第七話 【悪足掻き】
それから間もなく
大会事務局へ 明日の参加キャンセルを伝えにいくと
サイポンの神吉さんが こう言います。
『S-TECさん RX-8が壊れて 乗れないのなら
ロードスターで走られたらどうです?
参加料は返金できないので もったいないですよ。』
神吉さんは RX-8の状況は 知らないようでしたが
気を使って ロードスターでの参加を 提案してくれました。
JAF公認競技だと こうはいかないですよね…。
今から段取りすれば、明日の大会には 充分間に合います。
NCでも走りたい!
そんな気持ちが私を駆り立て、知り合いに連絡します。
電話の相手は 時々 サーキットの手伝いをさせている リョウさんです。
この方…
かなりの変わり者で、それ成りに頼りにもなるのですが
チョンボもよく やらかします。
鈴鹿では この方に2度程 殺されかけたこともありました…。
1度目はブレーキパットの 裏組事件の首謀者!
タイヤの裏組は 聞いたことはありますが
ブレーキパットの裏組は 聞いたことがありません!
2度目はホイルナットの 締め忘れ事件の実行犯!
両方共 場所が場所だけに 一つ間違えたら 大参事です!
色々と逸話を残してくれてるリョウさんなので
今度 リョウさんの
ありえない特集でもしたいと思います。
ご期待ください!
で 話しをもとに戻し
そんな彼に 迎えに来てもらうことにしました。
話しを聞いたリョウさんは、
『直ぐに出ますので 3時間ほどで到着できると思います。』
私は 『頼むなぁ…』 と言って電話を切りました。
ピットに戻り 仲間にそのことを伝えると
『体…大丈夫なんですか?』
と やはり心配そうにしています。
そんな心配をよそに リョウさんの到着を待つ私は
体の異変を 感じてきました…。
徐々に首が 動かなくなってきたのです。
そんな異変に周りも 気付きだします…。
『S-TECさん… く…首の動き…おかしいですよ…。』
そんな私に親分も アドバイスをくれました。
『それ…明日になったら もっと痛みますよ…。
筋肉や筋が張ってくるから 酷い時はマッサージに行けば
だいぶマシになりますよ!』
それを聞いた私は 親分も経験者なんだと
直ぐに理解できました。
取合えず メディカルセンターに行き
首に巻くコルセットを 借用しましたが
徐々に熱も出てきたようで
かなり具合が悪くなってきました…。
先程までの元気は何処かに行き
若干 吐き気も 模様してきた私は
走行どころでは 無くなってきたので
『もう…明日の出場はあきらめて このまま帰ろう…。』
と 結局 出場は断念し 帰ることにしました。
そうこうしてる間にリョウさんの到着です。
『お待たせしました 大丈夫ですかぁ?』
『大丈夫じゃないから 今日はこのまま帰るわ 荷物積んでくれ。』
リョウさんはピットの私の荷物を ハイエースに積み込み始めました。
OVER DRIVEの仲間も手伝ってくれてます。
そこでリョウさん またやってしまいました…。
リョウさんは 荷物を運んでいるタケチさんに 笑顔で話しかけます。
『タケチさーん! これでまた儲かってしまいますね!』
その時 ピットは騒然となりました…。
さすが リョウさん 空気が読めてません…。
それを聞いたタケチさんも
『あんたって人は…』
と、あきれて その後の言葉が続きません…。
リョウさんいわく 沈んだ空気を明るくするために
ワザと言ったらしいのですが
いつものごとく 人の怒りを買うのが 得意なリョウさん!
大きく的を外しております。
さすがのリョウさんも なんとなく 周りの白い目に気付いたのか
黙って荷物の積み込みを続けます。
そして私はリョウさんに乗せられ
無事に自宅まで 帰ることが出来ました。
帰ってから熱を計ると 38.2度もあるではないですか!?
実はその熱 3日程続きました。
熱が下がってからも 親分の言う通り
鍼灸院へ1ヶ月ほど 通うはめとなりました…。
つづく…。
Posted at 2015/11/30 12:53:05 | |
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