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2010年06月29日 イイね!

流れ流れて  その7 スペシャリティー・カー 2/4

流れ流れて  その7 スペシャリティー・カー 2/4流れ流れて その1
流れ流れて  その6 D-Day
流れ流れて  その8 勝率 0% (1/4)


前スレ:
流れ流れて  その7 スペシャリティー・カー 1/4

 牛歩の歩みで群衆から抜け出し,次のインターチェンジに乗り入れた。やっとパリを抜け出し,高速巡航に入った頃、「バシッ!」と大きな音が後方座席の辺りから。ほどなくして、屋根のあたりが「ビキッ!」

「さっきの音聞こえた?」

「うん」

「飛び石でも段差でもないのに。 ポルター・ガイストか!? 飛行機の中から,何か悪いものでも連れて来なかったか?」

・・・と話しながら走っていた。その後も時折思い出したかのように,「ビキッ!」「バシッ!」という,生木を折るかのような音を伴った,原因不明の不気味なラップ現象は続いた。

 道路状況自体は快適で,夕暮れの高速道路を地方の小さな町のホテルを目指して走って行く。
1車線の巾はとても広く,路側帯ですら日本の走行車線より更に広い。
勿論ごく一部の短区間や橋を除いて無料。

各車は速度に応じた車線を整然と走っており,トラックは必ず右端の低速車線を走っている。煽りや割り込みも皆無だ。
中央の走行車線の流れは130km程度。左端の追越し車線はほぼ常時空いている。時折すっ飛んで行くのはやはり独車で,とりわけアウディの大型が目立ち,それらとて日本のように追い越し車線に居座ることもない。

 日本ではかっ飛びの最右翼であるメルセデス・BMW機甲師団の大半は,意外にもマイペース派で,優雅に流しているのが多かった。
日本ではそれらの大型車種では半ば当たり前の,車間を詰めて煽る
「どかんかえっ! 貧乏人!」
といった威嚇走行は見られず,無益な殺生は好まないようで,ガツガツしていないのに好感を持てる。

 借りた車の高速巡航は、外観の優雅さやスポーティさに似合うよう,もっと洗練されたら印象も変るかと思われた。
動作がモッサリで,高速コーナーではユッサユッサと揺れ、感覚的に重心が高く,ターボ・ディーゼルのざらついた感触もあり,高速巡航は独仏車のほうが得意なようだ。
踏めばそれ以上も出るには出るが,私の腕では快適巡航の限界は「ぬえわ」程度だった。

使い勝手でも,2ドアの基準にしても,後席への荷物の出し入れが不便だった。やたら分厚いシート・バックは、ロック・レバーの動きが硬くてぎこちなく、少ししか倒れずに開口スペースが狭かった。
・・・と,価格帯を考慮すればマイナス・イメージで,残念ながら「スペシャル」さを感じ取ることはできなかった。


 何とかその日のうちにホテルへ辿り着き、部屋に荷物を運び込み、一段落した後、ナビに翌日の目的地を入力すべく車に舞い戻った。

「何? この繋ぎ目?」

・・・と左右Cピラーの中程に,都合4箇所ある屋根の繋ぎ目が気になった。

「溶接跡にしては溝の巾が広いし・・・」
「継ぎ目なら一箇所で足りる筈なのに,片側二箇所もとは不自然・・・」

そういえば、以前隣国の仕事場にも同型車があり、屋根の繋ぎ目が,妙に気になったのを思い出した。その時,傍にいた原地人の仲間に尋ねたが,「さあ?」という回答しか得られなかった。


・・・で、翌日は長距離移動。高速道路と空いた地方一般道のワインディング。
早速その日も元気いっぱいのお茶目なアホ・カーナビは,真逆の方向に100km以上誘導し,パリに戻そうとしてくれた。幸い途中で悪巧みを看破し,以後,カーナビは参考程度に留めた。ペースが速いので少しの時間のルーティング・ミスでも,とんでもない所まで連れて行ってくれる。

車の方はそう悪くはないけど、相変わらずモッサリした印象。
後席の足下が広いのが仇で,シート・バックのぶ厚さも災いし、走行中に後席の荷物を取るのに往生する。

シートの形状は良く、幸い腰は痛くはならないが,見掛けの高級感とは裏腹に模造革で,ひどく蒸れたのには参った。
「没個性化」もとい「グローバル化」の潮流ゆえ,ボルボの美点である内装についても、残念ながら昔のモデルのほうが,明るく垢抜けた北欧家具的なセンスと高級感があったような気がする。

