2023年12月25日
わたしは1人でいるとき、ふと妄想のストーリーを思いつくことがある。
昨夜もソファに座って温かいコーヒーを飲みながら窓からの灯りを見てこんなことを思うのだった。
君のお母さんは離婚して工場で働きながら君を育てた。
小さくて古いアパートで、絵に描いたように貧乏だった。
友だちの家にお誕生日会やクリスマスパーティに呼ばれると、どの家も大きな家で、やさしそうなお父さんときれいなお母さんは笑顔で迎えてくれて、テーブルには大きなケーキと見たこともないご馳走が並べられるのだった。
持ち寄ったプレゼントもときめくようなものばかりだったが、君が持って行くのは木の実で作ったネックレスだったりするので、だんだんお呼ばれもしなくなっていった。
そしてとうとう家でおかあさんとクリスマスイブを過ごすことになった君。
あの日、おかあさんはケーキに見立てたお豆腐を出してくれた。
下手くそな上にスペルも違うmely X’masと書かれてあった。
あまりに友だちの家と違うクリスマス。
君は「こんなのケーキじゃない」とお豆腐をひっくり返してしまった。
お母さんは黙ってこなごなになったお豆腐を拾い、そして小さく泣いていた。
そうして君もふとんにもぐって、泣いた。
でもね。
お母さんが泣いていたのは君にひどいことをされたからじゃないんだよ。
こんなことしか子どもにしてやれない自分の情けなさに涙が溢れてきたんだよ。
やがて大人になった君は、結婚をしてマンションを買い、クリスマスには子どもの友達が集まってくる。
嬉しそうにケーキを食べる子どもを見て、ふと君はあの日のお母さんを思い出し、しゃがんで子どもたちに隠れて、泣いた。
君が泣いたのは、こんなことしか子どもにしてやれない自分の情けなさに涙が溢れてきたんだよ。
お金さえあれば誰にでもできるようなことしか君にはできない。
お豆腐をケーキにするなんて君にはとても思いつかない。
でもこんなストーリーを自分で考えながら、そのストーリーが何を意味するのか自分でもわからなかった。
これからこの国は貧困に向かうだろう。
ひとつには今までわたしたちが発展途上国と思ってた国々がいつの間にか発展している。
世界の資源や食糧の供給のパイは決まってる。
これを取り合うとき、もうわたしたちの国には回ってはこないんだよ。
税金がまた上がるとか金融封鎖って本当に起こるの?っていうけど、そんなことどうでもいいくらいに台湾事変が起こったら日本人の生活は根幹から揺らぐことだろう。
何もかも。
何もかもなくなったとき。
その世界で君は愛する人に何を与えてあげられるだろう。
わたしは、公園にふたりでしゃがんで草花と蟻が作る小さな風景を何時間も見て笑いたい。
お腹がすいてもあなたを笑わせ続けてあげたい。
お金がないと人を幸せにはできない。
お金があれば人を幸せにできる。
そう考える人が、生きてる間に「幸せ」というものを見ることはないだろう。
そしてわたしたちがほんとうに気をつけたいことは。
幸せによく似たもの、愛にとてもよく似たものに、心を引っ張られないことだ。
Posted at 2023/12/25 17:10:30 | |
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