最近だとポルシェケイマンGT4RSや992GT3、ちょっと前だとランボルギーニアヴェンタドールSVJやフェラーリ488 Pistaなど。
かっこいいよね。
雑誌やWebサイトでも素晴らしい!と記事がたくさん載ってるし、見ているうちに段々と欲しくなってくるわけです。
いままで新車でポルシェ買ったことなかったけど、限定車だったら値下がりしにくいし、場合によっては値上がりして、新鮮味のあるときだけ乗り回してさっさと売っちゃえば、追金無しでまた新車が購入できそう!なんて考えで、ベンツでディーラーに乗り込んでセールスさんに聞くわけです。
GT4RSを買いたいんだけど(もちろん金だったら問題ないぜ)
みたいな。
すると
『GT4RSは私どものお客様への販売だけでして、新規のお客様には残念ですが…』※1
とあっさり断られるわけです。
あれだけ雑誌やWebサイトでも取り上げられてるから、オレさまがわざわざディーラまで来てやったのに、断るとは何ごとだ!とお怒りになるでしょう、そうでしょう。
あるいは、
今度488の限定車が出るって聞いたんだけど
と、自分のセールス担当に尋ねてみれば、メーカーの正式発表前だと言うのに
『いえ、あれは既にお客様が決まっておりまして…』
とこちらもあっさりお断りされちゃうわけです。
え、(中古だけど)360も、新車で458も買ったのに、それでも488の限定車は売ってもらえないの!と驚き嘆くわけです。でもこのお店とも付き合いが長ければ何となく察するわけです。これだけじゃまだ『実績』が足りないのだと…
『実績』とは単純にそのお店で何台買ったかだったり、付き合いが何年あるかだったり、あるいは整備は町の整備工場やクルマ屋じゃなくちゃんと正規ディーラであるそのお店で受けているかだったり、正規ディーラが窓口になっていることが多いそのメーカーのユーザークラブの会員であるかだったり、メーカーやディーラが主催するイベントへの参加率だったり、要するにそのメーカーやディーラへの『貢献度』や『忠誠心』、すなわち『実績』だったりするわけです。
このように輸入車の場合にはそれまでの『実績』が問われます。それじゃ新規の客は限定車は買えないじゃん、と思うかもだけど、その通りです。
新規客には限定車は買えません。
では日本車の場合にはどうか。
例えばレクサスのLF-Aの場合は抽選だったそうです。
Type-Rや最後のS660でも抽選だったそうですね。
最近でしたらGRMN Yarisでしょうか。※2
一見この方がより『公平』に思えますが本当にそうでしょうか。
あるいは、アメリカではクルマの値付けはディーラが自由に行えるそうです。売れそうだなと思えば3割くらいのプレミアムを平気でつけちゃうわけです。新型コロナ感染症や、輸送船の沈没など影響で供給量が減ったとき、911はさっそく3割のプレミアムが付いたそうです。もちろん正規ディーラでのお話です。お金こそ正義。3割高だろうが4割高だろうが、お金を出せるヤツが買えるわけです。
いっそ清々しいですね。
でもあなたはそれで納得できるでしょうか?
当事者になるとなかなか冷静には考えられなくなってしまうのですが、一歩引いて考えてみてください。
新規客には冷たいように見える日本の正規輸入車ディーラですが、欲しい人は多い、だけど実車は少なくて限定数しか生産されない。
これは限定車に限らずモデルチェンジ直後などの新型車でも同様で、欲しい人は多いけどメーカーからの供給量が限られるとき、どうすべきでしょうか。
そのメーカーあるいはディーラの従来顧客の立場になって考えてみてください。
そのディーラとは過去30年近くの付き合いで、クルマも10台以上買い替えてきた。
今度、限定車が出るらしい。
その店舗への割当ては1台とのこと。
その限定車は抽選とのことで応募したけど外れた。
そのディーラでは新規の客が当選したらしい。
あるいはその1台に対して希望者が10人いるので、取りあえず5割の上乗せ価格にしますけど、あなたはどうしますか?とセールス担当に聞かれるわけです。100万円のクルマが150万円になるわけです。さすがにあなたは諦めるけど、なんでも新規の客が買って行ったらしいと聞かされる訳です。
あなたはどちらも納得できるでしょうか。
自分はそのディーラとは長い付き合いだし、何台も買い替えてきたのに、なぜいままでろくにそのディーラと付き合いの無いヤツに売るのか、と思いませんか。
限定車をさらって行った客は、さるエンターテイメント企業の会長さんで、お金はうなるほど持っているらしいので、30年近い取引き実績があるあなたよりその会長さんを優先しますね、と言われてあなたは納得できるでしょうか。
せめて少なくとも自分との取引額よりも多い額を払うのなら仕方ないかなとは諦められませんか。
それがいま某エンターテイメント企業の会長さんが批判しているコーンズについて、コーンズの顧客側から見た様子なのです。
会長さんの批判だけを聞くとコーンズが高飛車で凄くイヤな感じに見えるけど、でもコーンズの顧客からすればコーンズのやり方は当然なのです。
従来顧客からすれば、自分たちの過去の取引実績よりも少ないのに、それを差し置いて自分(会長さん)に限定車を回せと言ってるのですから、納得できる訳がありません。割当て数が決まっている以上、彼にまわす分は誰かが割りを喰うことになるのですから。
コーンズからすれば、どうしても欲しいのであればその限定車を購入する従来顧客と同等以上の取り引き実績を作ってくれなければ、従来顧客だって納得させられません。
そう考えると、限定車にせよ新型モデルにせよ、メーカーあるいはディーラとの過去の『実績』で購入できるかどうか、あるいは『実績』で納車の順番を決められるのは、実は一番『公平』なのではないでしょうか。
もしお金があって、どうしても早く欲しいのでしたら、他にもやりようはあるのですから。※3
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※1 ケイマンGT4RSの日本向けの割り当ては、正規ディーラの店舗あたり1台あるかないか程度らしいです。
※2
すごいGRMNヤリス、素人同然な販売政策(前編)
※3 納車されてもろくに乗らず手放す人がいるので、予めそのような物件を予約しておく。もしくは欧州や米国の購入権を持つショップから購入する。もしくは直接現地のディーラから購入する、など。
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Posted at
2022/07/03 19:46:26