途中,田舎のスーパー・マーケットでの給油の折にも,ちょっとしたゴタゴタがあった。
リモコン,セントラル・ロックなら,そのまま開いて当然の筈の,給油口のカバーが開かない。
周りの人も巻き込んで,さんざん車内を探した。目立たない所に隠された小さなボタンを,やっとのことで探し当てた。後ろには長蛇の列ができてしまっている。愛嬌を振りまきながら詫びて,「さあ入れるぞ」。

給油ガンが給油口に入らない。油種は間違っていないが,サイズが合わない。
別の給油機に移動し,満タンに。精算しようとするが,今度は機械がクレジット・カードを読んでくれない・・・等々。
救いはこんな時にも,周りのみんなは陽気かつ大らかで親切だったこと。

・・・で、何とか目的を果たして700kmほど走り、深夜ホテルの部屋にまい戻ったら、妙に昨日感じた屋根の繋ぎ目が気になった。

「そう言えば、トランクのヒンジも,やたらアームが複雑で、大げさだったな・・・」
「もしかしたら・・・」
「そうだ!、中蓋はその上のスペースを確保するためにある!」

「そうか! スペシャルと言うのは・・・!」

で、急いで懐中電灯を持って車の所へ。

トランクを開けて覗き込むと、確かにヒンジは前上方に延びている。

「ある筈だ!」

室内を探す。

「あった!」

センター・コンソール手前側の,普段は視線を移さない目立たない位置に,開閉用らしき一対のボタンが。

キーをアクセサリー・オンの位置まで回し、「開け!」と念じながらワクワク・ドキドキ、スイッチを押す。

・・・何も起こらない。

「蓋を先に開けないとな・・・」

・・・と、車を降りて後ろに回り,トランクを開け,車内に戻り静かにドアを閉め再び試す。ちなみに通常はトランク・フードは前ヒンジで開く。

「そーか。鉄板の重い屋根はバッテリーだけでは,きついよな。エンジン掛けてあげないとな。今度こそ開くだろう」

・・・何も起こらない。

「そっか。自動で開けるつもりやったのに、オッチャンが勝手にトランク開けといたら,余計なことしやがってと,そら怒るわな」
「ごめん,ごめん。オッチャンが悪かったな」
トランクを締めて、再び試す。
・・・何も起こらない。

最初のうちは,まるで初デートでもあるかのように,優しく機嫌を取るように接していたが、そのうち、「意地でも開いたる!」モードに切り変わる。

「お高くとまりやがって!」
「キザったらしくフランス語で,イッチョマエに警告メッセージなんぞ表示しやがって!」
「高い金、払とんじゃ。オドレ、生娘でもあるまいに!」
「はよ開かんかえ、ワレ!」

悪し様にののしりながら,色々なシーケンスを試す。
興奮すると,東映の「仁義なき戦い」や「極妻」の登場人物が憑依する。大人しく言うことを聞かない相手には,狼である本性をさらけ出し,出自の卑しさを露呈してしまう。

順列組み合わせもとうとう尽き果てた。
最後には,シート・バックを後ろに倒し,寝ころんで両足を高く上げ,足の裏を天井に当てる姿勢になる。

「そっちがその気やったら,こっちにも用意があんで」

「オッチャンはやる時はやるでぇ~~!」

力技で鉄板をぶち抜く態勢を取る。

両足に力を込めようとしたその時,狼の中に残っていた,ほんの小さな理性の欠片が息を吹き返し,力を抜いた。

強制執行寸前に,「ハァハァ」と肩で大きく息をしながら,オッチャンは思い留まった。


つづく
Posted at 2010/06/29 00:29:10 | コメント(0) | 流れ流れて | 旅行/地域
2010年06月18日 イイね!

流れ流れて  その7 スペシャリティー・カー 1/4

流れ流れて  その7 スペシャリティー・カー 1/4流れ流れて その1
流れ流れて  その6 D-Day
流れ流れて  その8 勝率 0% (1/4)


 「ディーゼルある?」
馴染みのカウンターで尋ねる。

「ない」

別のカウンターに行く。
「ディーゼルある?」
「ない」
「ガソリンのコンパクトは?」
「ない」

始めの内は追い払うための意地悪かと思っていた。変な部分でプライドの高いこの国では,差別的に意地悪をする輩がたまにいる。しかしどうやらマジらしい。

土曜日の夕方,将軍様の名前がついた国際空港でのできごと。
閉店時刻まで,まだ優に8時間近くあるというのに,早々に店仕舞いの支度を始めるカウンターすらある。営業時間は「XX時までいることもある」ぐらいの目安でしかない。近隣国でも同様で,客が減ったり,飽きれば平気でさっさと閉める。

