
仲良しの患者さん(77才)から、ご主人(82才)の運転がここ最近危なげなので、どのように話をしたら機嫌を損ねずに車の運転を辞めるか。という相談を受けました。
私の父は今年の3月に車の運転を引退しました。
サニー→カローラ→カムリ→ウインダム→セルシオ→カローラ→ヴィッツと車を乗り継ぎました。
父は65才の時に脊椎幹狭窄症を患い、今までに2度の手術を受けています。
肩の腱も断裂しワイヤーで固定しています。
予後が思わしくなく今現在も週1度、ペインクリニックへ通院しています。
75才の免許更新の際、私が付き添い高齢者教習を受けに行きました。
そこでは教官から「安全運転で素晴らしいお父様ですね。全く問題ありません。」とお墨付きを頂き、嬉しく思ったのを覚えています。
でも…やはり、父の運転は怖かった。
年々年老いていき、運転技術も衰えて行く。
ヒヤっとする事も多々ありました。
教習所では優秀でも、街中には多くの危険が潜んでいます。
マナーを守らない攻撃的な車、飛び出してくる自転車…。
父親と母親と私で、何度も何度も話し合いをしました。
実はヴィッツは私が父の誕生日にプレゼントした車です。
少しずつ小さな擦り傷が増えていき、私も母も心配になりました。
小さい車なら取り回しも楽に出来るだろうと、気分を害さないように勝手にプレゼントし乗り換えてもらいした。
身体が弱く足の不自由な母の通院送迎、普段の買い物。
車は無くてはならない家族の一員です。
最初は「こんな小さい車はイヤだ。」と言っていた父親も少しずつヴィッツに慣れていきました。
背中、腰、足の痛みが酷くなり、動作も遅くなった父。
父自身が運転するのではなく、私がヴィッツの運転をする事が殆どになりました。
そして、とうとうその時は来ました。
運転引退。
半世紀以上車の運転をしてきたプライドと、思うように運転出来ない焦燥感に苛まれ苦しんでいました。
せめてヴィッツだけは自分で運転をしなくても手元に置いておこうか?などの案も出ましたが、何せ駐車場代が月30000円。
ヴィッツも手放すことにしました。
車を下取りの査定の時も、書類の受け渡しの時も、愛車が引き取られて行く時も、一切顔を出さず自分の部屋へこもっていました。
その時父は何を想っていたのでしょう。
今は出来る範囲で赤エボXが両親を運んでいます。
私の愛車であり、父母の足でもあります。
いずれ、いつかは皆必ず運転を引退する時が来ます。
その時にならないと父親の本心はわかりませんが、今このブログを考え書いている時も何故か切なくなってしまいます。
仲良しの患者さんにはどのように伝えたら良いのでしょうか。
安易に「危ないから辞めさせちゃえば?何かあってからじゃ遅いよ。」という単純な言葉では済まされない気がします。
折角赤エボが帰ってきたのに、引退ブログを書く事になるとは、夢にも思いませんでした。
Posted at 2014/11/22 21:58:28 | |
トラックバック(0) | 日記