わたしは何かに興味を持つと、それをプロ並みになるまで突き詰めるところがあります。
かつては音楽がそうだったし、絵もそうだし、最近ではお家を買って庭をデザイン画から起こしてちょっとした土木工事も含めて1人でDIYでつくってきました。
しかしなぜかカメラだけはいつまで経ってもうまくならないし、正直、あんまり勉強する気にならないのです。なぜかわかりません。自分でも不思議です。
カメラはCanon EOS 60Dっていうキヤノンの中級機を、もう10年以上使っているけど、レンズも標準2本、マクロ1本、望遠2本しか持ってない。
そんなわたしなので、ここでカメラ講座なんかを書くわけにはいかないけれど、今日はわたしがクルマの写真を撮るときに気をつけてることを書いてみます。
先日、群馬県と長野県の県境付近に行ってみたけど、あんまりいいロケーションにたどり着けず、結局ちゃんとした写真は1枚も撮れなかったのですが、途中でスナップ的に撮ったこの写真を見てください。
写真としてはただのスナップで、背景も含め、おもしろくもなんともないんだけど、クルマだけはカタログ写真並みにキレイに撮れてると思わない?
このようにおもしろみのない風景の中でもクルマがカチッと撮れてれば、それなりに鑑賞に耐えられます。
ちょっと注意して見てほしいのですが、わたしは写真を撮るとき、このようにクルマは必ず日陰に置きます。
そして、この写真の左側の景色には太陽光が強く当たってますよね。
この景色が放つ反射光をボディに映り込ませて、クルマの質感を表現するのです。
すると同時にプレスラインもくっきりと出てきます。
(背景のボケはレンズではなく、Photoshopでボカしました。拡大して橋の欄干を見るといかに選択範囲をテキトーにとってるかがわかります笑)
もう1枚、これは愛車紹介にも出してる写真。
この場所は前に一度来たことがあって、そのときは朝で、CX-5を停めてる場所にはお陽さまが当たってました。
写真の奥が西です。
太陽が西に傾けば、奥の樹が、その樹形の影を道に落とすはずで、そこへ車を入れようと考えました。
そのとき東側には太陽光が当たってるはずで、その明るい景色がCX-5のサイドに映り込むはず。
それでその日は撮影はせず、後日、あまり陽が傾くと背景も暗くなるので、午後のジャストなタイミングで手持ちで撮影しました。(三脚立てられるようなとこじゃなかったから)
●クルマは日陰に置く。
●クルマに映り込む景色には太陽光が強く当たっている。
●そして露出はアンダー気味に撮る。
これがわたしがクルマを撮るときに気をつけてることです。
みん友さんの写真を見ていて多いのは、クルマがまともに太陽光に当たってる写真。
肉眼では「光り輝いててかっこいい」って思うのかもしれないけれど、それでは質感も出ないしプレスラインも表現できない。光と影の演出がないからクルマがのっぺりとして立体感が出ないのです。
白とかシルバーの淡色車はレタッチでも質感を出すのがほんとに難しいので、「クルマを撮る」というより、「クルマに映り込んだ景色を撮る」くらいの気持ちで撮影したほうがいいと思います。
ものすごく広い場所にぽつんとクルマを置いた感じはステキなようでいて、ボディに映り込む景色がそもそもありません。
ボディは、ボディそのものではなく、映り込んだ景色で表現したいです。
アンダーで撮るっていうのはなぜかというと。
デジタルって0と1ですよね?
明るく撮ると光の反射が白く出ますが、「白」っていう色は「0」で、0というのは情報が何もないっていうことです。
暗いのはPhotoshopのデジタル現像で明るくしていけば、黒くつぶれていた中から隠れていた反射光が浮かび上がってくるのだけど、白はそもそも情報が記録されてないので、どんなに現像で暗くしても白は白のままでしかないのです。
クルマにまともに太陽が当たってる状態だと、その景色の映り込みも飛んでしまってるはず。
わたしにとって撮影と、デジタル現像・レタッチはセットなのです。
撮影するときは、あとでどう現像するのかをイメージしながら露出を決めています。
その例として、次の霞ヶ浦で撮った2枚の写真。
両方拡大して見比べてください。
上の写真はカメラで撮ったままの写真でとても暗いですよね。
これが、アンダーで撮るということです。
下の写真はそれをわたしが現像してレタッチしたものです。
クルマのサイドとリアパネルの光の映り込みにご注目ください。
上の写真では黒くつぶれてのっぺりしてたのが、現像で調整するとこのように光の反射が浮き上がって立体感が出てきます。
(拡大しないと違いがわかりません!)
