乗車ワンGセッティングと言うサスペンションセッティングの基本をご存知だろうか。
これはサスペンションセッティングの最初の一歩と言われる基本となる物。
大型逆輸入バイクや海外モデルと言う物は、大体に於いて出荷時のサスペンションセッティングが荷物満載で体重80キロ以上の大柄な外国人の乗車を対象に、ガチガチに固めたセッティングになっている。
これで日本人が一人乗りでスポーツ走行した場合、当然ながらサスペンションは殆ど動かない、沈まない事態になってしまうのだ。
これがどういう状況かと言えば、動かないサスペンションは極端に言うと、最早サスペンション無しのバイクに乗っているのと余り変わりの無い、言わば危険な状況になっている訳だ。
バイクのサスペンションはコーナリングに於いて、タイヤが滑り出す時にリバウンドストローク(サスペンションが伸び切る)までのタイミングの間を与えてくれるので、そのタイミングの間にライダーは半クラッチを切ったり、アクセルを一定に保ったり、両足をステップから外したりスタンディングしたりしてスリップダウンしないアクションを取るのだ。
更にはバイクの加速減速の前後荷重による姿勢変化(ピッチング)ブレーキングからアクセルオンのコーナリング立ち上がりまで、フロントキャスター角~スイングアーム沈み込み量の調整までも受け持つとても重要なセッティングである。
これらの操作をする時に、サスペンションが動かないとどうなるだろう。アクセルを開けて荷重がリヤに移り、スイングアームが全く沈まない状況である。リヤタイヤはグリップを失った途端に前触れ無くいきなり大きく滑り出す事になり、ライダーは対処する間もなく転倒してしまうだろう。
これを防ぐのがリバウンドストローク量だ。
そのリバウンドストロークの量を測るのに一つの目安になるのが乗車ワンGセッティングと言われる物だ。
これの基本の目安は、フロント側は乗車と無乗車時のフロントフォークの沈み込み量を20ミリ位になる様にプリロードで調整してやる事になる。(倒立フォークならフロントフォークインナーチューブ上部にヒモや輪ゴムをくくりつけ、乗車時と無乗車時の差を測ると簡単だ)
リヤ側は一人では出来ないのでアシスタントを一人頼み、貴方が乗車した状態でのストローク量を測ってもらおう。リヤの場合は後輪のアクスル軸とリヤカウルの間をバイクを直立させた状態で乗車時と無乗車時の沈み込みの差が20ミリ位になる様にプリロードセッティングするのが一般的だ。
しかしこの20ミリというのも、その設定量は人によって好みが有って様々だが、そのサスペンションのフルボトムから1/4とか1/3とか、20ミリとか30ミリとか、兎に角意外と思われる程ベテランは沈める傾向にある。
例えば1983年スーパーノービスと言われ、華々しいレーサーデビューを飾った現motoGP解説者の宮城光さんは、自前のMVアグスタF4のリバウンドストローク量をリヤで38ミリ、フロントで42ミリ取っている事も興味深くも参考になる事例である。
この乗車ワンGセッティングをする時に気を付けるポイントとしては、ガソリンは満タンにして、タイヤ空気圧も本気走りする時の空気圧にしておく事が重要になるので気を付けたい処だ。
※リバウンドストロークとはタイヤを浮かせてサスペンションが伸びきった状態から、ライダーが乗車してサスペンションが沈んだ状態までのサスペンションの沈み込み量を言う。
Posted at 2016/05/05 22:27:45 | |
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