空港ビルのグラス越しに見える,レンタカー専用の巨大駐車場には,Eクラスもチラホラ,その他諸々のコンパクト・カーが多数停まっている。ガラ空きでもなく,一台ぐらいは残ってくれていても良さそうだ。

清水の舞台から飛び降りるつもりで,ハードルを上げ,
「メルセデスでもBMWでもいいから」
「ない」
「SLでも何でも値段はいいから」
「一台もない」

カウンターの梯子をするが,つれない返事ばかりだ。
予約をしていなかったことが悔やまれるが,こんなことは初めてだ。
到着するなりスコスコとキーを受け取り,駐車場へと消えて行く予約客達を羨ましげに眺めながら,最後の望みを託して,一旦は断られたカウンターに再び並ぶ。ここ以外は既に全滅だ。

 この日,この国のド田舎から,6時間掛けてバスと電車を乗り継ぎ,連れを迎えにここまでやって来た。パリまで戻ってレンタカー屋巡りをする気力も残っていない。遠方のホテルの部屋は確保したままで,私の荷物も全てそこにある。
配達用のミゼットもどきのマイクロ・カーでも良いから,何とか足は確保しなければならない。

私の番になった。

「他の営業所のも含め,値段はどうでもいいから,何か残っていない?」

カウンターのニーチャンが眉間に皺を寄せ,端末のキーを叩き,台帳をめくる。そして「見つけた!」とばかりに,ニーチャンの顔がパッと明るくなる。

「あった! 1台だけ残っている。スペシャルが!」

「スペシャル」という胡散臭さが若干気に懸かるが,この際,SクラスでもSLでも構わないと腹をくくった。広く空いたオートルートのお大尽ドライブもたまには良いだろう。勿論自腹だ。

「どんな車?」
「スペシャルだ」
要領を得ない返事だ。

「メルセデスかBMWか?」
「違う。ボルボだ」
・・・ボルボの何がスペシャルかは一向に分からない。日本でも近所でウジャウジャ這いずり回っている。

「ボルボのどこがスペシャルだ?」
「だからスペシャルだ。借りる奴はまずいない」
「・・・???」

一向に話が噛み合わない。
まっいいか。借りられるだけでもありがたい。こうなったらトラックでも装甲車でも,陸を走れる物なら何でも来やがれだ。

「それ頼む」

聞けば基本料金も何とか甘んじられる範囲。この社の契約条件と手続きの流れは先刻承知,先手を打ちながら,手続きを早々と済ませ,携帯ナビのバッグを受け取る。
「車から離れる時は必ず持ち歩け」
「分かっちょる」
と応えながら,付属品のチェックと動作確認を済ませる。
必要かつできることは,全てその場で確かめるのが鉄則だ。5分後に
「あのぉ~~」
と戻っても,トンズラされて,もぬけの空は当たり前だ。逃げ足の速さは賞賛に値する。

そして少し離れた駐車場へと向かう。
今回は駐車場で配車係から受け取ってくれとのこと。少々勝手が異なる。
通常ならカウンターで「持ってけドロボー」とばかりに,そっけなくキーを渡されるのみで,広い駐車場をリモコン・キーのボタンを連発しながら,一人で彷徨い車を探し,勝手に乗って行く。

頭を下げて「行ってらっしゃいませ。お気を付けて」なんぞという,日本的なお見送りの儀式は全くない。ある意味「空港からレンタカーで,サッサとお仕事へ」というビジネス・スタイルが定着している証でもある。

 連れのスーツケースをガラガラと音を立てながら,辿り着いたプレハブ小屋の前には,別の所から引きずり出して来たばかりの,白く埃にまみれたボルボがあった。元色はシルバーのようで,4シーターのクーペだ。

型は古くはなく,どう見てもありふれた,ただのクーペだ。「スペシャル」という言葉の響きに,多少は身構えていたが,あっけなさに拍子抜けする。
プジョー,VW,アウディー,セアト等に比べれば,確かにレンタカーとしては,この国ではマイナーなブランドで,おまけに2ドア。「スペシャル」と言えなくもないが,それにしても大袈裟な表現すぎる。

