ランボとフェラーリの12気筒の鳴り方は全く異なる。
フェラーリのV12の方が楽器としてエンジンから排気系を上手く鳴らすことが出来ている、クリアな倍音を豊富に含んだ音がするというのはよくわかる。しかしランボルギーニの音、恐らく雑味成分が豊富に含まれているだろう音に興味が惹かれるのはなぜだろうか。と、iphoneのアプリで瞬間の波長と音量分布を平面で表現するsound visualizerを見つけたので簡易的に調べてみた。
まずアヴェンタドール。運転席で集音もiphone内蔵マイクなので参考までに。

エンジンの回転数は大体7900回転。1秒間に7900/60なのでシリンダーの爆発数は/2*12、周波数は790Hz
1つ左隣のピークは590Hz, 3/4の周波数。その左のピークは395Hzと1/2周波数、さらに左は190Hz、固有周波数の1/4になっている。逆に右側に行くと完全5度の1.5倍音、または2倍音が現れるまでに同等のピークをもつ明らかに不協和音となる音が観察される。そのさらに右もしかり。言ってみるとアヴェンタドールは12気筒故の高周波数をメイン(7900回転の場合790Hz G)としながらもそれとほぼ同等音量レベルのそれより音階の低い和音(7900回転の場合G,G,D,G: G-Dは完全5度)で強烈に迫り、高周波のGやD(7900回転の場合)を含むが同等音量の不協和音を味付けとして特徴としていることがわかる。
次にフェラーリF12。

最早素晴らしい楽器としての波。
だいたい7900回転時のもの。固有周波数は同じになり、このGDGDGDG構成、音量バランスに驚かされる。
アヴェンタで目立った3/4周波数ピークが無いのも特徴。
最高の楽器と言われる訳だ。
しかし人間というものは常に美しいものに惹かれる訳ではないことも然り。
僕はジャズの演奏を長年してきたが、この違いはいわゆるジャズマンのサックスの音色とクラシック演奏家のそれの違いに似ていて、無論クラシック奏者の方がとても同じ楽器とは思えない程綺麗な雑味のない音色になる訳だが、逆にジャズ演奏ではいかに鳴らすのも大事だがむしろ個性は雑味成分によって生まれており、雑味の個性が大事にされている。美人は3日で飽きる事もある(まあブスは1日も無い事もあるが)。ギターの澄んだ音色を求める音楽もあればヘビメタのギターは歪みまくり雑味の塊であり、みんなそういう時に気分が高揚しやすい事も知っている。山下洋輔は気分が高まると肘でピアノを弾き、ジミヘンはギターを投げ、全く和音の無いフリージャズがエネルギーのはきだめになった時代もあった。
と話がそれるが優等生のフェラーリとアウトローのランボ、という雰囲気そのままの結果となった。ランボサウンドに惹かれる人はこういう不協和音が結構混じった音を個性と捉え、音量と共に気分の高揚に持って行けてかつそれが好きな人って事だろうか。
12気筒を公然と鳴らせる時代もごくわずか。
味わっておかないと、と自分に言い訳をしつつ次期フェラーリF12M予約をしよう!
因みに10気筒。10気筒ならどのメーカーでもわかるあの特徴的な音、この癖を一番出しているのはアウディ、ランボV10だと思います。
Posted at 2017/01/09 22:05:24 | |
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