
「アマガエル号」を大破させてしまったA君,勿論同じ車種をまた買うことも,修復して元通りにすることもA家の財力をもってすれば容易いことだった。だがそれでは,あまりにも芸がない。かと言ってA君の用途に見合った能力の車種は,他には見当たらない。
転んでもただでは起きあがらないA君,修復ついでに大改装をすることにした。サスペンション,フェンダー,大きな羽根等々の外装,ホイール,タイヤを一新して「RSR仕様」に生まれ変わった。さすがにエンジンにまでは手を入れなかったが,それでもただでさえ部品は高額,増してや純正レース部品の価格は天文学的数字に近かった。
図太いスリックを履かせるホイールだけでも,国産車が2台買えた。
スリック・タイヤにへばり付いた小石を,一般庶民学生にぶちまけながら,元気に練習場に向けて出動する,戦闘力を増した「アマガエル改号」の姿が再び毎昼,見られるようになったのであった。
夕暮れの女子大の門前に毎日定刻に配置に付く「重大任務遂行中」の戦闘車両の群れの中でも,夕日に映し出された「アマガエル改号」はさらに一際精彩を放っていた。
「スリック?」「そんなのウェットでは軽4にも負けるだろ」
ご心配には及ばない。A家では「一家に一台」という訳ではなく,望むなら,天候や状況に応じて使える車は他にも色々ある。
メルセデスだけでも,「おじいちゃんのベンツ」「おばあちゃんのベンツ」「パパの」「ママの」・・・以下省略。常時ハンドルか毛ばたきのいずれかを握っている運転手さんも,勿論一台毎に付いていた。一般受けする,前屈みのネーちゃんが鼻先で羽を拡げている車も,取り敢えずあった。「空飛ぶ天使」と言うそうだが。
Posted at 2007/01/17 11:14:18 | |
通学快速 | クルマ