ブレーキングに関するテクニック一覧を
海外の記事やミハエルクルムさんの
著書などから作りました。
フルブレーキやトレイルブレーキの項は
つい長くなってしまいました!
●フルブレーキ
●減速ブレーキ
●止まるためのブレーキ
●しきい値ブレーキ|threshold braking
モーターレースや自動車レースにおいてコーナー手前の直線部分で使用されるブレーキング技術。ブレーキを使用して最短の時間で減速する技術。
ブレーキペダルを強く踏み、タイヤによって発生するブレーキ力を最大化する。最大のブレーキ力は、タイヤがロックしていない状態で滑り始めた時点で発生する。
この点をしきい値(閾値)と言い、これを超えるとタイヤがロックして滑り、グリップが一気に低下する。
路面の材質、温度、タイヤのグリップ、摩耗など多くの要因に依存するため、通常の運転中に一貫してしきい値を達成することはほぼ不可能。
▶︎フルブレーキでリアが流れるのはなぜ?
一気にブレーキをかけすぎている場合がある。
経験の少ないドライバーは、いきなり最大限の力でペダルを思い切り踏み込む。
踏み込む瞬間は出来る限りソフトに。そして、すかさず、かつ確実に、踏力を最大レベルまで増やすのがベストなフルブレーキ。
この操作により、ブレーキング時にフロントへ過度のピッチングを与えさせない「加減」が可能となる。
最初にソフトに踏むことでリヤが落ち着き、荷重のすべてがフロントへ掛かることを避ける。リヤタイヤはロックしにくくなり、同時にマシン全体のブレーキング・フォースが上がり、結果として効率よく減速できる。
●ヒールアンドトゥ
アクセルとブレーキペダルの両方を同時に操作する右足の位置を指す。ヒール(かかと)でアクセル、トゥ(つま先)でブレーキを操作する。
通常のマニュアルトランスミッションを搭載した車両にのみ適用される。
ブレーキとダウンシフトを同時に行うときに使用され、クラッチが切れた瞬間にスロットルをかかとで「ブリップ」して故意にエンジン回転を上げ、エンジンブレーキのショックを緩和し下ギアをスムーズにつなぐ。
安全上の理由から、ブレーキペダルを優先することが重要。その理由は、ブレーキはエンジン速度よりも正確なコントロールフィールを必要とするためである。
足のサイズ、靴の種類、座る位置、ペダルの配置などに基づいて、いくつかの個々のバリエーションがある。(トゥアンドトゥなど)
●レイトブレーキ
フルブレーキの開始地点を通常より遅らせる技術。レースで前車を追い抜くために使用される。
●ポンピングブレーキ
●ケイデンスブレーキ|cadence braking
●スタッターブレーキ
ブレーキング時にタイヤがロックした場合、ブレーキペダルの圧力を断続的に下げて、タイヤがトラクションを取り戻し、再び回転し始めるようにする技術。
※F1の中継ではタイヤロックから復帰する様子がよくスローモーション再生される。
主に危険回避時にステアリング制御を回復するために行われる。ほとんどの路面で効果的だが、しきい値ブレーキングと呼ばれる最適なブレーキポイントにタイヤを継続的に維持するよりも効果が低く、制動距離は伸びる。
学習と練習が必要なテクニックであるが、ABS(アンチロックブレーキシステム)やESC(エレクトロニックスタビリティコントロール)の出現により過去の技術となっている。
一般車においてはドライバーは電子制御にまかせてフルブレーキングを続けるのが一番の得策となっている。
●トレイルブレーキ|trail braking
●引きずりブレーキ
●曲がるためのブレーキ
●チョンチョンブレーキ
トレイルブレーキングはコーナー入口を過ぎてもブレーキを引きずるようにかけ続けることを意味する。

ミハエルクルム氏によるトレイルブレーキングを使った「究極のコーナリング」では、きれいな楕円を描く。上図は筑波2000の1コーナーに当てはめたもの。
通常教えられている旋回前にブレーキを完了する方法とは対照的。この方法は、フロントタイヤへの重量移動を作成し、トラクションを高めてアンダーステアを減らすために使用される。
