グロムの各種排気量およびハイコンプ化について
目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
DIY |
難易度 |
  中級 |
作業時間 |
6時間以内 |
1
グロムのエンジンを弄った仕様がどんな感じか知りたい人結構居るんじゃないでしょうか。
データの蓄積が出来てきたのでグダグダ、かつざーっくりと紹介していこうと思います。
何も考えずボアアップしたら全域速くなる、ってわけでもないです。
トルク上がるけど高回転まで回らなくなるから加速上がったけど最高速露骨に落ちた、とか普通にありますのでご注意を。
純正ヘッドのまま170cc〜で9000回転以上ガンガンぶん回る仕様とかそこに至るまでの苦労考えると普通にキッツいです。
めんどくせぇ…って思ったらピストンノーマルのまま吸排気、カム、サブコンだけの方が幸せになれます。
やろうと思えばそれでも13馬力出せましたしね。
画像は家の積みボアアップキットのストック。
2
・ハイコンプ125
排気量維持で明確なトルクアップさせたい人向け。純正圧縮比は9.3:1なのでエンジン負荷もパワーも大幅に上がります。
3製品とも鍛造ピストン。
シフトアップ(11.8:1):実はピストンよりも純正シリンダー互換でオイルクーラー取り出し口付きシリンダーが人気w
このキットだとオイルクーラー無しで運用できてる人が何人も居るのでバランス良くて美味しいのでは?ちなみにキットに付属のカムは中高回転型。
加工自体は綺麗なんですがバリ多目なので初期手入れの処理はシッカリとネ!
キタコ(12.2:1):耐久性についても実績あり。導入実績が1番多くてハイコンプピストンでは定番化しています。夏場オイルクーラー必須。
唯一全面モリブデンコート処理。初期手入れするか悩むやつ。
武川(12.5:1):125で1番圧縮比が高くて全力でトルク上げるならこちら。ただ装着してる人は少ないですねぇ…
ハイオク仕様で高圧縮比ゆえに強烈にオイルが劣化するのでオイル管理がキモ。
当然燃調も相応にシビアになるのもあり低圧縮な133の方が地味に許容範囲が広いのでセッティング楽だったりします。
・キタコ133cc(9.9:1):低圧縮比+気休め程度の排気量アップなのでセッティングがとにかく楽。ツーリング仕様向け。
耐久性に優れており、レギュラーでOKかつ熱量が小さいので夏でもセッティングによってはオイルクーラーすら不要で、シリンダーにはオイル取り出し口なし。
画像の鋳造ピストン。
ガチンコで仕上げたい場合は多分ハイコンプ125エンジンの方が速くできます。
絶版つらい…
少なくともここ迄は安定して万km単位の走行実績あります
・武川143cc(11.0:1):そこそこの耐久性、そこそこのセッティング難度、でも125並の吹け方を残したまま125ccでは決して出せないパワーが欲しい人向け。
もちろんそこそこにハイコンプなので125ハイコンプ同様にこれ以上の排気量は夏場オイルクーラーが必須。
シリンダーにオイル取り出し口がないのでクラッチカバーキットの併用は必須。
強いてデメリット挙げるなら中途半端なので導入実績が少ない点か。
以上、ここまでが純正スロボ+サブコンの内蔵MAPポン組みで十分どうにかなるライン。
ここまででもバッチバチに仕上げて高回転型にすると純正インジェクターの噴射限界的にセッティング出せなくなります。
3
この辺りからはビッグスロボ&相応のインジェクター装着が前提です。
・164cc:残念ながら絶版済で現在入手不可。
キタコNEOを組める最小排気量なので玄人好みで良かったのに…
・170cc:エンデュランス(KOSO製)。11.5:1と高圧縮比。181ほどはパワー出なかったけど比較的安価で入手できやすいのがメリット。鍛造ピストン。
エンデュランスで製造しているわけではないのでアフターは…でした。補修部品入手に販売証明とか求められます。
※純正ヘッド前提
・181cc(キタコ11.1:1武川11.0:1)
一般的グロム最大排気量で圧倒的トルク。
ヘッドの限界で高回転カム使おうが7000〜の吹けは鈍い。
吸排気ポート加工やビッグバルブ化でも限界があるため、ハイギヤード化でトルク活かすのが正解かと。
ボアアップでは最も人気なので今後を考えると最適解?
