
要は、ノーズコーン下の気流の圧をボディ上面に逃がしてやる為の穴でしょ?
何がそんなに革新的なのかなあ・・なんて思います。

90年代後半からF1は、先端の高いハイマウントノーズが主流でした。
それは、ノーズコーン下の気流を積極的にボディ下部へと導き、その気流をモノコック前端に
造形したキールと呼ばれる船の先端部のような形状によってボディ左右に抵抗無く流れていく
よう意図したものと思われます。
左右に分かれた気流は、そのままサイドポンツーンのラジエターインテークダクトへと
入っていくのですが、無理やり分けられた気流は、フロントウィングからの気流によって
乱れやすくなります。

そこで、サイドポンツーンのラジエターインテークダクトの前にバージボードと言われる
整流板を置いて冷却用に使われる気流とボディサイドに流れる気流を整えているのです。

2001年、新規則によりフロントウィングを高く設置しなければならなくなります。
グランドエフェクトを幾分か失ったフロントウィングにより、フロントのダウンフォースが
減少するのですが、それまでフロントウィングの発生するダウンフォースと相殺していた
キール部分の揚力が逆に強く出てしまいます。
本来は、その高さでも十分なダウンフォースを発生するフロントウィングを開発しなければ
なりませんが、この問題をキール部分に当たる気流を減少させるべくノーズ先端を下げる事で
解決しています。このノーズ先端を下げる事がオフェンシブな設計変更で無い事は、
翌年のF2002から再びノーズ先端が上げられた事から判断できます。
しかしながら、恐らくこの時からノーズコーン下の気流がキールだけでは完全には
制御出来ていない事にフェラーリは気付いていたのでしょう。

その後、ノーズコーンの形状にはあまり変化が見られなくなります。
それとは逆にフロントウィングは格段の進歩を遂げます。ノーズコーン下部に沿って
大きくRを付け、大型化・マルチ化していき、今ではダブルウィングが主流になっています。
確かに、大型化したウィングが発生するダウンフォースは強大ですが、同時に抵抗や
乱流も大きくなるものです。
ダウンフォースとは、単純に車を地面に押し付ける一つの力ではありません。
ベクトルを思い出してみると分かると思いますが、例えば、キール部分が揚力を発生して
車を上に5kgの力で上げようとし、フロントウィングが10kgの力で下に
押し付けているとすると、ダウンフォースは相殺されて5kgになります。
ここで、10kgのダウンフォースを得ようしてフロントウィングを大型化し、13kgの
力を発生させれば、見事ダウンフォースは8kgとなります。
実際には、抵抗、乱流、車のスピードを抑えるような力だったり、もっと複雑ではありますが、
ただ、ウィングの無茶な大型化は、乱流を発生し、空力全体に大きな悪影響を与えます。
何らかの方法で、キール部分の揚力を減らせれば、例えば、3kg減らせたとすれば
同じウィングを使っていても、8kgのダウンフォースを得る事が出来る訳ですね。
揚力の発生部分では、気流の流れが滞り、その部分の気圧が上がります。
水でも空気でも流体は圧の高い方から低い方へ流れますから、圧力の高い所と低い所を
通路で結んであげれば、高い所から流れ出てその部分の気圧を低く維持出来ると言う訳です。
記事の何処にもこれがアウトレットだとは書いていませんが、ノーズコーンの前傾部ではなく、
水平になった所に設置されている事を考えれば、当然、アウトレットでしょう。
ノーズコーン下にインレットダクトの穴が開いていると考えるのが妥当かと思います。
ね、、SWと同じでしょ?
あ、一応、これは全部、私の妄想です。先日購入したフェラーリの本で勉強はしていますが、
こんなことはそこには書いてありませんので、念のため。