
早いもので406が納車になって2カ月近くが経ちます。
距離も2700kmほど走りました。
そのわりにこの間、406のことをほとんど記事にしてないんですよね。
そこでもうそろそろ、インプレのようなものでも書いてみようかな、と(笑)。
ただしどうしてもムルティプラとの比較になってしまうのはご了承ください。
何度も言ってるような気がしますが、名前はスポーツでも中身は全然スポーツしていない、というのは紛れもない事実です。
人に聞かれたときここら辺を説明するのがいちいち面倒くさいし、紛らわしいグレード名を付けてほしくはなかったな~。
でも日本であえてMTのセダンを売ろうと思ったら、スポーツイメージで売るしかなかったんでしょうね。
2.2のエンジンは、本国でもパック・スポールとして売られていたようですし。
ヘンなエアロを付けなかっただけでも良しとしましょう。
一応406Sport の概要について説明しておくと、モデル末期に日本で追加されたグレードです。
日本仕様の他のグレードが2.0直4と3.0V6で4ATとなるのに対し、2.2直4・LHD・5MTとなります。
それ以外は足回りも含めとくに変更はなく、エアロパーツ等も付きません。
ただし内装は若干スポーツを感じさせるものになっています。
乗り心地は、文句なしにイイです。
現代のレベルからするとかなり柔らかめの足回りです。
ビシッとフラットなわけでもないし、路面が荒れていればそれなりに伝えてきますが、角が優しく丸められていて、不快ではありません。
ルノーのようなネットリでもなく、シトロエンのようなフンワリでもなく、軽やか、なめらか。
軽快、というとちょっとニュアンスが違うんですよね。
それだとキビキビしたイメージですが、もっと穏やかな感じ。
なので軽やか、というのがピッタリきます。
インプレに必要な専門用語も知らないし表現力もないので、感覚的な言い回しばかりになってしまって申し訳ないです(^^;;
ハンドリングはクイックということもなくダルくもなく、きわめて自然。
ハンドルを切ってやれば切ったぶんだけ、オンザレールで曲がってくれます。
ステアリングフィールも、これまたなめらか。
エンジンもやはり、と言うべきか、刺激的な味付けでは全然ありません。
でもスムーズに、気持ち良く回ってくれます。
アクセルをゆっくりと踏み込んでいったときの、シュワーッと回転が上昇していくさまは爽快です。
やはりNAエンジンはいいですね。
最近のディーゼルはもちろん、ダウンサイジングターボでも味わえない気持ち良さだと思います。
「スペックからいっても決して速くはない」というインプレをよく見ますが、遅いクルマばかり乗ってる自分には十分速いです。
最大出力、最大トルクをムルティプラと比べてみると、ムルの103ps/5750rpm、14.8kgm/4000rpmに対し、158ps/5650rpm、22.1kgm/3900rpm。
ついでに車重はムルの1360kgに対し1340kg。
なんと、パワー、トルクともにムルの5割増しなんですね。
発生回転数、車重はほぼ同じ。
回転を上げていったときの伸び、パワーの出方は406のほうが圧倒的に上です。
しかしながら、低速域での力強さはまったく感じません。
これはやはり、ギア比の問題なんでしょうね。
ムルはかなりのローギアードで、非力なエンジンであのボディをキビキビと走らせてくれます。
そのかわり高速巡航は苦手で、空気抵抗の大きなボディともあいまって、高速でも燃費は伸びません。
406はまさにその逆なわけです。
各ギアも離れ気味なので、低速では若干ギクシャクします。
とはいえムルと比べると多少気になるという程度で、慣れてしまえばどうということはありません。
そしてそのエンジン、ミッションを操るシフトフィールなんですが、MTにこだわるものとしてはかなり重要なポイント。
フィール自体はしっとりとしていてそれほど悪くはないんですが、ストロークが長くとても軽いので、お世辞にもスポーティとは言えません。
この点は正直ムルの圧勝。
でも慣れてくると、クルマに合わせて軽くソフトに操作してやれば、気持ち良くシフトできることに気付きました。
シフトにかぎらずステアリングや各ペダル等、すべての操作系が軽いです。
はじめはこの軽さとフニャフニャのシフトにあれ?!という感じもしましたが、慣れてくると(慣れると、という言い回しも多いですね・・・汗)これらが混然一体となって、クルマの味となって馴染んできます。
軽やか、なめらか、しっとり、スムーズ、ソフト・・・このクルマを表現するのに用いた一連の言葉にも統一感があると思いますが、クルマの味にもブレがありません。
結論としては、MTにこだわりながらも目を三角にして走るようなこともなく、気持ち良く、ゆったりと走りたいと思う自分には、まさにピッタリのクルマだと思います。
やっぱりムルのほうが良かったなんてことになりやしないか、という心配は杞憂に終わりました。
実は購入した個体を試乗するまでは406Sport を運転したことはなかったんですが、いろいろと情報を集め、自分に合いそうだと長年想い続けたのは間違いではなかったようです。