・181ccローコンプ(武川Sステージeco10.5:1)
気休め程度の圧縮比低下…と思いきやレギュラー対応。
最大排気量故の圧倒的トルクは欲しいけど耐久性も欲しい…なんて欲張りさん向け?
コレはコレでアリだと思います。もしかしたら気持ち吹けも軽いかもしれないので。
画像のピストンはこちら。現在使っていますが快調ですね!絶版つらい…
4
以下クランクケースに穴開けたくなければ強化クランク必須。
・キタコNEO181cc:圧縮比11.5:1。
なんというか純正125以上の吹けも181のトルクも欲しいという下から上まで盛り盛りな凶悪上位互換2バルブヘッド。
ケースに穴開けたくなければ強化クランクも入れましょう。構造上4Vより露骨に振動が大きいのと距離走るとバルブガイドの摩耗に定評あり。
大体後軸20馬力前後がセッティング出てる車体の目安かな。
・エンデュランス(KOSO) 4バルブヘッド170cc:圧縮比12.5:1という空冷シングルですよ?正気?という限界度合い。画像のやつ。
そして6000回転以下は125の時と大して変わらない癖してパワーは高回転に全振り14000回転まで逝けるという頭おかしいヘッド。
なのにアフターがアレなのでトラブった時に全俺が泣いた。
4V仕様は確実に爆音になりますし他部への過負荷度も凶悪なので色々お覚悟を。
静音マフラーだったのに今では爆音ですしぶん回し続けると排熱でグラスウール焦げて白煙吐きましたし!
・武川4バルブヘッド181cc:同じく圧縮比12.5:1。だが↑と比較すると下からパワーが出ており構造、設計に余裕もあるので現状パワー出すなら最強のヘッドと思われる。
5軸加工とかどうなの?って感じですがこの辺組むなら最初からコンプリートエンジン組んだ方が安上がりじゃない?っていう泥沼仕様です。
後軸20馬力後半狙えるとかどうかしてるぜ!
5
んで、腰上変更に当たって親和性の高い/低い組み合わせも軽く紹介
・サブコン/フルコン/ECU書き換え
エンジン焼きたくないなら絶対に導入しましょうとしか言えませぬ。
ポート加工やメーカー合わせてないビッグスロボ等を行う予定なら最初からマップ自作できる物を選びましょう。
吊るしのマップとは次元が違うのだよ!っていうパワーアップ目的よりも燃調薄すぎて焼かない方が大事。
圧縮比が高いと純正並みの空燃比でもエンジン焼く事ありますの。
勿論ちゃんと空燃比合わせるなら空燃比計も必須ですやね。
純正センサーのナローバンド空燃比計とマフラーに取り付けるワイドバンド空燃比計は圧倒的な精度差があります。例えるなら料理初心者が言う適量とシェフが言う適量位の信頼性の差です。
あとワイドバンド空燃比計の電力消費、ヘッドライト並みなのでこれもご注意。
その辺めんどくさかったら初期投資と割り切ってプロに丸投げする勇気も大事。
・ハイカム
そりゃ下からのトルクだけじゃなく上も欲しいならハイカムも要るでしょうよ。
でもグロムって基本設計が低回転型なんで高回転に振れば振るほどピーキーになるしストップ&ゴー弱くなるしパワーバンドはどんどん狭くなるしスロボ変更含めてセッティング難度上がるしで茨の道が険しくなっていきます。
・ビッグスロットルボディ
排気量に応じて大きい物を選びましょうぞ。
セッティングの泥沼に嵌まりたくなかったら基本メーカー統一した方が良いと思います。
〜143はΦ30未満の方がクセがなくて乗りやすいと思います。
・ビッグインジェクター
排気量(略
1.5倍とかの倍率とサブコンの噴射量は実は正比例してないですの。マップ自作でインジェクター変更したら全て1から作り直しです。ご参考まで。
・強化オイルポンプ:必須。吐出量はノーマル比でキタコが1.4倍、武川は1.35倍。コレ入れるだけで油温下がります。
・オイルクーラー:基本必須。発熱量に合わせて容量をしっかり吟味しましょう。
