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2025年11月12日 イイね!

天ぷら一筋80年

あれは昭和21年の暮れのこと。
わたしが闇市を歩いていると1台のジープが近づき、運転している男から声をかけられました。

「あれ?キミ、どっかで会ったことあるよね?いやマジでガチで。どこだったかなあ。シベリア戦線だっけ?」

戦時中わたしは銀座の路上で竹槍でB-29を落とす毎日でシベリアには行ったことがありません。
もう見え見えのナンパなので、そのチャラい男に言ってやりました。

「おふざけでないよっ 進駐軍が何だい。こんな洋パンにヘイコラすることあるかい」(田村泰次郎「肉体の門」より)

そのとき後ろからわたしの腕をつかんで引っ張るおじさんがいました。

「娘、そんな男を相手にするんじゃない、こっちへ来い」
「痛いじゃないかっ痛いじゃないかっ!離しとくれよっ」

これが泣く子も黙る天ぷら職人、辰三さんとの出会いでござんした。
それからわたしは天ぷら一筋の人生を送り、昭和38年には女将として銀座に小さなお店を持つまでになりました。
お店を出るとそこには米国のAppleStoreがあり、お店で使うiPadのレジが壊れてもすぐに直してもらえる好立地でした。

「あんた、何したはりますの!天ぷらで油の温度は命なんやで!」
「女将さん、堪忍してあげておくれやす!」
「セイジはん!あんたは黙っとき!」
「女将さん、女将さん!ボンにはわてがあとでよーお言うて聞かせときますさかいに、ここはどうかわてに免じて!」
「ええい離さんか!セイジ!」

「女将さん!」
「セイジ!」
「女将さん!」
「セイジ!」
「女将さん、すんまへん!おかみさんの口、ふさがせてもらいます」
「セイジ、何をすんね・・・や、めて・・べろべろべろ」
「女将さん、わてはでっち奉公でこの店に来させてもろてから、ずっと女将さんのことを・・」
「・・・セ、セイジはん」

「女将さん・・いや理沙さん、やっと笑ろてくれはりましたな」
「あほやな。デッチボウコウが女将に乱暴してどないすんねん。これがほんまのでっち暴行や」
「ほんまです。はっはっは」
「あ・ほ ^^」

そしてつくり上げたのが、17歳のわたしが80年の修行で完成させた至高の天ぷらでござんす。
ちなみに上記の寸劇は、天ぷらを揚げながら実際に1人でやっておりました。



ほんとに今日つくったんですが、盛り付けがテキトーだったので、画像は以前のブログから再掲載。
そのわりにこれもかき揚げがこげてるけど。
ちなみにわたしはエビは揚げません。

天ぷらの翌日は必ずその油で串カツをつくります。
「おいおい、まさかまた串カツも80年とかいうんじゃないだろうな?」って?

そうだよ。
Posted at 2025/11/12 20:47:31 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日記
2025年11月09日 イイね!

80円の鰻丼レシピ

あれは昭和21年。
わたしが進駐軍に追われて闇市を走って逃げていたときです。
ふいにおじさんに腕をつかまれ引っ張られました。

「娘、こっちへ来い」
「痛い!何しやがんだい!離しとくれよっ!」

そうしてわたしは今の銀座あたりの小さな小屋に押し込まれたのでござんす。

「いいか、娘。もう闇ゴメを盗むのはやめて真面目になれ」
「いいじゃないか!コメがないなら闇ゴメ盗んだって!あるところにはあるんだろっ」
「娘。ここにコメがないならあっちから・・そういう進次郎のように短絡的な考え方をしているからダメなのだ。おまえさんは今日からここで鰻を焼くのだ」

これが東京大空襲の最中でも鰻を焼き続け、その煙でB-29を1機だけ追い払った伝説の鰻職人、辰吉さんとの出会いだった。
そうしてわたしは「うな辰」の看板娘となり、昭和30年にはスマホで鰻の予約ができるシステムも開発し、うな辰の名を全国に轟かせ、あれから80年経って17歳になったわたしは史上最年少の鰻職人として殿堂入りしたのでござんす。