 そのままでは走り出せない程,フロント・グラスにも埃が積もっている。まずは手持ちのありったけのティッシュをウォシャー液で湿らせ,埃を拭き取ることから始める。西日が眩しく暑い。
そしてざっと車体の傷を確かめておく。この国のレンタカーは新車であれ傷が付いていることが多い。返却時の揉め事を避けたく,走り出す前に,私は傷の撮影を習わしにしているが,幸いその必要もなく,無傷のようだ。

トランクには中蓋がある。さりとてトランクの蓋は,メルセデスのSLのように,電動で高々と開くのではなく,普通に手で開く。
「けったいなトランクやな・・・バイキングの考えることはよ~わからん・・・」
当然ながら毎度の如く、引き渡し時も何の説明もなし、取り説は勿論なし。


 先ずはやれやれと,ホッと一息をついて,駐車場内の迷路を通り,空港内の周回路に乗り入れる。
ここの周回路は,毎度ながらピーク時には意地の張り合いで,大人しくしていたら車線変更も困難,いつまでもグルグル回るはめになり,最悪はとんでもない方面の高速道路へと押し出される。ほんの少しの隙間にも,大型バスでさえ強引に鼻先を突っ込んで来るし,モタモタしていると周りからクラクションの嵐を浴びる。時には地元民になった気持ちで,ハッタリをかましながら,「どかんかえ! ワレ~~ッ!」と,ガラ悪く半ば強引に走ることも要求される。
ただし,大型バス・トラックであれ,隙間数センチまでは攻めて来るが,一旦勝負が付くと,最後の最後ではあるが,敗者はあっさりと引き,その後は尾を引かず「ノーサイド」。何事もなかったかのように,あっけらかんとしている。
大和の国とは異なり,執拗な付き纏いや,陰湿な嫌がらせはなく,その点はあっさりとしていて助かる。

 何かと異国では予期せぬトラブルに遭遇するが,車の確保,掃除,CDG脱出という三つの障壁をクリアし,先ずはパリを目指す。

ボルボを転がすのも久しぶり,独仏伊との勝手の違いもいささか加わり,パリを抜けるのに神経を使う。とは言え,地図のみの時代に比べれば,天国で,とんでもなくマシではある。

パリの中心地を無事抜け出し,「さぁ,後は単純なルートのみ」と緊張の糸を緩めたその時,早速次の厄介事が訪れた。

「Exit the Motorway」

突然ジェーンの声でナビが高速を降りろと言う。この英国人のオネータン,「Exit」(出ろ)と「Exist」(そのままおれ)の発音が,私には識別し辛く,予期せぬ場所で,咄嗟に言われると悩むが,画面の指示も「出ろ」となっている。

「何で? そんな馬鹿な?」
とは思ったが,分岐の直前で確認する暇もない。反射的に隙間を縫って車線変更をし高速を降りる。
高速の出口は大渋滞だ。あろうことか広い道路を埋め尽くす,数千人の行列に巻き込まれる羽目となってしまった。

落ち着いて調べてみても,ショート・カットでも何でもない。ただのナビのルーティング・ミスだ。
またしてもアホ・ナビにやられた。以前にも真夜中のパリで,墓場,階段,一方通行の行き止まりとか,多彩な技を披露して,散々オチョクッテくれたが,まさか大群衆の中に放り込むまでは予想できなかった。実に芸が細かく改めて見直した。こうなると笑うしかない。
群衆と仲良く進みながら,知能犯の凄腕に苦笑いをした。

・・・つづく


蛇足: 
写真にある凱旋門のロータリーは,ラッシュ時には7重の輪になる。また飛行機雲の交錯にも国際交流の盛んさと,航空網の緻密さを感じる。


Posted at 2010/06/18 01:09:59 | コメント(0) | 流れ流れて | 旅行/地域
2010年06月14日 イイね!

トレジャーハンター その2 初めてのお使い 6/7

トレジャーハンター その2 初めてのお使い 6/7トレジャーハンター その2 初めてのお使い 1/7
     


 どうやら情報が錯綜していたようだが,幸いパラシュートも開き,ヘリからカプセルの着地している状態も撮影でき,位置の特定もできているようだ。

その後の調べで判明したが,「カプセル」と「熱シールド」(ヒート・シールド)は,大気圏突入時は一体だが,パラシュート開傘時に分離する構造であった。これで全ての謎が解けた。

 カプセルは落下中にビーコン(電波)を発信するので,発見はまだマシだが,熱シールドは自由落下するなら,分離時の3次元ベクトルと空気抵抗,風向・風速から計算し,落下地点を類推するのは,結構大変だったことだろうと思う。ちなみにB29による高度1万メートルからの精密爆撃でさえ,外れまくっていた。

「熱シールド」も発見されたという説もあるので,これまたメデタイ。以後の再突入衛星の設計にとても役立つと思う。恐らく熱的影響とパラシュートの面積低減のため分離構造にしたのであろう。

メデタシ,メデタシ。

あとは中身の確認だけ。
Posted at 2010/06/14 12:43:12 | コメント(0) | トレジャー・ハンター | ニュース
2010年06月14日 イイね!

