同じ新聞でこうも論調が変わるものかと、疑問に思った次第。
この変わり身を見ると、信念を持った公正・中立な主義主張という以前に、「○●系」という新聞社のスタンスだけが強調されているように思えてならない。
プロパガンダが存在の意義となるような新聞では、報道機関としては認めたくも無い。
報道を読み解くのは、我々自身だという事をあらためて感じている。
最初のニュース 2009.4.12
【主張】高速料1000円 波及効果を引き出したい
2009.4.12 03:40
このニュースのトピックス:主張
休日の高速道路料金をどこまで行っても一律1000円とする大幅値下げがスタートした。
料金徴収システムの改修の遅れから混乱も予想されたが、滑り出しは好調で、週末の高速道路利用台数は昨年同時期に比べ、平均して2、3割は増えているという。
ゴールデンウイークを間近に、ことしは車で遠出をしようと計画している家族らもいるだろう。「高速道利用者だけへの優遇」との批判もある中、今回の値下げが一過性の限定的消費行動に終わることなく、観光など幅広い需要を喚起して景気回復への一歩となるよう期待したい。
今回の値下げは、自動料金収受システム(ETC)の普及拡大にも役立っている。割引対象がETCの搭載車に限定されていることや、新規取り付けには助成金(四輪車で5250円)の支給も行われているからだ。
政府は当初、助成枠として100万台を予定していたが、供給が追いつかないほど希望者が殺到したため、急遽(きゅうきょ)140万台まで拡大することを決めた。
ETCの普及は、料金所の省力化を通じて大きなコスト削減につながる。支払い待ちの渋滞が緩和されれば、排ガスが減少して環境改善にも役立つ。
だが、値下げの原資は最終的に国民の負担であることは覚悟しておくべきだろう。政府は高速道路会社の減収分を補填(ほてん)するため、2年間の限定措置として、いわゆる“埋蔵金”などから国費で5000億円を充当するとしている。
3年目以降は未定だが、政府は利用者に早い段階で判断を示す必要がある。再値上げなら混乱は必至だし、継続ならば再び原資が問題になる。
既存の各種割引措置だけでも10年間で2兆円以上を必要としていることや、約40兆円の旧日本道路公団債務の償還計画への影響などについても、この際、併せて国民の理解を得ておくべきだ。
高速道料金の値下げは、フェリーや鉄道などへも影響を与えている。本州四国連絡橋の通行料引き下げで、競合するフェリー航路は最大で5割以上も輸送量が減ったという。航路の維持は防災上の観点からも重要だ。影響の深刻度によっては、新たな支援策も必要となるだろう。
景気対策という以上、経済全体の活性化や波及効果を引き出す政策づくりが不可欠だ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090412/plc0904120341000-n1.htm
比較的新しいニュース 2009.9.23
マイカー優遇「不公平」?高速無料化に自動車関連減税導入の是非
9月23日18時46分配信 産経新聞
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高速道路の無料化はプラスかマイナスか(写真:産経新聞)
高速無料化は国民のお財布に優しい? 民主党は首都高速と阪神高速を除く高速道路を無料化することで、流通コストの引き下げや地域経済活性化を狙う。さらにガソリン税など暫定税率の廃止や自動車取得税の廃止など自動車関連の減税も打ち出した。しかし、価格競争でサービスを競う公共交通機関からは反発が相次ぎ、これまで「使った人が払う」受益者負担が原則だった高速料金の無料化には、高速道を使わなかったり自動車を利用しない国民には“不公平”感も…。民主党のいう高速無料化と自動車減税政策とは-。
■道路維持費用は「タダじゃない」…利用料の代わりに税金投入?
「メンテナンスや点検の費用だけで年間1600億円のコストを要する。これだけの額を長期、安定的に確保できるのか」
総選挙前の8月、いち早く反対を表明したのは東日本高速道路の八木重二郎会長。続いて政権交代が確定した9月に入ってからも、「低炭素化社会の時代に逆行する」(9日、JR北海道の中島尚俊社長会見)、「受益者負担の観点からフェアではない」(9日、関西同友会の中野健二郎代表幹事の産経新聞インタビュー)と批判が相次いでいる。
東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)によると、NEXCO3社は、民営化時の有利子債務約40兆円を平成21年までの3年間で約5兆円返済し、残る35兆円は41年以内に日本高速道路保有・債務返済機構を通じて返済することになっている。
高速道路の維持管理と債務返済にあてられるのは、主に利用者の料金収入だ。
NEXCO東日本の平成20年度の収益は計8552億円で、約8割が利用者の料金収入。料金収入のうち74%は賃借料(日本高速道路保有・債務返済機構に支払い)、残りの26%で道路管理をしている。料金収入がなくなれば、これらの支出は税金でまかなわれることになる。
民主党は3月にまとめた「高速道路政策大綱」で、残る35兆円を国が承継する方針を示し、債務を国債に換えて60年償還をめざすとしている。
これに対し、元道路公団常任参与で有料道路研究センター代表の織方弘道さんは「高速道路は走行の高速性や快適性などメリットに応じて利用者が負担するのが原則。利用料を取らなければ、一般の税金を財源とすることになり、利便を受けていない人が負担することになり適切でない」と話す。
一方、高速道路無料化を主張してきた元ゴールドマン・サックス投信社長でシンクタンク代表の山崎養世さんは、民営化会社の問題点を指摘する。
