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妻の買い物に付き合ってスーパーに行き、そこでこんなものを見つけた。



無洗米。



感慨深い製品名だ。

そもそもスーパーなどで従来から売られている白米は精米状態であるが、炊く前に洗わなければならない。
それを最近、精米したモノを洗った状態で出荷した米が出回っている。
だが日本人なら誰でも、米は炊飯する前に洗うもので、世の多くの米は洗っていないいわば「無洗米」だということを勘違いしていないはずだと信じている。

なのに、だ。
この「無洗米」は「無洗」を「洗う必要が無い」などとでも思って名付けているのだろうか。
洗ってしまった米こそ本家の「無洗米」だ、みたいな履き違えをしていまいか。
わたしに言わせれば、いや、正しき日本語の意味を正せば、既存の米こそ「無洗米」であり、洗ったコメが無洗米を名乗るのは間違っている。

しかし、とぎおえた状態の「既洗米」とも称すべきコメが新製品に「無洗米」を名乗ってしまった。
いわや、「洗ってないように名乗って、その実、洗ってますのよ」みたいなふざけ方だ。

繰り返すようだが、「無洗米」という表現には、言わずとも「洗って無い米」ということが認識されるべきはずだ。
また繰り返すが、日本人で既存のコメが「無洗」状態である事を知らぬ人はいまい。

洗った無洗米。

日本語の意味を無視した名づけではないだろうか。
無人島、と聞いて、人がわんさかいるにぎやかな島を想像する人はいまい。

洗った無洗米は既に無洗米に在らず。

しかしそのような事を思うわたしは変人扱いされかねないので口にはしない。
口にはしないが、わたしの考えは間違っているのだろうか。


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