
走り屋の聖地が集まる群馬の山中で行われた全日本ラリー「モントレー」。各クラスで大接戦が繰り広げられ、新井大輝ファビアvsコバライネンGRヤリスは3.1秒差、86渡部vsBRZ鈴木の6型対決はまったくの同タイム、スイスポ新人藤原vsベテラン高橋は6.1秒差と僅差のバトルでした。2位争いや3位争いでも激しい争奪戦がありました。
こんなものを作るまでもなく今回は実戦が面白かったんですけど、リザルトから「もしトラブルなく普通に走ったら誰が速かったのか」をレースペース順位として算出しました。
●算出方法
・ペナルティやタイム加算カット(lo)
・69位以下の成績カット(lo・選手権対象が68台のため)
・リタイヤカット(re)
・最低順位カット(bo)
・残った順位の平均値を計算
・小さな赤文字は全体順位
【JN-1】レースペース順位
1位の新井大輝/立久井大輝組はSS2、SS3の碓氷峠でコバライネン/北川紗衣組にトップを奪われたものの、その後2秒〜3秒のリードを築き続けました。SS1位を8本中5本獲得は快挙。荒れた路面や難所のSSで強さを発揮しています。
わずかコンマ2の差で2位のコバライネン選手。1位を3本とっているので、二人で1位を独占したことになり十分速いですが、前戦飛鳥に続きスピード不足を訴えています。自分のせいなのかマシンのせいなのかその両方なのかわからないと悩み中。
3位勝田範彦選手は尻上がりに調子を上げて鎌田卓麻選手との3位争いを1.2秒差で制しています。鎌田選手はかなり悔しかったと思いますが、レースペースで見ると初めて奴田原文雄選手を抜いたので上り調子といえます。
【JN-2】レースペース順位
1位山田啓介/藤井俊樹組が39.2秒の差をつけて優勝。全体7.4位の速さで、JN-1に食い込むペースです。碓氷峠レコードも獲得しターマック4戦を最高の形で締めくくりました。
全体7位を連取しているので6位を狙って欲しくなりますが、そうなるとJN-1福永選手を抜かなければなりません。現状では1分以上差がありマシン差も大きすぎるので、この辺は来期の楽しみにしておきます。
2位貝原聖也/西﨑佳代子組は全体8.6位と、前回飛鳥の10.1位から大きくペースを上げてきました。テストやノートの見直しが効いたようです。最後の2SSで追い上げ2位の奪取に成功したのは大きな自信になったのではないでしょうか。
3位小泉敏志/村山朋香組は貝原選手の割を食った形ですが、こちらも飛鳥の10.2位から9.1位と全体ペースが上がっています。一桁か二桁の違いってすごく大きいような気がします。
【JN-2MCC】レースペース順位
モリゾウチャレンジカップの1位は安定の速さで大竹直生/橋本美咲組。もっと速さがあるはずですが、今年はムラなく成績をとることがテーマのようで、無理はしてない印象。碓氷峠のタイム更新もお預けとなりました。
2位にジョーンズ/トムソン組。レースペースでは初の2位。どんな環境にいるのかわかりませんが、ニュージーランドから遠く離れた日本でよくやってるなあと感心します。
3位最上佳樹/小藤桂一組は正式結果では初の2位表彰台。4位の奥井選手は確実にペースアップしていて頼もしいですね。5位の稲葉選手は初日ペースが上がらず一時10位まで落ちながらもしぶとく這い上がって6位。
【JN-3】レースペース順位

1位の山本選手は順調にスタートしたように見えましたがSS3でエンジンブローリタイヤ。ここからBRZと86、共に6型どうしの熾烈なトップ争いが始まります。
2位の鈴木尚/島津雅彦組は下り急勾配が得意なBRZ乗り。悪路ほどスピードが増す走りでトップを猛追。8SSを終えて58分54秒7の同タイムで並びました。獲ったSSの数も4対4で同じ。ペースで見ると上ですが、SS1で速かった方が上位になるという規定により惜しくも2位表彰台となりました。
3位渡部弘樹/横山慎太郎組も下りが多いモントレーで表彰台を狙っていたのでしょう。過去2戦では見られなかったハイペースを発揮し同タイムでフィニッシュ。初優勝を獲得しました。
5位の山口清司/澤田耕一組はSS2・SS3の碓氷峠だけ19位・15位と他のSSより速く「碓氷峠新記録」獲得にかなり力を入れていたように見えます。
【JN-4】レースペース順位

1位は藤原友貴/宮本大輝組。飛鳥に続き連続1位。正式結果でも優勝で楽しそうに走る姿が良い。飛鳥に比べペースは16.0位から18.6位とやや落としています。新採用したブレーキにトラブルがあったようです。
2位の高橋悟志/箕作裕子組は逆に飛鳥の24.3位から19.4位とかなりペースを上げてきました。もう少しスピードがあれば追い抜けたかもしれないので今後が楽しみです。
車体の軽さが強力な武器となっているスイフトスポーツは市販車ラリークラスの宝物。高剛性ライトウェイトマシン「スイスポ」によるエントリーがもっと増えてほしいです。スイスポは絶滅危惧種とささやかれてますが、スズキからの応援やサポートも期待したいところ。
【JN-5】レースペース順位

1位は松倉拓郎/山田真記子組。安定した速さで2位に36.7秒の差をつけて優勝しました。SS順位を見ると1日の最初が速くだんだんペースが落ちていく傾向がありますがそれでも速いです。
2位の河本拓哉/有川大輔組はペースが発揮できず少しずつ遅れていく一番苦しい展開。二人のX投稿を見ると何かしら原因があったように見受けられるので次戦の巻き返しに期待です。
3位中溝悠太/佐々木裕一組は碓氷峠でがんばり最速の称号は得たものの、次のSS4でトラブルがありデイ離脱。10分の加算を受けた上、2日目は不調で正式10位。ペースがあっただけにもったいないことしました。
【JN-X】レースペース順位

1位の天野智之/井上裕紀子組が安定したペースで完走し優勝。ライブ配信で「この車スイフト2台分より重いんですよ〜」と言ってましたが、全体42.3位は下位グループのトップ的なポジションとなっています。2トンある車ではこのあたりが限界なのでしょうか。
下りメインで有利になるかと思っていた2位清水和夫/山本磨美組や3位海老原孝敬/蔭山恵組は、逆に大きくペースダウンし引き離されてしまいました。
おまけ
碓氷峠ではサプライズで下田紗弥加選手のドリフト走行(撮影用)もありました。下田選手のXにいくつか匂わせ投稿があったけど、こういうことだったのか!
砂利道やダートを使う「グラベルラリー」に変わります。非舗装路が得意な選手や地元スペシャリストが上位に顔を出し、苦手な選手は下位に沈んだりでレースペースも大きくシャッフルされそうです。
Posted at 2025/06/13 14:07:13 | |
ラリー | クルマ