トレジャーハンター その2 初めてのお使い 5/7

トレジャーハンター その2 初めてのお使い 5/7トレジャーハンター その2 初めてのお使い 1/7
     


 徹夜をしてワッチしていた訳ではないが,2010年6月14日 午前5時現在での情報では,ハヤブサの標本格納「用」カプセルの帰還状況は,日本時間で

●06/13 21:36 : カプセル分離
●06/14 00:42 : 地上からカプセルの発光(火球)と大気圏再突入を確認。
●06/14 00:43: ビーコン確認
●06/14 00:45: ヘリコプターよりカプセルを目視確認
●06/14 02:47: ヘリコプターで熱シールドを捜索したが発見できず。明朝以降も捜索予定。

情報源は当事者である「JAXA」なので信頼できる筈。6時現在でのNHKでのニュースでは,「ほぼ予定の地域に落下したことを確認。回収へ」という微妙な表現になっている。

これだけでは私の読解力不足ゆえ,国会答弁的で具体的な状況が見えてこない。疑問点は
●ビーコンは大気圏突入前かパラシュートで落下中か?
(パラシュートは高度1万メートルで開く。燃えている間はプラズマの影響で電波は通じない)
●ヘリからの目視確認物は「火球?」「パラシュートで落下中?」「地上?」
●「カプセル」と「熱シールド」は同体だが,表現が変ったのは単なる偶然?
●「ほぼ予定」の「ほぼ」は,どれだけ外れた? 
(落下予想地点は100キロ×20キロの範囲)

・・・と,肝心な情報,特にパラシュートが「開いた」か否かが欠落していて,日頃の性癖とは異なり,珍しく性感より生還を待ち望む身としてはもどかしい。

最大の謎は「ヘリより目視したが発見できず」。さっぱり分からない。ヘリの通常時の運用高度はせいぜい7千フィート(2,300m)までなので,見つけたのなら直ぐに降下や着陸できる筈である。

そうなっては欲しくない最悪予想は

「ヘリより見上げて夜空に火球の目視により,大気圏突入を確認したが,その後燃え尽きたか,パラシュートが開かず地面に激突し,砂に埋もれてバラバラに破壊された」

もしカプセルが破壊されていたら,砂漠にばらまかれた砂粒を発見するのは不可能であり,それも元々入っていたかどうかも怪しい。ない物を探すのは,知らないことを吐けと拷問されるに等しく辛い。

なお落下を夜間にしたのは,流れ星同様に軌跡を目視するのが容易なのと,落下地点を赤外線で探査できるため。

 カプセルの仕様は空飛ぶ円盤型で3000度の高熱と50Gに耐える。
一部ではパラシュートが開かなくても,「自由落下の場合,空気抵抗により落下速度は時速300km程度に収まるので,カプセルは無事かも」という説があるが,これはフリスビーのように,都合の良い姿勢で落下に限られる。
ICBM(大陸間弾道弾・ミサイル)の落下速度はマッハ25,約3万kmになる。1m以上の厚さの鉄板をぶち抜く,APFSDS(対戦車弾)の速度でさえ,時速1万kmである。

また,カプセルは重さ17kg、直径40cm、高さ20cmと小さく軽いので,ヘリで回収すれば良いと思うのだが,「捜索班」「回収班」と縦割り組織のようだ。
素人目には,超高温にさらされた後,砂地にドスンと落ちるのにも拘わらず,回収後の保護パッキン材とシステムが大がかり過ぎるのも,外野としての印象はアンバランスな気がする。
ヘリで一旦発見したのなら,落下地点はGPSで数十cmの誤差で特定できるのに,見失ったも奇異だ。

将来,有人衛星を回収には,砂漠で干物になったり大トカゲに食べられないように,回収方法のさらなる工夫も必要かも知れない。

 最後までやきもきさせてくれたが,地上のトラック隊が回収(捜索?)に向かうニュース映像が放映されたので,落下地点の特定はできたものと思い,発見を祈りたい。
もし私が当事者なら回収したら,長旅の労をねぎらい,まず風呂に入れてやり,ビールをぶっかけてやりたい。
Posted at 2010/06/14 05:40:06 | コメント(0) | トレジャー・ハンター | ニュース
2010年06月08日 イイね!

