HN11SのF6Aエンジンをブーストアップするのに利用した、この機械式ブーストコントローラー。ネットショッピングなどで購入できる安物なんですけど、意外や意外、コイツが結構使えるスグレモノ。僕は説明書なしのものを買ったんですけど、説明書付きのものを購入した人達が頑なに、そのいい加減な取扱い説明書に従おうと努力しているために、この機械式ブーストコントローラーの本領を発揮できていないみたい。なので、このブーコンについて簡単に解説しときますが、ブーコンに関して説明する前に、ターボチャージャーの仕組みに関して軽くおさらいしましょう。
ターボってのは、勢いよく排出される排気ガスを使ってタービンを回し、その力を使って吸気に圧力を加え沢山の混合気を吸わせて馬力を増大させる仕組みってのは、多くの人が知っていると思います。で、排気ガスでそのままタービンを回していると、エンジンの回転が上昇するとともにコンプレッサー(ターボチャージャーの吸気側)の過給圧も上昇し続けてしまうので、どこかで排気ガスを抜いて過給圧の上昇を制御する必要がある。その仕事をしているのがウェイストゲートバルブ(ウエストゲートバルブ)で、ウェイストゲートバルブが開くことによって排気ガスを逃し、過給圧の上昇を抑えています。で、このウェイストゲートバルブの開度を制御しているのがアクチュエーターと呼ばれる圧力弁。アクチュエーターはターボのコンプレッサーに繋がっていて、吸気側の圧力が上昇すると作動し、ウェイストゲートバルブを押し開けタービンの排気ガスを逃がすという仕掛け。
今回使用した機械式ブーストコントローラーは、コンプレッサーとアクチュエーターを繋げているバイパス(ターボチャージャーとアクチュエーターの間にあるチューブ)に割り込ませて使うモノなんですけど、上の画像のような説明書通りの装着方法だと、残念ながらうまくブースト(過給圧)をコントロールできないんです。先ず、画像の点線部の距離が長くなるとターボラグが発生する。なので、この方法で装着している人はチューブの長さを短くするために、ブーコンをエンジンルームの中に、しかもできるだけコンプレッサーとアクチュエーターの近くにブーコンを固定させようとしていますが、これだとその都度車を停車させ、ボンネットを開け、ブーコンをいじっての繰り返しになる。非常にメンドクサイ。しかも、このやり方で長時間エンジンを引っ張ると、つまり高回転を維持し最大過給圧をキープさせようとすると、ブーストのタレが発生する。そりゃそうだ。この方法じゃアクチュエーターに加える圧力の伝達を鈍らせているだけ(空気の流れを詰まらせているだけ)なので、時間が経てばアクチュエーターに設定された本来の制御圧に到達してしまう。つまり、ブースト圧が安定しない。要するに、
このブーコンの装着方法は間違っているんです。
じゃあどんなやり方が正しいのかっていうと、ブーコンで制御圧を逃してやる方法。つまり、
アクチュエーターに送り込まれる空気を抜く方法が正しいのです。
そこで使用したいのが、上の画像にあるような三つ又。これをバイパスの間に割り込ませてブーコンを繋げればいいんですけど、残念ながらこれもうまく行かない。というより、面白くない。簡単に説明すると、思った以上にブーストを上げられないんです。この三つ又を使用した場合の一番の問題は、ブーストの立ち上がりが鈍いこと。そこで登場するのが、このブーコンに付属されている三つ又な訳だ。
ところが、この三つ又をそのまま使う訳には行かない。先ず、三つ又に内蔵されている逆止弁みたいなスプリングと鉄球。これを取り外す必要がある。これを取り出さずに使おうとすると、あっという間にブーストが上昇して即燃料カットとなる危険な状態に陥る。次に、この三つ又に書かれた"Arrow points toward Wastegate actuator"(矢印が指す方をウェイストゲートアクチュエーターに)という表記は完全に無視すること。なんでかっていうと、そもそもこのブーコンは
汎用品だから。つまり、色んな使い方ができるモノって訳で、別のいい方をすれば「構造をよく理解して利用してね」ってシロモノなんです。で、詳しく説明する前に書いておくと、
この三つ又を使うとブーストの立ち上がりが早くなります。つまり、低回転での過給圧が上がりパワーアップします。なので、公道を普通に走らせている状態でアクセルをグッと踏み込むと、グワッと加速するようになりますよ。
さて、ここからが大事なところ。上の画像と下の画像をよーく見ながら読んで下さいね。
先ず注目して欲しいのが、赤い丸で囲った部分。特に右側の赤丸。三つ又内部の狭い部分が、先に紹介した画像と逆になっているのが分かるでしょうか。この状態は
左右のニップルを外し反対側に付け替えて三つ又を180度反転させています。また、念のためにもう一度説明しますが、
三つ又内部のスプリングと鉄球は摘出します。無しです。必ず取り出しましょう。じゃないとエンジン壊れますよ。
このやり方だと、ブーコンを車内(運転席)まで引き込んでも、圧縮空気が抜ける側を延長しているだけ(コンプレッサーとアクチュエーターを繋いでいるバイパスの長さは同じ)なのでターボラグは発生しません。で、コンプレッサー側のニップルが細くなっているとブーストの立ち上がりが早くなり、ブーコン側に抜ける圧縮空気の道が狭いとブーストの設定が細かく調整できるようになるんです。なんでなのかは分かりませんが、色々試しての結果なので信用して下さい。この辺、流体力学に詳しい方に説明して欲しいところですが、僕と同じレベルのサンデーメカニックの異論やコメントは受け付けませんからね。なにせ、
色々試しての結果から得た事実なんですから。
それと、三つ又やブーコンのニップルに付いているOリングは劣化が速いので使わない方がいいです。僕はニップルにシールテープを巻いてねじ込み、空気の漏れを防いでいます。あと、ブーコン本体のニードルをカチカチさせている部分のイモネジはロックタイトなどで固定させないと、振動などで簡単に外れてしまうので注意して下さい。
さて、この機械式ブーストコントローラーを実際に装着した例を整備手帳に掲載していますので、興味のある方はそちらも合わせてご覧になって下さいね。
VVC 機械式ブーストコントローラー 装着
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2017/06/16 00:24:40