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risaSpecのブログ一覧

2025年08月16日 イイね!

「大人になる」ということ

わたしはもう充分すぎるほどに大人の女である。
年齢的にはもういいわけができないほどに大人である。
とくにお仕事では大人でいなければならない立場になってしまっているのでなおさらだ。

だからいつも落ち着きのある大人でいる。
隙がない顔と言われる。

でもひとりの家の中では子どもの頃から何も変わっていない。
最近もお風呂上がりに鏡の前で化粧水つけてたら鼻水を出そうになり、そこにティッシュもあったけど、鼻はかまずに鏡の前で口を開けて「あー垂れる垂れる!」なんて一人でやってる。
鏡の前ではどこまで垂れるか新記録の樹立にいつも挑戦している。
そしてふと我にかえり「一人で何をやってるんだ 熟れた女体で」と凹む。

わたしは酒豪のような顔をしてるとよく言われるが、じつはお酒は一滴も飲めないし、好きなはずのコーヒーだってブラックでは飲めない。

しかしもっともわたしが「大人の女」になれていないのは「出産と子育て」を経験していないことだろう。

聞けば出産の痛みは大型ダンプと正面衝突したときと同じ衝撃があるらしい。

最近、仲のいいご近所の20代後半の奥さんに赤ちゃんが産まれたので、お祝いを持ってご挨拶に伺った。
旦那さまも笑顔で出てこられ赤ちゃんとも対面したのだけど、そのときのご夫婦の会話にわたしは驚愕した。

「この子が女の子だったので、旦那が次は男の子がいいなっていうんですよ。わたしももう1人はほしいんですよね」

「もう1人どころかボクとしては9人産んでもらって野球チームを作りたいんですよね!」

「あら、そんな経済力、うちにあるのかしら」

「それを言われるとつらい!わっはっは」

わたしは本当にびっくりした。
お金の問題とかじゃないだろう。
ふつう大型ダンプと正面衝突したら、もう二度とそんなのゴメンだと思うのが人間ではないだろうか?
しかしもしも経済力さえそれを許すのなら、あと8回は自ら大型ダンプにぶつかりに行くと言うのだ。
おい、頭だいじょうぶか? 半熟女体。

そこへ、もう完熟しきって表面が少し腐食しかかってるお隣の女体さまが通りかかり、「あら、赤ちゃんかわいいわねえ」と近づいてこられた。
そしてわたしにも「まあ理沙ちゃん。今日もお綺麗ね」。
わたしは赤ちゃんと同列の扱いかよ。バブバブ。

そして、その腐食進行女体が「あら、最近の乳母車ってかわいいのね」と言い、「やだ奥さま、今どきはベビーカーっていうんですよ」と熟れた女体のわたしが言うと、半熟女体が「えっと、、最近はバギーっていうみたいです」と言ったので、長期熟成の2体は険しい顔で解散したのだ。

よくドラマでお姑さんがお嫁さんに「早く孫の顔が見たいわ。まだなの?」と言って、お嫁さんが「すみません。頑張ってるんですけどねえ」なんていう会話があるけど、あれもびっくりだ。
そんな会話って現実にあるんだろうか?

だってそれって「あなた、ちゃんとうちの息子とえっちしてるの?」「はい。めっちゃやりまくってるんですけどねえ」ってことでしょ?
「お母さん!もちろんゴムとかつけずにですよ!」ってわけでしょ?

そんなこと、好きな男性のお母さんとの会話じゃないでしょ。
わたしなんか、そんなの誰にも言えない秘密だと思うんだけど。
拷問を受けてもプラトニックだと言い通す。
そこが子どもなんかなあ。

半熟女体のお宅へ伺ったときも、「赤ちゃんがかわいい」というのもさることながら、「この旦那としたの?信じられん」っていうのが先に立ったのも精神年齢が中学生なのかなあ。

女性は熟成が進むと、手に持っていたコーヒーをうっかり洋服にこぼしてしまったときとかに、ものすごい早口で「あらやだどうしましょ」って言う。

男性でもあるよね。
若い頃は「やべー 今日あっちいねえ」ってみんなTシャツをパタパタしてたのに、ある時から急に「いやあ 今日は蒸しますなあ」なんて言うようになるよね。
それは男性が、GAPとかDKNYとか、大きなロゴが胸にバンバンバンと描かれているパーカーを着るとかえってみっともなく見えるようになる時期とちょうど重なる。

