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私の知る限りビクターレコードは、1955年（昭和30年）頃から1972年（昭和47年）頃までのEP盤（ドーナツ盤）は、全てと言って良いほどセンターホールに手裏剣みたいなものが付いていました。（左図）

このレコードを見て懐かしいと思った人、実際に取ってしまった人もいるでしょう。

何故手裏剣のような物がついていたのか？
ある訳がありました。

昭和30年当時は、SP盤といってシェラック製で作られた78回転のレコードとEP盤45回転のビニール製のレコードとメディアの移行期でもありました。

当時売っていたプレーヤー（電蓄）もSP盤も聴けるプレーヤーでSP盤の穴とLP盤の穴は７㎜と小さく、EP盤は38.2㎜と大きくアダプターをつけなくても良いように簡易的にしたようです。

では何故、EP盤だけあえて38.2㎜の大きな穴にしなければいけなかったか？

オートチェンジャー式のプレーヤーいわゆる、ミュージックボックスでレコードを入れ替えるときに、SP盤、LP盤の7㎜穴では、ターンテーブルには乗りにくいのもあったのでしょう。それで38.2㎜の穴になったようです。


SP盤、EP盤、LP盤の規格は、ほぼ全世界統一で、当時のSP盤は、10インチで78回転と回転が速く録音時間も短い、音質が悪い事もあり、SP盤よりコンパクトで低回転で音質も良い7インチのEP盤が開発されました。


なのでビクターのレコードは、ミュージックボックスで使用するときは、センターホールの手裏剣を取り外す必要があったわけです。ちなみに、CBSソニーも同じくセンターホールの手裏剣がありました。

♪潮来の伊太郎、ちょっと見なれば　薄情そうな渡り鳥．．．

昭和35年発売の橋幸夫のデビュー曲、潮来笠　です。

潮来笠は元々、茨城県潮来市の伝統工芸「あやめ笠」が潮来笠として有名になった。「あやめ笠」の名は、あやめが潮来の野の花であり、笠の形もあやめに似ていることに由来するそうです。（茨城県ホームページ参照）

潮来笠の作曲は、吉田正。作詞は佐伯孝夫で、当時橋幸夫は、吉田正に師事しビクターの専属歌手であった。

この曲で、日本レコード大賞新人賞を受賞している。後に、西郷輝彦、舟木和夫の3人で「御三家」として人気を集めるようになります。

私個人としてはデビュー当時の橋幸夫は、歌い方も初々しく、張りのある声で、容姿も芸能界に染まっていないピュアなので好きだなぁ～。

潮来笠を一発で読める人は、結構年だよね。（茨城県界隈の人除く。）

♪可愛いいベビー　ハイハイ　可愛いベビー　ハイハイ．．．

昭和37年発売、中尾ミエの可愛いベビーです。

コニー・フランシスのPretty　Little　Babyの日本語カヴァーになります。

当時は、弘田三枝子、園まり、木の実ナナ、森山加代子などが日本語カヴァーの曲を次々とヒットさせていきます。

この当時を生きた人達はオリジナルの洋楽よりも、日本語カヴァーの邦楽の認知度が高いのが特徴です。

しかも、オリジナルの曲名とか作詞は、日本語カヴァーの作詞と比べて内容が全く違うことも多々ありました。

しかし、当時の日本人には受け入れられ、可愛いいベビーは、日本語カヴァーの曲では大ヒットに繋がっています。

以前までは、歌謡曲、軍歌、浪曲、演歌しかなかった日本オリジナルのジャンルに新たにポピュラーソングというジャンルがこの時期より発生しはじめたと思われます。

この外国曲の真似が、今後の日本のオリジナルポップスに発展し、素晴らしい曲が生まれていきます。

♪You ain't nothin' but a hound dog...

1962年8月発売、エルヴィス・プレスリーのハウンド・ドッグ　です。

このレコードは当時の再発盤で、初盤は、1956年に発売されていました。

1956年当時は、まだEP盤（ドーナツ盤）が普及されていなくて、SP盤がほとんどでした。しかもまだ、外国のロックンロールは日本人には素直に受け入れがたい状況でした。

この頃からエルヴィスなどのロックを日本人がカヴァーしはじめます。ウェスタン、ロカビリー、ロックンロールというジャンルで平尾昌章、ミッキー・カーチス、小坂一也、山下敬二郎などが盛り上げていきます。
当時は、意外と本場のアメリカの曲よりも、日本人がリメイクした形が流行りました。日劇のウエスタンカーニバルがその典型です。

本場のアメリカでは、エルヴィスの「ハートブレイクホテル」でデビューをきっかけに、ハウンドドックでは、1956年8月から11週間1位の記録を作っているほどの大ヒットでした。

もう50年前の出来事で、エルヴィスプレスリーとか、エルヴィスの曲名を知っていても曲自体を聴いたことがない人がほとんどでしょう。

リアルタイムで知っている人は恐らく、60歳以上でしょう。

もう半世紀前のアーティストですからねぇ．．．