しかし昨今、みんカラ民は、車のパーツにお金がかかり、鰻を食べられないと聞きました。
そこで今日はその鰻一筋80年のわたしが、80円でできる鰻丼のつくりかたをお教えいたします。

以前、スーパーの鰻を、専門店の味に変える方法を紹介しましたが、今回はそもそも鰻すら必要ない鰻丼です。

まず鰻は買ってこないで、キッチンでつくります。

はんぺんとお豆腐(木綿)。
いやいいから。ちょっと黙ってろ。わたしを誰だと思ってるのよ。
これに鰻の脂としてラード、そして、かつおだしを入れます。



これだけでもう不思議と鰻の香りです。
これを混ぜるんですが、フードプロセッサーでもいいけど、ラードが入っててあとで洗うのが面倒なので手でこねます。手でこねるというか、泡立て器で混ぜました。

次にこの「身」を「皮」になる海苔に載せます。
剥がれないように海苔に片栗粉をまぶしてから身をのせて形を整えます。



そしてペティナイフで切り込みを入れます。
これは鰻の骨の跡をイメージしてみたんですが、ただ見た目だけではなく、食べているときにこの切れ込みで身がほぐれる感じが鰻そのものなのです。



これを焼いていくんですが、まずは身のほうから。



身が柔らかすぎてひっくり返すたびに崩れるので、もう少し焼き色つけたかったけどここまでにしておきます。
ここに秘伝のタレをかけてしばらく煮詰めます。
(煮詰まって辛くなるのでタレはそこを見越して薄めにしておきます)



とにかく柔らかすぎたので、切り込みも、かたち整えるのも、フライパンでひっくり返すのも、盛り付けもうまくいかなかったので、お豆腐はもっとしっかり水切りしたほうがよかった。

なので盛り付けても崩れまくりだけど、でもペティナイフの切り込みで、崩れかたがもうお魚でしょ?



みなさん。

これはマジで鰻です。
本当に鰻です。
、、てゆーかね。これのニセモノが鰻です。

すごく不思議なのは、海苔の味や食感が、本当に鰻の皮なのです。


まあ、君たちがさ。
鰻を食べたいのはわかるよ。
でも今や鰻は高級食材で手が出ない。

しかしそれでもなぜ鰻を食べたいのか。
鰻を食べると鰻の何についてどんな満足感が得られるのか。
その要素を一つずつ取り出して、それをパズルのように再構築することを考えよう。
これはわたしがお仕事でどうしても行き詰まってしまったときによく使う水平思考法なんだ。
すると姿かたちは違っても、問題は取り除けて、かつ、達成すべき目標は果たせてる。

君たちはモニカ・ベルッチやアンジェリーナ・ジョリーと付き合ってみたいでしょう。
でもモニカ・ベルッチなんかイタリアの宝石だからね。
ブリヂストンがほしいけど今回はアジアンタイヤにしようかなあなんて考えてる君には無理だ。

でもさ、モニカ・ベルッチのどこがいいのか、モニカと会えばどんな満足感があるのか、そのエレメントを一回ぜんぶ抜き出して組み立て直すと「なんだ、risaSpecでも充分満足できるじゃん」ということに気がつくだろう。

ただね、君にとっては「risaSpecでも充分」とずいぶんお手軽感は増したのだろうが、君にはそのrisaSpecでも無理なことをよく心に刻んでほしい。

この鰻丼はびっくりするほどの低カロリーなのでダイエットにもいいです。
材料費は一人前で約80円。

そもそも君たちがお金ないのは思考がダメなのよ。
おいしいものを食べるなら、たくさんお金を出さなきゃという垂直思考がダメにしてる。
おいしいものを食べたいなら、おいしさのエレメントを抽出して水平思考で再構築すれば、80円で体にも良くておいしい鰻丼が食べられるのだ。
Posted at 2025/11/09 18:59:21 | コメント(9) | トラックバック(0) | 日記
2025年11月07日 イイね!