個人的にエンジュランスのタフオイルクーラーが小容量高強度で純正ヘッドには最適仕様と思ってたけどなんか絶版しちゃったんですよね。
夏場はヘッド油温120度まではあまり気にしなくても大丈夫だけど冬場のオーバークールにはご注意を。
・ヘッド変更/チューニング
純正ヘッドは鋳造でポート内面ガサガサだしそもそも低回転仕様の設計なので、内面の研磨やポート加工といったそれなりに手を加えてやると明確にレスポンス、限界パワーあげられます。
もちろんNEOとか4Vはもうパワーの出方が別次元です。
・クラッチカバーキット:オイルフィルターローター除去によるトルク低下を補う意図がなく、高回転仕様でなければパワー的なメリットは少ない。
ぶん回るけどトルクが減るからジムカーナとかには全然向いてないですの。
オイル管理的な理由でオイル窓あるのは物凄い魅力なんですけどね。
・軽量フライホイール:4V170ccにクラッチカバーキットとエンデュランスの軽量フライホイールを左右バランスを取らないと…と思ったら軽すぎてよろしくないですね。導入した結果アイドル発進不可能になりましたw
多分ですが、オイルフィルターローター+フライホイールの総重量は1割減とかその辺りまでに抑えてる方がグロムはトルクの乗り方的に安定して速いと思われます。
・政府認証マフラー:がっつりボアアップして静音系マフラーとか入れてたら消音材燃えますぜ(こないだECU書き換えセッティング中に焦げて白煙出た)
ガンガン抜けるマフラーにしないなら〜143までの方が色々安心です。
・強化セルモーター:圧縮比関係なくギュルンと回って1発始動の神パーツ。ただしバッテリー負荷にはご注意を。
・カムチェーン周りの強化品換装:これも必須です。カムチェーンもパワー上がると伸びやすくなりますしカムチェーンガイドローラーとかカムチェーンプッシュロッドゴムもゴリッゴリと削れて割と簡単に潰れますので。
・ブローバイ用ワンウェイバルブ:トルクアップに伴う強烈なエンブレを軽減して乗りやすくするためにも。
ただT-REV以外基本推してません。中にゴム素材を弁として使ってるタイプのワンウェイバルブはブローバイガス&乳化に混じるガソリンの成分でゴム膨らんで最終的に詰まるんですよね。
ケース内圧上がって回らなくなるか漏れやすい場所からオイル吹きます。
○ィルズ○ィン製品とか車のPCV流用とかするのは良いですがエンジンぶっ壊したくないなら1年交換でどぞー。
6
基本的にボアアップだろうがハイコンプだろうがフルキットポン組でセッティングするのが1番コスパええぞ!
でも燃調は仕様を決め打ちした状態でプロにやってもらう方がマップ自作泥沼をはじめ後々の事考えると実は安上がりだったぞ!
社外ヘッド今入れるならキタコNEOにするぞ!!!
…以上です(›´ω`‹ )
あとは、国内での市販品の場合、壊れるのは製品の精度どうこうよりも組み方が悪いとか組み合わせミスとかセッティングが悪いとか単純に走行距離嵩んで摩耗させきったのが殆どだす。
何回でも書きますし当たり前の話でもありますが、リスク取りたくないなら純正ピストンのままで良いと思いますの。
直接エンジンぶっ潰せるハイリスクな部品なので社外品を入れるなら後悔のないようによくよく吟味して選びましょう。
セッティング次第でいくらでも化けられますので無理してこの辺に手を出す必要は全く無いと思います、と身も蓋もない言葉で締めますw
ロマンだから仕方ないのです。
7
おまけ。
タイ製のローコンプボアアップピストンを使っタイ結果、ECU書き換えでセッティングしてもらったらパワーに負けたのか短距離で即死亡(首振り時特有の異音発生)。
ピストンピン受けが前後側だけ当たる状態に変形してピストンピンが抜けなくなってました…2個試して同じ事が起きたのでやっぽり国産メーカー品が安心ですねぇ😮💨😮💨😮💨
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