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ViperJetのブログ一覧

2007年01月12日 イイね!

通学快速 アマガエル

通学快速 アマガエルそこでA君が出した結論は「通学快速 アマガエル号」であった。コンパクトなサイズで,きちんと曲がり止まれる。パワーも「おむすび号」に比べ遜色ない。A君の要求を満たせる4輪車はこれしかないという判断だった。価格と周囲の反応さえ無視すれば,当時としてはベストな解答だとも言える。

斯くして,あわれ「おむすび号」は僅か3ヶ月の愛顧をもって退役となった。リーサル・ウェポン「アマガエル号」は予想を全く裏切らない性能を発揮してくれた。

めでたくこれにて一件落着。ジャスト・イン・タイムに任務遂行を重ねる順調な日々がしばらく続いた。

が,思わぬ伏兵が。

総合性能はとてもハイレベルだが,それにも増して限界時の挙動も顕著。操縦に馴れてペースが上がるに連れ,「アマガエル号」は飼い主に反して牙を剥くようになった。お尻を振り出したら止まらない。
厄介なことに他の車はお尻を振り出したら,アクセルを緩めるのが常道だが,こいつは状況に依ってはさらに踏み込んで後輪荷重を増やす必要がある。人間心理に逆らう操作で,一瞬の判断が明暗を分ける。

 乗り出してから季節も変わらぬある日,それは起こった。住宅地のコーナーをぬえわの速度で抜ける時に。日常それまで飽きるほど抜けている自宅のすぐ近くのコーナーだ。
幸い乗員は無傷であったが,あわれ「アマガエル号」は大破してしまった。「おむすび号」より短命だった。

A君やっちゃった。


Posted at 2007/01/12 21:42:24 | コメント(2) | 通学快速 | クルマ
2007年01月11日 イイね!

通学快速 おむすび

通学快速 おむすび入学とほぼ同時に免許を取ってすぐに,おむすびがクルクル回る車を買って貰ったA君。国産車の中では比類無き高回転のスムーズさ,パワー,燃料消費量を誇っていた。
ダッシュは国産最強。とても速かった。真っ直ぐ走る限りにおいては,動力性能には何らの不満はなかった。曲がったり,止まったりさえしなければ。

 A君が所属する体育会は少し特殊な種目で,練習や試合には広大な敷地を要する。従って毎日の練習場所は遠くの山の中。日没前に練習を終えた後には,A君には毎日欠かさず遂行しなければいけない大事な任務がある。決められた時間までに戻り,遅れは決して許されない。

道中は山あいのワインディングで信号も通行量も少なく,かなりのペースで走れる。真っ直ぐの1本道なら「通学快速 おむすび号」でも間に合うのだが,当然曲がったり,コーナー直前ではブレーキングも必要だ。
車の能力いっぱいを使っても遅れる日が目立ってきた。今と異なり携帯電話のような文明の利器はまだ無かった時代。遅れを知らせる通信手段は狼煙ぐらいなもの。

遅れるとA君は強烈な叱責を受け,その後の予定もキャンセルされることもしばしであった。

「通学快速 下駄号」は曲がる,止まるに関しては要求水準に合致するが,いかんせん非力で直線区間では「おむすび号」の後塵を拝する。

「通学快速 牛号」はかなりの水準だが,いかんせん幅が広く山道ではペースが鈍る。舗装の荒れた所ではお腹を擦ってしまう。何より練習時に必要な道具を載せるスペースがない。

「通学快速 秘密諜報員英国海軍中佐御用達号」も,今一そのコースには不向きだ。当時メンテとパーツ供給に不安があり,一旦工場入りしたら退院時期はおぼつかない。またその車体の特殊構造ゆえ,クラッシュしたら国内での修復はほぼ望めない。

A君困った。
Posted at 2007/01/11 06:13:28 | コメント(2) | 通学快速 | クルマ
2006年12月18日 イイね!

通学快速 「下駄」  後編

通学快速 「下駄」  後編 文字通り物理的にも「下駄」として使っていたのだ。

校舎の回りにはコンクリート製の塀が張り巡らされている。施設間を移動する場合には,当然門まで遠回りしなくてはならない。
ところが,そのクラブの部員達は,部室がある建物の塀際に「下駄」を並べていた。そしてボンネットを踏み台代わりにして,塀を乗り越えてショートカットするのを常としていた。

確かに,ボンネットの高さ,下駄を思わせる水平で角張ったフェンダーといい,踏み台としてはこれ以上の車は見当たらず,お誂え向きだ。持ち主がいない時は当然のこと,持ち主の目前であれ,まるでお構いなしに,ヒョイヒョイと連なって,塀を乗り越えて行く。勿論持ち主もそうするし,他人が自車を踏み台にしようが全く動じず,一瞥すらくれない。

 そのクラブは種目柄,裕福な家庭の子息かつ,幼馴染みが集まっていたが,それにしても凄かった。
天寿を全うし後はスクラップにされるを待つのみの,ボコボコのポンコツならともかく,新車の時からであった。

車を道具として使い切っていたと言えなくもないが・・・
Posted at 2006/12/18 22:45:51 | コメント(2) | 通学快速 | クルマ
2006年12月18日 イイね!