その、たったひとことが、いつも言えなくて。

それはたった6文字。
時間にすれば3秒かからない。

でも、その「ごめんなさい」の一言がどうしても言えなくて。
君がまた、一晩かけて長い長い言い訳を考えてる。

「気高く生きよう」とか、「誇りを持って生きよう」とか言うけど。
わたしたちって、そのプライドのために、短い人生の貴重な時間を、いったいどれだけ無駄にしてきちゃってるんだろうね。





そこへ行くとわたしなんか、今日もぶつかりそうになった電柱に何度もペコペコ謝ったからな。わたしを見習え。


Posted at 2025/11/07 15:21:36 | コメント(6) | トラックバック(0) | 日記
2025年11月02日 イイね!

わたしは主演女優(最後におまけつき)

女性は恋バナが好きっていわれますが、若い頃からわたしは興味がありません。
他人の恋愛を聞いて、あるいは他人に話して、何がおもしろいのかと思います。
まあ一応聞いてはあげるけど内心「こいつアホか」といつも思ってしまってます。

しかし、たったひとつ。
わたしが聞いた、忘れられない恋バナがあります。

テレビ局で働いていた頃、CMディレクターのちょっと年上の女性と知り合いました。
みんなもとてもよく知っているCMをバンバンつくってた人です。
さいしょは恋バナなんかではなく、「どうしてこの仕事に就いたか」とわたしが訊いたのです。

すると彼女は「ほー、それを聞くんだ、わたしに。まあ理沙ちゃんならいいか」と言って話してくれました。

高校生の頃、あるCMを観て感動のあまり号泣した彼女は、そのとき、たった15秒の尺でこんなにも人の心を揺さぶるCMの威力というものを思い知らされ、大人になったらぜったいCMをつくる仕事に就こうと決心したんだそうです。

それから10年の時が流れ、田舎から東京の大学に行き、念願どおりCMディレクターになっていた彼女は、同じCMのお仕事をしているある男性と知り合います。

彼は彼女よりずいぶん年上だったけどとても純粋な人で、ふたりは惹かれ合い恋におちますが、初めてのデートのとき、彼が彼女に、わたしとまったく同じ質問をしてきたそうです。

「キミは、どうしてこの仕事をしたいと思ったの?」

そのとき彼女は「待ってました」とばかりに、高校生の頃に観たあのCMの話をして、その作品がいかに素晴らしく、いかに自分が感動したかを熱っぽく語ったのですが、意外にも彼の反応は素っ気なく、「ああ、それ知ってるけど。あんなCM、たいしたことないんじゃない?」と言われてしまうのです。

たしかに同業者として、また男として、他人の作品をかんたんに認めたくない意地があるのはわかるけど、自分の人生を賭けようとまで思わせた作品を、大好きな彼に、そして何より同じCMのお仕事をしているのに、こんなにもあっさり否定されたことはとても悲しかったそうです。

この先はあんまり詳しく書きませんが、それでもふたりはその後何年もおつきあいをして、たくさんいろんなことがあって、とうとう、つらいつらい別れを迎えることになります。

最後まで泣かないと決めてた彼女は、ちゃんと笑顔で「さよなら」を言って、「それじゃ、元気で」と、彼の背中をいつものように見送りました。

そのとき。
歩き出した彼が思い出したように急に立ち止まり、振り返って笑顔でこう言ったのです。

「あの、さ。キミが高校生のときに観たっていうCMさ。ずっと言いそびれてたけど・・・あれ、ボクの作品なんだよ」

そしてまた彼が背中を向けた瞬間、彼女は舗道に膝をつき、それまでがまんしていた涙がせきをきったようにあふれ出してきたそうです。



わたしたちは。
わたしたちの人生で。
悲しい悲しいフィルムを切っては、楽しさと喜びだけをむりやり貼り合わせて繋ぐエディターのようです。
思えば、ほとんどは悔しさや悲しみのシーンしか撮影したことがないと思えるほどの人生です。

