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アルピナB3Sのキャラクター形成の中で、エンジン特性とともに大きな要素となっているのが、その優れた「操縦性」だと思います。

【サスペンション】
アルピナについて「乗り心地がいいクルマ」という記述は結構多いですね（私も以前にそう書きました）
でもこれは、足回りのセッティングが「柔らかい」という意味では決してありません。
同じような動力性能を持つMモデルと比べれば柔らかいんでしょうけど、少なくともこれまで乗ってきた318isクーペや525iMspと較べると、B3Sのサスペンションはさすがに硬いです。

B3Sに乗ってわかったのですが、アルピナの「乗り心地の良さ」は、サスペンションが柔らかいからではなく、ショックアブソーバーのいかにもフリクションの少なそうな滑らかな動きとか、たっぷりしたダンピング量やストローク感などにより醸成されているように思います。

サスペンションの役割が「路面から伝わる衝撃の緩和」と「（特に高速域での）車体姿勢の安定化」だとすると、この相反する要求に対してアルピナは、当たり前ですけど、まず「車体姿勢の安定化」、そしてその結果としての「乗り心地の悪化」を高度なサスペンション・チューニングにより克服しようとしているように思えます。

実際に、B3Sを200kmを越えるスピード域で走らせてみると、車体姿勢はとても安定していて、アウトバーンなどでの200kmオーバーの巡航にも問題なく対応していることがよくわかります。

ドイツ車を意識したような、足回りを固めた国産車がありますけど、普段乗りのゴツゴツ感に辟易することがあります。
その点、街乗りやツーリングでのB3Sの乗り心地は「素晴らしい！」の一言。洗練されています。

アルピナの顧客層を考えると、上質な乗り心地は必須条件でしょう。
アウトバーン走行などを想定して馬力に見合ったサスペンション性能を確保した上で、この要件を満たすのはかなり困難な作業だと思います。
「アルピナ・マジック」とか「ネコ足」とか言われるのは、実はこの部分の技術なんじゃないか、とB3Sに乗ってみて思った次第です。

（次回～操縦性②～に続く）