(元の画像)
(レタッチ後)
次は長野県からの帰り、途中の道の駅で撮った1枚。
これは何も考えずに撮って、レタッチもほぼしていません。
それでもきれいに写ってるのは、新車なのにDIYでわざわざ電動ポリッシャーで研磨してガラスコーティングした賜物。
撮影以前にクルマをキレイにしておくことは大原則です。
さて。
ときどき気が向いたときに、みん友さんの写真をレタッチしてあげることがあります。その中からお二人の方につくった写真を、ご本人の承諾を得て掲載しておきます。
aba-buさんのBMW Z4 Roadster。
上がaba-buさんがブログに出してらっしゃったもの。
下は、その写真を、わたしがレタッチしたものです。
基本的には、新車に蘇らせるというコンセプトでした。
元の画像もきれいに撮れてますが、より黒に深みを増し艶やかにしました。それと、ホイールがきれいに表現できてるでしょ。
他には空の雲の奥行き感を出して、車の後ろにあるバリケードと右端に見切れているボラードはじゃまだったので消し、車を引き立たせるため路面をきれいに整備して、さらに無機質感を高める色温度に。最後にBMWのロゴと車名を入れました。
(元の画像)
(レタッチ後)
次はプリウスようこちゃん。
上が元画像。下がレタッチ後。
シルバーは映り込みが少ないのでとっても難しい。
やりすぎて、バック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアンのようなアルミボディの質感になっちゃいましたが、意外とプリウスαに合ってます。
サイドパネルのわずかな映り込みを強調して、ヘッドライトカバーの透明度を綺麗に上げて、同時にフロントウインドウのガラスも透明感が上がってると思います。
プリウスようこちゃんがいくつなのか知らなかったけど、わたしより1個上の18歳だと本人が言い張ってるので、18歳っぽいポップなロゴを加えました。
みんながクルマを撮るときは低い位置でカメラを構えがちですが、上から撮ってるのがいいですよね。さすがは身長5メートルのプリウスようこちゃんです。
(元画像)
(レタッチ後)
そして。
わたしのクルマの写真のいちばんの代表作はやっぱりこれかな。
WISHを買って2年目に九州まで走って、そのとき阿蘇で撮った写真。
撮影もレタッチもカタログの表紙のような写真をテーマに、気合が入っています。
ここはじつは駐車場で白線が引かれてましたが、それを消しました。
阿蘇山も写真ではこんなに赤くなかったんですが、記憶の中の色を再現しました。
空なんかは、もうわたしが絵として描いています。
右上の太陽も、わたしが描いた「絵」です。
ついでに言うと、今のブログのタイトル画像の煙もわたしが描いた「絵」です。
レコーディングっていうのは、各楽器やヴォーカルを、それぞれのトラックに0VUを超えないようにきれいに収めていく作業です。
ミュージシャンはそこに全力で挑んで終了ですが、レコーディングエンジニアがその創作性、芸術性を発揮するのは、その後たくさんのトラックを最終的にLとRの2chに落とすTD(トラックダウン、ミックスダウン)という作業です。
このときにさまざまに音を加工し、音響的なギミックも足していきます。
わたしは演奏やレコーディングよりもTDの作業がとても楽しかったし、それが写真でいうと、撮影後のレタッチなのです。
これからクルマの写真に挑戦するという人は、へたに高価なカメラを買うよりは、カメラはそこそこのミラーレス一眼で、レタッチのアプリケーションを買ったほうがいいと思います。
<みん友さんの画像をレタッチするのは申告制ではありません。今回のお二人にもお願いされたわけではなく、わたしが「いいな」と思った写真を勝手にレタッチしたものです>