でもこういうのは自然にそうなったとは思えない。
たとえば喫煙者の人でも最初からタバコがおいしかったわけではないでしょう。
最初はむせたりして体が拒否したはず。
ジャズが好きな人でも、いちばん最初の高校生とか大学生の頃は「こんなの何がいいんだ」と思いながら聴いたはずだ。
でも、タバコ吸ってたらかっこいいとか、女の子が部屋に来たときアイドルの歌じゃなくジャズをかけてたらちょっと好きになってもらえるかもみたいなことで、それが板につくまではおいしくも楽しくもないのに背伸びし続けたはずだ。
高校生の頃、男の子の家に行くとやたらとジャズを聴かされた。
「理沙にこのよさがわかるかなあ」なんて、アルトサックスとテナーサックスも聴き分けられない男の子に言われたものだ。

そうやって大人も、さらに大人になるために、最初はおばさんくさい、おっさんくさくてカッコわるいと思っても、なんか貫禄がつくんじゃないかみたいなことで無理を重ねただけではないだろうか。

みんな「おじさんやおばさんみたいになりたくない」と思う一方で、じつは常にもっと大人らしく振る舞いたいと願っているんだ。
大人っぽく振る舞いたいというのは、もう18歳くらいの感覚であり、18歳の大人っぽさほどカッコわるいものはない。
つまりわたしよりも、まるでホームドラマのお父さんのような振る舞いをしている君たちのほうがよっぽど子どもなのだよ。


「世の中、こんなものさ」とか「それが社会っていうものだよ」なんて、努力もしない人が額に指を当て、悲しく笑うことが大人ってもんかい。

そんなのまるで、勇気のない時代の川柳みたいじゃないか。
そんなことが大人なら、わたしはまっぴらだ。


君も今日から鼻水が出そうになったら、ティッシュに手を伸ばさず、どこまで垂れたかを鏡の前で定規で測ってみろ。
ちなみにわたしの記録は7cmだ。
大人だっていうんならまずこの記録を超えてみろ。話はそれからだ。




注・先回りして言っておくけど、この記録はそう簡単には破れない。コメントで15cmでした、なんて簡単に書かないでもらえるかな。7cmの壁の険しさはわたしはよく知っているのだよ。もしほんとなら自分のブログにちゃんと証拠写真を載せないとダメだからね。
Posted at 2025/08/16 14:46:59 | コメント(4) | トラックバック(0) | 日記
2025年08月12日 イイね!

田舎の少年

田舎の少年前にも出したことがあるけど、夏になると、なんだかこの詩を上げたくなる。
自分でつくった詩なんだけど、わたしはこの詩が大好きなのです。
まあみんカラの人って他人のブログは3行以上読めないので、何度出しても新鮮でしょう。
詩の後に、今回新しく書き加えてるので読んでください。

***************************

田舎の少年


遠い夏の日
ぼくは あの人を見た

誰かのお父さんがタンスに隠してたヌード写真や
遠くの親戚から送られた珍しい牛乳瓶の蓋や
川に浮かべた葉っぱの競争にみんなが夢中になっていたけど ぼくははずっとあの人を見ていた

その人はもうずっと大人で 遠い街から来たという

「オオカミが里まで下りてきたよ」
「群れをつくって人を襲うらしいよ」
「東京も大阪も もうそれで全滅したらしいよ」

そんな大ニュースはなぜだか子どもたちだけが知っていて
腰や背中に棒きれを挿し みんなでオオカミ退治に山へ分け入ったとき
橋のたもとで またあの人を見た
人に美しさを はじめて見つけた横顔だった
けれどもとても悲しい その横顔だった

源公からほおじろの子をもらってきたら バス停に着物姿であの人がいた
もうきっと真っ赤な顔でぼくははじめて話しかけてみたのだよ

「どこかへお出かけですか?」
「帰るのよ 東京へ」
「東京はオオカミで全滅したんじゃないんですか?」
「さあ 東京には山がないからねえ」

オオカミがいなければ それならぼくは
何と闘えばあなたを悲しみから救えますか
遠ざかるバスの後ろ姿に
ひとりつぶやいた 夏休み最後の日

遠い昔の笑い話さ
だけど今のぼくなら
たった一本だけど心に握った棒きれで
君を襲う悲しみから君を守ることができるだろう
どんなにたくさんの悲しみが山から下りてきても
君の前に立って 動かずいられることだろう

それでも人は きっと人を悲しみから救うことなんてできないのだけれど
でもなお人は 深い悲しみの底でうつむく人に手を伸ばしたい

「また明日」
手を降りバスに乗り込む君は ほんとは遠い夏のあの人だろうか
動き出した窓を 夕焼けが遠いふるさとの色に染めた 東京の街 【理沙】

********************************

君もこの夏は、あのふるさとへ帰るのだろうか。
なつかしい友だちに会ってバカ騒ぎするのもいいけど、君にだってあるはずの君だけが知る君だけの場所へ一人で行ってみてほしい。
そこへ奥さんや子どもを連れて行っちゃいけない。
君一人だけで行け。

