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あとがき

　絵はみんカラで話すようなジャンルじゃないし、前回最終回としたのだけれど、まだあれこれ書きたい事があったのであとがきとしてみた。

　先日オキニの画家の展示販売会が、とある百貨店で開催すると知ったのだが、その出品数に驚いた。なんと５０点もあるそうなのだ。自分が買った時を思い返すと、最初の絵は大きな催事だった事もあって１０点の中から選べたのだが、２枚目は５点、３枚目に至っては現品限りの１点だった。最後に買ってからわずか１月後に５０点から選べる催事が開かれるなんて、嫉妬で心がざわついてしまい、直接画商さんになんで事前に教えてくれなかったのと言ってみたら、ちょっとおもしろい話を聞けた。

　普通同一の画家でジャンルが同じ絵の値段はサイズで決まる。〇〇先生の富士山シリーズの絵は３０万／号とすると、８号で２４０万円、１０号３００万でという感じだ。ただ大きい物は割安になるらしい。しかし絵は基本的に一品ものであるため、目利きな画商があれこれ並べれて見れば、客の好みそうなもので優劣がついてしまう。実際同じサイズでも、より上客が集まる催事にはより良いと思う物を持っていくそうだ。まあ半分は既に購入を決めてしまった自分に対するリップサービスなのだろうが、先日お選びいただいた作品以上の物はそこの催事には出てきませんよと断言されてしまった。
　
　ここら辺が車や腕時計の限定モデルや超人気モデルと大きく異なる点で、この画家の絵が欲しいというならハードルが低いのだが、この画家のこの絵が欲しいと思っても全く同じ物はもう出回っていないし、似たような物がたまたま買えるかもしれないけれど、全く別の魅力的な物が買った直後に出てくる可能性もある。一品物の世界は非常に怖いなと思った。
　

【最終話です】

　２枚目の絵の予算は大幅に超えてしまったが、満足な買い物のはずだった。「だった」といきなり過去形となるのは、その翌日の出来事に理由がある。事の始まりは絵を買った事を知らせた友人が、同系列の別のデパートでもゴジラがあるみたいだから見に来ない？というお誘いだった。結局理由をつけてその日は行かなかったのだが、その絵を見た友人がどうしても見せたいから明日来いと言う。買ったばかりだし買えないよといいつつ、興味はあったのでしぶしぶ覗きに行ったのだが・・・。

　会場にあったのは背景が青富士で、上にモスラ、下にゴジラが向き合っていて、優美なモスラが印象的だった。土壇場で選ばなかった青富士とゴジラの絵を買って、この絵を見せられたら激しく落胆しただろうし、今回は別のイメージの絵を選んでいるため辛うじて気持ちは抑えられたものの、もしこの絵を含めて選ぶことができたらと思うと悩ましい限りだった。ただこの絵は自分がお店に到着する数時間前に売れてしまったとの事で、元々縁が無かったとあきらめもついた。

　ここで本来なら話は終わりなのだが、せっかく遠い所をお越しいただいたので・・・とか〇〇様のご紹介なので・・・等の長い前置きの後、実は・・・の後に追加でご用意させて頂きましてと続いて・・・。
真四角なキャンバスには大きな満月（純金のインゴットを溶かして塗っているそうです）をバックにモスラとゴジラが向き合っていた。最初に見た5枚の絵の印象が全部吹っ飛んでしまうのは勿論、午前中に売れてしまったと言われた青富士モスラゴジラも一緒に吹っ飛んでしまうほどの衝撃。元々別の展示会用の絵だったらしく、お売りできるかまだわからないと言われたが、後から考えるとわざわざ見せてくれたのだから売る気満々だったのだろう。

結局１週間で２枚の絵を買う事に。これで我が家には朝日と、富士山と、満月をバックに、ゴジラ３匹、キングギドラ１匹、モスラ１匹が上陸する事になった。普通に考えても酷い惨状である。物欲はここで終了する事ができそうなのだが、もう絵画は懲り懲りというのが本音である。

【続きです】
翌日お店に購入の意思を伝え、再度絵を並べて見せてもらってこれが一番良い絵だと自分を納得させた。そして支払い限度額を上げてもらってカードを通す直前になったのだが、突如迷いが生じてきた。原因は、１枚目を購入したときみたいな一目ぼれと違い、並べられたものから消去法で選んだため、物欲が上手く膨らまなかった。また絵の構図がゴジラが画面右下に小さく描かれているため、１枚目と似たような絵を買うのはつまらないのでは？と思い始めてしまった。

