「2015年の総括」もようやく最終回!
今回は「パーツ編」ということで、2015年にB3Sに取り付けたパーツを振り返ってみます。
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【クワイフLSD】
2015年一番の大物は、やはりこれ!
普段の街乗りでは全く不満のないB3Sの駆動システムですが、峠道をハイペースで走る機会が増えると、やはりオープン・デフでは物足りなくなってきます。
B3SにはDSCという姿勢制御装置が付いていて、ホイールの空転をセンサーが感知するとエンジン出力を絞って車速を落とし、グリップを回復する仕組みになっています。
そのため、登りのタイト・コーナーなどでは頻繁にDSCが介入することになり、そうなると非常にかったるい速度でコーナーを脱出する羽目に陥ります。
ハイパワーFR車でありながらLSDの設定がないということは、そもそもアルピナは、M3などとは違ってサーキットや峠道を攻める走りは想定してないんでしょうか?
私は、サーキットも峠道も走りたいですし、基本的にはグリップ走行を旨としてますけど、路面の状態や進入速度によっては跳ねたり滑ったりしてグリップを失う場面もあり、いちいちそこでクルマが失速してたら話になりません。
そこで、デフのLSD化でホイールの空転そのものを無くし(減らし)、極力DSCの作動を抑えることを考えた訳です。
LSDへの交換については、アルピナB3Sにはオプション設定が無いので、社外品で探すことに。
初めは、オレンジウルフの「カーボンLSD」を入れたかったんですが、B3Sのデフ・ケースが巨大過ぎて適応する製品がありません。
結局、「クワイフのヘリカル式」か「クスコのハイブリッド式」しか選択肢が無いことがわかり、効きがマイルドでメンテナンス不要のクワイフに決めました。
装着後初めて乗った時には、ノーマルデフとの違いは体感できませんでしたが、その後箱根のワインディングを走った時は「これが俺のB3Sか?」と思うほどに、クルマの動きは違っていました。
まずは、目論んだ通りにDSCの介入頻度が大幅に減りました。
これは正に、LSDが左右の後輪に適正にトラクションを配分し、内輪の無駄な空転が抑えられてる証拠です。
また、感覚的な話ですけど、コーナーの回り方がスムーズになったというか、後輪で「クルッ!」と回る感じになりました。
LSD装着により後輪のトラクションが上がった結果、スロットルを開けながら(加速しながら)コーナーを旋回する感じで、このコーナリング感覚はなかなかの快感です。
その他、高速道路でのレーンチェンジの時にリアタイヤの接地感がしっかりしたとか、ノーマルデフのときと較べて、全般的にクルマの安定感が向上しました。
このように、一度付けてしまうと、ハイパワーFR車にとってのLSDは、十分条件どころか必要条件ではないかと思ってしまうほどその装着効果は大きく、私はすでに「もうLSD無しでは生きていけない体」(←危険)になってしまってます(笑)
【Orange Wolf リクライニング式バケットシート】
私のB3Sには、形状はBMWのMスポーツと同じような若干のサポート機能がついている、スポーツタイプのシートがついていました。
ホワイトのレザーとアルカンターラの仕上げはお洒落で見た目はよろしいんですが、全体的に造りが大きく、ハイスピード走行でのサポート性能については全く期待できません。
いずれレカロのセミパケットでも入れて、表皮を張り替えて・・・、などと考えていましたが、LSD取り付けの時に試しに座ってみたオレンジウルフのブリッド製バケットシートがあまりにフィット感が良かったので、思わず衝動買いしてしまった次第です。
オレンジウルフのシートは、ブリッドの「ストラディアⅡ」というモデルを、木下みつひろ選手監修により、主に構造材とクッション材を見直すことで、高度なサポート性能と乗り心地の両立を実現させたシートです。
特徴は、
・日本人の体系に合わせた基本設計
・複雑な3重ウレタン構造による、高いサポート性と疲れにくさの実現
・バケットでありながら、フラット近くまでのリクラインが可能
・総アルミ製フレームとカーボンシェルにより、12.5kgという純正(28kg)の半分以下の軽量化
・車種毎に用意されたシートレールにより、ステアリング・センターに設置が可能、等々。
実際に付けてみると、サポート性能に関しては文句なしで、肩~脇~太腿を面で支えるサイド・サポートにより、どんなに横Gがかかっても身体は全く動きません。
また、コストのかかっている3層構造のウレタン材により、サポート部は柔軟性を持たせ、逆に座面はロードインフォメーションが拾いやすいよう硬めの仕上げとしながら、長時間ドライブでも全くお尻が痛くならないという、乗用車用のスポーツシートに欠かせない性能も備えています。
実際、このシートに慣れてから助手席のノーマルシートに座ってみたら、いかにも腰高で「厚い座布団」の上に座ってるような不安定さを感じました。
一方で、デメリットとしては、乗り降りが大変になったこと。
「サイドは高くなく女性でも乗り降りは容易」との謳い文句ですが、まず、ノーマルに較べて着座位置が40mmくらい低くなってるうえにお尻がはまり込むように座る訳ですから、ここは「男性でも乗り降りは大変」が正確です。
特に降りるときは「よっこらしょ!」となりますが、私は試行錯誤のうえ、左手をサイドシルに当てて体重を支えながら一気に降りる、という降車方法を編み出しました(笑)
【ミシュラン パイロット・スポーツ3 】
B3S購入時から付いていたのが、このタイヤ。
乗り心地、グリップ性能、静粛性に優れていて、とてもバランスの良いタイヤだと思っていましたが、一番感心したのが、4万キロ近く走って2分山くらいまで磨り減っても、極端な性能低下が無かったこと。
山が十分にある間は、当初の性能を発揮するのは比較的容易だと思いますが、スリップサインがギリギリになっても性能を維持するっていうのは、基本構造とゴムの素材が相当良いからに他なりません。
以上の理由から、タイヤ交換時もあまり迷わずPS3にしました。
【Orange Wolf ブレーキ・パッド850】
数あるオレンジウルフ製品の中で、私が最も評価しているのが、実はこの「OWブレーキパッド850」。
街中で普通に乗ってるときは、ノーマルに較べて若干タッチがソフトで停止直前のコントロールがし易いとか、滑るような感じがしなくてフィーリングがいい、程度の感想でした。
ところが、この製品の真価は、箱根の峠道を目一杯攻めたときに顕れました。
ノーマルパッドだとダウンヒルで強めのブレーキングを繰り返すと、徐々にフェード状態が始まり効きがめっきり落ちてきます。
それに較べて850は、ブレーキの温度が上がれば上がるほど、パッドがローターに食いつくような鋭さが出てきて、ブレーキの効きやコントロール性が良くなっていきます。
この感覚を一番実感するのは、その後ブレーキが冷えたときに再乗車して「あれっ、ブレーキ効かないっ!」ってなる時です。
高負荷時のタッチがあまりにダイレクトかつ鋭いので、冷えて通常の効きに戻ったときにびっくりするんですね。
また、ツーリングで目一杯走ったあとでも、ノーマルパッドと較べてホイールのダスト汚れが少ないのも、この製品の優れた性能だと思います。
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以上、「総括」とはとても呼べない長々とした「詳細インプレッション」になってしまいましたが、幸いなことに、B3Sに装着したこれらのパーツはどれも素晴らしい効用をもたらしてくれ、結構費用はかかりましたけどクルマのパフォーマンスが格段に高まったことを考えると、大成功のモディファイだったと思います。