2016年11月17日
黒澤明監督の映画「羅生門」は、芥川龍之介の「藪の中」が原作です。
一人の武家の死は、人間の欲望、傲慢、嫉妬、保身、偏見などにより、その真実は藪の中に入ってしまいました。
「実は、私も騙されたひとりなんです。」
「私は言われたことに従っただけで、何も知らないんです。」
「まさかこんな悪い事だと分かっていたら、やるはずがないですよ。」
「初めから、騙すつもりなど毛頭ありませんでしたから。」
「僕はみんな彼に任せていたんだよ、だからよく知らないんだ」
「虐殺の話は、あんたの国の人が証明しているじゃないか。」
藪の中にあった真実が、藪を取り払われて明るみに出された時、人は様々な反応をみせます。
人を騙す者、横領する者、偽証する者、善意の第三者を装う者は、自己保身の為には何枚もの舌を出して罪を逃れようとします。
そして藪の中に逃げ、あるいは自ら藪を造り、何とかして追っ手から逃れようとします。
真実を白日の下に曝されたくないので、真実を覆う藪ごと地中深く埋める国もあります。
ご丁寧に、埋めた土地の上に世界記憶遺産なる石碑を建ててしまいました。
藪が勝手に生えてしまう場合が稀にあり、何が真実で何が嘘かが、自分でも分からなくなる人もいます。
問われて、自ら藪の中と嘯いている、脳の中に藪が生えてしまった元首長などがそうですね。
たくさんの得体の知れないものが、藪に棄てられ、埋められているかもしれません。
しかし、同じようにたくさんの「真実」も、何処かの目に見えない藪の中に埋められていることでしょう。
Posted at 2016/11/17 18:30:01 | |
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