　因みに他に見た小さめな絵（３点）はこんな感じ。
【朝日をバックに絵の左半分が大きめなゴジラ】
最初これが良いなと思ったのだが、朝日を基調にした絵の雰囲気が最初に買った絵と似ている。
【夜空をバックにキャンバス目一杯大きく描かれたゴジラ】
最初の絵と全く異なる絵として選ぶならベストなのだが、黒と紺で描かれているため絵が暗すぎる。
【上がモスラで真ん中ゴジラで下戦車】
怪獣が２匹描かれているのでお得感があるのだが、風景画になってないので、リビングには似合わない
　
で、最初に予算が合わずに候補から外した１５号を改めて見せてもらう。バックに大きく赤富士が描かかれており、前面にキングギドラとゴジラが向かい合っている。ただ赤が基調で村上裕二先生の特徴である紺色が入っておらず、またキングギドラは赤富士をバックに逆光となっているため、金色ではなくほぼ黒で描かれている事が気になった。しかし過去の絵をネットで検索すると同じような構図とサイズでゴジラのみ描かれたものもあり、それに比べるとグッと魅力的に見えた。

普段なかなか買える機会がなく、現状では他に選択肢が無いため、１５号の絵でカードを切ってしまった。その時後悔は無かった。しかし、ここで話が終わらなかった事を２日後に後悔する事になる。

ブランド時計って、まだ複数箇所の売り場があって、そこの店員さんと親しくすれば良い事もあったりするのだけど、絵って元は一つの画廊からしか買えない世界って知ってビックリ。

1枚目買った時は2枚目も欲しくなるねって話をして、特別なデパートの催事に来ますからその時ご案内しますねって話を貰ったのだけと、先日唐突にその絵が届きましたからご覧になりませんか？と唐突に話があって見に行ったのが1週間前。

バックヤードに案内されて見せられたのが5枚の絵。普通こんな特別待遇やらないそうです。

その時は大きい絵は予算オーバーなので外してもらい、6号から8号の絵4点並べてもらいました。その中で目をひいたのが青富士の右下にゴジラの絵。値段も300とお手頃？でした。家族と相談するにも写真撮影許してくれません。なのでその晩は口頭説明と自分が

こんな絵を描く事になりました。

絵画に全く興味が無かったのに、何度もタダ飯に釣られてデパートの催事にホイホイついて行ったら、いつの間にかすっかり洗脳されてしまったようで、村上裕二先生のゴジラの絵が現在進行形で侵略している。村上裕二先生は、お兄さんが花とドラえもんの絵で有名な村上隆先生で、同じ画家さんでもお兄さんはデジタルを活用して色々活動を広げているのに対し、昔ながらのアナログな世界で活動されている方である。

にわか勉強でわかったのは、青色や金色に特徴があり、青は鉱石、金はインゴットを溶かして使っているので、この色を主に使った作品は人気があるとの事。またファン層を一気に広げたのは仮面ライダーやウルトラマン等の特撮物を扱ってからで、ゴジラシリーズもその流れを汲むものだ。これらのキャラクターは版権が大きく絡むだけでなく、絵の構図等にも細かい指示が入るらしく、ユーザーサイドからこういう絵を描いてくれとリクエストしてもだめらしい。因みに仮面ライダーやウルトラマンは既に契約が切れているので新作を見る事は出来ず、またネット等で検索しても中古品もお目にかかる事はまずない。恐らく絵画コレクターと昭和の特撮物コレクターの両方が収集しているため、手放す人が少ないのだろう。

ゴジラももうすぐ契約が終わるそうで、催事等で出てくるとほぼ即日完売となる。自分が最初に購入した時も、催事の初日のオープン直後に入ったにも関わらず、展示品はすべて売約済みとなってしまい急遽追加で用意したという数点の絵のモノクロコピーを見せられたのだが、後から次から次へとお客が売場にやってくるので、その場の勢いに負けて即決した。左に東京タワー、後ろに大きく朝焼けの太陽、左下にゴジラが移動している姿が小さく描かれているもので、ゴジラが居なくても絵として違和感のないものだ。あとから画商に聞いたら、初めて買う人でいきなり全面に大きくゴジラを選ぶ人は少なく、風景の一部に入っている作品を選ぶ人が多いそうだ。そして次は、キャラがより大きく描かれたものが欲しくなっていくそうである。

まあ絵を何枚も飾れるほど家が広くないので、これで物欲が収まるかと思ったのだが、予測が甘かった事を今年激しく後悔する事になる。