でも、この長い長い映画のために、膨大な涙のシーンを撮影するのは、最後の最後に逆転のラストシーンを描くため。
悲しいフィルムが多ければ多いほど、ラストの感動が大きい。

わたしの人生は。
ほんとならもう何度もそこでつぶれてしまっておかしくないくらい挫折や悲しいことが何度もあった。
それでもわたしがその度立ち上がれたのは。
人生を、映画を撮ってる感覚で生きてるからなのです。

たとえば、もうだめだっていうほど悲しいとき、こう思うのです。

あんまり泣いてても尺がもったいない。
この映画を観てる人もいいかげん飽きちゃう。
ふつうならここで自暴自棄になっちゃうとこだけど、でももしもここで、ふらつきながらでも立ち上がったとしたらかっこいいよな。中盤のひとつの見せ場だよな。
よし、じゃ、そのシーン行ってみようか。
おい女優、立てよ。

3、2、1、、アクション!

そうやって監督のわたしが女優のわたしに命じて次のシーン、次のシーンへと進んでいくのです。
生まれたときから死ぬまでの、それはそれは壮大で長い映画です。

今はね。
闘いのシーンを撮ってるとこなの。

ふざけたやつらと闘ってるのよ。
権力チラつかせたりして脅してくるんだけどね。
正直、負けそうなんだ。
でもね、負けないんだ。ぜったい。
なぜかって、、わたしが負けたらシナリオが成り立たないんだよ。
ここはわたしが勝つって、さいしょから台本にそう書いてあるから。
だから多少セリフとかは変わっても台本どおりに勝たなくちゃ。
ここで、こんなとこでくじけてたら次のシーンに繋がらない。

公務員で契約を担当してたとき、不履行で損害賠償とされた業者の肩をもった。
それはわたしが徹底的に調べた結果、裏で超大手企業の横槍が入ってそういうストーリーがつくられたことがわかったからだ。
そのとき上席に言われた。「いったいおまえはどっちの味方なんだ」と。
わたしは笑顔で「正義の味方です」と答えた。

おじさんにしつこく2時間くらい延々と口説かれ、最後に「君みたいな若い子は、やっぱりおじさんは嫌いか、、」と言われたとき「おじさんが嫌いなんじゃなくて、あんたが嫌いなんだよ」と言った。

映画だからこそ出てくる名台詞の数々だ。笑

だから。今のわたしに。
ふざけたラヴシーンとかベッドシーンで、無駄に尺をとってる暇はないのです。
最初から後で捨てるのわかってるシーンに無駄遣いできない。フィルムだって高いんだから。


だけど、その映画、いったい誰が観るの?
誰のために撮ってるの?


決まってるでしょ。
何十年か先に、死んで行く、意識が薄れていく「わたし」に観せるためですよ。

ベッドに横たわるそのたった一人の年老いた観客が、わたしが一生を懸けてつくった映画に、笑顔で「うん」とうなずいて、一筋涙を流してくれたら、最高だ。


今、つらいとか、きついって思ってる人。
どうかそこから逃げないでほしい。
それはさ、すてきな映画をつくるときに欠かすことのできないおいしいシーンなんだから、逃げたらもったいないよ。

かっこいい映画にして、わたしにもみせてくれ。


↓主演女優(クルマは前車WISHです。5年前だから16歳くらいの頃かしら)

Posted at 2025/11/02 17:07:29 | コメント(8) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「天ぷら一筋80年 http://cvw.jp/b/2273104/48762528/
何シテル?   11/12 20:47
身長 / 168センチ 体重 / 52kg  スリーサイズ / B:貧乳  W:ふつう  H:ふつう  年齢:そこらへんによくある ごくふつうの年齢
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