≪第一期 セヴンウェーブ≫
■出会い■
今から遡ること16年前(1994年)、当時の私は友人から18万円で譲り受けたAE86レビンを喜んで乗っていた。
おりしもドリフトブームの真っ只中、山(鞍掛峠)やミニサーキットには通いまくっていたものの、いわゆる「グリップ走行」には全く興味がなかった頃。
奈良県にあるミニサーキットで、初めてコース一周全てドリフトで繋がった時には、えらく感動したものだった。
(きっとタイムを計られてたら、恐ろしく遅いスピードだったことだろう。)
そんな中、どんなきっかけで誰と行ったかは憶えてないが、ある日「昼間の鈴鹿スカイラインに行ってみよう」という話になり、700円という高額な通行料を支払い(現在は無料)慣れない日中のワインディングを上ってみることにした。
ところが、スポーツカーがバンバン走ってる想像とは違い、2st 250ccのレーサーレプリカバイクが宛らサーキットを走っているかのように攻めている。
「ちょっと場違いな所に紛れ込んじゃったな」と頂上駐車場で通行料のことを悔やんでいると、一台のバイク(アプリリア)が私の元へ近づいてくる。
「ノロケンちゃん!」・・・ヘルメットを脱ぐと馴染みの顔。サーキット遊びでいつも一緒になる86乗りの2つ年上のA氏。
聞くところによると、昼間の鈴鹿スカイラインはバイクばかりで、攻めてる車と言えばスーパーセヴンがちらほらくらいだとか。
「スーパーセヴン?」
・・・知らなくはない。けど、私が知ってる(イメージする)スーパーセヴンと言えばクラシックカーに属するスポーツカー。
「攻めてる??へんなの」と思ったのを鮮明に憶えている。(誰と行ったかは憶えてないのに・・・)
そして、しばらく駐車場でバイクを眺めてから下ることに。
すると、バックミラーに見慣れない「地を這うようなへんな車」がもの凄い勢いで迫ってくる。
フロントガラスも無くゴーグル姿のそのドライバーは、ハザードを灯して路肩に寄った私にサッっと手を上げ、瞬く間に消えていった。
「スーパー ・・・セヴン???」
私が想像していたクラシックなそれとは違い、正直、格好良いのか格好悪いのかも解らず、ただただ衝撃的だった。
・・・ん?
私は駐車場で2時間ほど過ごしていたのにスーパーセヴンは見かけなかった。
そして私を追い越していったスーパーセヴンはその後すれ違うことはなかった。
「ってことは、あの人は高額な通行料を支払い、滋賀県から上って三重県へと通過しただけなのか?」
「なんてクールなんだ!」
・・・なんて変なことにまで感心する始末。
当時の700円といえば、私の一日の生活費並みだったわけで・・・。
「脳裏に焼きつく」とはよく言ったものだ。
ミラーに迫りくるセヴン、追い越し時の左後ろから見たセヴン、コーナーへ消える間際のセヴン・・・
3つのシーンのスーパーセヴンが頭の中に、まさに3枚の写真のように焼きついてしまった。
・・・実に美しい・・・
その後も気になっていたが、「欲しい」とは違うようで・・・「乗ってみたい」・・・だろうか??
変な感覚だったが、とにかく気になる。
インターネットも無い当時、調べ物と言えば書店に駆け込むくらいしか術がなかった。
しかし、スーパーカーや国産スポーツの記事は無数にあるものの、スーパーセヴンの記事などどこにもなく、ようやく探し当てた「黄色いスーパーセヴン」の記事に辿り着くまでにはかなりの時が経っていた。
しかも、覚悟をしていたとはいえ、そこには「980万円~」・・・。
個人売買の欄には「中古 700万円」とも・・・。
ここで、「欲しかった」ことが判明。だが、その想いも強制終了。
18万円の車に乗った二十歳の私に「980万円~」はあまりに非現実的であり、「スーパーセヴンと言うよりウルトラセヴンだな」という全く笑えないオチをブツブツ言いながら、書店を出たのを憶えている。
今思うとその「黄色いスーパーセヴン」はケーターハムの【JPE】だと考えられる。
(そりゃーウルトラセヴンだ!)
まだ汚れを(ちょっとしか)知らない、純真無垢だった二十歳の私・・・
セヴンウェーブは、忽ちにして終わったのだった。
Posted at 2010/09/25 21:53:25 | |
トラックバック(0) |
セヴン ヒストリー | 日記