高速道路を保有、債務返済する機構から、高速道路会社が道路を借り受け、管理や建設、事業運営を行う上下分離方式をとっていることについて「借金を90人の職員を抱えるペーパーカンパニーに飛ばし、『2050年に債務返済する』としながらもこれからも20兆円の借金をして赤字路線をつくり続けようとしている」と批判。「債務が税金負担になる」との反対論に対しても「最終的に借金を処理できなければ、結局税金で処理することになる。この民営化会社の問題を先送りせず、金利が低い今、処理しようということです」と力説する。
■路線バス廃止の危機も?1000円高速に続き公共交通に試練
「自家用車を優遇する政策。国は『公共交通』を見捨てようとしているのか」と危機感をあらわにしたのがバス業界だ。高速バスの利益を路線バスの維持に充てている会社が多く、高速無料化で路線バスの廃止のおそれがあるという。
今年3月から自民党政権下で始まった土日休日の高速道路の上限1000円政策では、NEXCO東日本の調べで、5月の大型連休とお盆休み期間の交通量は地方部では前年比約3割増、大都市周辺を含む全体で約2割増加した。九州バス協会によると、九州地方では高速道路の上限1000円で5月の大型連休の利用者は1割減、お盆休みも2~3割減った。通行量の増大で遅延が増え、代替要員確保や運転手の労働時間増加などでコスト増となり、通行料の削減以上にマイナスの影響が出ているという。
九州バス協会(82社加盟)の竹島和幸会長は10日、国交省を訪れ、無料化の見送りを要望。「高速バスの利益が減少するということは、生活者の足である一般路線バスの縮小や廃止、会社の存続まで危うくする」と訴えた。
さらに民主党は「目的を失った自動車関連諸税の暫定税率廃止」として、ガソリン税、軽油引取税、自動車重量税、自動車取得税の廃止で2・5兆円の減税実施をうたう。将来的には「自動車取得税は消費税との二重課税回避の観点から廃止する」とも。高速無料化に加え、これらの政策が実施されれば、上限1000円政策以上にマイカー利用が促進され、交通量増加に拍車がかかるとみられる。
PHP総合研究所の松野由希特任研究員は、無料化の効果について「一時的に観光需要が伸び、関連産業が活気づき、景気が上向く」と分析した上で、「一つの交通手段だけを優遇することで、鉄道、航空、高速バス、フェリーは利用の落ち込みが予想され過当競争に陥れられる。フェリー会社は政府に支援を求めていますが、これが認められればほかの交通機関も支援されることになるでしょう」と公平性に疑問を投げかける。
早稲田大の杉山雅洋教授(交通経済学)も「価格をベースに人々が利用を判断する市場経済システムを逸脱する行為で、本当は必要ない人も無駄に使うことになる。計算上は高速も一般道も通行量が同じになり、料金を払ってもスピードを求める選択肢がなくなる」と警鐘を鳴らす。
■「流通コスト」は5~10%…物価下落につながるか?
国交省が20年に行った試算では、首都高速と阪神高速を除く無料化による経済効果は2兆7千億円。一般道の渋滞解消など年4兆8千億円の効果から、高速道路の渋滞などによるマイナス効果2兆1千億円を差し引いた。家計の負担軽減を含めると7兆8千億円としている。
物価下落の見込みについて「物価の輸送費に占める割合は5~10%程度で、それほど大きくない」と懐疑的な見方を示すのは全日本トラック協会の永嶋功広報部長。それよりも、渋滞で遅延が生じれば燃料代、賃金のコスト増が見込まれる上、利用料コストが下がっても、荷主から運賃値引きを求められれば利益は出ないと懸念する。
永嶋さんは「われわれは利用料でスピードを買っている。納品需要が伸びる年末や年度末にレジャー需要で“低速道路”になれば、意味がない」。また、国交省の試算については、早稲田大の杉山教授も「2つの試算は方法が異なり、前提となる高速道の利用速度も違う。精査しないといけない数字だ」と経済効果を慎重に見極める必要性を訴える。
■二酸化炭素25%減は「両立難しい」
鳩山由紀夫首相は、2020(平成32)年までの日本の温室効果ガス排出を1990年比25%削減するとした中期目標も掲げて注目を浴びた。この目標を評価した自公政権の斉藤鉄夫前環境相も、自動車利用を促進する高速無料化などの政策と「両立しない」と矛盾を指摘した。
NPO法人「環境自治体会議 環境政策研究所」の調査では、2005年の輸送量をベースに、民主党の高速道無料化を検証。民主党の政策では、自動車が21%増、航空は11%減、鉄道は36%減、バスは43%減として、CO2排出量は年間980万トン増加するとしている。調査をまとめた同研究所の上岡直見さんは「エコカーの普及や温暖化対策税などで相殺することも考えられる。しかし、CO225%削減という大胆な目標を立てながら、高速無料化や暫定税率撤廃を実現するのは難しいのではないか」と話す。
高速無料化で、公共交通の利用減や渋滞による損失のほか、窓口で料金収受にあたっている1万6000人の雇用も失われることになる。また、1000円高速で需要が大幅に伸び、今年1~7月で前年同期比208%の478万5千台出荷されたETC車載器も、首都高速と阪神高速の利用に限定されることになる。
これらの影響を考慮しても「景気対策」や「地域活性化」に寄与するのだろうか…。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090923-00000546-san-bus_all
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最終更新:9月23日18時46分