@ボルトについて
ステンレスボルトをブレーキ系に使ってはいけない?
↓
状況によっては間違い
ステンレス(オーステナイト系)が弱いというのは
400℃以上の高温で起こるクリープ現象により脆くなり折れる
もしくは疲労強度が低いため
フェライト、マルテンサイト系は粘りがなく折れやすい
オーステナイトは鉄より粘りある
実際、ブレンボ正規扱いのプロトが販売している
ステンレスキャリパーマウントボルト商品番号CMBT-055P
数値的に
常温では強度区分A2-80と強度区分8.8は同等だが
オーステナイト系は
200度から400℃以上になると
クリープ、強度低下が起こりやすいが
条件により問題ない
条件:
街乗り程度の125cc以下の車体
車重が100kg程度
速度域が60km/h程度
ブレーキキャリパーも小型(1POTや小型2POT)
程度の応力なら安全マージン付でA2-80で対応できる
A2-90やA2-100ならより(正式規格ではない)
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鉄
比重が大きく、重い
硬く、強度が高い
アルミやステンレスに比べて安い
ステンレス
アルミよりは重いが鉄よりは軽い アルミの3倍
硬く、強度が高い
アルミよりも高価
200度から400℃以上の高温で起こるクリープ現象
アルミ
比重が小さく、非常に軽い ステンレスの1/3
柔らかく、加工しやすいが強度が弱い
比較的安価
120℃を超えると長期使用で機械的性質が低下
64チタン
引っ張り強度はクロモリ鋼に近いが
剛性の面でヤング率は低い
高強度低剛性
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ヤング率 縦弾性係数(E/GPa)
大きいほど
変形しにくい材料
引っ張り強度(N/mm2)
材料に
引張荷重を加え破断するまでの最大応力
耐力(N/mm2)
材料や構造物が
どれだけの力に耐えられるかを示す指標
明確な降伏点を持たない材料(アルミニウム合金など)の強度で使用
種類 /ヤング率 /引っ張り強度 /耐力
炭素鋼 S45C /205 /828 /345
SS400 /205 /400 /215
強度区分5.6 /--- /500 /300
強度区分8.8 /--- /800 /640
強度区分10.9 /--- /1000 /940
SUS304 /197 /520 /205
強度区分A2-50 /--- /500 /210
強度区分A2-70 /--- /700 /450
強度区分A2-80 /--- /800 /600
強度区分A2-90 /--- /900 /700
強度区分A2-100 /--- /1000 /800
アルミA2017 /69 /425 /275
アルミA5052 /68 /260 /215
アルミA7075 /72 /570 /505
チタンTi-6-4 /110 /895 /825
ダイヤモンド /1000 /--- /---
金 /78 /110 /---
ナイロンPA66 /2.9 /78 /---
木材 /7.8 /30(繊維方向) /---
ヤング率だとアルミはステンレスの約1/3
約3倍変形しやすいということ
同じぐらいの引っ張りで変形し耐えて元の形に戻るが
その時の
変形は3倍ぐらい大きくなるということ
ステンレスがネジに向いていない最も大きな理由は
熱伝導率が低いため熱が散らないから焼き付く
スレッドコンパウンド使い手締めすれば問題ない
チタンはステンレスの2倍伝導率低い
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@キャリパーサポートについて
キャリパーサポートはなぜアルミ製が多い?
・軽量でバネ下重量の軽減
・切削性が良く
安い、大量生産向き・設計次第で充分な強度と剛性
・120℃からクリープ発生し脆くなるが
ヤング率の低さで変形してカバーしてる?
・ステンレスより疲労強度弱い約 130〜160 MPa
・アルミのねじ穴だと
無印ボルトだと1/2、高強度ボルトだと1/3しかトルクかけれない
締めすぎるとねじ山が伸びる
・熱膨張率差による緩み
アルミ地の場合 鉄4倍、ステンレス10倍
どちらも緩みやすい 同素材がベストだが
アルミボルトなんか使えない
・アルミ地、ステンレスネジだと電蝕起きる
スレッドコンパウンド使えば問題ない
サポートはステンレス製でも問題ない?
・ステンレス製は難切削材で時間かかり
大量生産不可、加工利益でない?
・ステンレス製は重いが1/3の厚みで同等強度?
・ステンレス製ならステンレスボルトで
電蝕、熱膨張による緩み発生しない?
・アルミより疲労強度強い約 200〜250 MPa
・高強度ボルト A2-90、A2-100等なら強度問題ない?
強度区分(相当)
A2-70、A2-80=8.8=7マーク
A2-90、A2-100=10.9
クリープ現象温度(おおよそ開始)
鉄400℃、ステンレス400℃、アルミ120℃
まとめ
アルミ製サポートで鉄ボルト
切削性よく安く軽いが120℃でクリープし脆くなる
鉄ボルトとの電蝕
締め付けトルク1/2しかかけられないし
熱膨張差で緩みやすい
ステンレス製サポートで鉄/ステンレスボルト
アルミより疲労強度あるが難切削材で高価で重い
ステンレスボルトで電蝕なしだが常時200℃の状況で
クリープ発生し脆くなる
街乗り程度では問題ない程度
鉄高強度ボルトなら電蝕あるが強度的には問題ない
重量のある車もしくは125cc以上で
街乗り以外の用途の場合、一時的に200℃を超えるので
ステンレスボルトの使用はやめた方がいい
脆くなりボルト破損の可能性あり
結果
軽量、コスト重視ならアルミ製
安全、強度重視ならステンレス製
ステンレス製サポートで
10.9鉄もしくA2-100ステンレスボルト取付
Posted at 2025/07/17 13:16:09 | |
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