
1970年前後のアメ車は,怒濤のトルクと自動車税を誇っていた。
ある日の昼下がり,路上に停めた7Lのアメ車に乗り込む。
キーを捻ると「ドロドロドロ」とV8が,いささかバラついた音で鼓動を始める。1速に入れ右足に力を込める。
「ズボボボボ」と図太い排気音が辺りの空気を震わし,車体が揺れる。サイドの白文字「ふぁいやーすとーん」が誇らしげな,図太いクロスプライが,一瞬捻れながら路面を蹴飛ばす。
パワー・ボートの発進のように車体の頭が持ち上がり,背中がシートに押しつけられる。
「グワングワン」「ガラガラガラ」「ガッシャーン」
突然背後で凄まじい金属音がした。
「リア・アクスルが吹っ飛んだか?」
ちゃんと走る。
「タイヤが外れたか?」
傾いていない。走行はいつもの通りだ。
路肩に車を寄せ,停止。
降りて車体を確かめる。タイヤも4つ付いている。位置も合っている。道路に頭を擦り付け,下を覗くが足りない部品もない。
後ろを振り返って見ると,さっき停めていた路上にぽっかりと大きな穴が開いている。
「???」
直径1m近い。勿論停める前には無かった穴だ。
「!!!」
さらに20m程後方を見て,やっと事態が飲み込めた。
ぶ厚い鉄製の大きなマンホールの蓋が転がっていた。
強大なトラクションのとばっちりを受け,蓋が吹っ飛ばされて,転がって行ったのであった。
あれは元に戻すのに骨が折れる。転がすだけでもとても重い。
ぎゃらんGTOが馬500頭を引き連れて帰って来た。
懐かしのキャロル・シェルビーが「かなり熟成させた」とのことで,生産中止になった「ふぉーどGT」譲りの500HPの心臓を引き継ぐ。
昔みたいに7Lこそないが,イートン製スーパーチャージャーで,同等のトルク69kgmで地面を蹴飛ばす。5.4L,V8 DOHC 32V,レブリミットは6250と今風。トラクション・コントロールはオフにできる。
情報が錯綜しているが,ベース価格は3.9万$との説も。ただしとにかく玉不足で異常なプレミア価格状態らしい。保証有効な+100psキット,無効な+200psキットもある。
私の読みでは,
「ふぉーどGTの1/3の価格で同等の動力性能」
つまり,ふぉーどの弁でいくと,
「ポルのカローラGTの1/9の価格で同等の動力性能」
となる。直線だけなら,そこそこ行くかも知れない。
なお,「菱が3つ」のお店に行っても買えないのでご注意を。画像下段の白い車が欲しい方は,国産レトロ車専門店か,地方の解体屋さんか,どこかのお宅の納屋へ。
ホントの名前は「しぇるびーGT五百」
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アメリカン & GT40 | クルマ
Posted at
2006/12/04 06:52:15