そしてあの頃のようにそこに腰掛けてふるさとの空を眺めてみよう。
東京で偉くなっても、中古の自転車しか買ってもらえなかったのに今は新車の輸入車を買えるようになっても、いじめられてたあの子が今は人からぺこぺこしてもらえるようになっても、そんなことはあの風景には通用しない。

その風景には、ひとりぼっちだった頃の君の弱さをみんな知られてしまっている。
君なんかね。
君なんか、あの頃と何ひとつ変わらない泣き虫のガキなんだよ。
だから。
抱いてもらいなさい。もう一度。
あのときのように、その景色に。

そして橋のたもとで美しい横顔だったrisaSpecを思い出してみよう。
(じゃあ わたしはいったい今いくつなんだよ)


Posted at 2025/08/12 20:39:26 | コメント(6) | トラックバック(0) | 日記
2025年08月01日 イイね!

新婚のふたり

新婚家庭とかによくある光景なんだろうけどさ、旦那さまがつらい一日を終えてクタクタで家に帰ってきて、「ただいまあ。今日ご飯なに?」って言ったときにさ。

玄関まで勢いよくザーッと廊下すべって来たミクちゃんがさ、

「おかえりー!・・・今日はあ、うふふ、野菜ゴロゴロ森のキノコたちのおしゃべりハンバーグでござるよっ」

・・・

もうどっと疲れるよね。
わかるわかる。

こういう女の子ってほんとに疲れるな。
どうにかならんのかな。友だちになりたくないな。


さて、今日はわたしはお休みで、思いつきで、ちょっと変わった朝食をつくってみた。

え?何をつくったかって?
いや、まあメニューの名前とかどうでもいいんだけどさ。
でもまあ書かなきゃわからないか。

「りさ姫特製!気分もウキウキ!わがままハートのパリふわフレンチトースト」だよ。

え?いや、これ以上は簡単にならん。どう考えても。



この「りさ姫特製!気分もウキウキ!わがままハートのパリふわフレンチトースト」は、まずフライパンでフレンチトーストを焼く。
それをいったん引き上げて、改めてフライパンにバターを入れて溶かしたところに砂糖を入れる。
煮詰まって焦げちゃう前にフレンチトーストをフライパンに戻して、フレンチトーストでフライパンのシュガーバターを拭き取るような感じでぐりぐりする。
そうしてお皿に移して1分くらい冷ますと、表面のシュガーバターがカリカリパリパリになってくる。
もちろんフレンチトースト自体はふんわりしっとり。

どお?手が込んでるわりに「りさ姫特製!気分もウキウキ!わがままハートのパリふわフレンチトースト」なんてじつにシンプルなネーミングにまとまってるでしょ。

初めてつくってみたけどこれはおいしい。
外がザクザクしてて中が柔らかい食感って大好き。
朝食っていうより、これにアイスクリームのせたらもうスイーツだ。


夕食はどうしようかなあ、あんまり食欲がない。
それで久しぶりに串カツをつくってみることにした。



その名も・・てゆーか串カツは串カツでしょ。
何言ってんだよ。
でも串カツといっても串は刺してないので、「りさ姫特製!串なしの白い花 おまえのような花だった串カツ」。まあ強いて言えばだよ。

ウインナーの下にあるのはちくわの穴にチーズを詰め込んだもの。
このちくわは、「りさ姫特製!ただのちくわじゃございません この世は老いも若きも穴の空いたちくわばかり そんなちくわの穴をチーズでおうめいたします いいええお金は一銭もいただきません お客様がイイねをくれたらそれが何よりの報酬でございます オーホッホちくわ」っていうけど。

ちょっと長いか。
「CX-5 エクスクルーシブモード」くらいに長いな。

そして串カツといえばキャベツ。
以前はソースもつくってたけど、今は「ダイコク なにわ名物 串かつソース」
このキャベツだけでもさ、わたしはお酒飲めないのでピルクルだけど、冷たいビールにいい気がするのだよ。

わたしってさあ、もういつでもお嫁に行けるよな。

「ただいまー あー疲れたあ りさちゃん、今日のご飯なに?」

ああ、言いたい!言いたい!!言いたい!!!

やっぱり言いたい!どーしても!!

森のきのこのにぎやかハンバーグ」って!
サーっと廊下を滑って最後はトリプルアクセルで!



