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イイね!
2014年08月08日

S4雑感 ダイナミックステアリング

自分の乗ってる車がどんな構造なのか気になる人間です。

S4にもれなく付いてるダイナミックステアリング

低速時には少ないハンドル回転で大きな舵角を、高速時にはその反対をという簡単そうで難しい機構。
ホンダS2000なんかでも搭載していたし、最近結構珍しくないらしい。

で、どうなってるかと調べると下記の様な写真は容易に見つかる。



これを見て あは~ん 

と理解できる人はその業界の人だろう。

私は分からなくて、ジーーーっと見た。

でも、分からない・・・・
メカ屋としてのプライドが焦りとなって冷や汗が背中をつたう(大袈裟な)

Elsa-Winにも似たような説明しか無い、そこで英文サイトをくまなく調べているとAUDIからこれの開発エンジニアの論文が見つかり、フムフムと読んでみたが要領を得ない、であちこち調べ回っているとハーモックドライブを使っていると、どこぞのサイトに書いてあった。

図で、赤丸で囲んで黄色文字で「ハーモニックドライブ」と注記を入れたのは私であるが、ガックリきた。

ハーモニックドライブならいつも設計で使ってるじゃないか・・・・
なんで、それに気がつかないのかと思ったが、この手のカット断面図みたいなものは分かり易そうで分かりにくい時もある。
タマネギのカット断面なんか見せられても、それがタマネギと理解できないこともままあるだろう。タマネギは外観を見た方が「あ、タマネギだ」と分かり易いのである。


このハーモニックドライブ、知ってる人は知ってるし、知らない人には全く理解不能なしろもの。

ハーモックドライブだけを抜き出すと下写真のようなもの。

分かったでしょう! 

と種明かしされても分からないのがハーモニックドライブの凄いところ、遊星減速機や星形エンジンのクランク動作の上を行く分かりにくさ!


(出展:ハーモックドライブ社)

この写真をジッっと一日眺めても分からないので、詳しくは製造メーカーの説明をご覧下さい。

私は若い頃、このハーモックドライブの原理を知って心底感動した記憶があり、心が震えるというか、世の中には頭のいい人がいるものだと畏敬の念をもったものだ。

現在、あらゆる産業用ロボットの関節部にはこの減速機が組み込まれている。
この文明世界はハーモニックドライブで支えられていると言っても過言では無いわけです。
特許はとうの昔に切れていますが、じゃ誰でも作れるじゃんと思うが誰もマネしない製品の一つでもある。(一部そういうメーカーは出てきているが)

考えたのはアメリカ人だが、製造に成功したのは日本人という、ロータリーエンジンと似たような機械要素の一つである。

大きな特徴は右回⇒左回りの様に逆転動作させた場合にロストモーションというバックラッシュが出ないことで、ロボットの腕のようにもーちょい上、いやいや もうちょい下とかの動作の場合、普通のギアタイプの減速機ではバックラッシュで狂いが出て制御にならない。(それをソフト的に処理する手段があるとか突っ込みはご勘弁)


と、ハーモニックドライブの話で終わっていまいそうだが、肝心のダイナミックステアリングがどうなっているか?

簡単に言うと次のシーケンスだと思う。

1)運転席のハンドル側シャフトとステアリング機構とは切り離されている。
2)ハンドルの回転角はエンコーダーで検出され
3)その時点の走行速度に応じた舵角をECUが計算し
4)モーターがハーモニックドライブの入力軸を回し
5)その減速された出力がアクスルシャフトに伝わる

ということである。

通常ハーモニックドライブは1段で1/50とかの高減速比が実現できるので、AUDIも多分その程度の減速比のものが組み込まれているのでしょう。

ここまでは簡単に理解できるが、簡潔に言うとハンドルとアクスルシャフトは全く縁が切れているということである。

じゃ、走行中発電機がぶっ飛んで、バッテリーがショートして福島原発みたいに全電源停止状態になったらどーすんのよ!

死ねっていうの?

お お客様 AUDIはそのような無慈悲なメーカーでは御座いません。

と言うかは分かりませんが、大丈夫全電源が落ちたときには最初の写真の
Electro magnetic block と書かれている部品が機能します。

これは簡単に言うと電磁ソレノイド プランジャとかとも言いますが、電磁コイルに発生した磁界でシャフトを押し引きする部品です。
要は閂(かんぬき)です。
このソレノイドは電気が来てるときはプランジャを引っ込めてます。
電気が来なければバネの力で勝手に戻るという仕組みです。

絵ではその詳細まで見えませんが、この絵は閂が出ている状態だと思います。
先頭写真の断面が青で示された部分が2枚目の写真でいうところのサーキュラ・スプラインなので、ここがアクスルと繋がっている出力軸なわけです。

つまり緊急時にはハンドル側のシャフトとハーモニックドライブの出力軸を機械的に連結してしまおうと言う考え方です。

あ~ これで全部すっきりした と思ったら大間違い

じゃ、タイヤからの反力はどうやってハンドルに伝えるのか?
ノーフィードバックじゃ「駆け抜ける喜び」が得られないじゃないか!
ちょっとメーカー違うよな・・・・

アクスルからの反力は、高減速比のハーモニックドライブを出力⇒入力へ伝達出来るのか?

普通のギア減速機なら出力⇒入力の逆動作も可能ですし、エンジンブレーキというのはこれを意味してるわけです。

答えはハーモニックドライブは構造的に逆転動作が出来ません。
つまり出力軸に掛かった反力はダイレクトに入力軸に伝わるのです。
これはモータの出力軸を回すということになりますが、ご存じの通りマブチモーターの軸を指で回してもモーター全体は回りません。
つまりタイヤからの反力はステアリングにフィードバック出来ないというのが結論です。

でも私のS4は轍がきついとステアリングに結構きついキックバックが来ます。

どうやって反力を伝えているのか?
これを考えると眠れなくなります。

しかし、論理的に考えるとモーター入力軸まで来た反力をハンドル軸に伝えるためにはモータの電磁的結合力で伝達するしか無いわけです。

ハーモニックドライブの減速比が大きいだけに、逆にモーターの駆動トルクは小さくて済むわけで、結果的に電磁的なモーターの入出力軸の結合力も弱いわけです。

非常に矛盾する話ですし、本当にそうだろかと悩む毎日です。

どなたかご存じの方がおられましたら是非ご教授下さい。

あー知りたい!
ブログ一覧 | AUDI S4 | クルマ
Posted at 2014/08/08 21:12:45

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この記事へのコメント

2014年9月7日 21:14
こんばんわ。

連投すみません。

直結していないということは新スカイラインのステアリングバイワイヤ技術みたいな感じでしょうか?

(ため息)ためになります・・・。
コメントへの返答
2014年9月7日 23:13
こんばんわ
スカイラインの方式も、緊急時にはメカ的に連結して難を逃れようという考え方は似てます。
AUDIが速度以外のパラメータを扱わない部分で単純です。(2010年ごろまでは)
最近の車は車線逸脱とかを強制的に補正しますので、ステアリングの主導権を握っているのはドライバーでなくコンピュータの様です。

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