OBD2の普及と変遷
元々は車載コンピュータとの接続診断コネクタなのです。
具体的な使い方と言いますと、定期点検時のチェックや、車両に異常があった際に、それがログデータとして残るのですが、それをパソコンやハンディーロガーなどで確認するためのポートなのですね。
一般への普及という意味で調べていくと、プリウスオーナーの方々が燃費向上策を図るためにはどうすればいいのか。それが本格普及への足がかりと言ってもいいでしょう。
元々、日本車でもOBD2コネクタへの接続機器はかなりあったのです。
実際に私もシビックタイプR、ライフにBLITZから発売されているR-VITを接続して、特に純正では数値化されていない水温・湯温・正確な速度(純正メーターは結構誤差があるんです)・吸気温度を見ておりました。
BLITZ社製 R-VIT
通常の街乗りでは絶対に必要ない値ばかりなのですが、どうしてこのような数値を必要とするようになったかというと、それはRX-7の乗っていたからなのです。
街乗りでも油温が100℃以上に普通になる車(RE雨宮のQ&A)なんて普通考えられませんよね。
後付けメーターをつけていましたが、少し張り切った走りをするだけですぐに130度を超えるという、なんとも熱に厳しいスポーツカーでした。
ただ、これを知らずに乗ることと知って乗ることでは、対処の仕方が変わってきます。壊れてからでは遅いのです。
メーターで情報を正しく管理することの重要性をRX-7で学んだのです。
余談が過ぎました。
プリウスの普及(いえ、ハイブリッドカーの普及と言ってもいいでしょうか)で、プリウスチューニングの大衆化(主として燃費向上策と思います)を呼び、お手軽メーターとしてOBD2が脚光を浴びた。という方のが、正しいでしょうか。
ナビへの転用
純正ナビは性能が低い。これが90年代後半から00年代前半の、パイオニアやパナソニック、ケンウッドなどの、後付けナビメーカーの躍進に繋がりました。
自分もサイバーナビなんて、高嶺の花でしたけれどいつかほしいなぁ。そんな風に思っていました。
しかし、長引く不況によるカスタマイズ予算の低減、純正ナビの高機能化とともに、ポータブルナビが台頭してきます。しかし、ポータブルナビはトンネルの中やビル陰に入ると自車位置の測位精度に問題が出てきます。GPS電波を受信できないからです。
埋め込み型は車速パルスとジャイロ、加速度センサー使い、自車位置追従をさせますが、ポータブルナビは車速パルスを容易に取る事が出来ません(大がかりな作業が発生します。)
ポータブルナビへのOBD2接続は、最初YUPITERUが行ったようです。
YUPITERUというメーカーは、レーダー探知機やエンジンスターターのメーカー。どちらかと言えば、電装チューニングを得意とするメーカです。
そこがOBD2ポートを利用して、レーダー探知機に車両情報を表示させる術として使い出したようです。時をほぼ同じくして、YUPITERUもポータブルナビを製品として世に送り出します。
ポータブルナビ市場では、パイオニア、パナソニック、三洋電機のスリートップの後塵を拝していましたが、幸いなことに三洋電機がパナソニックと合併したことでシェアは変わらずとも的が一つ減ります。
また、オートバックスやイエローハットなどの、大手アフターパーツ販売店とはレーダー探知機・エンジンスターターで旧知の仲。
そこへ、値段も手頃、オービス情報も掲載と少しずつ独自色で展開していきます。
このYUPITERUの存在がパナソニックに火をつけたと言ってもいいでしょうね。
また、埋め込み型ナビが昔ほど売れないのでしょう。
バックカメラなんて売り出していたものが、ついには日産のアラウンドビューモニターに代表されるように高性能化、またHONDAやVWのようにナビはなくてもバックカメラだけは装備するという荒技も展開します。
純正ナビも性能を上げて、後付けでわざわざナビをつけたいという人が減ってきたというのも大きな理由でしょうね。(他にも、ECUの高性能化によるコンピュータ解析の難しさ、車社会も含めたIT化もあるでしょう。)
そうは言っても、5万円でおつりが帰ってくるポータブルナビの需要は間違いなくあります。
中小の運送会社や、小型車に乗る人でそこまで車にお金は掛けたくないけれどナビはほしいという人、そして未だ車にぴったりのナビがつけられない!という人。
底堅い需要の中でポータブルナビを如何に進化させるか。
そして、ポータブルナビへのOBD2による車速信号の入力。
これでポータブルナビの最大の弱点であった、GPSが補足できない場所での自車位置追従が可能になるわけです。
いやー、ビックリしました。まさかココまでOBD2が進化し普及するとは。ただの故障診断コネクタ、スポーツカーマーケットでしか必要とされないとばかり思っておりました。
さて、ポータブルナビを考えてきましたが、ポータブルナビのお尻に火をつける存在を忘れてはなりません。
それについても少し考えてみました。続きは、また明日。