蕩息子です。
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