トレジャーハンター その2 初めてのお使い 4/7

トレジャーハンター その2 初めてのお使い 4/7トレジャーハンター その2 初めてのお使い 1/7
     


 話は変るが,可哀想なのは探査機「ミネルヴァ」。惑星「イトカワ」に着地して,バッタのように跳ね回って,惑星表面の立体映像撮影と放射温度を測定するはずだった。色々事情はあったが,勘に頼った地球からの司令で,あろうことか「エイヤッ」とばかりに宇宙空間へ放り出されてしまった。
これに対して「ミネルヴァは主目的ではなく,重量合わせの積載物につき,問題ない。バラストとして放出され立派に重責を果たした」旨のプレス発表。
思わず「それは何か違うんじゃないか」と突っ込みたくなる。予防線を張りたい気持ちは分かるが,予算の都合で各方面の善意に頼った開発経緯もあり,官僚的発言で,関係各位はお気の毒だ。

実際に着陸していたならば,1桁上の解像度でマクロの鉱物立体映像と,表面を覆うレゴリス粒子の測定結果が得られたはずなので惜しい。

当初は米の巨大アンテナを借用する見返りに,NASA製の探査機が便乗予定であったが,NASA側の予算の都合で製作できず,日本側で用意した。もし当初の予定通りNASA製を搭載していたなら,そんなコメントはできなかったであろう。
これに限らず打ち上げ前の主目標が,標本採取と表面観測だったものが,いつの間にか失敗した項目は,どんどん優先順位が下げられてコメントされるのが通りすがりのオッサンは奇異に感じる。マスコミの短絡的な評価も問題ではあるが,項目別に失敗は失敗,成功は成功ときちんと分けて発表・検証するのが筋な気がする。

 蛇足ながらも驚いたのは,ハヤブサ内の観測データは,揮発性のメモリー内のみで,途中何度かの電源ダウンやリスタートで消えたとのこと。不揮発性媒体へのバックアップなしで済ませるとは,素人の私には理由の想像もつかない。事情は色々あるだろうが,外野の気ままな印象としては,運用中の勘違いや凡ミスも含め,210億のプロジェクトとは不釣り合いな感が否めない。

もちろん徹夜続きの大和魂で突貫作業を強いられ,朦朧とした頭で業務を遂行したメンバーを責める気持ちは更々なく,もし責を問うならば,そのような体質,環境を作り出した側にであろう。
ちなみにNASAの運用担当者は8時間勤務厳守で,凡ミスで巨額のプロジェクトをオジャンにするのを避けている。国民性というか体質の違いが現れていて面白い。

いつの日か,日本も有人衛星を打ち上げるかも知れない。
日の丸の鉢巻を締めて,千人針を腹に巻き,水杯を交わして出陣しないためには,体質と体制の大変革が必要かも知れない。

 以上,色々偉そうなことを申し上げたが,それでもリスキーな挑戦をテンコ盛にした「お使い」で,色々あったが「初めてのお使い」も満身創痍ながらもゴール寸前。皇国風に言うなら「竹槍でB29を撃墜」は絶賛に値する。

私もクソガキの頃,拾ってきたテレビをばらし,部品を流用してイオン・エンジンもどきを作ったことがあるが,感電しまくっただけで,全然飛んでくれなかった経験がある。
火薬ロケットにも凝っていて,爆破事件の捜査で,突然夜に刑事さんが自宅にまで事情聴取に来られ,驚いたこともあった。そんな私なんかに比べれば,少なくとも数百万倍は優秀な方々だ。また,そのしぶとさにも敬意を表する。

もし機会とご興味があれば,ハヤブサに因んだ短編映画「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」を是非,全天周のスクリーンでのご鑑賞をお勧めしたい。低予算にも拘わらず良くできており,人によっては涙するかも知れない。


6月13日の生還を心から祈ると共に,お土産を楽しみに待っている。
Posted at 2010/06/08 10:50:45 | コメント(0) | トレジャー・ハンター | ニュース

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好奇心の塊で物事を知れば知るほど己のアホさを知る,通りすがりのオッサン。
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