わたしは若い頃の結婚はするべきではないと思ってきた。
現代の20代なんかお金もないし、男も女もただの子どもである。

しかし最近、やっぱり結婚は若いときにするべきかもと思う。
ある程度年齢を重ねると男も女もそこそこお金を持っている。
そうではなくて、夫婦のスタートは貧乏で始まるべきだと思うようになった。

ZEHの家で冬でも20℃が保たれてるのに「寒い」とエアコンをつけ、ベッドで互いの体が触れ合うと「ちょっと暑いから!」と離れるパワーカップルよりも、外気温とそう変わらないアパートで電気代を節約し、たった1枚の毛布にくるまって、手のひらで互いの顔を包み込み、その冷たさに「凍ってる?」と笑い合う夫婦が好きだ。

わたしは寒い地方が好きで、北海道、信州、北陸に好んで行く。
北海道も札幌から富良野へ向かう列車の窓には大きな三角屋根の住宅ばかりだ。
「屋上ガーデンって素敵ね」なんていうふざけた夫婦を北海道の自然は許さないのだ。
旅先では夜中まで1人で歩き回るんだけど、寒い地方はナンパもとても礼儀正しかった。
東京みたいに「あれ?前会ったことあるよね?」なんていう知能指数の低いナンパではない。
すすきのの若い男性は「東京からいらっしゃったんですか?よろしければ札幌の街を案内させてください。いいええお金は一銭もいただきません。あなたが喜んでくれたらそれが何よりの報酬でございます。おーほっほ」という礼儀正しいナンパだったので、わたしも歩道できちんと正座して「ふつつかではございますがどうぞよろしくお願いします」と言ったのだ。
名古屋の栄では一言「あ?」って言っただけのわたしがだよ!

寒い地域の人は礼儀正しい。
それは自然の厳しさが、せめて人と人が助け合い、つながり合うことの温もりや幸せを教えるからだろう。

同じように物質的に恵まれていると、不満ばかりが出てくる。
もっとこうしたい、こうなればいいのに、と。

お金のない2人はお休みの日もどこにも行けない。
手をつないで、お弁当を持って、近くの公園に行くのが精一杯だ。
途中に大きな家があっても見向きもしない。
「この家は坪単価150万円くらいかなあ」なんて思わない。
2DKのアパートに引っ越すのが夢な2人なのだ。

こういう2人を包む毛布は、薄っぺらいけど、その中に2人の世界をつくる。
ミサイルが飛んできて、隣の耐震等級3の長期優良住宅が粉々になっても、その薄い毛布は2人を守るだろう。

若いとき家もなく車もなく、タクシーに乗るお金もない生活の中で微笑みを忘れなかった二人だから、その先の幸せが約束される。
「結婚したんだから家でも建てたらどうだ。1000万円なら贈与も特例があるから援助してやる」・・・こんな親が子どもを骨抜きにする。

もしもハンバーグに、塩や胡椒や七味をパラパラかけて、そのぶつかり合いを「おしゃべりハンバーグ」と称した精一杯考えたおしゃれメニューだったとしたら、わたしはこの夫婦を抱きしめたい。
Posted at 2025/08/01 19:56:35 | コメント(8) | トラックバック(0) | 日記
2025年07月25日 イイね!

日本のあちこちを冒険する ふたつめの「遠い夏休みの秘密基地」

日本のあちこちを冒険する ふたつめの「遠い夏休みの秘密基地」わたしにとってのクルマとは、遠い夏休みの、友だちにも内緒でつくった、あの秘密基地です。
日本中を駆け巡るふたつめの秘密基地として3年かけて選んだクルマです。

モデルチェンジしてから長いクルマですが、その間における度重なる年次改良でメーカーオプションだったものが次々と標準装備化されてきたことに加え、微細な問題点も順次改善され、熟成した、信頼がおける2025年KF型最終モデルです。

Posted at 2025/07/25 12:46:43 | コメント(2) | クルマレビュー
2025年07月15日 イイね!

