一つの季節の終わり

私にとっての一つの季節が終わった



思い返せば自らの足で思うように全力走が出来なくなったあの頃

そのフラストレーションをかき消す手段の為に手に入れた




それは１６年も長き時間　　私と共に気持ち良く走ってくれた

時には思うように動いてくれない事もあったが・・・








そして今日　　手に入れた頃には想像もしていなかった、別れの時が来た









複雑な気持ちで我が愛車を見送る高速道

愛車を手放す時、ここまで心を締め付けられる思いを過去にした事は無い





弟分の黒ポルに妻と次女を同乗させ　　一区間だけランデブー

別れのインターチェンジを前に　　妻と次女は大粒の涙を零した

生まれた頃からその愛車と共に成長した長女を　　

この場に連れて来なかった事だけは正解だった











極上のスピードスターを手に入れた頃から

大切な事を見失ってしまった自分に今更気付いた気がした







そう、一生モノのクルマなんて値段やグレードではない事に・・・











己の未熟さに　　空しさだけが心に響く









複雑な思いの中　　言える言葉は「今まで有り難う」











今はそれだけしか見つからない







止めていたお酒を片手に　　空しく終わった一つの季節を省みる今宵