
先週末,ちまたで話題の映画「HERO」を
見させられた。
ワタシは
ミーハーではない。
「見させられた」というのは
鬼嫁にラチられたからだった。
掲示板などのコメントを見ると,異様によい映画のように絶賛されているようだ。
確かに娯楽映画としてはよい映画だったのだろうが,ワタシからすれば現実とかけ離れ,嘘塗りされた映画にこれっぽっちも面白みを感じなかった。
これはあくまでワタシのツボなので押し売りはしないけれど,世に公開されている映画の大半はフィクションだけれども,細部の話がよく練りこまれているからこそ,現実にはありえない話でも,より感情移入できるのである。つまり,細かい描写は現実に忠実だったり,共感できるからこそ,メイン部分がおおざっぱであっても「ま,いっか」となるのだと思う。
抽象的な話をしてもしょうがないので,具体例を挙げる。
ストーリーは以下のようなものである。
東京地検城西支部に再び戻った久利生(木村拓哉)は、ある傷害致死事件の裁判を任されるが、容疑者が初公判で犯行を全面否認、無罪を主張したために思わぬ事態を迎えてしまう。被告側の弁護士・蒲生(松本幸四郎)は“刑事事件無罪獲得数日本一”の超ヤリ手。さらに事件の背後には、大物政治家の花岡練三郎(森田一義)が糸を引いていることを突き止める。 (シネマトゥデイ)
キムタク扮する検事が,ラフな格好,彼は捜査も公判も皮ジャンやトレーナーで,これは許せる,笑える嘘だが,
1 傷害致死被告事件の審理なのに関わらず,合議審理事件(裁判官3人で審理する)ではなく,単独審理事件であった(法律上,合議で審理しなければ違法である)
2 検察官が言う被告人が犯したとされる事実,これを「公訴事実」と言うが,字幕では「控訴事実」と表記されていた(ちなみに「控訴」とは上級の裁判所に対する不服申し立てのことをいう)
3 証拠が弁護人の同意がなく,次々と採用されていた,もしくはあらかじめ証拠を裁判官が見ていた(刑事裁判では勝手に証拠を提出することは許されない,相手方の同意が必要,相手方が同意していない証拠を裁判官は見てはいけない,偏見が生まれるから)
4 証拠を見つけるために韓国まで捜査に行っていた(捜査には事件処理比例の原則というのがあって,事件における証拠収集の重要性と費用対価を考えて,無駄な証拠収集はしないはず,税金がかかるわけだから)
などなど。いっぱいの
嘘,嘘,嘘。
ドラマだから,映画だからと言ったらそれまでだが,
こういう茶番劇がへんな裁判所,裁判,裁判官,弁護士などの
虚構を作り上げているのは確か。
世の中の人は裁判の世界なんて知らないのがほとんどだから,こういったアホな知識を鵜呑みにしてしまう。
どうなんでしょう。
ドラマごときをまともに受けるワタシも問題かもしれませんが,たとえドラマとはいえ,こだわって,ちゃんと取材して作ってほしい。
これを見る限り,ちゃんと取材していない作り手は。
そもそも,マスメディアの連中は取材なんてまっとうにしていないんじゃないかと常に思う。
字幕を見たところ,弁護士事務所が監修しているようだが,この弁護士事務所は何を見ていたんだろうか。
プロデューサーはかの大○亮。あなたはトレンディドラマでも作ってなさい。
ちょっと辛口なるぴんでした・・・
(写真 (C) 2007 フジテレビジョン・東宝・J-dream・FNS27社)
Posted at 2007/09/10 23:26:06 | |
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