化 粧

化 粧お仕事の帰り、デパートで化粧品を買いました。
支払いをして商品を受け取ろうとすると美容部員さんがその紙袋をさっと引っ込め、わたしにこう言うのです。

「ところでお客さま。洗顔の後、お肌に何か残ってる感じはしませんか?」

「いいえ。何も。それ渡してください」と紙袋を奪い取ってお店を出ようとすると、そこにはさらに3人の美容部員さんがガッチリとスクラムを組み兵隊のような歩調でズンズン迫ってくるのです。

「お客さまあ?洗顔の後、何か、こう、あれ?この感触ってなんだろなあ?・・んー何か、まだ、んー何かしらお肌に・・」

そのスクラムに真正面から「何かじゃわからん」と3歩詰め寄ると、美容部員たちはスクラムを組んだまま3歩引いたのですが、再び3歩ずんずん攻めてきて今度はわたしが3歩下がり、この行ったり来たりの攻防が繰り返されました。

「あのコがほしい?」
「あのコじゃわからん!」

「相談しましょっ」
「そーしましょっ」

ひそひそひそ

「お客さまはフェイシャルトリートメントがほっしいんでしょ!」
「持ってますぅ あっかんべえ 勝ーってうれしい花いちもんめ!」

「負けーてくやしい!花いちもんめっ」

何度もデパートの1階で力強く押したり引いたりの攻防に勝利したわたしは地下鉄の駅に向かいました。

今日も疲れたなあ。

電車の中ではみんながスマホに目を落とし、駅に着けばホームからの階段をやはりうつむいてみんなが同じ方向へ昇って行きます。
まるでピラミッドをつくる奴隷の集団です。

買い物をしてから1時間も経ってました。
いつものように構内のカフェに立ち寄ってアイスコーヒーを飲んでから改札を抜けようとしたとき、ちょうど改札から構内に入ってくる女性がいました。
夏なのに真っ白なロングコートを着て、大きな帽子を被り、サングラスをかけた美しい女性でした。
早足で歩いてきた彼女は、すれ違うわたしの肩にぶつかりそうになり、それをかわそうとするわたしの腕を強くつかんできたのです。
そして引き寄せられ、ぐっと顔を近づけてきて囁いたのです。

「あなた。洗顔の後、何か残ってるような気がしないの?」

いやいや こわいからこわいから

「しますします! 買います買います!」

「勝ててうれしいわ。花いちもんめ」


相変わらず東京の若い女の子たちは電車の中で化粧をする。
走る電車の中で器用にリップラインも引かずに口紅をきれいに塗る。
急にガタンと揺れた拍子に鼻の穴にズボッと口紅が入り、引き抜こうとしたら、はかなくポキっと折れてしまい、あわてて指で出そうとしたらどんどん鼻の奥へ入っていったりしないのかなあ、と思うが、揺れた途端にさっと唇から離して、また何事もなく化粧を続ける。

わたしは化粧は15分くらいでできてしまうのだけど、出来上がった顔は昔の顔と変わり映えしない。
よっぽど流行やおしゃれに敏感な人以外、女性の化粧はその人の青春時代の最盛期にやってたメイクから離れることができないからだ。
ブログのタイトル画像でもわかるけど、わたしはアイラインは目尻から黒目の中心までしか引かない。
それは20歳の頃に見た雑誌のメイク講座のまま今も変わらないのだ。

お仕事のとき以外、OFFの日は、ほとんどメイクはしない。
恋人と会うのも昔からわたしはいつもすっぴんだった。

わたしにとってメイクとは、男性のためにするのでも、誰かにキレイと言われたくてするのでもなく、戦闘に向かう覚悟のためにするものなんだ。
だから、「ほんわか愛されメイク」みたいなバカっぽい可愛らしいものではなく、いつも鋭く眉も目尻も吊り上げる。

毎日毎日、たくさんの敵の中で、海千山千の大人たちとの切った張ったの交渉に分刻みで立ち向かう。
素顔を隠して、そういうメイクで切り込んでいかないと、わたしだってこわくて、不安でやってけないんだよ。

テーブルを挟んで斜め45度の角度で対峙するわたしは、こわい女だと言われてるんだと思うよ。

靴を履くとき、この玄関の扉を開けたら数千の矢がわたしに向かって飛んできそうな錯覚に陥ることがある。
気を抜けば泣いちゃいそうになるけれど、鋭く描いたメイクがわたしにそれを許さないんだ。

そんなことも知らない若い男の子が、今日の口紅かわいい色ですね、なんてふざけたことを言ってくる。

「君はいったい誰に向かって・・」

そのときである。

「たまにはかわいいオレンジ系のリップをつけてみたいと思うこと、ない?」

いつの間にかすぐ後ろにあの白いコートの女が!

「はい!かわいいの大好きです!マシュマロメイクでお願いします!」

Posted at 2025/07/16 00:47:39 | コメント(5) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「文字を書くということ http://cvw.jp/b/2273104/48802173/
何シテル?   12/05 17:20
身長 / 168センチ 体重 / 52kg  スリーサイズ / B:貧乳  W:ふつう  H:ふつう  年齢:そこらへんによくある ごくふつうの年齢
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