通学快速 「下駄」  前編

通学快速 「下駄」  前編 発売当時,気の毒にも「ぷあまんず・POるシェ」という称号で,口の悪いジャーナリスト達に呼ばれていた車種があった。いくら同社のラインアップの中では安価とは言え,当時の価格を現代に換算すると,NSX辺りに相当すると思う。
 れっきとしたスポーツ・カーで,ごく一部のモデルを除き,エンジンこそVW流用だが,コーナリング性能とトータル・バランスはピカイチだった。ましてや学生にとっては,とても贅沢と言える車種だった。

 そんなスポーツ・カーを,体育会系のあるクラブの部員達は,色違いで揃え,通学に使っていた。昼間から練習をするクラブで,しかも練習場所は大学から遠い。彼らは兄弟ではないが,自ずから行動も共にすることが多かった。

 そこで,ほぼ毎日,午前中は同じ場所に,色違いの「下駄」が並ぶことになる。外野のカー・マニアは買えない者の僻みもあり,そのスタイルから「下駄」と呼んでいた。
校舎を挟んだ道路際の塀に沿って,カラフルで高価なスポーツ・カーが並ぶこと自体が異常なのに,彼らの行動は常軌を逸した,さらに驚くべきものだった。
Posted at 2006/12/18 08:25:59 | コメント(3) | 通学快速 | クルマ
2006年12月11日 イイね!

通学快速 ツートン・カラー

通学快速 ツートン・カラー年齢の近い男兄弟は仲が良く,小さい頃から遊ぶ時も行動を一にすることが多い。そんなある男兄弟の話。
 二人とも無類の車好きで,同じ大学に通っている。一台の車を共同で使っているため,通学も遊ぶのも一緒にが,どうしても多くなる。

 ある日,車を買替えることになった。どの車種にするかは趣味もセンスも似通っている二人,比較的スムーズに決まった。ところが,どうしてもお互い譲れないことがあった。

ある夜,普段から殆ど喧嘩もしない二人が,夕食後に何やら揉めている。最初はぼそぼそ声で始まった言い争いが,徐々に熱を帯び,お互い声を荒げている。

離れていた所で,仕事から帰りくつろいでいた父親が,何事かと二人の間に割って入った。段々とエスカレートし,一向に収まる気配がなかったからだ。

今回の購入車種は,アメリカ人の間でも「キャディ」つまりキャデラックと同時所有するのが,成功の証とされているスポーツ・カーである。大排気量アメ車の中でも特に高額な車種だが,それを購入すること自体は父親も承認済みだ。

「二人共,何を大きな声で喧嘩しているのだ?」

家庭内の揉め事が大嫌いな父親まで,巻き込んだ事態に兄弟は少し後悔した。でも譲れない一線でもあった。

興奮で顔を赤らめた弟が口を開いた。

「兄貴がどうしてもオレンジ色にすると言って聞かない。白のほうが絶対似合う」

「何,言ってるんだ。白なんぞありふれていて,面白くもない。オレンジに決まっているだろうが」

「あんなケバケバしい色のどこ良いのだ。ケバイのは女だけにしとけ」

中古車なら状態とか価格を優先し,色は後回しになるのだが,新車購入ということで,選択肢が広いのが災いしている。双方一向に譲る気配はない。
 普通の父親なら,今回は兄貴を立てて次回は弟の好みを,ジャンケンで,真ん中を取ってクリーム色,いっそ橙白のツートン・カラー,左右で塗り分け・・・とかを提案するだろう。
しかしこの父親は息子達でさえも,考えが及ばなかった解決案を提示した。常識ではまず考えられない。

「何をつまらないことで揉めているのだ」
「たかがそんなことで喧嘩するな。大事な兄弟,これからも仲良くしろ」

かくして,大学の近辺で一心同体かのごとく,ぴったりとくっついて,走り回るのが見かけられるようになった。ただでさえ目立つ大型スポーツカー,腹にも響く合計16気筒のインパクトは二倍どころではなかった。


その頃の私はもっぱら解体屋さん巡りをしていた。
もし私がそのお宅に生まれていたら,2台分を1台にまとめてお馬さんにグレード・アップし,もう一度喧嘩をおっ始めていたかも知れない。
Posted at 2006/12/11 16:54:39 | コメント(1) | 通学快速 | クルマ

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