ブレーキはカーブの入口を超えて使用され、エイペックス1まで徐々に緩められる。ターンイン開始後にブレーキ圧を徐々に緩めると、コーナー進入速度の調整が急激ではなく、より正確になる。
緩め方は、旋回に使用される量(横グリップ)が10・20・30と増すに従って、トレイルブレーキによる減速量(縦グリップ)を90・80・70と減らし、タイヤグリップの総量が常に100となるのが理想とされる。
回り込んでいるコーナーや、下り坂のコーナーなどでは、トレイルブレーキングテクニックが適しているが、素早いステアリング操作が必要なコーナーで旋回中にブレーキを引きずる必要はない。
また、高速コーナーではコーナーの早い段階で加速体勢に移行するため、使用される時間はごくわずかである。
トレイルブレーキングを習得すると、ブレーキ開始を遅らせてより高速でコーナーに進入したり、車やドライバーの能力を超える速度でコーナーに進入した場合に事故を回避したりするのに役立つ。
●リバーストレイルブレーキ
S字カーブやシケインでバイクをより素早く切り返すのに役立つ技術。
この方法では、ライダーはステアリングの切り返し時にフロントブレーキを少しかける。フロントブレーキをかけるとバイクが「立ち上がる」傾向があるため、フェイントのカウンターステアと組み合わせて使用すると、バイクをより迅速かつ効率的に反対側に倒すことができる。
●ブレーキドリフト
ラリーやドリフトでよく使用されるドリフトテクニックの 1 つ。ドリフトを誘発するテクニック。
これは、軽いトレイルブレーキングの後に、瞬間的にブレーキをかけて離すもの。リアが抜けてドリフトが始まり、ドライバーはフルスロットルでコーナーに進入およびコーナーから脱出できるようになる。
ステアリング操作と併用する。
●左足ブレーキ
左足ブレーキはラリーでよく使われるテクニック。右足ブレーキのように、足をアクセルから踏み替える必要がないので、不測の事態が発生しても瞬時に操作できる。
アクセルと併用することで車の姿勢に安定感をもたらす。
ドライバーに影響を与える深刻な問題は、高速コーナリング中のアンダーステア。アンダーステアを解消するには、後輪よりも前輪のグリップを高める必要がある。左足ブレーキは、まさにそれに役立つ。
加速中に左足でブレーキを少しかけると、リア荷重からフロントに移動し、前輪のグリップが後輪よりも高くなる。これで、車はオーバーステアし始めることになる。さらに前後バランスを変更するには、パワーまたはブレーキ圧力を追加する。
●サイドブレーキターン
ラリーやドリフト、ジムカーナで多用される技術。
サイドブレーキにより後輪をロックさせて滑らせることで、車の向きを変える。競技車両においてサイドブレーキレバーは直立に設置され操作性を上げている。またリアブレーキも強力な制動力を保持している。
●エンジンブレーキ
●コースティング
●リフト&コースト
アクセルをオフにした状態で(lift off)、惰性で車を走らせる(coast)こと。
アクセルがオフの状態=リフトオフしている状態ではスピードが上がらないため、通常、モータースポーツレースでリフト・アンド・コースト走法が行われる事はない。
だがF1においては2014年にハイブリッドターボエンジンが導入され燃料が厳しく制限される事となった。これによりドライバーたちは燃料を節約するために、コーナーに進入する際にたびたびこの走法を強いられている。
F1のほか、WEC世界耐久選手権シリーズや米国インディカー・シリーズなどでも目にする。
●対ノックバックブレーキ
プロやエキスパートが加速中に左足で行う予備的ブレーキ操作。ノックバックを解消するために行う。
ブレーキの「ノックバック」とは、激しい振動やGによるローターの動きでピストンが押し戻され、微量の遊びができてしまう現象。
ノックバックが発生すると、いざブレーキという時タイミングが遅れてかなり怖い思いをするため、予防的に加圧して隙間を詰める。制動力は発生させない。
●停止ブレーキ
●なめらかブレーキ
車が停止する直前にブレーキを緩め、停止時のショック(カックンブレーキ)を緩和するテクニック。
●静止ブレーキ
静止した状態をキープするためのブレーキ。AT車のクリープによる前進を防ぐブレーキ。