先日スタッドレスタイヤに履き替えるためタイヤ屋さんに行きました。
そこで何気なく作業の様子を見ていたのですが,ホイールナットを締める際の,トルクレンチの使い方が間違っているのが気になりました。
プロでも間違うくらいなので一般にはあまり知られてないことなのかなと思い,ここに書くことにします。
トルクレンチの間違った使い方,それはシグナル式トルクレンチで規定トルクまで締めて「カチッ」と鳴った後,二度三度と「カチッ」「カチッ」と空回りを繰り返す行為です。
「何度も繰り返したほうが精度が出る」と勘違いして,癖でやってしまう人も多いのではないでしょうか。
しかしこれは指定したトルクで締めることができたかという意味では逆に精度を下げる行為に他なりません。
実は一度目の「カチッ」で最大の精度が出ており,二度三度と「カチカチ」やる度に精度が落ちてしまっているのです。
なぜそうなるかを説明しましょう。
理解するためには初歩的な確率統計の知識が必要になります。
まず次の図をご覧ください。
これは例えば 100Nm に設定されたトルクレンチが一度目に「カチッ」と鳴ったときに,実際にどのくらいのトルクで締められたかを表すグラフです。
どんなに調整されたトルクレンチでも,実際の動作時にはどうしても誤差が発生します。
一般的なトルクレンチでは約4%です。その誤差を考えると,実際のトルクはグラフのような正規分布になります。
このグラフで言えば,実際のトルクはだいたい塗りつぶされた部分に収まり(2σ=95%信頼区間),その平均が100Nmだということです。
さて,では二回「カチッ」っとやった場合はどうなるでしょうか。
例えば,一回目でたまたま「100Nmちょうど」に締まっていた場合を考えてみましょう。
このとき,ちょうど50%の確率で100Nmを超えるトルクに締まってしまうのがお分かりになるでしょうか。
それが次のグラフです。
せっかく100Nmだったものが,二回に一回はこの塗りつぶされた部分のどこかになってしまいます。
もちろん,一回目のトルクが低かった場合,二回目で100Nmに近づく場合もあるでしょう。
しかし平均してみると二回目で必ず「上方にブレる」ことが分かると思います。
結果,二回目三回目と繰り返す度に実際に締められたトルクの平均は100Nmから上にズレていくのです。
シグナル式トルクレンチを使う際には,最初に「カチッ」と鳴ったらそこで止めましょう。
何度もカチカチ言わせるのは精度が低下するだけです! 肝に命じておきましょう。
という理由により社外ナビを取り付けました。
- 使い慣れたナビを使いたい。
- 常に最新の地図であって欲しい。
- 純正モニタに車両情報などを表示させておきたい。
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